カサカサ④
最終回で今更なんですが
新町「しんまち」
桑原「くわはら」
白山「はくさん」
井野「いの」
小文間「おもんま」
と読みます
フリガナふるの忘れてました
すみません
僕は暗闇に紛れお寺を出た
明るい所にでればカサカサには逢わないが桑原に見つかる可能性は高い
音に気をつけて小文間と最後に逢った工場脇の道を目指した
正直この道が一番カサカサと逢う確率が高そうだ
ビビリながらも早歩きで向かった
国道近くに着いた
小文間も見当たらない
きっと出口なども無いのだろう
僕も小文間や食べられたおじさんみたいに身を潜めて過ごすのだろうか
「何処だぁ!」
遠くから桑原の声がする
あの声に反応してカサカサに食べられないかな?
などと僕は考えた
とりあえず国道を渡る歩道橋に登った
街灯が消えてくれているのには感謝だ
高い所から桑原の声で大体の場所がわかるし僕の姿は見えない
「きみはやっぱり面白い」
後から声がした
驚き振り返ると小文間がいた
「君の考察を聞いている時、ほとんど間違ってたけど楽しかったよ」
やっぱりなんかムカつくなこいつ
「僕は死んでるんですよね」
目に力を入れて小文間を睨んだ
「よく解ったね」
「ここはあの世ですか?」
何故か敬語に僕はなった
小文間はさっきまでと違って圧があった
どうやら僕は小文間に気負いしたようだ
「ここはあの世と現世の境目だよ」
「境目?」
小文間は僕の経緯を教えてくれた
どうやら僕は植物状態で10年過ごしていたらしい
桑原にボコボコにされて入院
10年たった時に生命維持装置を切られたようだ
だから死んだ事に気づかないまま魂は彷徨いお盆に地元へと吸い込まれたのだった
植物状態の時は情報だけ入ってくるので僕は将来の夢を持てたらしい
桑原達も事故で即死、悪霊としてアチコチ彷徨っていたそうだ
「小文間あんたは一体何者?」
「僕はカサカサの補助者」
「補助者?」
「簡単に言うとカサカサは死神なんだ」
カサカサは魂の回収係
ただ死神不足もあって急な死への対応が遅れているそうだ
だから彷徨う魂をこの世界へ引き込み閉じ込めて徐々に回収している
死者でも死神補助者になることが出来るので小文間は補助者になった
「じゃあカサカサに喰われれば成仏出来るって事?」
「飲み込み早いね、まぁ成仏と言うより閻魔裁判にかけられる様になるって事だね」
僕は一通り納得できた
それなら怖いけどカサカサに食べられた方がいいとも思った。
「そこかぁ!」
2人の声に気付いた桑原が歩道橋に上がってきた
「捕捉だけどあの婆さんのカサカサは地獄直結だから気をつけて」
半笑いで指を指した先にカサカサは居た
桑原の真後ろに桑原の倍位の大きさになったカサカサが現れた
桑原は後のカサカサに気付いた
「なっなんだよこいつ!」
不気味に笑う老婆が下から覗く
這いつくばって桑原へ向かって走る
カサカサと音を立てて
「や、やめ、て」
逃げる桑原は僕の元へと走ってくる
情けなく、怯えた泣き顔でやってきた
とんっ
僕の横から手が伸びた
小文間が桑原を押す
カウンターで入った押す力は反動で勢いをつけ後へ転倒させる
老婆の笑顔が桑原へ届く
カサカサ
桑原の腕が消えた
目からは涙がこぼれていた
カサカサ
肩からお腹が消えた
叫ぶ桑原は次の
カサカサ
で黒い塊へと引き込まれた
黒い渦に桑原、井野、白山の悶絶している顔が浮き出てぶつかり合っていた
カサカサと音を立てて
桑原を飲み込んだカサカサは静かに消えて行く
なぜ僕は平気?
と思ったら察してるかのように小文間が教えてくれた
「君は地獄直行ではないから」
桑原達は相当悪い事をしていたようだ
因みに廃校にいた警備員もカサカサだったそうで
地獄直行メンバーがいたのであえてあそこから追い出した
「僕もそろそろ行きます」
僕は怖いけどカサカサに食べられる決意をした
「良かったら僕と補助者にならない?」
小文間から提案された事に驚いた
浮遊霊は多すぎて、とても手が回らないそうだ
今回の様にカサカサの弱点がバレた時はどうしても誘導する補助者が必要らしい
「いや、僕には勤まりませんよ」
僕は丁重に断った
小文間は寂しそうな顔をしていた
「ねぇここどこ?」
男女3人の若者が暗闇で怖がりながら歩いている
「なぁ俺達の帰り道にこんな所あったっけ?」
不安そうに周りを見る男
「あなた達も迷ってるんですか?」
3人の若者の前に人影が現れる
「誰?」
女の子が言うとその人影は
「僕も迷ってしまって」と優しい声で答える
3人の後で音がする
カサカサ カサカサ
結局僕はカサカサの補助者になった。
ありがとうございました