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第三章 〈八帝・最強〉の過去 第三話

なお、鬼ごっこは終わってトラブルは解決したが…

「許さんぞ…俺は貴様を永遠に許す事はない…」


岩本の怒りの衝動はまだ収まっていなかった。


「何でコイツこんなに怒ってんの?」

「岩本は極度の『リア充アンチ』なんだよ。

 坂本を追い回す姿はまさに般若の行進だったよ」

「…おい、坂田…?」


あ、想定していた最悪の事態が起きるな。


「お前の周りでお前とイチャイチャしてる女の子達は誰だ、コラ?」

「え…?俺の嫁と仲間達だけど?」

「ば、馬鹿!事実をそのまま伝えてどうする!

 俺と同じ結末を辿るだけだぞ!?」


俺が岩本の怒りを宥め様とした時にはもう、時既に遅しだった。


「嫁と…仲間…だと…!?

 てんめぇぇぇぇぇぇ等ぁぁぁ(怒)!!

俺等が血と汗流してる間にお前等だけ幸せな時間過ごしやがってぇー!!

許せぇぇぇぇぇん!!絶対に許せぇぇぇぇん!!」


岩本が怒りのままに坂田に襲い掛かった!

しかし、それを守るかの様に坂田の仲間の一人が岩本の攻撃を止めた。


「少しは落ち着け、頭ミジンコが!」

「ぐはっ!?」

「ありがとな、みお」

「別に大したことはしてねぇよ、仲間を守るのがアタシ等の使命だろ?」

「過保護にありがとうな?」


何気に俺の前でこの人が活躍したのは初めてだな。

確か、無人島に居た時に俺等とは別ポイントでスズとリンと心のレベルアップをサポートしてたっけ?

お陰様でスズとリンも通常の獣人からはかけ離れたステータスの持ち主になりましたよ。


「坂本…だって?」

「え、はい」

「敬語で話すな、アタシ等はもう仲間の様な関係だろ?」

「そ…そうだな、みお」

「はぁ…この頭ミジンコ、アタシ等を見た途端

篤武に突撃したが、何か気に食わない事でもあったのか?」

「いや、コイツは『リア充アンチ』なだけなんで…

 友達がいきなり増えたり、恋人が出来ると

嫉妬と憤怒を対象にぶつけるんだ」

「傍迷惑なアンチだな、お前はコイツみたいに怒らないよな?」

「安心しろ、俺は大抵の事は目を瞑るし、

 それに、『家族』と『友達』と言った大切な存在が生まれる事に憤りを感じる事はないからさ?」

「そういえば、篤武から聞いたが…

 お前、母さんを殺されたって…?」

「あぁ、俺の腕の中で息絶えたよ…

 でも、悲しんでても母さんは帰って来ない。

 遺された者が出来るのは、前を向いて一日一日を生き抜く事だ、そうだろう?」

「お前、本当に高校生か?心持ちが大人過ぎるぞ?」

「まぁ、その性格のせいで友達が増えなかったんだけどね…」

「安心、篤武と親友してるお前は…

 アタシ等とも親友だぜ☆」

「嬉しい事言うな、俺と親友になりたい奴なんか

 そうそう見た事もないのに…」

「篤武が虐められてても、放課後に篤武のお悩み相談を受け付けてたんだろ?

 それだけでも、篤武はだいぶ救われてるぞ?」

「そうか、なら、これからの人生の友として…」

「あぁ、よろしくな!」


そういえば、鈴さんの事は大体分かっているが、

坂田の仲間のみお達の事はイマイチよく分かっていない。

この際聞いてみるか!


「あのさ、みお?」

「ん?どうした、早速聞きたい事でも出来たのか?」

「あぁ…そのさ、坂田とはどういう出会いだったんだ?」


俺がそう聞くと、みおは一瞬表情を曇らせたが、

すぐに元に戻って俺にみお達の過去を語ってくれた。


「アタシ達は…獣人として生まれただけで名前を付けてもらう前に捨てられて、

 すぐに奴隷として売られてた身だったんだ」

「奴隷…か。

 スズとリンも奴隷だったから、奴隷がどれだけ辛い身分なのかは充分に分かるぞ?」

「しかも、まだ言葉が喋れない状態のアタシ達に奴隷商人は殴る蹴るの暴力も振るった」


何処の世界線でも奴隷という身分は先の人生が見えなくなるくらい絶望を覚えるものになっているんだな。


「それで、その過酷過ぎる人生を送ってアタシ等が10歳になった時に篤武と出会ったんだ。」

「そうか…その時の坂田はどんな感じだったんだ?」

「アタシ達と齢が変わらないのに、年上みたいに感じたよ」

「そうだよな、坂田は今でも高校生らしからぬ行動と態度だし…良い意味で」

「でも、アタシ達を大金を払って救ってくれたのに…

 アタシは12になるまで篤武を信用しきれなかった。

 まこと達を守る事がアタシの使命だったから、まこと達に優しく接する篤武を

 完全に信用するまで少し時間が掛かったんだ」

「でも、それでも今は仲良くなってるんだろ?

