鑑定師への第一歩
どうも毎日更新です!
今回はちょっと短いですが、話の纏まりが良かったのでこんな感じになりました。
では今回はいよいよ鑑定師になる為にマリアが始動します。
詳しくは本編を(∩´。•ω•)⊃ドゾー
第五十六話「鑑定師への第一歩」をどうぞご覧アレ。
マリアが急いで工房に戻るとシェリルが迎えてくれた。
そして、早速ジェレマイア邸で話した事をシェリルに聞かせる。
「そう……フェイクメタルは人間の生き血が材料だったのね……そんな物を錬金術で生み出すなんて許せないわね」
シェリルはそう言うと静かに怒っている様であった。
その後も話をして、マリアは明日から鑑定師になる為に修行に行くと話すとシェリルが心配に話す。
「マリアちゃん……大丈夫なの?カティ様と言えばこの町……いえ、この国でもかなりの大物よ?鑑定師ギルド内でも発言力や影響力はかなりある様だしそんな人に弟子入りなんて……」
「ジェレマイア候爵によればそう言った人に弟子入りして鑑定師にならないと鑑定師になっても無駄なようです。なので俺は明日そのカティ老という方を訪ねたいたと思います」
「マリアちゃん……無理だけはしないでね?」
「大丈夫ですよ!俺に任せてください!きっと鑑定師になってシグニット師匠を助けて見せます!」
そう言うとシェリルはマリアに頼りにしてると伝えてくる。
マリアはそろそろ寝た方がいいのではと言うのだが、シェリルはどうやら不安と恐怖で眠れない様なので、一緒に寝る事を提案する。
シェリルは最初は断っていたが、マリアにシグニットが捕まってしまってて、不安に押しつぶされそうなのでしょと言われて、マリアの提案を受け入れる。
そして、寝室へと行く。
「マリアちゃんと2人で寝るのは初めてね……」
「そうですね……早くシグニット師匠を助けてまた3人で寝たいですね……」
「そうね……マリアちゃん……心配してくれてありがとうね」
「自分の恋人を心配するのは当たり前ですよ。シグニット師匠も必ず助けます」
「シグニットちゃん大丈夫かな?」
「多分ですけどジェレマイア候爵が手を打ってるのではないでしょうか……裁判で罪状が確定するまではジェレマイア侯爵がシグニット師匠を守ってくれている事を信じましょう」
「そうね……」
それっきり会話がなくなる。
しばらくするとシェリルから寝息が聞こえたのでとりあえず眠れたので良かったと思う。
因みにシグニットだがジェレマイア侯爵の指示で動いた信頼できる部下がシグニットの安全を確保しているので、一応マリアの読み通り罪状が確定するまでの身の安全は確保されているのであった。
ただ、マリアが期限以内に鑑定師にならないとその後のシグニットの身の安全は保証できない状態なので、一刻も早くマリアは鑑定師にならなければならない。
マリアは明日から頑張るぞと気合を入れてから眠りに入る。
そして、次の日。
マリアは工房でシェリルと朝食を済ませた後に早速カティ老師の家を訪ねていった。
カティ老師の家は普通の家だったのでここで本当にあってるのかとマリアは思ったが、記された場所は合っていたので扉をノックする。
「はい?えっとどなたでしょうか?」
「あの……この家ってカティ・ウェブスター様の家であってますでしょうか?」
「あぁ……確かにこの家は祖母の家です……それでどういったご用件でしょう?」
「用件は直接カティ様に話しますのであって貰えませんでしょうか?……えっと一応これが紹介状です」
マリアはそう言うとジェレマイア侯爵の手紙を渡す。
ちなみにマリアの対応に出たのは少年で、歳はマリアと同じか少し上位の子供であった。
その子供はマリアの手紙を受け取ると手紙の名前と印を確認する。
「これは……ジェレマイア侯爵の名前と印ですね……ちょっと祖母に渡してきますので、待っててもらってもいいですか?」
「はい、いいですよ」
そう言うとその子供は扉を閉めてカティ老師の元へと手紙を届けに行った。
しばらくするとまた扉が開く。
「お待たせしました。祖母が会うそうですので家に入ってください」
そう言われて家に入る。
すると直ぐに応接間に通される。
そこには70歳前後の女性が居た。
「ふ~ん、その子がニクラスの紹介したいという子供だね……詳しくはその子に聞いてくれと書いてあったがどういうことだい?」
「おばあちゃん!ちょっと先に座ってもらおうよ……。えっと、とりあえずそちらに座ってください」
