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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第四章・妖精国編

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95・途中の国でギルドに顔出ししたのですが……

 

『彼の国がそなたらを探している』


 バアルとの別れ際に言われた台詞だったが、気になってフルカスさんやその他の部下の人(名前?……知らん)に問い質してみた処、どうやらあの国が探しているのは、あくまでも『冒険者としての俺達』であり、『異世界から召喚された俺達』では無さそうである事が判明している。


 何故にそう判断出来たのか、と言われれば、魔王国の抱える諜報部隊の方々の比類なき努力の結果と言うのも当然そうなのだろうが、今回の件に関して言えば、向こうが間抜けにも冒険者ギルドの方に『『勇者』を討ち果たした冒険者の情報を開示せよ!』と圧力を掛けながら迫ったらしく、それに反発した冒険者ギルドが全支部を通してその事実を国の方へと暴露。

 結果として、あの国の切り札の一つとして認識されていた……らしい『勇者』とやらの敗北と、その討ち果たした冒険者を取り込む為か、もしくは見せしめとして報復する為にかは不明だが、それでもそいつらを探している、と言う情報を与える事となった訳なのである。


 まぁ、早い話が『ロハのアホ』って事だわな。


 幾ら大国(但し国土のみ)だとは言え、相手は世界的に支部を展開している一大組織なのだから、そんな強硬な態度や手段で迫ったならばほぼ確実に反発される事が目に見えていたハズだし、その報復手段として、ギルドと良い付き合いをしていた魔王国と獣人国に、自国の看板(タイトル)を背負っていた戦力の内の一つが堕ちた、と密告されているのだから、もはや目も当てられないと言う他に無いだろう。

 おまけに、近々あの国から冒険者ギルドの支部を撤退させようか?との意見も出ていて、それをギルド上層部も真剣に議論し始めており、真面目に検討され始めてもいるみたいだしね。自業自得と言うヤツである。


 正直『ザマァ見ろ!』と言う感想しか無い俺だが、それと同時にあの国が俺達の存在に気付いていない、又は気にしていないのではないのか?と言う推測が立てられる事に思い至る。


 一応、そんな予測を立てた根拠としては、どうやら俺達『召喚者』と、自分達の勇者を倒した『冒険者』があの国の中では=で繋がっていないらしいのである。

 もし仮に繋がっているのであれば、もっと静かで確実な手段に出て、俺達に気付かれる前に何かしらを仕掛けて来るだろう。もしくは、もっと強引な手でも使って、形振り構わずに俺達を確保しに動くのではないだろうか?


 ……まぁ、これまでの諸々の所業から、もしかしなくてもそれらに思い至っていない可能性は捨てきれないが、流石にそこまでの底抜けな阿呆共の集まり、と言う事は有るまい。……無いよね?


 もっとも、あの国が『召喚者』としての俺達ではなく『冒険者』としての俺達を、そうと知った上で探している、と言う場合も無くもないだろう。


 そちらの理由としては、あの自称勇者(笑)が使っていた装備品だ。


 あの阿呆は腕前自体は大した事は無く、あくまでも強力な装備によるゴリ押しによって戦力足り得ていたのだが、あの後それらの装備を調べてみると『凄まじい』と形容するのが生温くなる程の性能を誇っていた事が判明した。


 長剣の方は、あの阿呆が言っていた通りに凄まじいまでの切れ味を誇り、鉄製の武具を試しに斬り付けてみたところ、まるで熱したナイフでチーズやバターを切り分けているかの様にサクサクと切り裂けてしまったのだ。

 おまけに、能力としてはソレだけでは無いらしく、使ってみた感覚的に使い手の技量をある程度補助する機能までついているみたいなのである。


 ……正直な話、あの阿呆が一端の剣士並みの技量を持っていたら、あの時の戦闘はもっと危険なモノになっていただろうと断言出来る。ソレぐらいヤバい一振りだと思ってくれて良いだろう。


 鎧の方は鎧の方で、タツが『全力』で殴ってみても壊れる処か傷すら出来ない程の強度を誇り、あの阿呆が言っていた通りの効果が有るのだとすれば、その上で延々と体力を回復し続ける効果までついていると言う話である。


 あの時は、あの阿呆が弱点である頭をむき出しの状態で挑んできたからどうにかなったが、同じ様な素材の兜を装備されていた場合、最悪押しきられて負けていた可能性すら有り得ただろう。


 それほどのぶっ壊れ性能を誇る装備なのだから、ほぼ確実に『持っている』と分かっている俺達を探していたとしても、違和感は無いと言っても良いのではないだろうか?


