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黒男(ミフ)と死神(マルン)の自己紹介&グーパン

主人公とメインヒロインとの掛け合いは、書いていて楽しいです。

「イストール地方バルジャック王国?聞いたことないな。そんなところ。」

 黒男。本名ミフ・ハヤシムラは答えた。

「東アジアニホン国?聞いたことありませんね。」

 元死神の少女。元バルジャック王国第一王女本名マルン=メイナン=バルクは答えた。

 二人はあの大笑いの後、次第に距離が近くなっていき、座って、今はマルンの言うこの“冥界”という世界に来るまで、自分がどんな世界にいたのかという話で盛り上がっていた。

「……と、いかれた独裁者の巨大浮遊要塞に向けて俺は飛行機ごと突っ込んで爆発に巻き込まれた筈なのに、ここに倒れていたんだ。」

 ミフの話すターンが終わった。実際外見から頭の中空のように感じるのに中身はかなり重かった。

 マルンもしっかり理解しているようで、言葉を出すのに少し時間を置いていた。



「その、左手の薬指にはめている指輪きれいね。」

 ふと、視線をずらした先に見えてきたのはそれだった。しっかりと男らしく肉がついているが、きれいに手入れされている手に光る銀白一点の輝きはまぶしい。

「これは、あれだ。一生を共に生きていくと誓った相手。結婚相手とお揃いの結婚指輪だね。左手の薬指に着けるのは一番心臓に近いところとか何かだった筈。」

 ここに来る直前に相手に渡した真新しいプラチナのリングを見ながら言った。

「そっちの世界にはこういう儀式とか装飾品とかあるの?」

 何気なく聞いた。

「あるよ。」

 普通に答える。そう言うと、左腕に巻かれている包帯を解きはじめた。

「私達の世界はね。心臓とか血管とかじゃなくて手を繋いで体温を感じ合うといった同士の繋がりが大きいかな。」

「ふーん。良いじゃん」

「だから手が重要で手の甲にそれぞれ同じ模様の刺繍の入った指が露出している手袋をはめるんだよ。昔は手の甲に入れ墨だったのかな?」

「ふーん」

 ミフは軽く相槌をうつ。


 黒い布を全てほどいた後、手の甲側にある刺繍が露になった。黒い丈夫に作られた皮の手袋にはしっかりと紋章のような形を黒い糸で刺繍が……。

「見えずれぇ」

 素直なミフの感想が漏れたのと同時に顔面にぐーパンチが炸裂。これだから女心は分からないとミフはつくづく思う。



「黒い竜“ベリュアン”が丸い私達の世界“ホイシャルワールド”を翼の中に抱えて丸まっている。そんなことが描かれているらしい。」

 模様を摩りながら、鼻を痛そうに抑えているバカとのトゥーショットが完成している。男の方は少し痛々しいが、お構いなく話は続いた。

「それを持っている神と結婚させられるために、私と妹はこの世界へ堕とされた。」

 だんだんと熱が入ってくる言葉に体が固まる。話は続いた。

「この服も囚人服といった意味があるし、世界を守るために手頃な生け贄感覚で人を殺すとかいかれた奴らとか一生恨んでやる。」

 マルンの険しい顔を作った。それは憎み、怒り、隠れた寂しさで構成されているのは明らかだった。

 一年間、訳の分からないままこの世界に放り出され、溜めていたものが爆発している。

 その様子を見て、少女の顔を一目見た後、ミフはすくっと立ち上がった。

「死神はそうやって出来上がるのか。」

「この世界に入り込んだ女性は自分のいた世界が恋しくて、寂しくなり、落ちぶれていったなれの果てが死神です。これでよろしいか。先生!!良いです。」

 一人でうわごとを言い始めた。その突然の大きな声に少女の叫びはかき消された。

 強く言いすぎた。

 おそるおそるミフの方へ見返してみると、身体中に大きな黒いオーラが回り始めている。

「ミフ。それは何なの?」

 そのような中で、やっとミフはこっちを向いた。目が合う。

「…………?」

 何か違和感を覚えたのはそこまで時間は経っていない。

今さっきからの雰囲気は全く消え失せ、今にも襲いかかってくる。それで、その姿を見て自分の体は凍り付いた。

無言のまま、ミフは背中に掛かっている刀に手を伸ばした。まだ真っ直ぐこっちを見ている。

「止めて。何をしているの?」


 

「お前もですよ。死神(ホップン)のマルン。」

 背中から一年間聞いてきた声が聞こえてきた。

 すぐにミフは反応した。

 忌みしい神の声。

「伏せろ!!マルン」

 ミフは、怯えている私を飛び越えて後ろにいるあいつに向かった。



 バンッという、私が振り向いたと同時に空間に轟く爆発音がした。

 目の前にはその爆発が起きた攻撃を両腕使って受け止めているミフと空中から自分の振り下ろした鎌とそれをしっかりと受け止めた男を見下ろした奴がいた。

 ホイシャルワールド(マルンのいた世界)全域で見られる白い礼服を着て、後ろには白いマントが垂れている。

全身が白を基調とした服装で白髪、背が高めの男は自分ぼ身長を超える程の巨大鎌を持ち、上から下々を見下しているようだった。


「おらぁーーー!」

 叫びながら、ミフは鎌ごとその白い男を弾き飛ばす。白男は数メートル飛んだ空中で静止した。

「あらあら。死神(ホップン)の帰りが遅いと思ったらこんな異物といましたか。それに仮面との反応量……」

「おいおい。リアル死神が来た第一声がこれか。何かもっと俺が納得出来るような言葉言えよ」

 宙に浮かんでいる男の言葉にミフも食ってかかる。


 そんなミフを無視して続けた。

「まぁいい。こんな異物私に楯突くなと釘を刺しておけばいい。それよりお前の面とパーカーが無いのはかわいそうだ。寒かろう。早く急ぐよ。」

 浮かんでいる男はマルンの事を言っているようだ。

 確かにここまで全身が白だとこの世界だと絶好の迷彩色だな。遠くから見たらまったく気づかない。鎌は……折りたたみ式か都合の良いように隠せるのだろう。


 それにしても……こいつ誰だ? マロンのことを知っていたし、俺のことも異ぶ……異世界から来ているということは認識している。あっ俺は明らかに浮いているか。

 そんな憶測を頭で回しながら後ろにいるマロンを見た。

 座り込み、左手を抑えながら上を見ていた。全身を痙攣(けいれん)させ明らかに怯えている。そして白い男が何か発言するごとに左手を抑える手がとても強くなっていく。

「そうか。お前は……。」


 顔を腕で拭いつつ、男に向いた。

「どうした。どこか具合が悪いのか?」

 男はミフのことを全く気にかけずマロンの様子を顔は笑いながらうかがっていた。

 震える声で形上の妻は答えた。

「い……え。…イ…シャ…ラ……ラ…さま…。」

 それを聞いて全地神イシャララは満足そうだった。


ポイント評価をお願いします。今後の創作活動の参考とさせて頂きますので、ご協力お願いします。

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