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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第三章・獣人国編

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74・どうやら終点みたいです

ブックマークや評価によって応援してくださった方々に感謝ですm(__)m


「……これで、最後……!」


そう、呟く様に漏らしながら、それまで相対していた魔物の群れのボスであり、自身の『技能』によって得られた情報によると『グレイウルフ・リーダー』と言う種類であったらしい魔物の首を手刀で跳ねるタツ。


その背中に、自身もその十指に挟んだ棒杭を投擲し、周辺の『グレイウルフ』を殲滅していたレオが声を掛ける。


「お疲れ~。僕の方も終わったけど~、この辺のってまだ居るかなぁ~?」


「…………いや、俺の感知出来る範囲には、もう居ないみたいだ……」


「なら~、この階もこれでお終いで良いよね~?」


そう言いながら、自身の『空間収納』へと一時的に収納していた、その階層の簡易マップの右端に書かれていた『8』の数字にチェックを入れてから、既に発見するだけはしていた階段の方へと足を進める。


「……まだ十階か。もどかしいな……」


「まぁ~、仕方ないんじゃないかなぁ~?僕達がこうして攻略し始めるまでは~、精々マップが出来ていたのが『三階』程度で~、ギリギリ魔物と闘えていたのが『五階』程度なんだから~、初日でここまで攻められれば~、まぁまぁ良いペース何じゃないのかなぁ~?

それに~、僕らは魔物の殲滅も同時にやっているんだから~、多少のペースダウンは仕方ないんじゃないかなぁ~?」


「……だと良いが、な……」


そう、何か含むモノでもあるかの様に、意味深に言葉を切るタツに対して、思うところが無いでもないが、特に追及する事はせず、そのままタツが語るのを待つ体勢のレオ。


そんなレオの気遣いに薄く苦笑を浮かべると、まだ戦闘していたり、戦利品である魔核を回収している女性陣をチラリと横目で確認し、まだ近付いて来ることは無いだろう事を確かめた後、周囲には聞こえない様に声を落としてレオへと語り掛ける。


「…………実際の処、どれくらいだと思う……?」


「…………現時点で『まだ』生きてるか、って事なら、ほぼ確実。だけど……」


「……ああ、この『迷宮』が全何階層かは知らないが、それでも五十を超えるのは、少々不味い……」


「……二十、三十程度なら、このまま俺達で攻めきる事くらいは訳無いだろうし、あいつに限って落ちた先で大人しく待っているだけ、何て事はするハズがないから、同時進行になれば、四十程度なら割合と簡単に片が付いて、容易に合流出来るハズだが……」


「……それ以上は食料が持たん。折り悪くここは『迷宮』だ。倒した獲物から食を得る事が出来ん」


「……水も、持たせてはおいたが、どれだけ節約したとしても、戦闘をこなしながらだと精々七日が限界だろうな」


「…………それ以上は持たん……か……」


「……それですら、まだ希望的なモノの見方をしている、って事くらいは解ってんだろう?」


「……ああ、当然だ」


……女性陣には、タカならばどうせ無事だから心配は要らない、と言っていた二人だったが、それはあくまでも彼女らを落ち着かせ、タカからの指示でもあった『『迷宮』の攻略』を素早く終わらせる為であり、本心としては女性陣に劣らぬ程の危機感を内心で抱いていた。


「……もっとも、その『七日(救出限界)』も、俺達が『降りて』あいつが『登ってくる』事が大前提だが、下手をすればあいつの場合、更に『降りる』事を選択しかねん……」


「……ワンチャンに掛けて、最奥のボスを倒して、ボスを倒すと出現するらしい脱出用の転移陣から外に、何て事をやりかねん事くらい、俺も解ってるさ」


「……ならば、急ぐ必要が有ろうな……」


「……それは当然だ。あいつの事だから、気合いの類いで俺達の予想よりも長生きしている可能性は否定しないけど、それでも伸びて二日三日と言う程度だろうさ。それでも、そんな状況下でも敢えて『確実性』を求めるなら、急ぐしか無いだろう?」


そこで一旦会話を中断した二人は、回収作業と各自での回復等を終わらせて、攻略へと復帰出来る様になっていた女性陣へと視線を向けると、声には出さずに唇の動きを互いに読み合う事で、ほぼ確実に聞かれる心配の無いままに、最後にして最も重要な部分での『合意』を行う。


(……最悪、彼女らは『切り捨て』るか、もしくは置いて行ってでも、タカの救出を優先するぞ……)


(……そこは『当然』。まぁ、その場合は、助け出した直後にガチバトルするハメになるかも知れないけど、あいつを失う事になるよりは万倍マシだろう?

