第七章 暴走族〈志熊〉第三話
現在時刻夜の12時。
俺は〈江熊〉の皆をダンジョンに連れて行き、そこで皆のレベル上げに付き合っていたのだった。
しかし、まぁ…普通のプレイヤーの人達と違って度胸のレベルが段違いだな、おい?
ピエール先生の怯え方が古く見えてくるよ(失礼)。
「おい、りーおん?
ホントにコイツ等を倒し続ければ俺達は強くなれるんだよな?」
「はい、そうですよ?」
「つー訳だ、お前等!
〈志熊〉をぶっ潰すからには、今の数百倍強くなるぞー!!」
(〈江熊〉の構成員、雄叫びを上げる)
おぉ…スゲェな…流石は暴走族…
やる気と度胸はハイレベルだな。
まぁ、俺は見てるだけで良いし、
何よりこの光景も見慣れた。
それに見てて楽しいんだ。
「りーおん?
今度は負けねぇぞ、タイマンだ!」
「はいはい、今はレベル上げに集中してください」
さてさて、この調子で上手く事が進めば
真の目的解決に一歩前進する!
よぉーし、本気で皆を強くさせるぞ!
〈志熊〉がどんな連中か知らんが、〈異世界の神の下部〉を倒した俺を敵に回した時点でお前等に勝機はない!
うぅーん…今はこの作業監督に集中せねばならないのに、何か引っかかる事が…いいや、何か忘れてる事があるような…
「りーおん?
このドロップ品はどう処理すれば良いんだ?」
「あ、はい!
今確認しますね!」
まぁ、そんな事は後から考えれば良いか!
俺は結局朝の7時まで〈江熊〉のレベル上げに付き合ったのだった。
翌日、俺は家に帰るなり背後から何者かに襲われ、気が付くとベッドに縛り付けられていた。
あ、昨日思い出せなくて忘れてた事って
心のお世話だったのか、はいはい、ようやくモヤモヤが晴れたよ…!
終わったぁぁああああああああ!!!!
今になって考えれば17になったJKをお世話する事に少なくない疑問持ってるけど、
そんな事より、アイツは執着心と嫉妬が常人の域をとっくの昔に超えている!
つまり、俺はどうなるかって?
約束を破る=死刑
終わったぁぁああああああああ!!!!
何されんのかな、身動きが取れない俺の身体に!?
怖いなぁ〜(苦笑)
痛いのは嫌だよぉ〜?
しかし、俺はここでもう1つの疑問を持った。
〈人間界〉の女性は彼女の様にベタベタ甘え切りになる事はない。
こっちの世界、いいや、別世界ごとに異性への執着レベルが異なるのか?
〈妖界〉の女性が皆、こんな感じだとしたら相当めんどくさいぞぉ…?
まるで飼い主に懐きたての仔犬だな(苦笑)。
俺が暫くそんな事を考えていると、怒髪天貫き系の本人が姿を現す!
「莉音?
怒る気はないからさ、どこに行ってたか教えて?」
「あぁー、知人のレベル上げ手伝ってただけだよ?」
「へぇ〜…そうなんだぁ…」
よし、これで怒りは静まった…だがしかし、
「んな軽い口文句で僕の怒りを鎮られる訳ねぇだろ、とりま、一日お前を○う!」
「放送出来ない方向で怒ってらっしゃるぅぅ!?」
俺がそうツッこむと、心は俺の鳩尾に飛び付いてきた!
「ごふぅぅっ!?」
「馬鹿…馬鹿馬鹿馬鹿…」
俺は腹部を襲う痛みに耐えきれず悶絶する!
しかし、彼女はそんな俺に構わず俺に抱き着き離さない!
俺は痛みで泣きそうになるが、声を上げて泣いていたのは心だった。
「うぅっ…寂しかったんだぞ…
僕を放置して…僕より…友達が大事なの…?」
「い、いやぁ〜?
そういう訳じゃNothingだけど?」
「うーそーだぁー、莉音、僕なんかより
友達と遊ぶ方が楽しいんでしょ?
