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第一章 悲劇と異世界体験とハッキング 第四話

さっきから坂田は何を言っているんだ?

「死ぬよりも辛い地獄」…か。俺の頭じゃ何も計算出来ない。


「さぁ、暗い話はここまでにして…

 俺の仲間と嫁を紹介しよう」


そう言うと坂田はまず坂田の半分程の背丈の金髪狐の女性を紹介した。


「この人は俺の嫁の『坂田鈴【さかたすず】』だ。

 ほら、怖い奴じゃないから自己紹介しな?」

「は…はい…初めまして…坂本さん…」


なんだか自分に自信がない人に見えるな。この人が坂田の嫁…

え……坂田の嫁……!?


「よっ…嫁ぇぇーっ!?」

「あぁ、この人と俺はもう結婚してるんだよ?」

「結婚って…俺等まだ学生だろ、未成年が結婚なんかしちゃいけませぇーん!!」

「いや、バレなきゃセーフでしょ?」

「俺に告白してる時点で俺にはバレてんのぉー!!」

「まぁ、この事は俺とお前だけの秘密なキラーン☆」

「いや、『キラーン☆』じゃねぇよ、お前!?

 これ読んでる学生諸君に悪影響しか及ぼさないから!」

「それを学生の俺達が言ってどうする?」


はぁ…何というか坂田は昔から少しぶっ飛んでる所があるんだよな…

まぁ、悪い奴じゃないから全然大丈夫なんだけど。

あ、いつも虐められてるから現実逃避でもしたいのかな?


「あとは、後ろに居る六人の銀髪の女の子達…

 コイツ等は俺の頼れる仲間だ。

 一番左のネズミ耳は「坂田あずき」、

 その隣のうさ耳は「坂田えりこ」、

 次に犬耳は「坂田みみ」、

 猫耳は「坂田あいら」、

 狐耳は「坂田まこと」

 そして、最後に狼っ子の「坂田みお」だ」

「何でアタシだけ『子』を付けるんだよ!?」

「だって子供みたいに口が軽いから」

「~っ!!」


俺の方も仲間がだいぶ増えたが、坂田もかなり仲間が増えたみたいだな。

嫁に仲間に部下…正直俺達だけでパーティーが作れそうな雰囲気醸し出してるな?

まぁ、今はそんな事よりも気にするべき事がある。


「それで、坂田は何で皆が教室に…いいや、学校に来ていないのか分かったりするのか?」

「あぁ、そんな事か…」


すると、坂田は真剣な表情になりこう口にした。


「恐らくだが、松崎や岩本をはじめとする…

 10代から30代の学生と社会人は…

 スマホゲームアプリ『ワールド・ハッキング』によって

 精神をゲームの世界に囚われてしまっているんだ」

「え…そのアプリは…!?」


俺はそのゲームアプリの名前に聞き覚えがあった。

そう、俺が気分晴らしにインストールしたあのゲームアプリだ!

仮にその説が正しいとするなら、何故坂田がその説を正しいと言えるのかに

俺は少ない疑問を抱いていた。


「な…何で…坂田はそんな事を知っているんだ…!?

 俺も確かにそのゲームアプリを昨日インストールしたけど…?」

「あぁ、その事をまだ詳しく話していなかったな。

 俺はそのゲームアプリの創設者の一人なんだ。

 というか、俺がそのアプリを作ったんだ」

「な…何だと…!?」


あのゲームアプリは坂田が作っていたのか…

いやいや、それも大事だが何故大規模なテロ染みた行為に及んだのか?

その事を聞くのが一番大事だ!


「坂田…何でこの世界に住む若い奴の心を囚わせる…

 これはテロリズムだぞ、自分が何をしでかしたか分かってんのか?」

「あぁ、如何なる理由があれど俺がしでかした事は立派な犯罪だ。

 でもな、今のお前には言えない理由があるんだ。

 アイツ等の魔の手から逃れるには、こうするしかなかったんだ…」

「言えない理由…か…」


どうやら、この一連の事件には大きな裏がありそうだな。

さて、俺は坂田を悪人として見る気はない。だって、アイツの目は濁ってない。

俺が知らない方面での正義の炎に包まれている。

そこで、俺は坂田に一つ質問を投げる。


「それで坂田?