……何せ、僕らとタカでは、モノの優先順位が違うんだから、ね)


彼らにとって、この場に居る人間の誰よりも、それこそ下手をすれば自身よりも優先度の高い存在がタカであり、その他の存在は、タカが『仲間』であると認識している為に、こうして行動を共にしているが、本当は『迷宮』の攻略も、女性陣のエスコートも全部放り出し、ただひたすらにタカとの合流を試みたいと言うのが本心であった。


……タカが彼女ら『転移組』の女性陣の為に何やら画策しており、彼らもそれを手伝ってはいるものの、それも『タカがそれをしてやりたい』から手伝っているのであって、彼ら自身は彼女らには特に思い入れは無いと言う事を知っているのは、今はまだ彼ら本人だけであり、これからもそれを知る人物が増える事は無いだろう。


そんな彼らは軽く視線を合わせ、互いの意思に齟齬が無い事を確認すると、既に移動出来る様に体勢を整えていた女性陣に出発を促す為に、彼女らの方へと歩き出すのであった。





******





『主殿!この先はどうやら開けたら空間になっておるみたいじゃ!そろそろ速度を落とさぬと、床に叩き付けられる事になるぞ!』


「了解。んじゃ、そろそろブレーキ掛けておきますか、ね!」


リンドヴルムからもたらされた情報により、そろそろ終点が近いらしい、と判断した俺は、これまでも何回か繰り返してきた様に『武器創造』の『技能』によって適当な武器を造り出すと、反対側の壁を軽く蹴って勢いを付けてから、空中で身体を捩る様にして造り出した得物を振りかぶり、全身の力を動員して深々と壁に突き立てる。


すると、一瞬でその刃の根元までが壁へと吸い込まれる様に『スルリ』と侵入し、まるで水にでも突き込んだかの様な手応えを返して来る。


だが、その次の瞬間には、それまでこの身体に掛かっていた自由落下によって蓄えられていた加速度によって倍増された俺の体重が、その突き込まれた刃と俺が握っている柄、そして柄へとぶら下がっている両腕とその腕に繋がっている両肩へと一瞬で襲い掛かり、思わず指から引き剥がされそうになる。


だが、そこで離してしまっては、両手に掛かっているダメージやら、既に半ば外れている両肩の状態やらから察するに、もう一度トライする程の余力は残っていなさそうなので、もし失敗したのであれば、後は汚ならしい床のシミと化すしか未来は残されていないだろう。


流石の俺も、そんな終わり方は御免被りたいので必死の思いで突き立てた得物にすがり付きながら、減速するスピードを調整するために、両足も壁へと押し付ける。


そんな俺の祈りが通じたのか、それまで壁を破砕しながら一直線に切り裂いていた刃が確かな抵抗感と共に停止し、壁へと押し付けていたハズの俺の足が、何も無い空間へと投げ出される。


……恐る恐る視線を下へと向けて見ると、どうやらリンドヴルムが言っていた『開けた空間』のギリギリ手前で止まっているらしく、床までの高さはそこまででは無いにしても、あのまま投げ出されていた場合を考えてると、背中を冷や汗が伝い落ちる事がハッキリと感じられた。


「……フゥ~。危ない、危ない。割りとギリギリだったけど、上手いこと止まれて良かったぜぃ……」


『やれやれ、主殿も中々に無茶をするのぅ。して、どうするのじゃ?一応、まだ床までは、それなりに高さがある様子なのじゃがのぅ?』


「……別段、好きでやってる訳じゃあ無いんだがね?

それに、『どうする?』何て言われても、どのみちこうするしか無いで、しょ!」


そう返事をするや否や、それまで掴まっていた柄から手を離し、床目掛けて飛び降りを敢行する。


流石に、器械体操の選手と言う訳ではないので、空中で華麗にポーズをキメながらアクロバティックに着地、何て言う芸当はやれと言われても出来はしないが、それでも無音で爪先から着地し、膝や腰の関節にて衝撃を吸収しながら体勢を整えると、それまで両手を空ける為に背中にマウントしていた相棒を構え、戦闘体勢へと移行する。


……が、どうやらこの終点まで無事に落ちてきた者を、確実に抹殺するための『歓迎要員』として強大な魔物が配置されている、と言う訳ではないみたいであり、俺が気配を探れる範囲に魔物が居る様子は無いし、目に見える範囲でも同様に存在を確認する事が出来なかった。


「……待ち伏せ戦力は無し……かな?」


『妾も感知出来なんだから、多分本当にここいらには居らぬのじゃろうのぅ』


些か拍子抜けしながらも、魔物の襲撃を考えなくても良いらしい現状に感謝して、落ちてくる途中で何度も掛けたブレーキの影響により、半ば外れ掛けていた肩の嵌め治しと、落下中の姿勢制御に失敗した際に出来た細かい怪我の類いを纏めて治してしまうべく、個人個人に予め配布しておいた『回復薬(ポーション)』を取り出して、小瓶を一本飲み干しておく。


