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一宿一飯の恩

主人公。しっかりと律儀です。

「取りあえず、そんな大きな現象なら教師さんに明日、相談するといい」と言うことになった。

 しっかり、落ち着くまでこの家にいていい。というお言葉に甘える形で居候生活が始まった。

ただ、何もしないというのはあまりにも失礼なので、洗濯や掃除などまだ自分の体が動ける範囲で手伝いを行う。

 一宿一飯の恩義だ。

 この異世界で、これからどうなるのか検討はつかないが、この恩は憶えておきたい。


「うわ~。部屋がもの凄く綺麗になった……。」

 ブノは築一年半、作ブノの家がかつてない程の綺麗さに絶句した。

 フームとムフーはその眩しさに目が光る。

 それはそうだろう。

 罰として校内清掃を行い続けたテクニックは、他者を受け付けない。これが俺TUEEE能力か

「ありがとう。ミフ!!」「ムー!」

 そう言って抱きついてくる。

 やはりその言葉は良い。

 ブノの目線が少し痛い。



 夕食を食べた後、部屋があまりに暗くなったのでそのまま寝ることにした。

 明かりはランプぐらいで、前の世界で慣れた電気などない。

 魔法があるからそんな産業品の発達の妨げになっているのか? とか難しいことを考えるが、今は自分がこれから何をするのか。そんなことばかりを考えていた。

 マロンが死神になる前いた世界。

 ホイシャルワールドが、この世界を示していることが、あの二人との会話で分かった。


 しかし、バルジャック王国は知らないようだ。

 だが、世界事情は大まかに

 この世界は四つに分かれて対立中であり、頻繁に小競り合い程度の緊張が起こっているらしい。

 それが七千年続いているのだから、泥沼、いや、底なし沼状態の訳の分からない戦いだろう。

 そんな状況だと、バルジャック王国を探すのも、赴くのも困難だ。


 早くあの場所に戻らないとマルンが、かなりやばいことになってしまう。

 早く死なないと。

 でも、一回死んでも、行ける気が全然しない。

 あの女の顔で、哀しい表情は見たくない。

 用意してくれたベットの上で、天井を見ながら、拳を握る。


 しかし、そんな熱い想いを胸の中で燃やすと寝付けなくなってしまった。

 ミフは外で星も見ようかなと床から立ち、部屋の扉を開けた。

 ブノの寝室でもある部屋から出たミフはあるものに気づいた。

 机にあるランプ、日記帳、万年筆。そして窓から外を覗いているブノの姿だった。


 ギーギー


 扉を閉める音でこちらに気づいた。

「寝つけないですか。」

 ええ。ブノに向かって、そう返事をする。

 ふと、机ある日記帳が目に入った。日付は今日のが書かれており、まだ途中のようだ。

「毎日書いているので?日記」

「ええ。一年半前にフームを引き取ったときから」

「それにしても。ブノさんは若いのに子供を育てつつ、家も食料も栽培する自給自足の生活なんて、よく決断しましたね。」

「はい。まだ十九です」

「おお。そんな生活は俺には、不可能ですね」

 ミフは大きく同意し、敬意をはらう。

「いや……。俺にはこれでも足りないくらいです」

 なぜか、急に元気がなくなった。ほんの少しだけ鎌をかけてみる。

「失礼ですが、この職業をする前は?」

 思ったとおり、少し間が開いた。

 ブノはほんの少しだけ、考える素振りを見せ、

「別に。普通に学生です。バイチークというマツカイサ帝国の都市に、大きな大学があります」

 俺には謎を呼ぶ、大きな笑顔で答えたとしか見えなかった。

「あなたも、未だ言っていないことがあるでしょう」


 バタンと、ミフが部屋に入った事を確認した後、ブノはペンを動かす。




 第四番月二日 天候晴れ

 昨日、空から墜ちてきた男の名前が分かった。ミフ・ハヤシムラと言い、私達が普段使っている魔法がない世界からきたらしい。そこでは世界規模の戦争が起きていて、その引き金となった張本人のいる要塞に突っ込み、その爆発に巻き込まれ今に至るようだ。この事実は我らホイシャルワールドの状況と共通してるといえる。

 話の口調から察するに、誰か親しい人を戦火で亡くしたのか、その惨状があまりにも酷いのか。どちらとも言えない想いが循環しているように感じた。

 この地が戦争の地になったらどうしよう。

 フームもショウフウ(馬)、ムフー(竜)と一緒には居られなくなる。人のもの奪っておいて、怖くなって逃げ出した臆病者が偉そうに言うが。


 小麦から、不吉な相が出たに違いない。


ポイント評価をお願いします。今後の創作活動の参考とさせて頂きます。ご協力お願い申し上げます。この作品をお気に召しましたら、ブックマーク機能がオススメです。

※翌日連載分から、夕方の時間帯のみとさせて頂きます。

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