第一章 悲劇と異世界体験とハッキング 第五話
「揃ったね…じゃあ、皆に彼を紹介しよう」
この人達は何者だ!?俺の頭では計算出来ない事象が目の前で起こっている!
というか、本当にゲームが世界をハッキングした事も事実と捉えて良いのか!?
「マスター…この者が話していた『九人目』ですか?」
「そうだよ、須川高戸【すがわたかと】?
彼が私達のゲームを一番最初にインストールしてくれた…
新たな仲間だよ?」
「な…何が起きているんだ…!?」
「まぁまぁ、そう焦るな坂本…コイツ等は俺等の味方だ」
「味方…?」
「あぁ、自己紹介がまだだったね?
高戸は私が紹介したから高戸以外の皆は坂本莉音に自己紹介をしてやってくれ?」
そう黒川さんが言うと、さっき集まって来た人達が俺に自己紹介をしてきた。
「さっき俺の名前は上がったが、もう一度自己紹介させてくれ…
俺の名は須川高戸、〈八帝・炎帝〉をやらせてもらっている者だ、宜しくな?」
「ウチは南川李【なんがわすもも】さー、〈八帝・滝帝〉として戦う踊り子さ~」
「俺は湊川拓斗【みなとがわたくと】だ…〈八帝・風帝〉をやらせてもらっている…
俺はあまり話すのが得意ではないが、嫌わないでくれ…」
「嫌いませんよ、気になさらず!」
「んんっ、まだ私達が名乗っていませんが?」
「……すまん、自分語りし過ぎた」
拓斗さんが少し俺と話し終えると、続いて残りの四人が自己紹介を始めた。
「俺っちはスーパーウルトラな天性の天才貴公子、
高見沢エリスでやんす!
俺っちも〈八帝・雷帝〉をやらせてもらっているでやんす!」
『情報量多過ぎるだろ、この人…!?』
「俺は安川有城【やすかわあるき】。
君の先輩になる男だ、宜しくな?
あ、俺は〈八帝・岩帝〉として活動している、宜しくな?」
「は、はい…宜しくです…」
「そして、高貴で美しい私が…
エリザベス・パーモライですわ!
この名を心の底に刻み付けなさい、少年!
ちなみに私は〈八帝・光帝〉と名乗ってますわ」
「ぼ…僕は…大沢成子【おおさわなるこ】です…
そ…その…僕は…〈八帝・闇帝〉です…
嫌いにならないでね…」
(坂田、エリザベスと大沢にゲンコツ)
「「~っ!?」」
「お前等な…初対面の相手にする挨拶じゃねぇぞ?
エリザベス、お前は自意識ライジングし過ぎてる、少し協調性を持て。
そして大沢、お前は自意識ロージングし過ぎてる、少し主張性を持て。
良いな?」
「「……はい…」」
あ……あはは…癖が強い人が何人か居たけど…
悪い人ではない事は分かった。
しかし、この人達を呼んで俺は何を話されるのだろうか?
すると、黒川さんは表情を重くして話し始めた。
「君にも…アイツ等の…
本物の『世界掌握』を阻止する任務を任せたい。
良いかな?」
「ほ…『本物の世界掌握』…!?」
そこで俺に知らされたのは、あまりにも規模が大き過ぎる話だった。