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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第三章・獣人国編

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85・久方ぶりに手合わせします

ブックマークや感想にて応援してくださった方々に感謝ですm(__)m

 俺が寝たきりになった後に、意識を取り戻してから早数日。


 起きた当初は、タツやレオから手荒な歓迎を受けたり、乾に匂いを嗅がれたり、先生に甘やかされたり、久地縄さんにハイライトをオフった瞳で笑いかけられたり、阿谷さんに世話を焼かれたり。アストさんにくっ付かれたり、サーラさんに鞭打ちさせられたりすると言った大騒ぎになっていた。

 もっとも、俺が思ったよりも弱っていた為に、あっと言う間に解散させられていたけれど。


 ……まぁ、それらのお陰か、それとも俺持ち前の回復力に依るものかは不明だが、今ではこうしてすっかり元気になってはいるのだけれどね?


 そんな訳で、ここ数日は大人しくしていた為に、こうして復活を遂げた訳なのだが、そのせいである問題が発生してしまっていたりする。



 ……そう、ここ数日間は、基本ベッドで大人しくしていた為に、身体が運動を求めてソワソワとしているのである。



 早い話が『運動不足』だ。


 しかも、メレゲトンに乗っていた時の様に、意図的に形稽古をするのを止めていた状態を上回る、日常生活の動作すらもさせて貰えない、と言う程の状態であった為に、身体が『さっさと動け(稽古しろ)!』と要求してきている様な錯覚を覚える程に、朝目覚めた時から身体がソワソワとして落ち着かないのである。


 幸いな事に、俺達の都合(どうやらあの依頼の大元である『獣王陛下』と対面する事になった……らしい)を聞き及んでいるらしいネメアーさんが


『少なくとも、陛下との対面までは滞在してくれて構わない。むしろ、何時までも居てくれても構わないのだがね?』


 と言ってくれている為に、あと数日はこのままの生活が保証されるので、その間にやや鈍ってしまっているこの身体を、ある程度までは回復させ(鍛え直し)ておこう!と決意し、こうして実家の鍛練で使ってきた練習用のモノと同じ一振りと共に、レオンハルト家の裏庭へと出てきたのだが……



「さぁ、小鳥遊(たかなし)君!手合わせしよう!私達が一本取れたら、小鳥遊(たかなし)君を私達の好きにさせて貰うけど、別に良いよね!?ハァハァ」


「病み上がりの処悪いけど、先生達に付き合ってくれないかな?後でタップリと、それこそグズグズに蕩ける位に甘やかして上げるから、今だけはお願い出来ないかな?」


「さぁ、小鳥遊(たかなし)殿!以前の雪辱を晴らすと同時に、拙の成長を確かめて頂きましょう!

 ……も、もちろん、剣の腕以外の『成長具合』を確かめたいと仰るのなら、拙は何時でもお受け致しております!実際、今日晒しを巻こうとしたら、何時もの感覚では少しきつくなっておりましたので、間違いなく成長しているかと!」


「おう、小鳥遊(たかなし)!元気になったんなら、今度こそやろうぜ!オレはまだ一度もやり合って無かったからな、実は結構楽しみなんだ!

 ちなみに、久地縄じゃあ無いけど、オレも鎧を着ようとしたら、少しきつくなってたから、もしかすると『また』大きくなってるかもよ?なんなら、確かめてみるか?」


「……貴女方、少々はしたないのではなくて?

 ですが、彼を打倒するために頼りにさせて貰いますので、しっかり働いて下さいませ。

 そうそう、(わたくし)が一本取りましたら、この間入手されておられたあの細剣を頂きますが、よろしいですわよね?あれほどの逸品を死蔵しておく等と、勿体無いにも程が有りましてよ?」


「……ん、今度こそ一本取る。そうしたら、以前からの約束通り、私に『飛鷹流』を教えて貰う」


「……え、えっと、その……わ、私はあくまでも回復要員なので試合には参加しませんし、で、出来れば誰にも怪我をして欲しく無いですけど……で、でも、皆さんどのみち戦われるんでしたら、わ、私が頑張って治しますから、どうか『怪我』の範囲で済ませて下さいね?お願いですから」


「私も、呼ばれたからには参加致しますが、本当によろしいのでしょうか?流石に、こうも人数が多くては、少々やり辛いのでは?

