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第二章 世界を守る者達 第四話

えーっと…周りが妖怪の類の人塗れなんですけど…?

ここは、本当に人間界なんですか?


「坂田…ここは人間界なのか?」

「いいや、ここは〈人間界〉じゃなくて〈妖界〉。

 お前が暮らしている〈人間界〉とは違う次元の世界だ」


よ…〈妖界〉…か。

少し読んだ事があるが、この世界には俺達が暮らす世界とは別次元の世界が複数個存在しているとか言ってたけど…

まさか、本当に存在しているとは…

しかし、それが分かればここは「新世界」!

楽しむ以外に考える事はない!


「坂本、明日の夜に案内をしてやるからさ?

 今日は我慢してくれ、頼む」

「はぁ~い…」


俺は好奇心を抑えながら坂田の家へと向かった。


 坂田の家があるのは街の中心。しかも、三階建ての大きな屋敷だった。


「こ…この〈ビジュアル半端ない系一軒家〉がお前の家…なのか?」

「〈ビジュアル半端ない系一軒家〉ってなんだよ、その呼び方?

 まぁ、ここが俺の家だ。そして、お前の家のもなる場所だ。

 さぁ、入るぞ」


俺は坂田に連れられて家の敷居を跨ぐ。

庭には綺麗な草木が綺麗に並んで生えて咲いている。

そして、屋敷と言うか、これは江戸時代の大名の城と言っても過言じゃないな、こりゃ…

俺みたいな部外者が入って良い場所とは思えない。

しかし、そんな俺とは裏腹にスズとリンは心を躍らせているのか、尻尾が激しく揺れている。

俺が家の前でモジモジしていると、家の中から一人の女性が現れた。


「篤武様、お帰りなさい…そして、その方々が新たな家族様ですね?」

「あぁ、親父にも話してるから通しても良いよな?」

「えぇ、勿論でございます」

「お…おぉ…和風メイド…なのか?」

「いえいえ、私はただの使用人です

 おっと、名を名乗って居ませんでしたね?

 私は黒羽根エリカ【くろばねえりか】と言います。

 坂本莉音様とスズ様とリン様、どうぞよろしくお願いします」


凄い低姿勢だな、この人。

しかし、坂田がこうも大人びているのも理解出来る気がする。

だって、使用人がこんなに礼儀正し過ぎるなら、家族はもっとキチッとしてそうだもん。

ゲームなんて、出来ないよな…


「さぁ、早く主様の元へ…案内致します」


そう言われ、俺は家の中へと入って行った。


 ここが坂田のお父さんの部屋…壁一面に沢山の本棚が並べられている。

そして、仕事机には沢山の書物が並べられている。

The仕事人だな。


「待たせたな、坂本君…」


暫く部屋で待っていると、一人の男が入って来た。


「私がこの家の主、坂田源蔵【さかたげんぞう】だ。

 篤武の親友で、優しく接してくれている事…嬉しく思っているぞ」

「は、はい!」

「そう固くなるな、君も私の家族となる者だ。

 礼儀など必要ないぞ、まぁ、座りなさい」


そう言われ、俺は再度ソファーに座った。

そして、源蔵さんは俺に一つ聞いて来た。


「君には家族が居ないと篤武から聞いたが、育児放棄でもされたのかな?」

「いえ、父は俺が生まれる前に自己で亡くなって…

 母は何者かに切り刻まれ、俺の両腕の中で息絶えました…」

「……そうか。君は可哀想な子供という事か。

 でも、安心しなさい。君はもう独りじゃない。

 これからは、君も私が守ってやろう。

 君も篤武も、私の大事な家族だ」


その言葉からは、失った家族の思いが蘇った様な気がした。

そして、源蔵さんは俺が思いもしない事を言い出した。


「君の許嫁を紹介しよう」

「はい、許嫁ですね…

 ………って、はい!?」

「あぁ、篤武に許嫁を与えた様に、君にも許嫁を与えるんだ」

「そう易々と結婚候補を与えちゃって大丈夫なんですか!?

 モラル的にマズいのでは…?」

「安心しなさい、あくまでも許嫁。

 過ぎに結婚しなさいとは言わないよ?」

「そ、そうですか…」


び…ビックリした…

頭の中で様々な嫌な予感がよぎりまくったが、坂田の様にすぐに結婚する訳ではないから一安心だ…

だって俺、まだまだ思春期真っ盛りの高校一年生だよ?

いきなり結婚とか、俺の息子がオーバーヒートするよ!?

そう内心で焦る俺の元に一人の少女が現れる。


「この子が君の許嫁の犬神心【いぬがみこころ】君だ」

「どうも初めまして坂本さん、よろしく…」

「…あ、はい…どうぞ宜しく…」


どうやらこの人が俺の許嫁らしい。

桃色の神と犬耳とふさふさした尻尾を有している。

あぁ、現実世界…いいや、人間界に居ない理想の見た目と言われる美女だ…

いやぁ…俺に見合うか不安なんですけど!?

