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Second Wave   作者: challengersgames
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カレン五世の物語 第4話

八百四十六年三月二十日


 カレン四世はかつてヒストリアと技術協約を結んでいた。


 当時カレンはアーケインストーンの埋蔵量でも、ストーンを活用する技術力でもヒストリアに大きく差をつけられていた。

 そのため、カレン四世は兵力を増強しながら、一方では産業化に押されない方法を講究していた。


 ヒストリアの現在の王はヘネシーだった。

 本来ヘネシーはカレン王家の傍系の血統で王位の序列は低い方だった。

 しかし、ヒストリアの王が子孫を残さずに世を去ったため、彼女にまで順番が回ってきたのだった。

 つまり、ヘネシーとペイオード、カレン五世はお互い血縁関係にあった。


 戴冠式が終わるとすぐにカレン五世はヒストリアにペイオードの送還を要請した。

 しかし、ヘネシーの立場では、何の条件もないままペイオードを送還するわけにはいかなかった。


 これは国家間の問題であると同時に家族の問題でもあったため、ヘネシーは慎重にならざるを得なかった。

 むしろ彼女に野心があり、政治的な人間だったのなら、問題はすぐに解決していたことだろう。

 ペイオードの送還問題は翌年のカレン五世とテネズの結婚によって収まった。


 テネズ・シャロンもやはり、ヘネシーとは遠い親戚関係だった。

 しかし、ヘネシーはヒストリアに根を下ろしていたテネズの家門から

多大な支援を受けていたことだろう。


 この結婚がどのように決まったのかについてはいろいろな憶測があった。


 カレン五世が自ら選んだ、ヘネシーの仲介だった、テネズの策略だったなど。


 ただ、テネズとの結婚がペイオードの送還を阻止したということは間違いなかった。


 王妃が誕生したということは王室にとって大きな祝福だった。

 市民たちは王の配偶者を愛したいと思った。

 王が冷徹であるなら、その配偶者には慈しみを望むものだ。


 しかし、……結婚式から数か月が過ぎても、この美しい王妃の笑う姿を見た者はほとんどいなかった。


 陰鬱な王と全く同じ王妃。


 人々はこのお似合いの一組の夫婦を怖がりもし、崇拝もしたが、

決して愛することはできなかった。


 そして、数か月後。


 テネズ・シャロンは皮膚病の治療をするという理由で四~五か月間ヒストリアに留まることになった。


 王妃がカレンに適応できずにいて、王がこの結婚を無効にするという噂が広がり始めた。

 しかし、その後もカレンの王妃は一度も変わることにがなかった。

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