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カサカサ  作者: 鍛冶
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カサカサ

ちょと短めの怪談を書きます

ゾワゾワっとさせることを目指してます

カサカサ

僕が小学生の時に流行ったお化けの名前

学校の帰り道、薄暗くなると何処からともなく聴こえるカサカサと言う音

黒い塊がカサカサと音を立ててやってくる

カサカサと音がしても見てはいけない

見れば追いかけられる

カサカサとカサカサと音を立てて追いかけてくる

捕まれば黒い塊カサカサに食べられる

食べられた時の音もカサカサ

隣の小学校の生徒が何人かカサカサに食べられたとか


よくある花子さん、てけてけみたいな怪談だ


大人になると皆が笑いながら言う

今日もそうだ

中学校の同窓会、夏休みで久しぶりに地元に来た

茨城県の端っこにある街

ここが僕の地元


大分あか抜けた様にも思える駅周辺

駅前からの幹線道路は賑やかに街並が並ぶが少し離れるとそこは田んぼと森


同窓会で再開した旧友達とカサカサの話になり

小学校の時の帰り道に行ってみようと二次会に行かずタクシーに乗り込んだ

僕の名前は新町、旧友の桑原と大人になった井野と白山の男女4人で向かった

ダブルデートみたいでテンションは上がっていた


今は市が合併をしてかなり大きくなったようだが

昔はトンボも蛇も普通にでるドが付くくらいの小さい田舎町

小·中はほぼメンツが同じだから久しぶりに会うと思い出も大体同じで笑える


学区も同じなら登校班も同じ

ただ帰りは個々の為、帰り道は複数存在していた


どっちの方が早いとか用水路の探検だとか今思うと本当に遊びについては事欠かない毎日だった

「学校が無くなってる」

井野が少し寂しく見上げる

少子化で廃校になった小学校は山の上にある要塞みたいだったのに今はただの廃墟だ

「どっかの会社が何かやればいいのに勿体無いなぁ」

僕は吸い込まれるような暗さを持つ学校跡地にスマホを向けた。

「何撮ってるの?」

少し酔っ払った白山が隣にチョンと寄ってきた

暖かい息といい匂いがする

酒の影響もあるが少し下心が出た。

「今度、映像製作会社立ち上げるからこの雰囲気何かに使えそうかなって」

構想だけで何もしてないが格好つけてしまった

「中入ってみっぺ」

寺原が笑って指を差すと小学生の頃の顔を思い出した

ツキンと頭に痛みが走る

「?」大丈夫?と白山が心配した顔で覗き込んできた

僕は平気平気と少し照れながら答えた


小学生の時に大きく見えた校門は以外に小さかったこを知る

女子でも簡単に乗り越えられた

「服汚れてない?」

井野が桑原に服を見せつける様にくるッと回って確認させている

同窓会なので皆若干のお洒落はしていた

全員がスマホのライトを着けて校舎へ入る

思いの外中がキレイだ

もっと荒らされてたり、落書きがあると思ってたのに


静かな廃校はそれだけで雰囲気がある

何気にカップル状態でくっついて歩いている

悪くない

白山の胸が腕に当たっているのが役得と思った


「カサカサって学校にも出たって話だよな」

桑原が脅かしたいのか急に静かに言う

「もうやめてよ」

井野がピッタリと桑原にくっつく

これが狙いかと僕は思った


校舎の中を歩いて、体育館みたりして昇降口へ戻ってきた

皆がライトを消す、僕は最期に外から校舎を撮ろうと録画をまわしたまま

カサカサ

カサカサ

何処からともなく音がした

全員止まった

「ま、まさかね」

白山がぎゅっと僕の腕を掴むが強さや汗の感触から本気度が伝わってきた

ガチャガチャ

カサカサ

金属音と服が擦れるような音がする

「振り替えるなよ、見たら喰われる」

桑原が低い声で皆に伝えた。

僕は生唾を飲んだ

カサカサカサカサ

ガチャガチャ

音が近付いてくる

「逃げろ!」

僕は白山の手を桑原は井野の手を引っ張り走る

前と後からライトに照らされる

「待ちなさい!」

「え?人の声?」

そこには警備員がいた

廃校はちゃんと活用されるらしい

校舎に入った時に警報がなったそうだ

大人になってこんな事で説教されるとは思わなかった

事情を説明して今回は許してもらった

廃校を後に歩いて帰る事にした

「なんか綺麗だと思ったんだよな」

僕が口切りで言うと笑いが生まれて話がはずんだ

皆マジでびびっていたから余計に笑えた。

山を降りて暗い田んぼ道を歩くが近くの国道の灯りが見えるからそれなりに前は見えてた

「あの国道の道で帰ったらダメとか言われたよね」

井野が指を差す

「車が多いからダメって言われたぁ」

白山も言われてたぁとはしゃぐ

結構な距離があった

よく小学生でこんなに歩いたものだ

大きな工場の脇を歩き、火の玉が出ると噂された寺もまだあった

カサカサ、カサカサ

この時は風に吹かれて草の音がしたと思った。

「なぁ今カサカサって言わなかった?」

桑原が指を立ててシッと皆を黙らせた


カサカサ カサカサ


確かに音がする、草の音ではないもう少し固そうな音


カサカサ カサカサ


明らかに近付いてくるし変な空気も感じる

「これはヤバそうだ」

僕と桑原は顔を見て頷き井野と白山の手を取り走った


カサカサカサカサカサカサ


間違いなく追いかけられている

真夏の夜なのに冷たい物を感じる


お寺の前を走り抜けると一気に周りが暗くなったがガムシャラに走った


少し走ると田舎の住宅街に着いた

家と家との距離はあるがお米屋さんや駄菓子屋さんの脇にある街灯を見て少しだけ安心した

4人とも息をゼェゼェ言わせている

少し落ち着こうと駄菓子屋の前の公園へ向かった


火の見櫓跡がある小さな公園のベンチとブランコに座ると皆で目を合わせ笑った

「今のはびびった、マジのヤツだよ」

桑原がベンチをたたきながら笑った

「何か飲もうぜ、喉渇いた」

「何飲む?」

男二人はカッコつけるように女子二人に言う

あら、スマホ決済使えない?

田舎だから仕方ないのか?

「私達も見るー」

結局皆自販機に集まった

懐かしいコーヒーや昔売ってた炭酸飲料がまだある事に

驚いた、しかも100円

「これ飲めんのか?」

小馬鹿にするように桑原はお金を入れて買う

しっかりと冷えたジュースにまた笑った


この時、違和感を感じた

変わらない風景、いや変わらなさすぎる風景

お米屋も駄菓子屋もあの時のまま

小学生の頃の帰り道に寄り道していた時と同じのままだ


ザッザッザッ

街灯の下に人影が映った

井野と白山が僕と桑原の後へと隠れた


とりあえず女子だけは逃がさないと

喧嘩は強くないけどそれくらいはと拳を丸めて構えた


ザッザッザッ

後からも歩いてくる音がする

「警備員って訳ではなさそうだな」

桑原がニヒルな感じで笑った







時代時代にあったローカル怪談とか面白いですよね

少しお付き合いお願いいたします。

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