 お前以外にそのソフトを作った仲間は居るのか?」

「あぁ、俺以外に構成員が7人。

 ゲームマスターが1人居るぞ?」

「そうなのか…会えたりしないのか?」

「それは厳しいな、基本俺等がそのソフトを作った事は

 他言無用だからな」

「他言無用なのに俺に喋って良かったの!?」

「あぁ、お前は信頼出来るから話したんだ。

 また更に詳しい話は、時期が来たら話すよ」

「そうか…分かった…」


なるほど、今起きている事は大体理解出来た。

もしかしたら、ゲームに世界をハッキングされそうになっている。

そう言う事なのかな?


「さぁ、先生達もほぼ全員居ないし、

 学校は無法化したけど、どうする?」

「どうするって言われてもな…

 スマホ弄る訳にもいかないし…」


俺達がそう考えている時だった。

外からけたたましい音が聞こえて来た。


「な…この音はあの時も…!?」

「アイツが放送するんだよ、『一時的な悪役』としてな?」


俺は窓から身を乗り出し、空を見上げる!

すると、見上げてみれば空が真っ赤に染まっている!

しかも、白い文字が出てきたり消えたりしている!


「こ…これは…!?」

「あぁ、製品版を作ったって言う報告をしているんだよ。

 あ、気にするな、ゲームマスターは全然悪い奴じゃないから」

「そ…そうなのか…?」


俺が坂田とそんな会話を重ねていると、真っ赤に染まった空に一つのモニターが現れる。

そのモニターから一人の男が現れる!


『皆さんこんにちは、私の名前は黒川広大【くろかわこうだい】。

 この世界をハッキングした男です。

 「何を言っているのか分からない」…ですよね?

 だって、貴方の息子さんや兄弟さんがいきなり意識不明の重体に成り果てて、

 そこに私が意味不明な事を叫んでいれば…

 それは、誰もが困惑するはずですよね?

 でも、私は今こうして、空に異変を起こしている。

 私がその気になれば、この世界を終わらせる事も出来るんですよ?

 あぁ、安心して下さい…昏睡状態になった皆さんが死ぬ事はありません。

 ですが、短くても3ヶ月は眠り続けるでしょう?

 そして、今回の選別に選ばれなかった皆さん…

 貴方達には「村人」のジョブを与えましょう。

 さぁ、今からが…私の新世界の始まりです!』


そう言い終えると、ゲームマスターの男が映っているモニターは消え、

空も元の色に戻った。


「な…なぁ?短くても3ヶ月は眠り続ける…って、どういう意味だ…!?」

「あぁ、今回の選別で選ばれた被験者は『ある試練』を受けて、

 合格するまでこっちに意識が帰って来る事はない…そう言う事だ」

「あ…『ある試練』…?

 異世界転生系の『チュートリアルクエスト』的なアレか?」

「あぁ、今回の選別で意識をゲームの中に飛ばされた奴等は全員冒険者として扱われる。

 つまりは、『最初の試練』が課されるはずだ

 こっちで戦う為に最低限必要な力を蓄える為にな?」

「こっちで…って?

 まさか、こっちの世界にも異変が起きるのか!?」

「あぁ、これから先この星には数多の生き物が棲まう…

 要するにこの星は『異世界化』する事になるんだよ」

「い…『異世界化』…!?

 つまり、今までの安全な生活とはおさらばするって事…!?」


俺は完全に嫌な予感がした。

これから先は、モンスターの襲撃に怯えながら生きて行かなきゃいけないのか!?


