表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界世紀末で殺人稼業  作者: てぃーぽっと
1/1

NO KILLING NO LIVING

目を閉じる前に最後に見た空は、灰色なのか漆黒なのか判別のつかない暗色だった。


もう俺には、何も手につかない。そう気づいてふらふらと電気のつかないアパートを出て数十分、足がもつれた俺は池袋の路地に向けて倒れ込んでいた。


金も、やる気もなくして、数少ない友人を求めて這い出てきた繁華街でついに歩く力すらなくした。居酒屋でアルバイトをしている友人の元にたどり着きさえすれば、まかないくらいにはありつけるかもしれないと考えていたが、甘くうますぎる考えだったようだ。


……意外と考える余裕はあるものなんだな。


走馬灯、と呼ばれるものが何なのか、これまではわからなかった。しかし俺にとってのそれが瞼の裏になだれ込んできて理解した。


俺にとってのそれは、文字だ。

それに次いで、映像が構築される。


京都の路地を徘徊する様、幼妻が強姦に遭う光景、自分の経験ではないのに、何度も繰り返し経験した人生が目の前に再現される。


それだけだった。

自分で拵えた映像は、ない。


……俺は何も残すことができなかったんだな。


意識が遠のく中、俺の魂と肉体がどのような顛末をたどるのか考えた。魂の行き場なんてものは、想像してもわからない。しかし、俺の肉体は散々な終わりを迎えるだろう。やくざ者に乱暴されるか、カラスに啄ばまれるか、事件性を疑われ解剖されるか。都会の片隅で死ぬとろくなことがなさそうだ。


それに比べて、魂の処遇はまだましなものであろう。そう思うことで、冥土の土産に創作のネタができたような気がして、今際の際まで性分は変わらないのだなと思われて微笑したのか、できていないのか、そしてとうとう思考が止んだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