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幾つもの部屋があるキャメロット城の中でもそこは地下同様、選ばれたものしか踏み入ることが許されていない。その部屋、その中央には部屋の面積を多く占める豪奢な円卓が置かれ、十三の席はしっかりと間隔が空けられている。
十三席の内、空席は五名。居座った八人は談笑することもなく沈黙を貫き、王の入室を待っていた。
が、円卓に乗せられた足が沈黙を破る。
痺れを切らし、苛ついた顔を隠そうともしない魔術師の名はモルドレッド。深紅の髪を後ろに流してまとめ、上半身裸の出立ちでいた。半身には大量の刺青が刻まれ、首には金の首飾りが下げられている。その眼光は鋭く、どこか狂気的な光を孕んでいた。
「モルドレッド」
モルドレッドの向かいに座るガウェインが冷たい視線を向ける。
「足を退けろ」
「あ? 俺に指図するな、殺すぞ」
「ーー貴様」
「まあまあ、落ちつきなされ。二人とも」
嗄れた声で割って入るペリノアに対し、睨むモルドレッド。
「話に入ってくるなジジイ。テメーはさっさとその席から降りろ」
「そうしたい気持ちはやまやまじゃがのう。如何せん、いまの円卓はあまりに不安定で心配が絶えん。降りる訳にもいくまい」
「ハッ、過去の栄光に縋り付いて降りたくねーだけだろボケ。不安定だ? 円卓は十人もいる。まだ減らしてもいいくらいだ」
「モルドレッド」
氷を連想させる、冷たい眼差し。
ガウェインが、殺意を向ける。
「その口を閉じろ」
「断る。お前は俺の王にでもなったつもりか? ガウェイン」
睨みあう互いの魔力がいつ爆ぜてもおかしくなかったそのとき、部屋の両扉が豪快に開けられる。
「すまない! 遅くなった」
息を切らして入室してきたアーサーに対し、モルドレッド以外の七名全員が席を立つ。その反応を前に「あー、座ってくれ」と彼はすぐさま言葉にし皆がその指示に従う。
肩まで伸びた金の髪、翠緑の瞳。羽織っている赤の外套には金の刺繍が満遍なく施され、モルドレッドと同じ飾りを首に下げていた。
「色々と立て込んでてね。こっちから呼び出しておいて本当にすまない」
「おせーよ、もうすぐ帰るところだったぜ」
「ああ、すまないモルドレッド。皆も悪かった、早速話を始めよう」
アーサーが席につき、全員の表情を見渡す。
「一番最初に話しておこう。マーリンのことについてだが」
円卓を降りる申し出を王が受理したのは全員の耳に届いている。
「つい先日、刺客に襲われた」




