第三章 〈八帝・最強〉の過去 第四話
「分からないなら俺が説明しよう。
『剣の妖精』っていうのは、アイテム『剣』とキャラクター『妖精』が
合体して一つのキャラクターになった者の事を言うんだ。
まぁ、簡単に言うと『ミュータント』だ」
「なるほど、大体どういうものかは理解出来た。
でも、何で坂田が二体もそのキャラクターを持っているんだ?」
「あぁ、この前あるクエストをクリアしたら
村の長老がお金の代わりにくれたんだよ。
その内の一体は俺の腰に携えてる剣として使っているんだけど…
俺は『二刀流』のスキルを持っていないから、
剣を二本使役するのは意味がないんだよね?」
「だから一体俺に恵んでくれるという訳か」
「そゆこと、じゃあ、手を差し出して?」
俺は坂田に言われた通り、右手を差し出した。
すると、俺の右手に白い紋章が現れ、新たな剣が出現した。
それとセットで俺の目の前に小さな妖精が現れた。
「………~っ!!
くはぁ~、大体200年は眠ってたかなぁ~?」
「こ…この小さいのが『剣の妖精』なのか?」
「あぁ、この頭が悪そうな寝起き顔してるのが、お前の『剣の妖精』だ」
この小さい奴が俺の『剣の妖精』…
どんどん新しくて楽しいコンテンツが追加されて行くな…
「ん?アンタがアタシの相棒かしら?」
「そ、そうだけど?」
「よろしくねぇ~、アタシは『ソード・ホワイティング』
〈太古の剣の妖精・白〉の異名を持つレアリティ高めの妖精様だぞ☆
よろしくねぇ~、犬耳の男の娘さん」
「一目見ただけで俺が男だと判断出来たな、この妖精」
「アタシの〈千里眼〉を甘く見て貰っちゃ困るわよ、
これでも妖精界ではかなり地位と名誉は高いんだからね☆」
「なぁ、坂田もこんな感じの妖精を持っているのか?」
「あぁ、てかこの二人は姉妹みたいなものだろうし、会わせた方が良いよな?」
そう言うと、坂田は右手を空に上げ、妖精を召喚した。
「ん~?何ぃ~、僕の睡眠を阻害しないでよ…」
「悪い、お前の知り合いかもしれない妖精を見つけたから会わせようと思って…」
「はぁ~?僕の知り合いなんてそう簡単に見つかる訳無いじゃないか、
この子が僕の知り合いな訳…」
「あ、アイシングじゃん?久し振りぃ~☆」
「え…お姉ちゃん…?」
「やっぱり知り合いだったか、つか、一緒に貰ったから姉妹なのも仕方がないか」
坂田がそう言う横で、二匹の妖精はワイワイと話をしている。
まぁ、二人の事はまた後で話すとして…
この剣…見た目の装飾の多さに比べて全然重くない…
しかも、一本じゃなくて二本も出て来た。
俺も「二刀流」のスキルを持ってる訳じゃないのに、どうしてだろう?
「あぁ、君に強制的に『二刀流』のスキルを与えたから、
君も『二刀流』を使える様になったよ~?」
「そんな都合の良い理由で俺を強化しないで!?」
「でも、そのスキルを扱えるのは君次第だよ?
アタシをきちんと扱える様になるのが、君の今からの課題だ」
「そ、そうなのね…頑張ります…」
「そう固くならないで良いよ、
スパイシーじゃなくてマイルドに行こうよ、ね?」
そんな訳で、俺は新たな武器を手に入れる事が出来たのでした。
あ、そう言えば思い出した。
俺は岩本と松崎に一つ気になった事を聞いてみた。
「なぁ、二人は自分専用の武器は持ってないのか?」
「あぁ、俺も松崎もクエストをクリアし終えた頃には
配られた武器も全部ダメにしちまったんだ」
「俺等も専用の武器が欲しいよ…」
「うぅ~ん…
今後戦う事を想定すると、専用の武器は必要になるだろうし…
でも、俺も専用の武器鍛冶が知り合いに居る訳でもないし…」
「そう言うと思って、俺の使用人を呼んで来ました!」
「黒羽根さん!?貴方武器を作れるんですか?」
二人の武器の件で俺が悩んでいると、坂田が家の使用人の黒羽根さんを呼んでいた。
「はい、私、意外と色んな仕事が出来るんです!