そう言うとその子供はカティの隣に座る。
マリアは2人の対面に座る。
そして、話を急かされたので話をする。
「ふむ……フェイクメタルねぇ……それにシグニットが捕まったね……」
「?カティ様はシグニット師匠の事を知ってるんですか?」
「直接の面識はないけどね……作品は見たことあるよ……小娘の割には凄い品を作ってたので記憶してるよ」
「シグニット様と言えばこの町一番の魔法鍛冶師として有名な方じゃないですか!なんでそんな人が捕まったんですか?」
「それが……どうやらフェイクメタルという物を使った品だった様で鑑定書付きだったので、それに文句を言ったシグニット師匠の方が悪いという事に……」
「フェイクメタルねぇ……確かにそれが本当の話なら鑑定師も間違った鑑定をした可能性が高いねぇ」
「おばあちゃん?先程から出てくるフェイクメタルとはなんですか?」
「ハンク……フェイクメタルとは偽りの情報を内包させる事のできるコーティング素材の事だよ……その製造法は非人道的だからごく一部の人間しか知らないのさ」
「偽りの情報を内包させる事のできるコーティング素材……それを使われると鑑定は出来ないの?」
「ただ鑑定しただけだと間違った鑑定結果になるねぇ……それはそうと、二クラスにはお前を弟子にして欲しいと書いてあったがお前は天職が鑑定師なのかい?」
「俺の天職は聖女です……でも鑑定師に本気でなるつもりで来ました」
「天職が聖女……というとあんたヴァーテミス修道院の子かい?」
「そうですけど?」
「なるほど……何の因果かしらないけどやっぱり黒い影には白い影かい……とりあえず話は分かったけどあんたを弟子にするかどうかは別だよ」
「……どうすれば弟子として認めて貰えますか?」
「なに、簡単な事さ。私が今から持ってくる品を鑑定してみせな……それが鑑定師にするかどうかのテストだ」
「分かりました……」
マリアがそう言うとカティは席を外す。
カティが居ない間ハンクという少年と2人きりになる。
「えっと……そう言えばお名前を聞いてませんでしたね?僕はハンク。えっと君の名は?」
「俺はマリアだ」
「えっと歳は?」
「今10歳だけどなんだ?」
「いや……随分小さい子が来たなと思ってね……僕は一応今12歳なんだけど……天職は鑑定師でおばあちゃんの元で修行中の身だよ」
「ハンクさん?は天職が鑑定師なんですね……俺は聖女ですけど……これでも一応魔法鍛冶や錬金術もやる」
「ふ~ん……でもおばあちゃんは厳しいから弟子にしてもらえるかは分からないよ?……というより弟子は基本取らない人だから……」
そんな話をしているとカティが戻って来る。
そして、カティは一振の剣をテーブルに置く。
「さて、この剣を鑑定してみてもらおうかね……」
「あの……申し訳ないのですが鑑定の仕方が分からないのですけど……一度鑑定をしてみてもらえますか?」
マリアがそう言うとカティは笑い出す。
「鑑定の仕方が分からないかい……あっはっは。それでよくも私に弟子入りしに来たね……しょうがないね……ハンク……この剣を鑑定してみな」
「僕が鑑定するの?」
「しょうがないだろ?その嬢ちゃんは鑑定の仕方が分からないってんだから」
「おばあちゃん……その嬢ちゃんじゃなくてマリアね……」
「そうかい……その嬢ちゃんはマリアって言うのかい……まぁ、いい。早く鑑定をしな」
カティに言われてハンクは鑑定をする。
マリアはすかさず魔眼でハンクがしている事を見る。
そして、鑑定が終わる。
「鑑定終わったよ。それで鑑定したはいいけど……これで鑑定のやり方が分かるの?普通は鑑定師の職なら鑑定くらいならやり方は教えられなくても分かる筈なんだけど……」
「嬢ちゃん……マリアが鑑定のやり方を教えろって言ったんだからしょうがないだろ?これで鑑定できなければそこで話は終了さ」
「大丈夫ですよ……鑑定のやり方は分かりました……早速鑑定してみます……」
マリアはそう言うと剣の鑑定を始める。
ハンクが鑑定した時の魔力の流れ、そして、どの様にして鑑定結果を取得していたのかはマリアの魔眼で既に見抜いている。
マリアはハンクのやり方をそのまま真似て鑑定をする。
すると剣の情報が分かる。
「鑑定出来ました……」
「そうかい……それじゃあまずはハンクから鑑定結果を教えて貰えるかい?」
「僕の鑑定結果を?僕が鑑定結果を言ったらそのまんまマリアが同じ結果を口にするかもしれないよ?」
