小学生編6(終・月夜の約束)
夏休みの終わりが近づいた夜、渉と裕奈は近所の公園の小さな丘に座っていた。昼間の暑さが嘘のように涼しい風が吹き抜け、空には満月が眩しく光っている。
渉は手に持っていたジュースを一口飲んで空を見上げた。
「今日は月がすごいな。まるで昼間みたいに明るい。」
裕奈も渉の隣で空を見上げながら、ポツリとつぶやく。
「ねえ、渉くん。月ってすごいね。どんなに暗い夜でもあんなに綺麗に光ってる。」
渉は隣を向いて裕奈を見る。
「どうしたんだよ、急に?」
裕奈は膝を抱え、少し俯きながらも笑みを浮かべた。
「私もあんな風に、どんなに暗くても誰かを照らせる人になりたいなって思ったの。」
渉はにこやかに笑いながら言う。
「……裕奈ならなれるさ。裕奈って、昔から変なことばっかり言うけど、本気だよな。」
その言葉に裕奈は照れくさそうに笑う。
「変かな。でも、本気だよ。」
しばらく沈黙が流れた後、裕奈は月を見つめながら、ぽつりと続けた。
「渉くん、私、いつか月よりも輝く人になりたい。」
渉は驚いたように目を丸くするが、すぐに真剣な表情で頷いた。
「じゃあ、俺も手伝うよ。裕奈がそうなれるように支えるから。」
裕奈は目を潤ませながら渉を見つめる。
「約束だよ、渉くん。絶対だよ。」
渉は右手を差し出し、小指を立てた。
「絶対、だ。」
裕奈はその手に自分の小指を絡め、ぎゅっと結んだ。
「ありがとう、渉くん。私、絶対に月よりも輝いてみせる。」
二人は夜空を見上げながら、いつまでもその光景を心に刻むように静かに過ごした。




