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中学生編5(終・互いの道)

裕奈は画面の向こうで渉が自分を見てくれていると信じ、努力を続けた。

渉もまた、裕奈に追いつくため、自分自身の夢に向かって走り続ける。


二人の心には、あの中学時代に交わした約束が常にあった。

「もっと輝いて、また会ったとき、お互いがすごいって思えるようになる。」


それぞれの道を歩む中で、二人はその約束を胸に、再び交わる事を目指して互いの輝きを増していった。




裕奈と別れて少しした頃、

渉は一冊のノートを手に取った。それは、彼が思ったことや感じたことを自由に書き留めるためのものだった。


渉は机の前に座り、何も書かれていないノートを開いた。


ー今日の夕焼け、すごくきれいだったー

裕奈の貸出票の言葉が、ふと頭に浮かんだ。


(忘れないために——)


ペンを握りしめ、渉は初めてノートに自分の気持ちを書き記した。


ーーそれが、彼の記録する習慣の始まりだった。


最初は、日々の些細なことをつぶやくように書いていた。

朝練で気づいたこと、試合での反省点、部員のちょっとしたクセや強み――次第にノートの内容は深まり、具体的なサッカーの改善案や新しいフォーメーションのアイデアに満ちていった。


渉にとって、それは自分を見つめ直し、前に進むための大切な記録だった。


渉のサッカーへの情熱は日に日に増していった。

裕奈に追いつくためには、ただ練習するだけでは足りない。

彼は「頭で考えるサッカー」を意識するようになった。


ノートには、部員一人ひとりの特徴や性格までも書かれていた。

「松田は守備の意識が強いけど、状況判断が遅い。」

「田中はスピードはあるけど、試合終盤に集中力が切れやすい。」

試合での自分やチームの動きを分析し、それをどう改善していくか、何を活かせるか。


ノートを開くたびに、渉の中でサッカーへの理解が深まり、やるべきことが明確になっていった。


その積み重ねは、渉の実力に直結した。

中学2年生の頃にはレギュラーを勝ち取り、3年生になる頃には部の中心人物として頭角を現していた。




中学卒業が近づく頃、渉は進路を選ぶことになった。

強豪校への推薦の話もいくつか持ち上がり、その中でも自宅から通える範囲で一番強い高校への進学を決めた。


「あの高校なら、もっと自分を鍛えられる。」


そう考えた渉は、さらなる高みを目指すことを決意した。

ノートには、進学先での目標や、自分がそのチームにどう貢献できるかが綴られていた。


裕奈と別れてから数年――渉はその小さなノートに背中を押されながら、自分の目指す未来へと歩み続けていた。


渉はテレビで見る裕奈の姿を思い出しながら、心の中で彼女に語りかける。

「裕奈、俺ももっとすごい人間になるよ。お前が誰にも負けないくらい輝いたとき、ちゃんと追いつけるように。」


ノートは、そんな彼の決意を静かに受け止め、これからの道を共に歩む相棒のような存在になっていた。

ちょうどこのエピソードが50エピソード目でした。

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