つーか、彼女の容姿を見れば見る程…

今の俺の姿とあまりに酷似している件について問い質したいよ!?


「じゃあ、今日から私の養子として、そして心君の許嫁として…

 改めて宜しくだね、莉音君?」

「は、はい!よろしくお願いします」


と、いう訳で俺は坂田家の養子として生きる事になり、住む家を見つける事に成功したのだった。


 ここが俺の部屋…普通に広いし、キッチンはないけどスズとリンが寝転がれるスペースは充分にあるぞ!

だいぶ当たりの部屋を獲得する事が出来たな…

しかし、俺の新生活は少し上手く行かなかった。


「坂本さん…(怒)?」

「あぁ、心さん?どうしたんで…!?」


俺に話し掛けて来た心さんの声に答えると、いきなりベッドに押さえ付けられた。


「あだだだだ!?落ち着いてください、貴方も良い歳した高校生でしょ!?」

「貴方と同い年だよ、そんな事よりも…」


彼女は俺の体を全身で押さえ付けながらスズとリンを指差す。


「あの野良猫達は貴方とどういう関係なの!?」


あ、なるほど。単なる嫉妬か。

良かったぁー、俺と結ばれるのが断固否定する展開になるかと思って少し焦ったよ。


「あぁ、二人は俺の下部だ。

 てか、元・奴隷だよ?

可哀想な事に虐められてたから俺が助けてあげたの!」

「ふぅ~ん、下部ね…」


そう言うと心さんはスズとリンを指差し、こう宣言する。


「良いかしら?貴方達は僕の恋のライバル、

誰が坂本さんを一番最初に惚れさせるか勝負するわ!」


ありゃ~…これは二番目に考えてた面倒臭い展開になったなぁー…

心さん、完全にスズとリンを恋のライバルと認定してるよ…


「いや、御主人様は御主人様のままだから…

 ペットのままで充分だよ?」

「てか、私は莉音の相棒兼ペットだよ?

 恋の展開とか想像してないし、一人で熱くなってて草だね(笑)」

「~ッッ!!」


ありゃ~、完全にあしらわれてるよ二人に。

見た感じ同い年だから心さんがライバル視しても仕方ないだろうけど、

俺とスズとリンは異世界系で言う所のパーティーメンバー。

どう転がっても恋愛対象として見ないはずだ。

あの時にしれっとそう二人は言ってたし。

でも、心さんから見れば二人は自分より前に関わり合っている女。

ライバル視して熱くなるのも充分理解出来る。

…………あれ!?

ていうか、今までの展開のせいで気にしなかったけどさ?

俺と無理矢理許嫁にされて怒って居る所か、

何で恋愛対象の最優先候補に見てるんですか、心さん!?

ラノベで恋物語系をよく読んでたから違和感を覚えなかったけど、

この展開、現実世界ではなかなか起こり得ない事だよ!?

俺の息子がフルスロットルしてっぞ(作者:下ネタ止めろ)!?


「坂本さん…いいや、莉音!」

「はいっ!?」

「今日から僕があの野良猫達に代わって色々とお世話してあげるから…

 有り難く思いなさいよね?」

「あ…あぁ、どうぞ宜しく…」

『意外と好戦的にアピールして来たぁー!?

 思春期真っ盛りの高校生には激しい薬を投入されてピンクな気分でぇーす!』


駄目だ…この数日間で非日常的な出来事に遭遇し過ぎて感覚がバクり散らかしてる…

二人の可愛い下部、一人の美しい許嫁、

頭がピンクになって日常に戻れませぇーん!

いやいや、一旦冷静になろう。

前の俺は大切なものを失って、どん底の人生だったけど、

今の俺は、大事な仲間と家族に囲まれて幸せな人生を歩んでいる…

そう思うと、涙が溢れて堪らなかった。


「莉音!?どうしたの?

 急に泣き出して…」

「御主人様…大丈夫だからね?」

「私達は絶対に貴方から離れないから…」

「うん…ゴメン…ゴメンな…」


母さん。貴方は俺の目の前から居なくなったけど、

もしかして彼女達を呼び寄せてくれたのは、貴方なのかもしれないね?

ありがとう、母さんの分まで強く生き抜いてみせるから!


 その日の夜。夕食を食べ終わり、スズとリンの体を洗ってあげて、

俺は一人で風呂に入るつもりでいた。

しかし、そういう訳にもいかなくなった。


「莉音?もう少しこっちに寄って来てよ?

 背中が洗えないわよ?」

「心さん…俺達…まだ高校生ですよね…

 こんな大人な展開巻き起こして大丈夫なんでしょうか?」


心さんが俺と一緒に風呂に入りたいと言って来たのだ。

無論、俺は断ったが、彼女の気迫に負け、こうして二人で風呂に入っている。

いやいや、思春期真っ盛りの高校生が体験しちゃいけない展開第一位なんですけど!?

