第六章 戻り̪当たり前の日々 第一話
俺とハテナの戦いから数ヶ月後、俺達のクラスは賑わいだっていた。
何故なら…
「皆…無事に戻って来れて良かったな…」
「そうだな、でも、ここからが本当の戦いだ。
気合い入れるぞ、莉音?」
「そうだな…でも、下の名前で呼ばれるのは少し気持ち悪いんですけど?」
「こんなに可愛い娘から下の名前で呼ばれるんだよ、少しは感謝してもらいたいんだけど?」
「自分で『可愛い娘』って言うなぁ!
俺とお前も見た目は可愛いけど、中身は男なんだからな!」
「はいはーい、そうですねぇー」
(莉音、篤武にゲンコツ)
「あだっ!?」
「人が真剣に話してんのに、軽く返すんじゃねぇ…」
「……はい」
そう、話がだいぶ逸れてしまったが、クラスの皆が全員帰って来たのだ。
だから、こうしてクラスの皆がこの教室でワイワイと過ごしているの風景を見るのも
何だか嬉しく感じるし、ここが学校なんだと改めて感じられる。
そこに、かなりレベルアップしたピエール先生も現れる。
「はい、皆さーん?SHRを始めますよ~?」
先生もクラスメイトも、皆、集合した。
これで、当たり前の日常が戻って来る。
…………いいや、皆が戻って来てもゲームにハッキングされた状態から解放されてないから、当たり前の日常とは言えないな、うん。
でも、普通のプレイヤーである皆が俺の様に大きな事件に巻き込まれる心配はないし、
少し安心しても良いだろう。
「さて、これからの皆さんが過ごすこのゲームの世界について、少し話をしましょうか」
まぁ、この世界に来て間もない皆はそれを聞きたいはずだ。
俺は初めてその情報を聞く振りをして、先生の話を聞いた。
「誰から聞いた話なのかは言いませんが、この世界は『ワールド・ハッキング』というスマホゲームアプリにハッキングされ、一部の地域がモンスターの巣窟になっています」
「そ…そんな…俺達、そのモンスターに怯えながら生活しないといけないんですか!?」
「気にする必要はありません、そのモンスター達を討伐する部隊が結成されています!
なので、皆さんは安心して授業を受ける事が出来るんです!」
『それ俺が妄想で語った話だぁ~!?
あの話を真に受けちゃったのね、ピエール先生!?』
「そうですか…なら良かったです…」
その話(架空)を聞いてクラスの皆は安堵の息をついた。
しかし、ここで先生が驚きの提案を持ちかける。
「しかし、もしもこの学校がモンスターに襲われた場合、
皆さんは自分で自分の体を危険から守る必要があります。
なので、先生が編み出したある授業を追加で受けてもらいます!」
追加の授業ねぇ…なんか面倒な事になるのは避けられなさそうだし、適当に受けておくか。
そして、その授業が始まった。
辺りに生徒の悲鳴と爆発物の爆音、金属が激しくぶつかる音が響き渡る!
「いやいやいやいや…安全に生活して良いって話は何処に消えたんだ…?」
そう、その授業内容とは…
題して、「戦闘授業」らしい。
簡単に説明すると、クラスを幾つかのグループに分けて、それぞれのグループで機械型のモンスターを討伐するというものだ。
いや…あのさぁ…俺と坂田は戦闘に慣れてるから何とも言わないけど、
それ以外のクラスメイトの皆は困惑迷走中だよ、一種のテロか何かを連想させる授業形式だよ!?
まぁ、俺と坂田の班は幸いな事に戦闘経験者が二人も居る。
しかし、初っ端から実力を見せるのは少しリスクがあると言いますか…
「莉音、折角だし、俺等の実力見せてやろうじゃねぇか?」
「でも、リスキーな展開になる事間違いなしだぞ?」
「だからだよ?俺等がここで強い力を持っている事を見せつければ
余計ないざこざに巻き込まれなくなる、そうだろ?」
「……それもそうだな、じゃあ…少し本気見せますか!」
「あぁ、華麗な討伐劇を見せてやろうじゃねぇか!」
俺と坂田は各々立ち位置に付く!
そして、スキル「空中歩行」で宙を舞い、双方から剣で攻撃する!
まぁ、属性剣は使わないけど。
剣に魔法を乗せて攻撃する、属性剣と比べると地味だが、これはこれでなかなか乙なものだろう?
俺は剣に水の魔力を、坂田は剣に氷の魔力を込めて機械型のモンスターを粉々に砕いた!
「フゥ…」
「一件落着、だな?」
「何も事件は起きていないけど…
まぁ、良いか」
俺達の華麗な討伐劇にクラスの皆は一瞬唖然としていたが、その直後には大きな声援が送られた。
「スゲェー!!」
「カッコいいぞー!!」
「もしかして、二人は剣道か何かやってたりしてたのか?」
「それは分からんけど、やっぱカッケー!」
しかし、こうして期待の声援を掛けられるのは久々だ。
今まではクラスもモブAに過ぎなかった俺が、今はクラスのヒーロー?になれている。
それだけでも、人生逆転出来ただろう。
だとしても、一つ言わないといけない事がある。
この授業、やる意味あるか?
機械型のモンスターって坂田が知ってる範疇には存在しないって言ってたから戦い慣れる意味は無いし、
大体のモンスター狩りって少人数でやらないから、てか、少人数でやったら全員ゲームオーバーで御臨終になるから!
それに、学生が中心になって大きなクエストに向かう事はないから、ここで実力を重ねても後衛に回されるだけの未来しか見えないよ?
「まぁ、気晴らしになるだけOKか」
「そうだな…しかし、俺等の事を良く思っていない奴も居るな?」
「あぁ、特にお前を虐めてた奴とかな?」
そう、実力を見せるのは良い面と悪い面がある。
良い面は皆に実力を誇示出来る事。
悪い面は余計ないざこざに巻き込まれる可能性が高い事。
しかし、こればっかりは実力を一度見せないとクラスの皆に安心を齎す事が出来ない。
故に、仕方がないがいざこざに巻き込まれる可能性が高い、という訳になる。
さぁて、少し面倒になりそうだけど頑張りますか…
「でも、暫くは平穏な時間が流れるだろうな?」
「まぁ、暴力振るわれても痛くも痒くもないだろうし…」
「マジレスすんなよ、嫌われるぞ?」
「いや、既に数人に嫌われてるから安心して下さい、ボッチ確定ですよ?」
「やかましいわ!
まぁ、これから俺等の生活がどうなるのかは分からんが、
どんな大きな巨悪に人生を壊されようとされても、俺等は負けない!」
「あぁ、これは…俺と皆で力を合わせる…世界を救うミッションだ!」
そして、俺と坂田は決意を新たにする。
〈異世界の神の下部〉でも何でも掛かって来い、俺等はお前等の描く運命通りに生きるつもりもないし、死ぬつもりもない!
どんなに小さい存在であっても負けない、これは、俺達の世界を守る戦いの物語だ!




