第三章 〈八帝・最強〉の過去 第一話
翌日、俺と坂田はそれぞれの付き人を連れてまた〈人間界〉に戻り、また学校に来ていた。
しかし、今日も誰も来ないな。俺達以外に…
「なぁ、坂田?」
「何だ?」
「その『最初の試練』ってどのくらい難しいんだ?」
「最低でも2週間はそのクエストで時間が費えるだろうな。
そのくらい、難しく作ったからな」
「そのさ、そんなに厳しい環境にしないとこの世界で生きるのは大変になるのか?」
「あぁ、俺等が本当に対峙するべき敵と戦う場合、ある程度の力と覚悟がないと生きていけないからな?」
「そうだな、じゃあ、今日もレベル上げに行くか?」
「あぁ、そうしようぜ?
お前に次の属性剣を二つ伝授しないといけないしな?」
俺達は教室を後にしようとした。しかし、そこに意外な人物が現れる。
「おぉ~!今日は二人も居ますねぇ~?」
「ピっ…ピエール先生!?
昨日は居なかったのに、何故今日は居るんですか!?」
「ん?確かに私は昨日まで眠りに就いていました。
ですが、試練を突破し、何とか学校に来れる様になったんです!」
「そ…そうなんですね…」
あ、紹介を忘れてた。
この人はピエール・エリトリア先生。俺達のクラスの担任だ。
この人は日本に来て日が浅く、日本語も片言だったはずだが、
今日は流調に日本語を話せている。
まさか、ゲームをクリアした事による恩恵か?
「先生…日本語上手くなりましたね?」
「はい、なにやら夢の世界でスキルを会得したら
この様に日本語を流調に喋れる様になったんですよ!」
『まさか、貴重な「奇跡の欠片」を言語スキルに使ったのかよこの人ぉー!?』
「まぁ、私はこの様に夢から覚めて良かったですが、生徒が坂本君と坂田君しか居ないとは…今日は休校ですね」
ま、まぁ…今日も昨日と同様にモンスターを倒しつつ、属性剣を教わる一日になりそうだ。
俺はそう思い、準備をしていると、坂田が意外な一言を放つ。
「先生、良かったら俺達と一緒にレベル上げしませんか?」
「『レベル上げ』…ですか?」
「ちょっ、坂田!リスクが高いから止めとけよ!」
「大丈夫だよ、坂本?」
そう言うと、坂田は先生にこの世界に起きている現状を語り出した。
「先生、単刀直入に言うとこの世界はあるゲームアプリにハッキングされました」
「ゲームにハッキング…詳しく聞かせてください」
「はい、数日前にリリースされた『ワールド・ハッキング』というアプリが
何らかのバグを起こし、その影響で全世界がゲームの世界に変貌し、
一部の地域が危険地帯と化しました。
幸いな事に、俺達が住む国は危険な所が少ないですが、
その地域からモンスターが侵略しに襲来する事も充分にあり得ます。
ですから、俺達は平和な今のうちにレベルを上げて、その襲来から皆の平和を守りたい。
その思いでレベル上げに励んでいるんです。
なので、先生にも協力して欲しいんです。先生も、こんな世界になっても生徒を守れる程の力を持って居れば安心出来るんじゃないですか?」
坂田は先生にもレベル上げに同行しないかと、交渉をしたのだ。
しかし、先生は俺達と違って学生ではない。
もう立派な大人なのだ。
俺の様にホイホイと参加する訳がな…
「良いんですか!?是非私も同行させてください!」
参加するんですねー!?意外過ぎる展開過ぎるよ、脳内で処理しきれていないんですけど!?
「という訳だ、坂本?
先生も一緒に来ても良いよな?」
「俺は良いけど、先生が死ぬリスクもあるけど…?
「そん時は俺が死なない様にスキルを付与するからさ、安心しろ!」
そんな訳で、俺達のレベル上げにピエール先生も同行する事になった。
だがしかし、先生はある事実に気付く。
「坂本君、坂田君…後ろの女性方はどういう関係で?」
「ギクッ!?」
「あぁ、俺のよ…!?」
(坂本、坂田の口を塞ぐ)
「お…俺達の冒険者パーティーメンバーです!」
「ふごごごご…!?」
「そうですか、ならば、行きましょうか?
レベル上げに!」
「ぎゃああああ!?」
「うがぁぁぁ!!」
「何ですか何ですか!?この熊さん、私を殺す気で襲って来るんですけどぉー!?」
「先生、逃げてばかりじゃなくて攻撃をしないと!」
「攻撃はどうやれば発動するんですかぁー!?」
「坂田、スキル『経験値共有』を発動した方が良いんじゃないのか?」
「そうだな、当分は俺達が頑張るとしようか」
という訳で、先生は叫びながらモンスターから逃げています。初心者あるあるですね☆
やはり、戦闘初心者のピエール先生を前衛に置くのは愚策だったか…
「先生ー!俺の後ろに逃げて来てくださーい!」
「はーい!!」
先生が俺の後ろに回って来た所で、俺は氷の剣を振るう!
