再会編9(終・銀幕の向こうへ)
夜の撮影スタジオ。ライトの熱が空気を揺らし、静まり返った現場にはピンと張り詰めた緊張感が漂っている。
裕奈はカメラの前で息を整え、監督の「アクション」の声を待っていた。
「高宮さん、お願いします!」
スタッフの声が響き渡る中、裕奈が一歩前に出る。
その瞬間、照明が一斉に点灯し、眩いスポットライトが彼女を照らした。
裕奈の凛とした表情と輝く瞳は、まさに銀幕の中の女優そのものだった。
一方、ライトの届かない暗がりに渉の姿があった。
小さな台本を手に、撮影の進行を確認しながら、彼女のサポートに奔走している。
彼はスタッフに指示を出し、時折裕奈の視線を捉えて小さく頷く。
その動作には、彼が彼女を支える決意と覚悟が滲んでいた。
撮影が始まると、裕奈は役に完全に没頭し、まるで現実世界から切り離されたかのようだった。
その圧倒的な存在感に、現場全体が息を呑む。
そして、その背後では渉が全体の流れを冷静に見守り、必要があれば即座に動く準備を整えていた。
撮影のクライマックス。監督の「カット!」の声が響き渡り、セットに拍手が巻き起こる。
裕奈は深く息をつき、微笑みを浮かべる。
渉は一瞬その笑顔を見て、ふと小学校時代の彼女の姿を思い出した。
ライトの光の中、二人の姿が交差する。
かつて約束した「支えること」と「輝くこと」。
それが今、形を変えながら現実になりつつある。
二人は互いに無言のまま視線を交わし、次の一歩を踏み出す準備をしていた。
ライトに照らされた裕奈と、その脇で支える渉。
その瞬間、暗闇から光の世界へと二人が踏み入れていくように見えた。