坂本様の親友の御二人に、とっておきの武器を用意しましたから!」
「す…凄い自信…
二人とも、この人に頼んでも良いか?」
「あぁ、俺は全然構わないぞ?」
「武器が手に入るチャンスがあるなら、俺も構わないぜ☆」
「アタシの話し方の真似するな、クソガキ…」
そんな訳で、二人の武器事情は何とか解決に向かえそうだ。
黒羽根さんが作った二人の専用武器を、岩本が早速使い試していた。
「俺は弓系の武器専門だから、
そうそう専用の職人さんは見つからないと思ってたけど、黒羽根さんは本当に凄い人だよ…
今度、俺と夜の街で一杯どうです?」
(篤武、岩本にゲンコツ)
「ナチュラルに勧誘するな、お前はまだ子供だろう?」
「お前も嫁作ってるから、勧誘くらいはセーフでしょ?」
「黒羽根さんは家の決まりでお付き合いは出来ないんだよ、他の女性を探せ」
「がぁーん!?」
あはは…岩本の勧誘は完全完璧に失敗…しかし、岩本の為に黒羽根さんが作った弓…
矢が無限に生成されるスキル付きだし、見る感じ鉄の材料で作ってあるから頑丈そうだ。
「岩本さん、壊れた時は声を掛けてくださればいつでも新しい弓を作ってあげますからね?」
「ほ、本当♡
ぜひお願いしますぅ♡」
「話し方に好意が籠められてる…」
一方松崎は、メリケンナックルを付けたり外したりしていた。
「松崎さん、付け心地はどうですか?
違和感がありましたらすぐに作り直しますからね?」
「うぅ~ん…少し違うなぁ…」
松崎はそう言うと、アイテムボックスからイラストを描く用のペンを取り出した。
そして、メリケンナックルの全体にペンで絵を描き、色塗りまでやり始めたのだ!
「「アァァァァァァ!!??」」
「これでカッコ良くなったな♪」
すると次の瞬間、それを見た黒羽根さんは鬼が宿った様に怒り狂い、
松崎に襲い掛かろうとした!
しかし、俺が寸での所で押さえ込む。
「殺されてぇのかこの馬鹿餓鬼!てめぇ、オラァ!?
新品の商品をすぐさま壊す輩が居て堪るか、オラァ!!」
「落ち着いてぇー!!落ち着いてくださぁーい!!」
「……何で駄目なんですか?この武器は俺が貰った時点で俺の物。
自由に使って何が悪いんですか?
そのダニの様な小さい脳味噌でもう一度よく考えてみてください」
その言葉を聞いた瞬間、黒羽根さんの怒りが怒髪天を貫いた!
「こぉんのクソガキィィィィ!!もう一度言ってみやがれぇぇ!!
