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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第三章・獣人国編

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80・……さて、色々吐いて貰おうか?

ブックマークにて応援してくださった方々に感謝ですm(__)m

どうにか熊モドキとの死闘を制し、本当にギリギリの処で命を拾った事への安堵と、今まで幾多の戦いを共に駆け抜けてきた相棒に、僅かにでも傷を付けさせる事になった己の未熟さに対する失望感から、暫しの間自分の身体を治療する事すら忘れて地面に倒れ込むままに寝転がる。


戦闘で火照った身体に地面の冷たさが心地好いなぁだとか、あいつら(タツとレオ)今どの辺まで進んだかなぁだとか、そろそろ肉が食いたいなぁ等と、失血によって思考力の低下した頭でボンヤリと考えていると、あの熊モドキが出現するのとほぼ同時にボス部屋の外から雪崩れ込んで来ていた魔物を掃討し終えたらしく、リンドヴルムとリルが俺の方へと駆け寄ってくる。


『やれやれ、こちらもどうにか片付いたのじゃ……って主殿!?何をしておる!早よう手当てをせぬか!?』


『ワフン!?ワフ!ワフ!!』


二人(二頭?)に腰のポーチを探られたり、鼻先で腕をグイグイ押されたりして、ようやく鈍っていた頭でもこのままはマズイだろうなぁ、との思考が生まれた為、普段の動作と比べると非常にゆっくりとしている様にも感じられる速度でポーチから命の水(エリクサー)を取り出して、一応四肢の欠損こそは無いものの、それに準ずる様な負傷は全身に負っていた為に、念のため一口分をそのまま飲み下しておく。


久方ぶりに感じる、濃厚でいて尚且つしつこくない甘味を楽しみつつ、効果によって身体が修復されて行く事により段々と思考が明瞭になってきた為に身体を起こし、何やら嫌な予感を感じたのか、急に俺から離れようとしたリンドヴルムを片手で捕縛すると、タツやらレオやらからは『笑っていない笑顔』と評される微笑みを顔に張り付け、その上で特濃の殺気を無理矢理にでも捩じ込みながらこう尋ねる。



「……さて、じゃあ、サクッとゲロって貰おうか?どうせお前、さっきのアレについて何かしら以上は把握しているんだろう?なら、さっさとゲロって楽になっちまえよ?な?

ちなみに、お前さんには黙秘権なんてモノは認められていないし、当然人権の類いも存在していないから、敢えて口をつぐむ、って言うんなら止めはしないが、その分痛い目を見る事になるだろうけど、それは仕方無い事だよなぁ……?」



そんな俺の言葉に、最初は惚けようとする様な雰囲気を出していたリンドヴルムだったが、俺の言葉が進み、圧力が上がって行くに従って次第に涙目になって行き、最後にはアワアワしながらリルへと助けを求める様な視線を向けたりしたが、その頼みの綱であったらしきリルが興味無さそうに『プイッ』と顔を反らしてしまった為に、隠し通すのは不可能だと判断したのか、訥々と話し出した。


『……主殿は『帝龍』と言う存在を知っておるかのぅ……?』


「……?さぁ?詳しくは知らんな。以前会話でチラッと出てきた程度かね?龍とは違うのか?」


『うむ、違うと言えば違うのぅ。『龍』が『竜』とは違う様に、『帝龍』も又『龍』とは異なる存在なのじゃよ……。

……そして、妾はその『帝龍』じゃ。……いや、『帝龍』じゃった(・・・・)と言うべきじゃろうのぅ……』


「ふーん?……んで?その『帝龍』とやらがどうかしたのか?それに、今の口振りだと、もう違う(・・・・)って言っている様に聞こえるけど?」


『……そうじゃのぅ……。まずは、『帝龍』についての説明からじゃが、ざっくりと言えば『この世界を構成している元素の管理者』と言うた処かのぅ?

この世界を構成しておる六つの元素に対応した『帝龍』が居り、それぞれ担当の元素がこの世界に過不足が無いか、をそこに居るだけで調整する存在、とでも表現出来るかのぅ?』


「……何だか、神様みたいな連中だな」


『……『神』、か……。確かに、似たような存在ではあったのかも知れぬのぅ?

『帝龍』として在る、それだけでこの世界を軽く滅ぼせるだけの力を、常時その身に宿しておく事が出来るのじゃから、ある意味では『神』とも呼べたかも知れぬのぅ……。

……まぁ、その議論は置いておくとして、その『帝龍』の中でも妾は『黒龍』であったが故に、『闇』の元素の管理を受け持っておったのじゃ』


「ふんふん、それで?」


『そんな『帝龍』じゃが、ぶっちゃけてしまえばある種の『役職』の様なモノであるが故に、受け継がれるモノでのぅ。妾も先代から受け継いだのじゃが、具体的に『何代目』かは知らぬがのぅ。

そして、その『帝龍』じゃが、基本的に『龍』しか成らぬモノ故に『帝『龍』』と呼称しておるが、別段『龍』しか成らぬ訳でも、成れぬ訳でも無いのじゃよ』


……ん?