「いいから鑑定結果をいいな」
ハンクは渋々といった感じで鑑定結果を言う。
「とりあえず、素材はアダマンタイトで凄い上級魔法武器の様だね……魔力は50万越えでかなりの性能の剣の様だ……」
「ふむ……それじゃあマリアはどうだい?」
「そうですね……初めて鑑定したのですが、素材や魔力の内包量まで分かるんですね……しかも数値化もされてる……」
「そんなのは当たり前なんだよ。鑑定結果を言いな!」
「俺も鑑定結果はハンクさんと同じです。素材はアダマンタイト……魔力の内包量は53万1223ですね……上級魔法武器かどうかは分かりませんが……」
「あぁ、武器のランクは魔力の内包量で決まってるんだよ。これは鑑定スキルじゃなくて、基準だから勉強しないと分からないよ」
「そうなんですね……」
「マリア?鑑定結果は今ので有ってるかい?」
「おばあちゃん?マリアは間違ってないよ……僕の真似をしない様に魔力の内包量をあえて50万超と言ったのに、マリアは53万1223と答えたからね……多分本当に鑑定できてるんだと思うよ」
「そんな事はいいんだよ……マリア?本当に鑑定結果は今言った通りなんだね?」
「鑑定結果はそうですね……ただ一言付け加えるなら……この鑑定結果は間違いではという事です」
マリアがそう言うとカティはにやっと笑う。
その反対にハンクは文句を言ってくる。
「マリア?僕も鑑定したけど同じだった。素材はアダマンタイだし、魔力の内包量は53万1223だったよ?」
「確かに俺の鑑定結果も同じだった……だけど俺の目は理の核を見抜く……この武器はアダマンタイトではない……ただの鉄だ……まぁ、鑑定した訳じゃないけどな」
マリアがそう答えるとカティは遂に大笑いするのであった。
「あっはっは、マリア!お前は面白い子だね。確かにこれはアダマンタイじゃない鉄屑の武器さ。この武器がお前の言っていたフェイクメタルでコーティングされた武器なんだよ」
「やっぱり……鑑定する前から昨日の武器と同じ感じがしてたんだよな……これがフェイクメタルの能力か……普通に鑑定するとこんなゴミでもアダマンタイトの上級魔法武器に早変わりという訳か……」
「えっと、どういう事?」
「ハンクはまだまだ未熟さね……これはマリアを試したんだよ……まぁ、ハンクの事も試したんだけど、マリアの方が一枚上手だね」
「むっ……でもこれって鑑定したけど今の数値で合ってる筈なんだけど?」
「ハンク……フェイクメタルって言うのは鑑定師の鑑定スキルをも偽の情報ですり抜けるんだよ。これがこのフェイクメタルの厄介なとこさね」
「これの本当の性能を鑑定するにはどうしたらいいんですか?」
「それは簡単な事さ……表面上の鑑定では無く、本来の姿を鑑定すればいいんだよ……まぁ、言うが容易いが行うのは難しいね」
「……これを見抜けないとシグニット師匠を助けられないんです……鑑定の仕方を教えて貰えますか?」
「まずはちゃんと鑑定師としてのスキルを身に付ける事だね……最終試験を突破して見事免許皆伝になれば自ずと鑑定できる様になるよ」
「分かりました……ではこれから弟子としてよろしくお願いします……」
「私はまだ弟子にするとは言ってないんだけどね……」
「最終試験を突破したらと言いましたので、弟子にする気があるのかと思ったのですが?」
「おっと……つい口が滑っちまったね……まぁ、いいさ。面白い素材を見つけた様だからね……ニクラスもたまには面白い物を寄越すじゃないか……」
こうして、マリアの正式な弟子入りが決定するのであった。
マリアはこの日から鑑定師のイロハを学ぶのであった。
はい、ここまで読んでくれた方有難うです。
今回はちょっぴり少なめなのですがどうでしたでしょうか?
マリアは早速鑑定スキルを魔眼で盗み取り自らの物としました。
しかし、カティの持ってきた武器はフェイクメタルの使われた武器。
ただの鉄の剣がアダマンタイトの上級魔法武器に見えるという罠でしたw
カティの孫であるハンクはその事に気付きませんでしたが、マリアは鑑定では無く自分の魔眼で偽の情報と看破。
カティに気に入られて無事に弟子になれました。
次回、マリアの鑑定師としての修行開始です!
感想&ブックマーク是非是非よろしくです。
因みに評価した人が増えた模様……評価が若干変化して怖かった(;゛゜'ω゜')
さて、これからも作者と本作品をよろしくお願いします。