「いいや、ゲーム用語で言うと

 『セーフティーゾーン』と『バトルエリア』に分かれる星になるんだ」

「なんだ…俺等の町が無法地帯化するかと思ったよ…

 つまり、『ダンジョン』的なエリアが形成されるという事だな?」

「あぁ、そう言う事だ。

 俺等はこれから先、一応はゲームマスターを倒す事を目的としていかなきゃいけないけど…坂本…」


すると、坂田は俺の手を握って顔を擦り付けて来た。


「なっ…なにしてんだ!?」

「御奉仕…これから、残酷なお願いをするから…」

「今のお前のスタイルと相まって複雑な気分になるから、早く止めてくれ(焦)!」

「分かった…じゃあ、今から残酷なお願いをするけど…良いか?」


すると、坂田は衝撃的なお願いをして来た。


「お前は俺と、皆を騙しながらこの世界を生きて欲しいんだ。

 良いかな?」

「え……!?」


皆を騙して生きる…!?

何を言っているんだ、言葉の量に反比例して情報量が多過ぎるぞ!?


「さ…坂田?急に何を言っているんだ?」

「うぅ~む…やはりどう表現すれば良いか分からん…」

「だったら、私が直接説明した方が良いかな?」

「だっ…誰だ!?」


俺と坂田が居た教室の端に、謎の男が現れたのだ。

そいつは全身を黒いローブで覆い隠していて、腰には二本の真刀を携えている。

俺は不審者と察知し、すぐに無力化させようと動いた!


「ま…待て、坂本!」


俺は奴の両脚に脚薙ぎを入れる!

しかし…

奴は俺の完璧な動きに完全に対応していたのだ!


「なかなか良い動きをするじゃないか?

 流石は坂田が認めた力を秘めている男だな?」

「脚での攻撃を…片手で受け止めただと!?

 何者だ、アンタ?」

「私の身元を知りたいか…てか、この攻撃を止めてくれたら

 すぐにでも自己紹介するけど?」

「止める訳がないだろ、いきなり教室に入り込みやがって…!」

「待て、坂本!

 そいつは…!」


俺は押さえられている右脚に炎の力を宿し、奴の拘束から逃れた!


「あっつぅー!?

初対面の人間に火炙りはいけないんじゃないのかい!?」

「初対面でも不審者に変わりは…!?」


(坂田、坂本の頭を殴る)


「いい加減にしろ、勘違いにも程があるぞ!」

「いたたたぁ~!?」

「坂田…私はこの子が倒れるまで遊んでやる気で居たんだけど?」

「馬鹿野郎、お前と坂本が暴れればこの教室が滅茶苦茶になるぞ?

 坂本はまだ良いとしても、お前は神同等レベルの力を持っているからな?

 力の使い方には気を付ける様に!」


俺は坂田に思い切り叩き込まれた拳に悶絶していた。

その状態の俺に坂田は何事もなかったように目の前に現れた男の説明を始める。


「コイツがさっき空のモニターで話していたゲームマスターの黒川広大だ。

 いつもは正体がバレない様にこうしてローブを被って生活しているんだ」

「それを着てたら余計にバレ易くなるんじゃないか!?

 てか、コイツがゲームマスター!?」

「あぁ、如何にも私がこの世界をハッキングした張本人と言う設定で

 生きているゲームマスターだよ?」

「だとしても、せめて顔くらいは見せてくださいよ?」

「あぁ、君にも秘密を共有しなきゃいけないから…

顔くらいは見せなきゃ誠意が感じられないよね?」


そう言い終えると、ゲームマスターを名乗る男は

顔を覆うローブを外し、顔を見せて来た。

その顔は…銀色の瞳、水色の髪、坂田よりも大きい背丈…

そして、彼が放つ声からは、安心感が伝わって来る。


「それで、本当に坂本に全てを話すのか?」

「あぁ、彼もまた私達の大きな力と成り得る存在だ。

 同胞に秘密を共有するのは至極当然の事だろう?」


「秘密」…?さっき坂田が話す事を躊躇っていた事か?

そう俺が思っていると、黒川が指を鳴らす。

すると、俺の教室の中に7人の謎の人達が集まって来た。


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