「……何だが嫌な予感がしてきたが、取り敢えず続きをどうぞ?」


『それで、その受け継がれる際の条件なのじゃが、先代の『帝龍』と死合い、その上で先代に認められる事、なのじゃよ』


「……それってつまり……?」


『……まぁ、あくまでも『『帝龍』としての全力を振るっての戦闘』が条件の一つじゃから、あの『試練に迷宮』にて戦闘能力に『縛り』を付けられておった妾に勝ったとしても、条件を満たしたとは言えぬであろうのぅ。ましてや、あの様な複数にての戦闘では、余計にのぅ』


……何だ、ビビって損した……。


『……じゃが、あの時の死合いにて、妾は主殿の事は認めておったし、あのまま生を終えては妾の『黒龍』としての『帝龍』の座は、何処の誰とも知れぬ適者に渡ってしまう事になってしまっておったじゃろうからのぅ。

それは流石にちと面白く無かったのでのぅ。少々細工した上で主殿に渡してしまった、と言う訳なのじゃよ』


「……いや、何か楽しそうに言ってくれてますけどね、リンドヴルムさんや?それって、非常に不味くないですかね?」


『まぁ、それは否定せぬのぅ。

幾ら『龍』以外が就く事が有ると言うても、基本的には『龍』以外は就かぬ『帝龍』の座に座るのには『人』である身にはちと荷が重いでのぅ。それ故に妾の血肉を与え、あの場で残っておった妾の『龍』としての生命力の根源であった『命の焔』を主殿に浴びせる事で、主殿の中に『龍』としての存在因子を組み込んだ訳なのじゃ。先程のアレはおそらくそれが原因かのぅ?お主の『技能』にも載っておったしのぅ』


「……成る程ねぇ……。確かに、さっきのオーラの色をどっかで見た事有るような気がしていたけど、あの時の焔だったか……。言われてみれば、確かにそうだな。

……処で、俺の『技能』欄の方には、『龍の因子』の後に『1/6』って出ていたと思うんだけど、アレってどう言う意味なんだ?お前さんなら知っているんじゃ無いのか?」


『そこはホレ、幾ら主殿が人外魔性の類いであろうとも、一応括りの上では『人』であろう?なれば、流石に『命の焔』経由であったとしても、いきなり『龍』の力を全て内に取り込む事は出来ぬし、無理矢理にでも行おうとすれば肉体が四散する事になっておったハズじゃからのぅ。それをさせぬ為に、段階的に慣らす必要があるのじゃよ。

使えば使う程に力は主殿の身体に馴染み、その数字は大きくなって行く。それにつられてより多くの『龍』としての力を、更に強く振るう事が可能になるじゃろう。じゃが、それは同時に主殿自身も『龍』へと近付いて行く事も示しておるから、注意して使うと良いのぅ』


……な、なんと言うブツを仕込んでくれているんだよ、君は……。


そんなリンドヴルムからの説明に、あんまりと言えばあんまりな事実を知らされた事による衝撃で発生した頭痛に苛まれながら、気を抜けば現実逃避による意識の遮断を行おうとしている頭を抱える。


……今の今まで、散々に『人外』だの『化け物』だの言われてはいたけど、流石に種族を変更される事になるとは思っていなかったし、ましてや何だがヤバそうなポジションにまで就く事になるとはなぁ……。


そんな考えと共に、暫し頭をガシガシと掻きむしるが、とある思いと共にその手を止めて顔を上げる。




…………まぁ、良いか。なっちまったモンはしゃあないんだし、特に何かしなきゃならないってことは無さそうだから、誰かに受け継がせるまではこのままで良いだろう。




そう、半ば『諦め』に近い心境で全てを受け入れる覚悟を決めた俺だったが、一つ気になった事があった為に、リンドヴルムへと向き直る。


「……一つ聞きたい」


『何なりと聞いてくれて構わぬがのぅ?何が聞きたいのじゃ?』


「俺がその『闇』の元素を管理する『黒龍』の枠として『帝龍』とやらになっている、と言うのなら、その『闇』の元素を使った闇の魔法だとかは使える様になっていたりはしないのかな?もし使える様になっているのなら、是非とも使ってみたいんだけど?」


一度は諦めた事だけど、それでもやっぱり使えるのなら使ってみたいじゃないのよ、魔法。

こんなファンタジー異世界に来たんだから、使えるなら使ってみたいじゃない?男の子だもの。


そんな思いと共に、リンドヴルムへと質問してみたのだが、当のリンドヴルムは来ると思っていた質問とは全く違うモノであったのか、呆気にとられた様な表情でフリーズしてしまう。


『ワフン?』


それを、それまでつまらなさそうに欠伸をしながら聞いていたリルが、固まってしまっているリンドヴルムを鼻先でつついて『どうしたの?』とでも言いたげな視線を俺とリンドヴルムへと向けて来る。


