第十章 暴走族〈江熊〉 第四話
俺は…どうするべきなんだ?
倒すべき敵だが、あんな話を聞けば敵視する事も出来ない。
最高神は表向きは善良な神様を見せているが、
裏の顔もきちんと理解した上でこの作戦に参加するべきだったかもしれない。
だが、一つ問題がある。
「松本を…松本菊斗の家族を狙ったのは何故だ?」
「…さっき、少し説明したけど…
今の僕は少しリユース君に体を支配されているんだにゃ。
それに、菊斗君はリユース君と瓜二つなくらいそっくりだったし、その影響でリユース君の意思が僕の体に強く反応して…気が付いたら…菊斗君をドラゴンハーフの少年に作り替えてしまっていたにゃん…」
「なるほど…これは、坂田が思っていたより複雑な構図になって来たな…困ったな…」
「その話は本当か?」
頭を悩み抱える俺とルールが話している所に
意外な人物が現れる。
「さ…坂田?」
「坂田篤武…最高神の力を賜った伝説クラスの男…
君が僕に何の用だにゃ?」
ルールが坂田にそう問うと、坂田はこう答える。
「最高神様に血が繋がっていない弟を殺され、
その弟の体から離れた意思がお前を操り、苦しめている事。
そして、お前が作ってきた偽りの弟達は…全員虐待を受けていて、お前はその子達を助ける為に姉になってあげた。
だが、その者達もまた、最高神様に殺された…
お前が坂本に話したこの話は…本当なのか?」
「お前…いつから僕の話を盗み聞きしてたにゃ?」
「お前が坂本の目的を見抜いた瞬間からずっと聞いてたよ?」
「潜入才能は坂田の方が上だった様だな…俺が潜入する必要あった(泣)?」
坂田がそう言葉を返すと、ルールは目の色を変えて坂田に質問に答える。
「そうだにゃ。
僕は最高神に僕の命より大事な存在を沢山奪われたにゃ。
そして、お前の言う通り…僕は血の繋がりのない弟…リユース君に体を若干支配されている状態だにゃ…
恥ずかしい話だよね、お前から見れば偽りの力で覚醒した神様が、
たかが人間の魂一つに体を支配されてるなんて…
笑ってくれて構わないにゃ?」
「笑える訳ないだろ、お前の意思では無いとは言え
松本を不幸のどん底に突き落とした事は許せねぇ。
だがな?」
「…?」
すると、坂田は涙を流しながらルールの頭を撫でてあげた。
「弟の代わりが欲しい、自分の空いた心の穴を塞ぎたいなら
容赦なく剣で切り裂くさ…
でもよ、自分の意思に反して体が動かされて悪役にされてるなら…悲しくて敵視出来ねぇじゃねぇか?
俺が味方だと思い込んでる最高神様も信用出来なくなるじゃねぇか?
それに、少しでも松本に申し訳ない悔恨の念が有る奴を…
俺は敵視しないし、殺す気も毛頭ない」
「坂田…君からも同じ匂いがするにゃ。
ねぇ、松本を呼んできて?
謝る覚悟が出来たから」
「分かった…今呼んでくるから」
そして、坂田は松本をスマホ通話でルールが待つ大部屋に呼び出した。
ルールと松本が正面から対峙した。
坂田と俺はあえて何も手出しはしなかった。
だって、これは二人の問題だ。他人の俺達が介入するべき問題じゃない。
「姉貴…いきなり謝りたいとは…どういう風の吹き回しだ?」
「菊斗君…君から僕は沢山の幸せを奪いすぎたにゃ…
操られていたとはいえ、僕の罪がその理由でなくなるとも思ってないにゃ。
許してもらいたい訳じゃないにゃ、ただ…ずっと君に謝りたかった…それだけだにゃ…」
「……こんなに体を縮込ませてる姉貴の姿は初めて見たよ。
でも、お前の言う通りだよ。
お前の意思では無いとはいえ、俺の最愛の母さんと姉さんを惨殺した事実と罪は永遠に消えねぇ」
「…そうだよね、僕は罪悪人だよ」
「でもな、俺は変わったんだ。
過去に何時までもしがみ付いてても、なにも進歩しない。
俺達人間も、姉貴達神様も、
過去を乗り越えて、今の人生を強く生きるしか道は残されていない。
だから、俺は姉貴の罪を許す。
その代わり、姉貴は俺が死ぬまで…俺の姉になれ、良いな?」
「…うぅっ…ありがとう…菊斗君…」
良し、姉弟のいざこざはこれにて一件落着だ。
だがしかし、俺は肝心要の問題を思い出す。
そう、〈志熊〉と〈江熊〉の抗争問題だ。
姉弟間のいざこざは解決しても、この二つの集団のトラブルは解決出来ていない!