「『氷の剣・一の技〈アイス・キラー〉』!」
俺が放った剣撃で熊型のモンスター達は凍り、そのままバラバラに砕けた。
「よし、これで先生はランクアップまで成長出来たね?」
「ありがとうございますぅ~坂本君~(泣)!」
「先生は今〈ランク10〉のレベル45…
まぁ、俺等の町で暴れてる暴走族を一人で壊滅出来るレベルだな?」
「え!?私、そんなに強くなったんですか!?」
「えぇ、坂田のスキル『経験値共有』でさっき熊型のモンスターを10体倒したので、
先生も一気にレベルアップです!」
「ほほう…これがゲームになった世界…私のクラスの皆もこっちに戻って来れると良いですね?」
「いいや、アイツ等は少なくとも半月は帰って来れないでしょう」
「そ、そうなんですか!?」
「えぇ、俺達は『先行プレイヤー』としてこのゲームにログインしていたので最初からこっちに居ましたが、先生は天性の天才プレイヤーなんでしょうね?
まさか、二日で『最初の試練』を攻略するなんて!」
「そのクエスト…そんなに難しいものなんですか?」
そうだ。暫くはピエール先生と俺と坂田の三人で行動する事になるだろう。
それだけ「最初の試練」は過酷なクエストだ。
俺がもし、「先行プレイヤー」じゃなかったらそのクエストを二日でクリア出来る自信がない。
松崎と岩本は大丈夫だろうか?心配は尽きないが、俺達はモンスター狩りに精を出した。
先生のレベルがかなり上がった。
「〈ランク35〉のレベル65…かなり上昇しましたね?」
「これで私も、強い男になりましたね!」
「いや、ゲームの力に頼ってるだけですよね?」
そういう俺もかなりステータスが上がった。
ランクは79でレベル96だ。
ちなみに坂田はランク99のレベル99だ。
「良いのか?あと1レベルでランク100になれるのに?」
「ただでさえ強キャラの俺が、更に強くなってどうする?
俺は暫くは先生と坂本の二人を強化する役に回るから。
でも、ランク100にはなりたいかも」
「それで、先程〈属性剣〉が何とか言ってましたが…
どういう力なんですか?」
先生がそう質問したので、坂田が分かり易く説明してくれた。
「〈属性剣〉とは、一つの属性魔法を極めた者が使える
『物理攻撃』と『魔法攻撃』を同時に発動出来る技の名称です」
「つまり、剣で攻撃しながら魔法を打つ複数作業を一つの動作で行える技という事ですね?」
「はい、その通りです。
早速先生にも一つの〈属性剣〉をマスターしてもらいます」
「いきなり過ぎません!?
まぁ、生徒を守れる力を得るには避けられない道ですね」
まぁ、俺は〈属性剣・氷〉を会得して、次は炎と滝を会得しないといけないんですけどね?
「先生はどの属性が一番うまく扱えるか分かりますか?」
「私は確か…雷属性の魔法スキルを沢山持ってますね?」
「でしたら、〈属性剣・雷〉を頑張って習得しましょう!」
「相変わらず無茶言うな、坂田は」
先生は獲得した「奇跡の欠片」を雷属性の全ての技の習得に使用し、早速〈属性剣〉の会得作業に入った。
俺は全ての属性の魔法スキルを取得しているので、
〈属性剣〉の会得は〈氷の剣〉会得時と同様の感覚で剣に魔力を流し込む感覚でやってみれば上手く行く。
坂田がそう言っていたので、俺はまず剣先に炎の魔力を流し込むイメージを移し込んだ!
そして暫くすると、剣が奇妙な音を立てて燃え上がった!
「うおぉっ!?」
「坂本、〈属性剣・炎〉会得完了だな!」
「雷のイメージを…流し込んで…!」
先生の方も進捗があったみたいで、先生が握る剣に綺麗な光が点り、
激しい音を立てて光り出した!
「おぉっ!?これが〈属性剣〉…」
「俺が教えれるのはここまでです。
後は先生の能力次第で幾らでも強くなれますから」
「そうですか…ご教授感謝するよ!」
よし、俺達は着々と力を付けて来ている。
あとは、俺が滝の力を剣に宿せる様になれば、それで今日のノルマは完了だ。
俺は剣先に滝の力を乗せる、すると、〈滝の剣〉は比較的簡単に発動する事が出来た。
しかし、俺はある事に気が付いた。
属性を二つ以上掛け合わせるとどうなるのか?
俺は剣先に炎の力と氷の力を試しに乗せてみた。
すると、俺のイメージ通り炎と氷の力が剣先に乗った。
そして、俺はオリジナルで考えた技を近くにある大木に放ってみた。
「〈焔凍の剣・怨焔吹雪【フレイム・ザ・ブリザード】〉!!」
すると、俺が放った技は目の前の大木だけではなく、その先の木々をもへし折り続けた!
「アレ…少し強く振り切り過ぎたかな?」
「へぇ~、もう複数属性の〈属性剣〉を発動出来る様になるとは…」
「坂田も出来るのか?」
「あぁ、俺は全ての〈属性剣〉をマスターしている。
その気になれば全属性を乗せた〈属性剣〉も発動出来るぞ?」
「スゲェ…流石は〈八帝・最強〉…」
そんな訳で、今日も俺達はレベル上げと〈属性剣〉の習得を無事に終える事が出来たのだった。
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