そんなリルの仕草が可愛らしかったので、固まるリンドヴルムは放置し、鼻先から両頬を通って耳裏までを丁寧にモフモフし、リルの視線が蕩けるまで念入りにモフりつつ手櫛で毛並みを整えてやる。


リルがコロリと寝転がり、俺にお腹を見せてきた頃合いにようやく再起動したリンドヴルムが、最初は緊張した様に口を開こうとしていたが、俺がリルをモフる手を止めていない事で何かを諦めたらしく、幾らか力の抜けた様な雰囲気で答え出した。


『……なんじゃかのぅ……。てっきり、『人に戻る方法は無いのか?』じゃとか、『『龍』に成らずに済む方法は無いのか?』じゃとかを聞かれると思っておったのじゃが、聞きたい事が魔法を使えるかどうか、などとは、予想外も良い処じゃのぅ……。

……まぁ、その方が主殿らしいかのぅ。

それと、魔法についてじゃが、完全に『龍』になったのならばまだしも、未だに人の身で在る以上は元々の資質に縛られるでのぅ。おそらくは使えぬままじゃよ?』


…………マジかぁ……。


もしかしたら、と期待していた分だけショックも大きく、思わず床に両手をついて項垂れる俺。


それを鼻先で優しくつつきながら、励ます様に舐めてくるリルと、それを見て『妾の立場が!?』と戦慄するリンドヴルムに挟まれた、中々にカオスな雰囲気に暫し囲まれるのであった。





******





「……さて、じゃあどうするかね?」


リルのモフモフに暫し癒されて、ようやく復活を遂げた俺は、目の前で光を放っている魔方陣と『迷宮』の核を前にしてリンドヴルムへと問い掛ける。

魔方陣は、どうやらあの熊モドキがボス扱いだったらしく、あいつが死んで魔核だけになった時には既に出現していたし、『核』の方は『核』の方で、あの熊モドキが奥の手だったのか、今は新しく何かを仕掛けて来る訳でもなく、大人しく壁に填まっている。


『……そうじゃのぅ……。仲間との合流を目指すのであれば、このまま『核』を砕いてしまうのが良いじゃろうのぅ。さすれば、『迷宮』内部で新たに魔物が湧く事も無くなるじゃろうし、既に居るモノも幾ばくか弱体化するであろうのぅ。じゃが、その場合はそこの魔方陣も消えてしまうじゃろうから、地道に上を目指さねばならなくなるのぅ。

逆に、取り敢えず外を目指すのであれば、『核』は放置してあの魔方陣に乗るのが良かろうのぅ。さすれば、次の瞬間には外に居るからのぅ。じゃが、そうすると仲間との合流はちと面倒になるかのぅ?

魔物は変わらず湧きよるし、上から目指して潜るにしても、途中の魔物も駆除せねばならぬじゃろうのぅ。おまけに、次にこの『ボス部屋』に到着した際には、もう一度ボスを相手にする必要があるじゃろうな。

それに、妾やリルがあの魔方陣を通れるか、と言われると、『通れる』とは確約してはやれぬかのぅ?何せ、妾達は魔物じゃからのぅ』


全体的な難易度で考えるなら、先に『核』を砕くべき。ただし、補給には戻れないから、頑張って登って行くしかない。

物資の補給優先で考えるならば、先に魔方陣で帰還するべき。ただし、魔物の強さや湧きの間隔は変わらない上に、どのみち仲間との合流は必須でボスも再度戦う必要が有る。それに、リンドヴルムとリルを置いて行く必要が有る可能性有り……と。


なら、選択肢は実質一つだけだな。


そう、心の中で決断した俺は、『武器創造』の『技能』にて造り出した槍を逆手に握り、『風切り』の応用にて投擲して『核』の中心へと着弾させ、何かしらの抵抗をされる前に粉砕してしまう。


そして、俺達の目の前で光を失う魔方陣を眺めながらリンドヴルムが


『……それで良かったのかのぅ?』


と訊ねて来たが、そんなものは決まっている。



「……お前さん達と一緒に行けないかも知れないんだから、俺だけ上に戻っても仕方ないだろう?それに、こうした方が全体的にやり易くなるハズなんだから、多分大丈夫だろう?

さ、砕けた『核』と、ボスが落とした宝箱持って、あいつらの方に合流してやろうぜ?俺が先にボス倒した、って言ったら、あいつらどんな顔をするかなぁ……?」



ケケケケケ、と笑って見せてやると、リルもリンドヴルムも、まるで『しょうがないなぁ』とでも言いたげな表情で俺を眺めて来るのであった。


……解せぬ。










「……そう言えば、リルは何でこんなところに居たんだ?しかも、あんな鎖でグルグル巻きにされた状態で?」


『……ワフン?』


「……まぁ、分かる訳も無い、か……」

次かその次位に合流予定です。


面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等にて応援していただけると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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