すると、ハッキリと異常を認識していた肩や、途中でぶつけた箇所だけでなく、指先の爪の辺りや腕等にもむず痒さにも似た感覚が励起され、『回復薬(ポーション)』によって身体が修復されて行くのが感じられた。


どうやら、自身で認識していたよりも多くの箇所にダメージを貯めていたらしく、それを早期に解決出来た事にホッとすると同時に、『回復薬(ポーション)』を使用した事によってもたらされる爽快感(依存性は無い……ハズ)に暫し身を任せるが、その間にも一応は気配を探る事は止めずに周囲の警戒を怠る事は無い。


が、結局、魔物から襲われる様な事も無く、そのまま回復が終わり、肩の調子を確かめながら飲み干した小瓶をポーチにしまった俺は、改めて周囲を見渡し、自身が置かれている状況を確認する事を試みる。


「なぁ、リンドヴルム?俺達って、大体どのくらい落ちてきたか解ったりするかね?」


『……そうじゃなぁ……。妾の囚われておったあの『迷宮』とは造りが違う故に確たる事は言えぬが、それでもほぼ確実に百階層近く落ちてきておるのでは無かろうかのぅ?』


それを聞いた俺は、あまりの衝撃に愕然とする。


「……ひゃ、百って、確かにかなりの時間落ちていたとは思うけど、そんなに深かったのか、ここって?

ってか、『百階層』ってお前さんが居たあの『試練の迷宮』よりも深いよな?確か、彼処って五十階層程度だったと思うんだけど?」


『……?お主、何を……ってそう言えば、主殿達は裏技的に『しょーとかっと』して来たのであったか……。なれば、彼処が全何階層であったのかを知らぬでも不思議は無い、と言う事かのぅ?』


「???」


リンドヴルムの言葉により、頭上へと疑問符を浮かべながら首を傾げていると、彼女による『迷宮』講義が開催された。


『主殿は知らぬかもしれぬが、この世界の『迷宮』と『試練の迷宮』の一番の差は、階層が決まっておるかどうか、じゃのぅ。

『試練の迷宮』は基本的に『百階層』と決まっており、その中で出てくる魔物なり罠なり最奥のボスの強さなりで、人間共によって難易度が決められておるらしいのぅ。おそらくじゃが、主殿達は開始の時点で既に五十階層の辺りにでも居ったのではないかのぅ?

一方只の『迷宮』の方じゃが、こちらは階層が十程の所も在れば、軽く百を超える所も在り、内部の構造も、ここの様に人工物風に整えられておる所も在れば、全く整備の欠片もされておらぬ洞窟風の所も在る、と言った具合に、文字の通りに『千変万化』と言うのが正しかろうのぅ。

故に、ここの様に妾が囚われていた『試練の迷宮』よりも深い『迷宮』が在っても、何ら不思議は無いと言う訳じゃのぅ』


……フム?分かった様な、分からん様な……?


『……まぁ、基本的に『試練の迷宮』の方が、普通の『迷宮』よりも難易度が遥かに高い、と覚えておけば良かろうのぅ』


「……ちなみに、『試練の迷宮』よりも難易度の高くて攻略の難しい『迷宮』って存在するんで?」


『……さぁ?どうじゃろうのぅ?流石に、人類に対しての『試練』として創造されたと言われておる『試練の迷宮』よりも凶悪な『迷宮』は無い、と言いたいところじゃが、仮に百を超える階層を持ち、その上で妾の様な『龍帝』が住み着くか、もしくはそれに準ずる様な存在が最奥に居れば、強ち『試練の迷宮』よりも攻略は容易い、とは言ってやれぬかものぅ……。

何処ぞには、並の『迷宮』と変わらぬ程度の難易度しか無い『試練の迷宮』も在ると聞くし、有り得ぬ、とは言い切れぬかのぅ……?』


俺の質問により、その小さなお手々を胸の前で組み、首を傾げながら『ん~?』と考え込んでいるリンドヴルムの姿にホッコリしながらも、他の面子と合流を目指して上に進むにも、それとも下へと下って行って最奥に現れると聞いている転移魔方陣による帰還を目指すにしても、どのみち進まなければならない事に変わりは無い為、相変わらず首を傾げて思考の海に漂っていたリンドヴルムを正気に戻すと、二人(一人と一頭?)で連れ立って、この『迷宮』攻略の為の第一歩を踏み出すのであった。





…………『開幕の落とし穴』?知らない子ですね。

面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等にて応援していただけると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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