 あぁ、そうそう、タカナシ殿。皆さんの仰られていた『一本取れたら』のお話ですが、私が取れたら一日二人きりでデートなど如何でしょうか?存分に楽しんで頂ける様に、精一杯努力させて頂きますので♪」


「お、おおぅ……。お歴々がこの試合に掛ける意気込みが、尋常ならざるモノである様に感じられるのですが、恐らくは気のせいでは無いですよね……。

 ……某も、あの『迷宮』での戦いで、一回り強くなったとの自負が有ります!ですが、その程度で主様から一本取れるとは思っておりません。ですので、今回はその胸を貸して頂くつもりでやらせて頂きます!……そして、万が一某が一本取れたのならば!ご褒美としてこの鞭で思い切り……!……ジュルリ!」



 ……出てきたのだが、何故か若干数名の変態を含んだ女性陣に囲まれ、こうして手合わせの依頼をされているのである。


 俺の記憶が正しければ、確か部屋を出て朝練に向かおうとしていたタツとレオに対して


『手合わせしないか?』


 と声を掛け、それに二人が獰猛な笑みと共に同意した処までは何の異常も無かったハズなのだが、三人と三頭(リンドヴルムは半寝惚けのまま、カーラは好奇心から、リルは朝の散歩として同行)で鍛練等に使用しても構わないとの許可を貰っていた裏庭へと移動する途中に、起き出してきた久地縄さん、音澄さん、亜利砂(アリサ)さんの武術派三人とブッキングし、そこからあれよあれよと言う間に女性陣全員が合流し、何故か俺対女性陣で手合わせする事になった……のだっただろうか?


 内心『何故こうなっているのだろうか?』との思いを抱きながら、ギャラリーとして観戦する方向に舵を切っているタツとレオへと視線を向けてみるが、そんな俺の考えていることは理解出来ているハズの二人は、俺の視線を受けると右手でサムズアップしながら


『……モテモテだな』


『ファイト~』


 とでも言わんばかりの表情で、半ばからかいながら見物する姿勢を欠片も崩そうとしていない。


 そんな二人の横では、俺が動くのに合わせて起き出して来ていたリンドヴルム、カーラ、リルの三頭が、固まって何やら話している様子である。


「…………?」


『いや、これは只の『お遊び』じゃろうのぅ。もっとも、そうでなかったとしても、ほぼ確実に主殿が勝つじゃろうがのぅ』


『グルルルル、グォン?』


『ふむ……そうじゃのぅ……。あれらに妾達が加われば、おそらく主殿も本気になられるじゃろうが、それじゃとほぼ本気の殺し合いになりかねんからのぅ……。

 タツ殿とレオ殿とを相手取る場合は、ほぼ本気での殺し合いに発展するとの話であったから、おそらくはあのままが一番『丁度良い』のであろうのぅ』


 地面に寝そべったリルのお腹の上にカーラが止まり、頭の上にリンドヴルムが乗っているその様は、三頭の穏やかそうな表情とも相まってまるで一枚の絵画の様でもあり、そのほのぼのとした光景に思わず口元が緩むのを感じてしまう。


 その様子に、思わず、と言った感じで、俺に対して戦意を高めていた女性陣や、俺と手合わせするよりもタツやレオとの方が良い、との理由から不参加を表明していたシンシアさんやサーフェスさんが、フラフラとしたら足取りでまるで魅了でもされたかの様に一歩リル達に近寄って行く。


 しかし、その行動を目の当たりにしたリル達は、リンドヴルムが完全無視、カーラは多少羽を膨らませて警戒の態勢を取り、リルに至ってはそれまでの穏やかな表情を一変させて、まるで地獄の悪鬼もかくやと言わんばかりの形相で、牙を剥き出しにしながら『あ″?何だ手前(てめぇ)ら、やんのかコラァ!?』とでも言わんばかりのメンチ切りをかましていた。


 そして、そのあまりの形相とその迫力により、魅了されていた面子の全員が、近寄ったのと全く同じ道筋にて、顔を引き吊らせながら戻って行く。


 ……まぁ、それも仕方の無い事だろう。


 何せ、この(リル)は、こうして俺達と共に行動する事を了承してはいるものの、あくまでもなついているのは『俺』個人に対してのみなので、ああして触ろうと近寄ると、基本的に誰であろうと威嚇してしまうのだ。

 一応、同僚と言うか何と言うかは微妙だが、自分と似たような立場に在る事を理解しているらしく、リンドヴルムやカーラには気を許しているみたいだし、あの『迷宮』内部で食った料理にて餌付けされたのか、タツにもあまり警戒心を抱いていない様子ではあった。少し前に、タツに撫でられていたけれども、嫌がっても怒ってもいなかったからね。

 それと、レオも俺と同じくらいの実力が有る、と判断してか、露骨に威嚇()しないでいる。近くに居ると、決して目線を切らないけれど。


 そして、その他の面子ではさっきみたいな状態になる、と言う訳である。

 当然、食料の類いも、自分で採って来た物か、もしくは俺かタツの手を経由したモノでないと、そもそも口を付けようともしないし、見向きもしない。


 カーラはカーラで、流石に慣れたのか俺以外からは食料を貰わない、とまでは行かないが、それでも他の面子が不用意に近付くと、ああして警戒心から身体を膨らませてしまうのだ。

 ……まぁ、そっちの方が、よりモフモフしていて可愛らしいのだが、そこはあまり突っ込んでやらない方が良いだろう。


 そんな、表情に不機嫌さが出てしまっている二頭に対して、視線のみで『コラッ!』と叱りつけてやると、途端に二頭共に『シュン……』とした表情になり、カーラはそれまでの膨れていた羽毛を縮込ませてホッソリとしながらしょぼくれ、リルは耳をペタンと倒して俺に対して上目遣いに視線を向けて、もう怒ってないかを窺っている。


