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そして世界が終わるまで  作者: rintz
冒頭
1/77

-Prolog-サヨナラ


『ごめんね、しゅうくん』


 彼女は本当に申し訳なさそうな顔で、そう謝った。ここには僕たち二人以外には誰も居ない。世界を真っ赤に染めるほどの赤い紅い夕日は、あと数刻の後に夜の帷へと消える。そしてそれが、彼女の限界タイムリミットだった。


『勝手に居なくなっちゃう私を、許して欲しいな』


『……認めない! こんなの僕は、絶対に認めないからな……ッ!!』


 そう言わずにはいられなかった。この決断がどうしようもなく最善で、今ある選択肢の中で最良の一手だったとしても、それを認める訳にはいかない。

 

 震える手足にぐっと力を込めて、僕は彼女に近づいて行く。距離にして約五メートル。だけど、そこから先にはどうしても進めなかった。


『本当にありがとう。私の為にここまで来てくれて。ふふっ、何だか嬉しいなぁ……』


 その笑顔と言葉と同時に、彼女から光が溢れ始める。

 

 淡い桃色。

 

 彼女の髪の色と同じ魔力いのちの色が、ゆっくりと確実にこの世界に溶けていく。


『くっそぉおおおおおお!!!!』


 普段使わないような言葉で僕は叫んでいた。

 

 あれを止めなければ……! 止めなければ……ッ!

 

 指先一つでいい。この身体が彼女に触れることが出来れば……!

 

 根拠も裏付けも無い。だけど、そうすればきっとなんとかなる。そんな確信があった。


 届け……届け……届け……ッ!!!!


『ーーばいばい、終くん』



ーープツンッーー


 

 そして世界は、暗転ブラックアウトした。

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