だから昨日みたいに僕を放置して…」
あ、まさかこの対応の仕方…
帰って来るのが遅かった飼い主に怒ってる猫パターンか!
だとしたら、俺はどうしようもないんですけど!?
犬も猫も飼った事ないから皆目検討もつかないし、
この場合、どうするのが正解だ?
そうだ、このまま放置しておけば…!
俺は自分でそう納得して、彼女を放置した。
しかし、事態は快晴には向かわなかった。
(心、莉音の右手に噛み付く)
「あだだだっ!?」
「何で何も答えにゃいの?
僕をもう一回放置する気なのかにゃ?
僕は怒ったのにゃ!」
そう言うと、心は噛み付いたまま頭突きを繰り返す。
だからさ、完全にご主人様に怒りと寂しさをぶつける飼い猫の「そのれ」なのよ。
まぁ、殺意ギンギンに怒ってる訳じゃないから良かった。
だか、このリアクションはリアクションでなかなか面倒臭いな。
近くに猫をあやすアイテムは転がってないし、俺のアイテムボックスにも入ってない。
つまりだ、この状況をいち早く解決する方法はない。
彼女(激おこプンプン丸系メス猫)が機嫌を治すまでこうしてあやし続けるしかないという事だ。
でもなぁ、とりま噛み付くのをやめてくれません?
獣人の噛む力がどのくらいか分からんが、猫と同等の力だとしたら、いずれ俺の右手がお釈迦になるんですけどぉー!?
「あのぉ〜?
とりま甘えるのは良しとして、噛み付くのを止めてもらって良いですか?
地味に痛いんですけど?」
「駄目…!
莉音をもっと味わいたいにゃ」
すんげぇナチュラルにどエロい思考をぶつけて来たぁぁぁ!?
味わいたいって飼い猫の思考の領域をずば抜けてますけど!?
あれ、だとしたらヤバくね☆このままだと右手がホントにお陀仏するんですけど?
ただでさえ現時点で右手の感覚が消えかけてるし…
うぅ〜ん…最悪義手を購入する事も視野に入れるか。
まぁ、ワガママメス猫に構ってやるのも案外苦しい仕事じゃないし、気が済むまで付き合ってやるか。
……あれ?〈志熊〉とはまた別に何か大事な事を忘れてる気がする。
「莉音?
なでなでして♡?」
「はいはい、良い子ですねぇ〜♪」
まぁ、良いか。
どうせ思い出しても大した事ではないし、
それに、彼女(構ってちゃん系メス猫)はある意味癒しだ。
今日は日頃の疲れを存分に癒すぞ〜!
一方その頃、莉音達が通う学校にて…
「坂本君、来ませんね…」
「なぁーにやってんだアイツ?」
「絶対心ちゃんとイチャコラしてるに決まってる!」
『まぁ、あながち間違いではないけどな(※分かってて放置した人)』
「まぁ、良いでしょう…
さて、皆さん!今日も鍛錬重ねマッスルですよ!」
今日も学校で当たり前の日常が過ぎていく、
誰もがそう思っていた。
しかし、
「お?ここが松本が居る学校か?」
「意外にも賑やかな場所じゃねえか?」
坂田の元に数十人の不良集団がやって来たのだ。
「おい、外人先公?
松本菊斗を呼んで来い!」
「な、何なんですかあなた達は!?」
ピエール先生がそう反論する前に不良の少年はピエール先生に拳を叩き込む!
「口答えすんな、公務員風情の癖に!」
「ぐはぁぁっ!?」
「先生!?」
ピエール先生が殴り倒されるのを見て、松本は不良少年の前に仁王立ちする!
「止めろ!
先生はかんけーねぇだろ!」
「お前のクラスの担任やってる時点で関係者だねぇ?
かんけーねぇだろとかぬるい事ぬかすんじゃねぇよ、あぁん?」
「大体、この話は俺以外の皆は関係ない!
〈志熊〉と〈江熊〉の小競り合いに関係ない皆を巻き込むんじゃねぇ!」
「てめぇも調子に乗んなよ?
今から戦争の狼煙上げても良いんだぞ、あぁん?」
どうやら、事態は面倒臭い方向に進む様だ。