 まぁ、でもその場合だったとしても、ここまで簡単に俺達並びに第三者的な立場に在る魔王国の方まで情報が流れる様な杜撰な事しか出来ないのだから、やはり国としても大した事は無いのだろう。


 そう結論付けた俺達は、当初の予定の通りに魔王国を出発し、一旦魔王国と隣接する『人族(ヒューマン)』の治める国へと入国する。


 もちろん、あの国では無い。


人族(ヒューマン)』の統治する国=あの国、と思われるかも知れないが、別段あの国だけ(・・)が『人族(ヒューマン)』メインの国ではないし、あの国が国標として掲げている『人族至上主義』も別段全ての『人族(ヒューマン)』が良しとしている訳でもないのだそうな。


 現に、あの国を除いたとしても、ここの様に『人族(ヒューマン)』主導で治められている国はそれなりの数が有るし、それらの殆どはあの国がやらかすバカ騒ぎのせいで勘違いされたり、あの国から直接的・間接的問わずに迷惑を掛けられた経歴の在る処ばかりなので、割りとあの国とは距離を置いている国ばかりなのだそうな。


 そして、魔王国と隣接しながらそちらからの通行人を普通に通すだけでなく、アストさん(最近は『魔族(イヴル)』としての姿を隠すのを辞めた)やサーラさん達を見ても眉を潜める処か笑顔で接して来た(流石にネフリアさんには驚いていた)上に、街中を普通に他の種族が歩いているこの国も、どちらかと言えばあの国とは距離を置いて積極的に交易を図ろうとしている口であるのだろう。


 まぁ、国がそう言う傾向に在るのは、魔王国が隣接しているから、と言うだけでは無いのだろうけど。


 そして、俺達がこの国に立ち寄った理由も、そこに起因していたりする。



 そう、実はこの国、魔王国だけでなく妖精国とも隣接しており、割りと最近まともに外交を始めた(それでも数十年は経っている)魔王国だけでなく、建国以来の交流関係を維持し続けているのだとか。



 そのお陰か、この国は珍しいことに『魔族(イヴル)』も『妖精族(アルフ)』も『人族(ヒューマン)』も行き交う、ある種の多民族国家となっているのだ。


 ……まぁ、『珍しい』とは言っても、別に昔戦争していたから、とか言う理由から『魔族(イヴル)』と『妖精族(アルフ)』とが仲が悪いと言う事ではなく、ただ単にあまり直接的な交流が多くない故に、こうしてその気になれば交流出来る場が在るのが珍しい、と言う事らしい(情報提供by魔王&レライエさん)のだけれど。


 そんな事情も背景に有る為、この国のギルドでは妖精国へ繋がっている道の状況だとか魔物の生息域、近く行われるイベント等々の情報を得られる(当然有料)との話だったので、道すがらに達成してきた依頼の報告も兼ねて立ち寄ってみたのだが……





「おぅやおや、皆さんお揃いで!漸く我が国(・・・)の『勇者』を討ち果たした皆さんとお会い出来て、私感動しておりますよぉ!私、栄えある人類の希望、人外のバケモノ相手の最前線たる『ヴァイツァーシュバイン王国』の宮廷魔導師の長を勤めさせて頂いておりますケンドリックと申しますぅ。これから長い付き合いになる予定ですので、以後よろしくお願いしますねぇ?」





 冒険者ギルドへと入った直後の俺達に向かってそんな事を宣ってくる阿呆と、何処に隠れていたのかね?君達は?と問い掛けたくなる程の数の、何処ぞの紋章と思わしき衣装を施された武装で全身を固めて武器を構えた、兵士と思わしき連中によって取り囲まれるのであった。


 ……え?ないごて?





 ******





「貴殿方は、些細な『スレ違い』からかの『勇者』を殺めると言う罪を犯されましたぁ。当然、貴殿方を死刑に処すべし!との声も、そりゃあかなりの数が出ましたともぉ。何せ、彼はこの世界の『希望』だったのですからぁ!

 ですが、偉大なる陛下はその『勇者』すら上回る貴殿方の力を惜しまれ、彼の代わりに我らと共に力を合わせて悪逆を砕くのであれば、と貴殿方の『罪』を赦されると仰っておられますぅ。なのでぇ、貴殿方はぁ、今この場で彼の使っていた装備を全て明け渡しぃ、即刻陛下に忠誠を誓って頂きます(・・・・)がぁ、貴殿方も『人族(ヒューマン)』であるのならぁ、『当然』誓って頂けますよねぇ?」


 そんな事を宣いながら、まるで『自分の言う事に従って当然』とでも言いたげな表情でニヤニヤとした嘲笑を浮かべつつ、俺達をグルリと囲いながら、特に入り口の方を厚く守らせている兵士(と思われる連中)へと指示を出す。


「あぁ、そうそう。用事が在るのは『彼ら』だけですので、他の『バケモノ』とそこの魔物は好きにしても構いませんよぉ?どうせ、彼らに集っているだけの『寄生虫』でしょうしぃ、ここは一つ我々が退治して可愛がって(・・・・・)差し上げるとしましょうかねぇ?そうすれば、彼らもそんな『バケモノ』を連れて歩く恥を自覚するでしょうし、そいつらも我々に『奉仕』する喜びと言うモノを自覚するでしょうからねぇ」


