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私たちはなんてことのない話をして日々を過ごしている。その時間は楽しく、あっという間に過ぎ去っていく。アイリ曰く、それは「相対性理論」という法則が作用しているらしい。熱いストーブに触ると一分が一時間になり、可愛い女の子といると一時間が一分になることと同じだとたとえた。リタが「つまりタイムスリップができるってこと?」と訊くと、「違うかな」とアイリは苦笑していた。私もリタと同じことを思っていたので、「なるほどね」と言葉を濁しておいた。
とにかく、楽しい時間は短くなり、逆に苦しい時間は長くなるという、時間の不平等さを私は感じることになる。楽しい時間はどんなに待っていてほしいと願っても過ぎ去ってしまい、嫌な時間は早く終わってほしいと願ってもなかなか終わらない。
私はなおさら、アイリに「真実」を話すことをためらった。暗い話なんて一秒たりともしたくない。この先の為にならない、一時的な快楽に過ぎないとわかっていても、こうやってみんなで過ごす時間を味わっていたい。楽しい時間だけを過ごしていたい。
だから、いつ「真実」を話し出せば良いのか分からなくなる。初めて会った時からアイリはそのことに興味を持ち、可能であれば今すぐにでも話したい、といった様子だった。
リタの好奇心。
アイリの興味。
二人の気持ちは理解できる。気になることへ答えを求めるのは当然だ。そうやって人は知識を得て、進歩を遂げてきたのだと分かっている。それでも、その根底では私と同じことを思っていてほしかった。
私は自分たちの現状なんて語りたくないし、嫌な時間は過ごしたくない。ただ、こうして楽しい時間だけを過ごしたい。リタとアイリとは、普通の友達で居たいのだ。