絶対に許さねぇぇ、お前の四肢をズタズタにしてやらぁぁぁぁぁぁ!!」
「落ち着いてぇぇぇー!!!!」
結局、黒羽根さんの怒りを鎮めるのに二時間掛かりました。
その後、俺達はいつも通りレベル上げに勤しんだ。
今日は松崎と岩本も一緒に。だが、先生が初日逃げ回ったのと同様に…
「いぃぃぃやぁぁぁ!!??」
「逃げねぇと死ぬぞぉぉぉ!!」
「あはは…」
二人も逃げるので精一杯だった。
まぁ、こうなるのを見越して二人に「経験値共有」を付与してある。
体力が無くなるまで走り回らせたら、俺と坂田で全員片付ければ良い。
俺は二人が走り切れなくなるまで見守ってあげた。
そして、二人共ランクもレベルもだいぶ上がった。
「よし、今日はここまでにしよう。
二人はもう、満身創痍状態だしね…」
「ぜぇっ…ぜぇっ…」
「し…死ぬかと思ったよ…」
「明日から一定レベルに達するまでは毎日ここでレベル上げをするからね」
「「えぇ~っ!!??」」
「まぁ、頑張ろうや…」
そんな訳で、今日はここで解散となった。
そして、俺と坂田は〈妖界〉にある家へと帰っていた。
「なぁ、あの二人も強くなれるかな?」
「それはアイツ等次第としか言えないな…
塵も積もれば山となる、そう言う様にアイツ等がどれだけ努力をするか…
それに掛かっている…としか言えない」
「そうだな…」
今日もこんな話をして一日が終わる。
そう思っていたが、今日はいつもの様に終わらなかった。
「まただ…また変な死に方してる…」
「腹に大きな穴が開いている…今日もまた一人犠牲者が…」
俺達の帰路の途中で人だかりが出来ていた。
俺と坂田は気になったのでその人だかりに近付いた。
すると、その中央にあったのは…
(腹部に大きな穴が開いた状態で住人が死んでいる)
「何だ…これ…!?」
腹に大きな穴を開けて死んでいる人間の死体だった。
「またかよ…これで3ヶ月連続だぞ…?」
「坂田、この人を知っているのか?」
「いいや、この人の事は知らないけど…
この人と同じ死に方をした人なら何人も見て来ているぞ?」
「『同じ死に方』…?
どういう事だ?」
俺がそう疑問を投げると、坂田はこう答える。
「この事件が明るみになる前から計算すると、
だいたい半年前からこんな不可解な殺され方で死んでいく人が後を絶たないんだよ。
警察も捜査に及んでいるんだけど、半年経った今でも犯人は見つからないまま…」
その事を聞いた俺は一つの可能性を見出す。
「もしや、この世界にも『ワールド・ハッキング』のクエストをクリアして
こっちの世界で好き勝手してる奴が居るとか…!?」
「いいや、その可能性はゼロだ。
この世界では『ゲーム』という概念は存在しない。
故に、『ワールド・ハッキング』が関与している可能性も概念も存在しない」
「そうか…だったら誰がこんな人殺しを…しかも、連続で…」
俺がそう悩んでいると、坂田がこう提案する。
「坂本、この一連の事件…俺等で解決しないか?」
「え、勝手に捜査して良いのかよ!?」
「あぁ、この世界では警察の力は微力だ。
俺等二人が独自で捜査しても何も影響はないぞ?
それに、俺の良心がこう言ってる…
『この一連の事件の解決が、坂本の成長の第一歩だ』とな?」
「その言い方だと、俺の成長確認のついでに
事件を解決する様な軽い気持ちで取り組んでいるとしか思えんな…」
「まぁ、これも皆の平和と安心を守る為の仕事だと思おう!
さぁ、町の平和を守るぞ!」
「お…おう!」
そんな訳で、俺と坂田で〈妖界〉の町で起こる不可解な事件解決に乗り込んだのだった。
一方その頃、同じく〈妖界〉。
「おい、僕の言う通りに殺せと言っただろう?」
「す、すみません…!ですが、民衆の数があまりにも多過ぎたので…」
「民衆が多かった…?気にする必要はない、僕は神だぞ?
神の行動の何が間違いだと言うんだ?」
すると、神を名乗る青年は土下座する部下の頭を踏みつけながらこう叫ぶ。
「〈人間界〉の愚民共は愚民の癖に僕等の目的に対抗して来た…
だが、この平和ボケした〈妖界〉はもうすぐ僕のものになる!
待ってろよ、黒川広大…最高神様…
アンタ等の時代を終わらせてやる!
フッ…フフッ…ハーっハッハッハッハッハ!!」
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