第十章 暴走族〈江熊〉 第二話
さて、話を掻い摘んでしか事の詳細を聞いてないが…
松本が俺達の様に家族を奪われた事実は確認した。
しかも、今回の一件は〈異世界の神の下部〉が深く関与していると聞く。
だとしたら、俺達が出しゃばっても何も文句は言われない。
暴走族同士の抗争に俺達が参戦するのは如何わしいが、そうも言っていられない。
第一に考えるべき事は、今回の宿敵である〈異世界の神の下部〉のルールをどう倒すかを考えるべきだ。
坂田が沢山の増援を呼んでくれるので、数の不利は気にする必要は無いが、
相手は偽りの力とはいえ、神の力を持っているのだ。
ただの喧嘩が強い奴だと甘く見て戦えば痛い目を見るのは火を見るより明らかだ。
坂田は〈八帝〉を含む強力な仲間を10人参戦させると明言した。だが、油断する訳には行かない。
それに、坂田を虐めていた青山と脇園、山口に鴨川も〈江熊〉側の人間だったとは…一番近い関係者の中に危険人物が居たとは…
俺が頭の中でそう考えを巡らせていると、坂田が言葉を続けた。
「まずは〈江熊〉の内情を理解しないと話が始まらない。
松本の言ってた危険人物以外にまだ驚異になりうる奴が居るかもしれないからな?
と、言う訳で坂本と松本には〈江熊〉の構成員として内部にスパイとして潜入してもらいたい、良いな?」
「あー、はいはい、スパイね…」
俺は即答でツッこんだ。
「いきなり過ぎるにも程があるだろ!?
勧誘を受けてる松本はまだしろ、俺がそこに潜入しても即バレして即死刑の未来しか見えないんですけど!?」
「まぁ、ただ生身で潜入しろとは言ってない。
俺なりの策がある、この作戦ならアイツ等には
簡単には見破られない、安心しろ」
坂田が指示した作戦はこうだ。
俺は片目に眼帯を付けて、髪の色を水色に変える。
その状態の俺に、更に「オーラ弱体化」の無属性魔法を付与する。
そして、松本はルールの言いなりに従った振りを演じる。
これが、坂田が考えた潜入作戦だ。
まぁ、悪くない作戦だと思うが、万が一にバレた時の保証を付けて欲しかったな。
ローリスクノンリターンな作戦だが、〈異世界の神の下部〉を倒す為には必要なリスクだ。
前回のハテナのように都合よく現れるとも考えにくい。
なので、作戦実行を受け入れる他選択肢がなかった。
翌日から俺と松本はスパイとして、暴走族〈江熊〉に潜入する事になった。
しかし、何の苦難もなく組織に入れたな。
テキトーに会話しただけで簡単に仲間に入れてくれた。
重要人物が強いだけで組織の潜入自体は簡単に成功する訳なのか?まぁ、そんな事気にしてても意味はない。
だが、今の俺の姿…
完全に地雷系ワンコちゃんじゃん!
声も別人に変えてるから全く俺の要素が完全皆無に成り果てたんですが!?
まぁ、それだけ本人感がないと言う事は潜入作戦に打って付けな人材だと言う事だけどさ?
辛いよぉー!
もし、この姿が漫画化されたら「可愛い地雷系ワンコ男の娘」とか「地雷ワンコちゃん」とか言われてネットの玩具にされる未来しか現状見えないよー!?
「坂本、幹部に挨拶しに行くぞ?」
「あ、あぁ…済まない、少し妄想してた」
その足で幹部の奴等と会う事にした。
幹部の居る部屋はまるでボロっちい部活の倉庫のようだった。そのくらい狭くて埃臭く、息がしにくい空間だった。
俺がボーッとしていると、ある男が俺に話しかける。
「菊斗と莉音…か。
ようこそ、神の力を持つ〈江熊〉に!」
その男の名は勝本優、空手の天才だったっけ?
そして、俺の尻尾を強く引っ張る男が一人声を掛けてくる。
「きゃうぅんっ!?」
「なんだコイツ?
ホンマに男なんか?」
也明日智也、卑怯を極めた男だったっけ?
初対面の俺の尻尾を引っ張り上げるとは非常識な男だ…きゃうん!?
(智也、莉音の尻を叩く)
「きゃいぃぃんっ!?」
「お?
可愛く鳴くじゃねぇか、この犬っころ?」
「やっ…止めて…きゃうん!?」
コイツ…!
天性のドS野郎なのかぁ!?
そして、俺は何故抵抗出来ないんだ?
体に力が入らない、何故だ何故だ!?
「止めるにゃ、也明日…
ソイツは僕等の敵じゃないにゃ。
だから、いじめんじゃねぇよ?」
「おぉっと、済まない済まない…
悪かったな、ワンコロちゃん?」
「い…良いですけど…あたたた…」
也明日の暴行を制止したのは他の誰でもない、
〈異世界の神の下部〉であり〈江熊〉の総長である
ルールなのだった。
皆さんこんばんはー、かつらぎです!
さて、僕にとって憂鬱な夏が始まりますよ(´;ω;`)
学生時代は楽しい季節でしたが、社会人になると
ただ暑いだけの季節になりましたね、あ〜ぁ(´;ω;`)
では、最後に
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お待ちしてます!
では、また次回お会いしましょう!