 その指示を受けた兵士共は、下卑た笑みを浮かべつつ、『俺はどれが良い』だとか、『あいつはこうしてやるとどう鳴くかな?』だとか、『あいつとあいつで味比べしてやろうぜ?』だとかの、同性である俺達ですら耳をみたい塞ぎたくなる程に下劣な声を挙げながら、アストさんを初めとした『人族(ヒューマン)』以外の女性陣へと舐め回すかの様な視線を向けて、わざと怯えさせる様にジリジリと距離を詰め始める。


 そんな連中へと、生理的嫌悪感の極致を垣間見た、とでも言いたげな視線を向けるアストさん達だったが、ソレですら奴らにはチョッとしたスパイスにしかならない様子で、かえって興奮を促したらしく、中にはまだ捕らえてすらいないのに既にズボンにテントを張っている者すらいた。


 それに対して、今すぐにでも飛び掛かって皆殺しにしてやろうか、と考えながらも、そうするとこのクズから情報を得ることが出来なくなってしまうので、ギリギリの処で我慢しながら口を開く俺。


「……彼女らは俺達の仲間だ。手を出そうと言うなら、お前らからの話は聞かないし、お前らも無事に帰してやるつもりも無いぞ?」


「……おやおやぁ?そんな事を言っても良いのですかなぁ?先程も言った様に、貴殿方は『勇者』を殺めると言う大罪を犯しているのですよぉ?それを、陛下は慈悲深くも赦されると仰られているのですからぁ、普通は感涙に咽びながら自らあの『バケモノ』共を差し出して、是非とも連れていって下さいと懇願するモノですよぉ?」


「……お前達が勝手に言っているだけだ。彼女らは違う」


「えぇ、そうかも知れませんねぇ。でも、それは私に関係有りますかぁ?アレらが貴殿方の『仲間』であれぇ、ただの『肉便器』であれぇ、どの道私と来るからにはここで処分することになるのですからぁ、どちらでも大した代わりは無いでしょう?」


「そもそも~、何故か僕達が一緒に行く事が前提になってるけど~、何で僕達が君らみたいなクズの手助けなんてしてやらなけりゃならないのかなぁ~?あのアホを倒したのだって~、襲われたから返り討ちにしたってだけなんだけど~?」


「逆にお聞きしますがぁ、貴殿方は何がご不満なのですかぁ?我らが『人族(ヒューマン)』の希望たる大国、ヴァイツァーシュバイン王国からの要請で、後の世に語られる伝説の一部になれるのですよぉ?私としてはそこまで頑なに拒みつづける貴殿方の方が理解出来ませんねぇ……」


 ……うん、こいつはアレだね。

 人の話を聞かないで、自分の言い分が完璧に正しいと信じてるタイプだね。


 おまけに、それなりに自身の能力も有るって言う、ある意味一番手に負えないタイプの野郎だね。


 ……まぁ、でも、自身のやりたいことをやっている間は、回りの事が目に入らなくなるほどタイプでもあったみたいだけど。


 そんな、俺の心の中での呟きに対応するかの様に、俺達の背後でそれまでしていた音の中でも一際大きく、何かが倒れた様な音がギルドの建物の内部に響き渡る。


「……おやおやぁ?もしかして、彼ら返り討ちにされちゃってますぅ?一応、私の動かせる範囲の中ではぁ、かなり上位の戦力だったんですけどねぇ?」


 その音の発生源では、手足をへし折られたり、顔の原型を止めていなかったり、何かで全身の骨を絞め折られていたり、身体に『U』の字状の凹みを付けられていたり、糸で巻かれて天井から逆さ釣りにされていたりする、アストさん達に襲い掛かろうとしてた下衆共の姿があった。


 それを目にしたケンドリックとやらは、俺達に対して助力を乞う様な視線を一瞬だけ向けると、ヤレヤレとでも言いたげに肩を竦めると、突然自身の足下に魔方陣を展開する。


「まったく、我らがヴァイツァーシュバインの情けを蹴り飛ばすとは、恐れ知らずも良い処ですねぇ。まぁ、良いでしょう。流石に、この状態でもそこの『バケモノ』共を駆除出来ないとは思いませんがぁ、貴殿方を同時に相手取るのは少々骨が折れそうですからねぇ。素直に撤退させて頂きますよぉ。

 ではぁ、今度会う時は是非ともヴァイツァーシュバインの同朋として再会したいモノですねぇ……」


 そう、自身の言いたい事だけ言い放ったケンドリックは、俺達の各自が放った遠距離攻撃が殺到する直前に、足下の魔方陣へと魔力を流し込み強い光を周囲に放なたせる。


 そして、その光が収まった時には、その場に居たハズのケンドリック一人だけが、冒険者ギルドの建物内部から消失していたのであった。

面白い、かも?と思ってくださったのでしたら、ブックマークや評価、感想等にて応援して頂けると大変ありがたいですm(_ _)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
― 新着の感想 ―
[一言] あれ?確かタカは魔力の元が見れるはずではなかっただろうか?見れたら逃げれないのではないのか?
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