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拘束された人+様子を見ていた人

急展開です。新キャラが次々と登場していきます。

 それからまた沈黙が続いた。

 じらすな。おい。と思ったがこらえた。

 すっと部屋の外でランプの光が通過したのを感じる。

「最悪だ。クイサ計ったな」

「! まさか…………」

 目の前の男は、ニヤニヤして立ち上がった。

「まあ。少し命が長くなっただけだ。」

 クイサが指を鳴らした。


 バタン


 宿の扉、窓等の四方向から一斉に守護隊の兵士がブノとミフに向かって突進してくる。

 守護隊は街や領内を防衛、治安維持をする組織だ。それにバイチークに駐屯している部隊は、こうした狭い建物を制圧する訓練を受けていた(後で説明されたことであるが)。

 一人だけならまだしも、こう人数が多いと丸腰では敵わない。

 押し倒され、背中の後ろで手錠をかけられた。


「どういうことだ。クイサ!!」

 目の前で立っているクイサをブノは睨み付けた。

 クイサはだまって身動き取れない人間を見ていた。


「よくやった。宿屋のおやじ」

 後ろから聞こえる声の主から重い袋を投げられた。

 慌ててキャッチし、中に入っているさらさらしている砂金を手に取りにんまりとした。

「へへへ。この世は金が一番なんだよ。ブノ。おまえは俺に利用されたのだよ!何が催眠術がかけられないだ?田舎の小さな村民を全員殺し、仲間の騎士団十人殺したカス野郎が!」


 ギトギト汗ばんでいる顔を突き出して見下してきた。

 この世界の人間は顔の表と裏が激しいやつが多いんだ! 自分の手錠を鳴らす。


「おやじ下がっていろ。」

 その重量感が果てしなく重い言葉に早くクイサは反応する。

 兵士の合間から声の主が出てきた。

 全身黒に包まれたイシャララを神とする宗教の代表的な礼拝服だった。

 ノシン村の教師さんとは少しデザインが違う。色もだが。

「センツ様!子供はいません」

 二階以降を探していた兵士はセンツと言われた賢者らしき人物に報告した。

 センツはブノの方に近づいた。近づくにつれ、上に乗っかって抑えつけていた兵士が退いていく。


 バコッ!


 後頭部にもろにかかと落としが決まり、顔面が床にめり込んだ。

「ブノ!」

 一瞬の出来事で、反射的に叫んで声を掛ける。

 返事はなかった。

 俺の動作を気にしていないようで、そのままセンツは後ろ髪を乱暴に握り、ブノの神を引っ張りながら左手で持ち上げる。

「ガキはどこだ」

 俯いていたブノの顔が上がった。

 傷口からの流血が溢れてくるが、顔はとてもにやついていながら答えた。

「答える訳ないだろカス」

 ブノは唾を吐いた。

「そうか……。それなら重い存分吐いてもらわないとな」

 センツは、何回も雷撃魔法をブノに叩きつけた。



 数分後、宿の前から囚人輸送用の馬車が夜の町並みを城に向かって動き出した。

 その様子の一部始終を、宿全体が丸見えの石造りの高い建物からその人物が見ていた。


「たくぅ。周り気にしておけよな」

 呆れた声で、双眼鏡を手に友人の容姿を確認する。

「おじさん。誰?そして手に持っているモノ何?」「む……」

 まだ眠そうなムフーを横に目の前にいる未知の男をフームは警戒する。

 ブノから、首都では怪しい人にはついて行かないように。誘拐事件が多発しているからと耳鳴りが聞こえるほど言われた。

 現に首都でムフーと寄りそりあって寝ていたところ、窓から入ってきた、この大人に急に担ぎ上げられ、宿から少し移動したこの屋上に連れて行かれた。

 マズイ。人さらいだ。


「もしかして、おじさん人さらい?」「むー。」

 男に向かって警戒を続ける。ムフーも状況が把握したようで、唸り声を出している。

「ああ。気づかないでごめんね。これは遠くのものを見える道具だ」

 首にかけている二つの筒が繋がった形のものを持って、筒からこちらを見せるジェスチャーを見せる。

「…………」「むぅ!」

 少女の表情は変わらない。ムフーは牙(幼歯)を剥く。


「おっとごめん。知らない人から話しかけられたらそれは怖いよね。」

 にこやかに笑いながら、一人納得していた。

「お嬢ちゃん。俺の名前はジョー・サカタ。君にはミフ・ハヤシムラの古い友人と言ったところが分かりやすいかな?」

 笑顔ですらりとそんなことを言った。

 別世界から来たミフの名前を知っているのは、私やブノ、ムフー、教師さん、クイサぐらいだ。

 それでも知っていることということは……。

「おじさん。トーキョーから来たということ!」

「そうそう。ニッポン。トーキョーから来たぞ」

 フームの特殊技能。色んな人、動物、植物と仲良くできる。

 基本フームとの関係は仲良くなる。

 因みに、人の頭の中を覗くような魔法をブノやフームにかけているため情報が筒抜けといった可能性は考えていない。

「ジョー。急ぎましょう。ボット様もよろしいですね?」

 ジョーおじさんの後ろには、二人の大人を確認した。

 声をかけたのは、華奢な身体に鎧をまとい、剣を腰に差している女性騎士さんだった。

 なら、もう一人のお兄さんはとても偉い人なのだろう。

 格好は、そこら辺にいる旅をする人とあまり変わらないけれど、人を見た目で判断してはいけないとよくよくブノや教師さんからも言われている。



「あっ思い出した。お姉さんは、時々ノシン村に来てブノをニヤニヤ見つめている人だ」

 ピタッと、女性騎士さんの歩みは止まった。

「お嬢さん人違いではありませんか? そんなストーカーみたいな」

「お嬢さんじゃないよ。フームだよ! かなり前に来たとき、お菓子くれた」

「へー。アオも可愛いところあるんだ」

 ジョーおじさんを、女性騎士さんは殴りつけた。

「もしかして私のお母さん?」

「違う違う。あーもう! そうよ。ブノの様子を見にいっただけ!」

「何だ。やっぱり私のお母さんか」

 その言葉を言った時、アオお姉さんは顔がとても赤くなった。

 ごめんねと謝ったけど、「大丈夫照れ隠し」とジョーおじさんが言ってくれた。おじさんが殴られた。


「そうか。まとまった休みを取った時、どこかへ旅行に出かけていると言っていたが納得した」

「恥ずかしい話です」

「弟の恋煩いの相手も、かなり活躍したい勝ち気な女性だからね。産休制度といったものも考えている」

「殿下! もうその話は後です!」

 お姉さんは、ボットお兄さんにそう告げて、移動していった。

 その人の袖を引っ張った。

「で、ブノやミフおじさんは大丈夫なの?」

「大丈夫だ。今から助ける」

 そういって断言してくれた。


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