 ……正直、『最初から怒ってなんか無いよ~!』とでも叫びながら、両名共にモフり回したい衝動に駆られるが、今回の目的はそれではないのだから我慢我慢。……我慢、我慢……。(血涙)


 カーラとリルへの思いを振り切って乾達の方へと向き直り、実家で鍛練をする際に使っていた練習用の一振りである『(かささぎ)』に、鞘を着けたままの状態で構えながら乾達に向かって今回の試合の『ルール』を確認する。


「取り敢えず、殺し・致命傷禁止、道具・不意討ち何でもアリ、寸止めされるか戦闘不能で脱落、で良いか?」


「……欲を言えばもう少し『縛り』が欲しい処だけど、それ以上何か求めると最初から『本気』で来られそうだから、それで良いよ!」


「……?さっきまでの口振りだと、俺の『本気』を引っ張り出す事が第一目標になっている、みたいに受け取れたけど、それならもっと追加を要求した方が良いんじゃ無いのか?」


「いやいや、あくまでも私達は『ある程度本気になった小鳥遊(たかなし)君』と戦って、成長具合を見せたいだけであって、『最初から本気で潰しに掛かって来る小鳥遊(たかなし)君』との対戦はまだ望んで無いからね?だから、このままのルールで良いの……よ!」


 ルール確認の為の会話が終了する間際に、いつの間にか準備していたらしい魔法を発動し、乾が俺へと攻撃を仕掛けて来る。


 ほう?会話で意識を反らしてから奇襲を仕掛けて来るとは、なかなか考えたね。

 まぁ、当たらなければ意味がないけども。


「『不意討ちアリ』って話なのだから、卑怯だなんて言わせないよ!」


「そんな事言わんさ」


 こちらの集中を乱す為か、もしくは本当に弁明のつもりかは定かでないが、乾が女性陣と陣形を組むために動き出すと共に掛けて来た声に『何を当然の事を』と答えつつ、迫りつつあった魔法へと視線を向ける。


 乾によって放たれた火球は速度こそそれなりのモノであったが、大きさやそれ自体から感じる圧力の類いはそれほどでも無かった為に、振り払って距離を詰め、陣形を組まれる事を妨害する事を優先しようかとも考えたが、何となく嫌な予感がしたために回避を選択する。


 それに対して乾達は、俺の動作を悔しそうに見ながらも、それでもやらないよりかはましだろう、との判断を下したのか、既に自身が放ち、俺が回避を済ませている火球を指差し、自身の『技能』と思われるモノを使いながら、他の女性陣へと指示を飛ばす。


「避けられたのは痛いけど、打ち合わせ通りにやるよ![術式変換(エクスチェンジ)]!『フレイムバースト』!」


 その言葉に従う様に、先程俺が回避した火球が唐突に膨れ上がると、その場で爆発して見せたのだ。


「なっ……!?」


 その突然の事態に、それまで回避から前進に繋げられる様に前方寄りに動いていたのを、その爆発による爆風によって強制的に横方向へと変換させられ、詰めるつもりだった彼我の距離を逆に空けさせられてしまう。


「クソッ!これがお前さんの『特殊技能』か!?」


 空中で姿勢を整えて足から着地した俺の問い掛けに、他の面子へと配置の指示を出し終わり、俺を爆発によって吹き飛ばした事により稼げた時間で陣形を整え終えた乾が、多少引き吊った表情で答えて来る。


「……正解だよ。私の『特殊技能』である『術式変換』の能力で、既に存在していた魔法に干渉して後出し的に書き換えたんだ。

 ……普通、あのタイミングじゃあ気が付けないし、気が付いたとしても反応出来ないハズなんだけど、何で反応出来るんだろう……?まぁ、小鳥遊(たかなし)君なら当然の様にやりかねない、か……」


 そこで一旦言葉を切った乾は、他の面子を鼓舞する様に声を張り上げて指示を飛ばす。


「さぁ、皆!奇襲は失敗しちゃったけど、陣形を組めている分こっちが有利だよ!前衛は押さえ付ける事を優先!後衛は、とにかく当てる事だけ考えて!来るよ!攻撃開始!!」


 その号令によって、最前衛たる阿谷さん、サーラさんの装甲組による前線の引き上げが開始され、その後ろにて前衛となる久地縄さん、亜利砂(アリサ)さん、音澄さん、アストさんが戦闘準備を万全に整え、更にその後ろから後衛たる乾と先生が火力を放ち始め、回復要員として桜木さんが控える。


 そんな、ある種の『鉄壁』とでも表現してよい布陣に対して俺は、早速俺を狙って放たれた始めた弾幕を回避すると同時に冷や汗を流し始めるのであった。



 …………やべぇ。これ、下手しなくても負けかねないか……?

思ったよりも長くなったので、実戦部分は次回となります。ご了承下さ……痛っ!?止め……!石投げないで!!?


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価、感想にて応援していただけるとなると大変有難いですm(__)m


誤字報告もしていただけると大変助かりますm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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