 過去がどうあれど、今が幸せに生きる事が出来ているのなら

それで良いんじゃないのか?」

「でもよ…今でも悪い事をしたと思ってる…

 たった2年だけど、アイツに酷い事をして来ちまった…

 アイツも、二度目の家族としてアタシ達を全員受け入れてくれる気でいたのに…」

「そうか…ん、『二度目』?」

「え?それがどうかしたの…!?」


(篤武、みおにゲンコツ)


「あだっ!?」

「他人に俺の隠したい過去をしれっと話そうとするな。

 まぁ、坂本には近々話す気で居たけどさ?」

「そういえば、お前の過去の話って全然知らなかったな?

 お前が〈妖界〉出身だった事もつい最近知ったし…」

「じゃあ、話そうか。

 親友のお前になら、この事は話しても良いだろうし」


そう言うと、坂田は自身の過去を語り出した。


「俺は今、二度目の人生を生きている。その事を先に話さないと、話が出来ないからな?」

「に…『二度目の人生』?前世の記憶が残っているとかそんな感じか?」

「いいや、俺は、俺の意思で、一度目の人生をリセットしたんだ」

「『人生をリセット』…?

 何があったんだよ、人生をリセットする程、一度目の人生は過酷なものだったのか?」


俺がそう聞くと、坂田はこう答える。


「俺の一度目の人生ははっきり言ってクソだった。

 父親はギャンブル依存症、母親はホスト狂いで借金天国。

 その家に生まれた俺は両親にとって正真正銘の粗大ゴミだった。

 毎日何も抵抗が出来ない俺の体を殴ったり蹴ったり、

食事もロクに与えてもらえず、おむつも換えて貰えなかった。

 そんな過酷な環境で、生まれたばかりの赤ん坊が生きれるはずもない。

 俺は生まれて一年半で餓死寸前にまで追いやられた。

 そんな時に、俺は最高神様と出会った。出会ったと言っても、三途の川の近くでな?」

「そ…その時から最高神様と知り合いになってたのか…」

「ていうか、一度目の人生…過酷過ぎるだろ、よく自我を保てたな…」

「そうだ。俺はそこで最高神様と出会って、二度目の人生を与えられた。

 そう、人生をやり直せる権利を貰えたんだ。

 そして、二度目の人生で〈妖界〉のある家に生まれたんだ」

「それが、今の家…なのか?」

「いいや、俺はその家の生まれじゃない。

 俺は7歳であの家の養子になったんだ」

「え…?じゃあ、坂田が生まれた家の家族は…?」


俺はそう聞くと、坂田は苦虫を嚙み潰したようにこう答えた。


「俺が6歳の時に、両親と二人の妹達は…強盗に嬲り殺しにされたんだ」

「そ…そんな…だから、篤武はあの時にアタシ達を家族として受け入れてくれたのか…」

「ていうか、6歳で家族全員を失ったのか…

 二度目の人生も滅茶苦茶にされたんだな」

「あぁ、坂本も家族を殺されたんだよな?

 だから、お前の気持ちが分かると言うつもりはないが、大切なものを失う怖さだけは

 今になっても克服出来ないんだ」

「そ…それで、その後はどうしたんだ?」

「俺はまだその時は小学生でもない子供だった。お金なんか稼げるはずもない、

 だから、段ボールを体に巻き付けながら一日一日を生き長らえたんだ」

「それって…ホームレスじゃねぇか!?

 大変だったんだな…いいや、俺がお前のその時の気持ちを分かる訳でもないのに

 言葉を掛ける権利なんかないよな…」

「いいや、その言葉を聞けるだけ幸せだよ。

 俺はあまりにも大事なものを失い過ぎた。

だから、俺を頼りにして信じてくれるお前達と今を生きる事が出来て幸せだ」


坂田…俺が思っていたより何倍も強い男だ。

俺も坂田みたいに心も体も強い人になれると良いな…


「まぁ、ホームレス生活もそう長くは続かなかった」

「誰かに拾ってもらったのか?」

「あぁ、その人が…今の俺の親父、坂田源蔵だ」

「確かに、あの人優しそうだもんね?」

「ボロボロの体を見た親父は、何も言わずに俺を家へと迎えてくれた。

 そして、俺を一人の家族と認めてくれたんだ。

 今になれば分かるよ、この生活に辿り着くまでの道は過酷だったけど…

 その過酷な人生体験も全部どうでも良いくらい、

今の俺の人生は100%充実してるし、何より、お前等に出会えた事が

一番の宝で幸せだぜ」


今回の話で坂田の好感度が更に上昇した気がする。

俺がもし坂田の立場に立って居れば、

間違いなく三度目の人生を迎える為に人生をリセットするだろう(出来る訳ねぇだろ)。

そのくらい、坂田が歩んできた人生は茨の道という事。

俺も坂田の様に前を向いて生きて行かなければいけないと、再度感じさせられた。

しかし、俺の友人もかなり増えたな?

肇は坂田と岩本と松崎だけだったのに、

今では総員14人の友人と共に毎日を生きる事が出来ている。

まぁ、岩本の逆鱗を掴み上げてしまったが…


「そういえば、坂本が使ってる剣…だいぶボロボロになってるな?」

「あぁ、ここ数日これしか使ってないからな」

「うぅ~む…そうだ、俺の『剣の妖精』が一体残ってるから

 お前にあげようか?」

「け…『剣の妖精』?何だそれ、好奇心に刺激的な名前をしてる」


俺はステータスとレベルは高いが、このゲームの世界に詳しい方ではない。

寧ろ、初心者と言うべき立場に置かれるだろう。


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