あ〜ぁ、結局スパイ作戦も失敗するし、踏んだり蹴ったりだにゃ〜(泣)
(ルール、坂本に噛み付く)
「僕の喋り方を真似するな!」
「あだだだ!?」
ちゃんと頭の中を見られてましたぁ(恥)!
いやいや、まずは暴走族同士の抗争を何とか解決しないと…だって〈志熊〉は喧嘩上等モード2だったし…
「あぁ、〈志熊〉との抗争ならもう解決したにゃ」
「え?いつの間に…?」
「二日前に試しに大将の僕とNo.2の北条貴也の二人で〈志熊〉を観察しに向かったら、僕たちを見つけるや否や襲いかかって来てさ?」
「そりゃアンタ等あの人達の敵だし、しかも最重要人物だからね?狙われてもしゃーないよ?」
「まぁ、総長と副長以外の皆はコテンパンに片付けたけど…
総長の戦闘スキルは凄かったにゃ…」
「そうだね、ルール様?
副長もかなりの猛者だったけどさ、俺達の敵じゃねぇぞ?」
「いや、あの二人とは結局ドローで終わっちゃったじゃん?決着はまた今度付けようね?」
ルールが話している横に、新たな男が一人現れた。
すると、ルールが簡単にその男を紹介した。
「コイツは僕の組織のNo.2で喧嘩のレベルは神クラスの北条貴也だにゃ、仲良くしてあげるにゃ?
コイツは見た目の割にハムスターが大好きだからにゃ?」
「ルール様…いや、このクソ猫!?
なに人様の恥ポイント晒してくれやがんだ、ゴラ!?」
「別に良いでしょー?坂本達も仲間になる訳だし、秘密の一つくらい共有しても…」
「晒す内容がリスキー過ぎんだよ、もっとマイルドな暴露をしてくれよ、晒し系配信者か!?」
「あはは…なんか、仲が良いんですね…
ハムスター好きなのもギャップ萌えで良いね、ですね?」
「おいこら地雷男の娘、ナチュラルに俺の心の傷を逆撫ですんじゃねぇ、地味に痛いんだよ(泣)」
「あ、俺が男だってよく分かりましたね?」
なんか、また癖が強い人が登場したな?
まぁ、悪い人じゃなさそうだし、別に良いか…
「さて、ルール…〈志熊〉とは和解した事で間違いないんだよな?」
「あぁ、アイツ等がそう言ってくれたにゃ」
「じゃあ、〈志熊〉と〈江熊〉、そして俺達〈八帝〉の三つの集団で緊急会議を開きたい。
ルール、お前を助ける為にな?」
「僕を…助ける?」
そして、坂田は皆にこう宣言した。
「3日後、『対・最高神討伐会議』を開こうと思う!
皆で協力すれば、あの人を倒せる!」
さ、最高神を倒す!?
いきなり過ぎて話に付いていけないんですけどぉ〜!?
そんな俺に坂田はこう要求して来た。
「坂本、お前と松本、そして〈八帝〉の皆で
リユースを探しに行くぞ?」
「探しに行くって言っても、何処を探すんだ?
その子はもうこの世には居ないんだろう?」
すると、坂田は自信満々にこう説明した。
「『死者の国』という世界が存在しててな?
そこで、リユースを探すんだ」
「なるほど…どうやって『死者の国』に行くんだよ?」
「それは…どうしようかな?」
「なにも策を案じてなかったんかい!」
「僕が連れて行ってあげるよ、僕自身の問題だから」
坂田と俺が話している中に
ルールが入ってきた。
「ルールさん、何か方法を持ってるのか?」
「あぁ、僕の『具現化』の力で
その世界の扉と、リユース君を呼び出す魔法を出してあげる
君達は僕の為に動いてくれるんだから、この位は手伝わないといけないよね?」
「それは助かる、〈八帝〉の皆にも知らせておくよ」
ありゃりゃー、こんなにもあっさりと
実質あの世とのルートを確保出来るとは…
まぁ、これで状況が進展するから結果オーライか。
そして、暴走族同士の抗争を結果オーライで終わらせた俺達は
新たな敵、最高神を倒す手筈を整える為
「死者の国」へと赴く事になった。
皆さんこんにちはー、かつらぎです!
お腹が痛くてなかなか執筆が捗りません、助けて(´;ω;`)
今回の話を見て驚いた方も居るかもしれませんが、
まさかの味方だったアイツが敵になるとは。
まぁ、次回の章で詳しく深堀します。
では最後に、
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よろしくお願いします(マジでお願いしますm(_ _)m)
では、また次回お会いしましょう!