大丈夫かな、これこそ岩本に八つ裂きにされる展開しか見えないんですけどぉー!?


「莉音、今は二人きりだよ?

 ベタベタくっ付いても誰も文句は言わないよ?

 だから…」


(心、莉音にベッタリと体をくっ付け、スリスリする)


駄目だぁー!?これは確実に岩本にも松崎にも嬲り殺される未来しか見え~ん!!

それだけじゃない、坂田を除くクラスメイト全員に殺される未来しか見えない件について提唱しても良いかなぁー!?

確かに、時々こんな展開のラノベはあったけど、

いきなりその展開に自分がなるのは少し恥ずかしいぃ~!!

いや、ちょっと待て。

スズとリンにはここまで緊張する事なく体を洗ってあげれた。

じゃあ、何故今はここまで緊張して風呂に入っているのだろうか?

まさか、媚薬でも飲まされたか?

まさか、彼女に好意を抱いているのか、俺は?

まさか、単純に全裸になっているからお互いに意識してるだけなのか?

俺は頭の中で考えを巡れるだけ巡らせた。

しかし、いつまで経ってもこの気持ちが何なのか分からない。

そんな俺に、心さんはこう抱き付きながら言葉を投げ掛けてくれた。


「僕ね…最初は男が嫌いだった。

 いつでもエッチな事考えていて、発情しまくってて、気持ち悪い存在としか考えてなかった。

 でもね、君を見た時…思ったんだ。

 君は僕を本気で幸せにしてくれる人だって…だってそうじゃん?

 今も僕が○○しないか本気で心配してくれているし、

 僕の恋の暴走を適度に抑えてくれる…

 君が男とは考え難いけど、でも…」

「でも…?」


すると、心さんは俺の胸に顔を埋めたままこう言葉を続ける。


「僕も、莉音も…幸せになる権利はある。

 僕は君の事が愛おしくて堪らないんだ…だから、僕は君に出会えて良かった…

 ありがとう、僕を愛人として認めてくれて…」

「い…いえいえ、良いんですよ?

 俺は貴方を守る義務があるんですから…」

『なんかカッコ良い事言ったけど、俺は貴方をエッチな人としか見てませぇーん!』

「『俺は貴方を守る義務がある』…フフフ、カッコ良い事言うじゃん…

 もっと好きになったよ…?」


うん。俺は良いよ。貴方みたいな美人と結ばれるのは。

でも、一つ気掛かりな事があるとしたら…

学生同士で結婚して良いのだろうか!?

よし、覚悟して聞いてみるか!


「あの…俺はまだ学生ですけど…

 学生同士で結婚とかしちゃって大丈夫なんですか…?」


聞いたぁー!?聞いてしまったぁー!?

完全に愛を承諾した様な言い方になってるし、確実に誤解されたぁー!!


「あ、そんな事かい?

 この世界では10歳から結婚して良い決まりになっているんだよ?」

「そ…そうなんですね…?」

『だから坂田があんなに堂々と俺に結婚してる事を言い触らしてたのかぁー!

 〈人間界〉と〈妖界〉では少し決まりにズレが生じているんですねぇー!』


よし、これで一つの疑問は解決出来た。

だが、本当に俺と心さんが結ばれて良いのだろうか?


「だからさ…僕と幸せを育もうよ?

 莉音、僕は君が大好きだからさ?」


こんなに可愛い少女がこんなにお願いして来ているんだ。

男なら、答えは一つしかないだろう。


「うん…俺なんかで良ければ、結婚…する?」

「うん!」


俺がそう答えると、彼女は俺を押し倒して抱き付いて来る。

そうか、これが坂田が味わった「リア充」の気持ちか…!

今までは鬱陶しい存在だと思っていたが、その身になれば悪くないし、寧ろ嬉しいものに変わりはない。


「だったらさ、僕の事も呼び捨てで呼んでよ?

 いつまでも『さん付け』は悲しいにゃー♡」

「可愛いな、本当に…心…」


さぁ、ここからが俺の幸せな人生の始まりだ!

存分に楽しむぞぉ~!


 しかし、俺は何か大切な事を忘れている気がする。

心の頭を撫でながら俺はそんな事を考えていた。


「なぁ、心?」

「なぁ~に?」

「何か思い出せないんだけど、俺、何か大事な事を忘れている気がするんだよな?」

「大事な事…か…僕にも分からないな…」

「スズとリンは二人で遊んであげてるし、坂田とも大事な話はしているけど…」

「それは僕には分かり得ない話だにゃー…」


まぁ、良いか。

その時になれば分かるし、今日はもう時間が時間だし…

考える事は止めて今日は寝るとするか!

俺は心と一緒にベッドで一夜を過ごしたのだった。


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