59・大筋の説明に来たのですが……
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「ーーーって感じで、俺が群れのボスの相手をしている間に、他の上位種は同行した面子が片を付けてくれていたので、俺がボスを倒した時点で殆ど終戦みたいなモノでしたね」
「……そうか。苦労を掛けたな、タカナシ殿にタツ殿とレオ殿よ。そなたらを戦力として利用するつもりは無い、と言っておきながら、こうして余らで対処せねばならなかった事をやらせてしまって、本当に申し訳ない。何と詫びて良いものか……」
「……今回はその範疇の外だろう。気にするな」
「そうそう~。それに~、今回動かなかったら~、下手をしなくてもこの国が無くなって可能性が高いからね~。僕達も~、この国は気に入っているから~、出来れば無くならないで欲しかったし~、丁度良かったんじゃないかなぁ~?」
「まぁ、そう言う事ですよ。それに、結果的には俺達クラスの戦力が居なかったら、結構厳しかったのは間違いなかったんじゃないですかね?
そう考えれば、アレは俺達が勝手にやった事なんだから、そこまで深刻に考えなくても良いのでは?」
「……済まぬな……」
そう言って俺達三人に軽くではあれ頭を下げる魔王と、下げられている俺達が居るのは、毎度お馴染みである魔王城ゲーティアの一室である魔王の執務室だ。
今回、こうしてお邪魔している理由としては、あの未遂に終わった暴走の顛末を報告するためだったのだが、実はあの戦闘……いや、最早アレは戦争と言っても良いだろうが、とにかくアレが終わってから実に六日、既に一周が経過していたりする。
何故にそんなに経ってから説明しているのか、と言うと、別に大した理由が有る訳ではないのだが、強いて言うならば今日までは何かしらの理由で身体が空かなかったから、としか言い様が無いのである。
あのボス戦の後、周辺に残っていた『小鬼』を粗方掃討し、ギルドの精鋭(笑)達とは鉢合わせしない様に多少大回りして本部に一度戻り、討伐に成功した旨を報告した後、俺達三人は『練気』による全身強化の反動でフラフラになりながらも、どうにか首都であるクラニアムへと到着し、どうにかこうにか定宿である『踊る一角獣』亭へと到着すると、そこから約二日間程掛けて、ガタガタになっていた身体を治す事に専念し、取り敢えず動ける様にはなったのであった。
そうしたら、今度はギルドへと出頭してべリスのおっちゃんと共に、俺達がどうやって『小鬼』共の本拠地を叩いたのか、今回のボスはどのような個体だったのか、等を詳しく報告させられたのだが、その際に勝手に持ち場を離れた事、ギルドからの精鋭が担当するハズだった功績の横取り、その他諸々を以前の説明会の際に居なかったハゲにネチネチとつつかれたのである。
だが、実際に命を張っていた俺達からすれば、そんなモノ知ったことではない上に、色々と言ってやりたかった事も有ったので、その言い分に対して俺とべリスとおっちゃんは殺気を全開にしながら、俺達が配置された場所では異常に『小鬼』が沸いてきた事、本拠地で出てきた数からして前提となる総予想数が間違っていた可能性が高い事、そして、どうしても敵の準備やら何やらを見るからに『何処ぞの誰か』が感付かれた可能性が高い事等を、それらは全てギルドがキチンとやること何じゃ無いんですかぁ……?と逆に絡んでやったりしたのである。
そうしたら、その結果として、俺達三人は『青銅級』へと昇格の上に、『銀級』へ昇格する際に必要な昇格試験の受験資格が即座に与えられる事となった。
他の面子には、アストさんとべリスのおっちゃん達には、全員が現段階から一段階昇格をする事になった。よって、アストさんとべリスのおっちゃんは『アダマンタイト級』に、ウェパルさんとレライエさんは『ミスリル級』へと昇格する事となる。
後、一応、ギルドからの依頼と言う形であった為、半ば命令違反をしていた俺達にも、キッチリと報酬が支払われた。
まぁ、最大戦果を叩き出した関係もあってか、支払われた側である俺達がドン引きする程の額が支払われる事になったけれど。
……白金貨何て初めて見たわぃ……。
その後も、ギルドでの戦勝会に巻き込まれ、ボスを倒した『英雄』が居ないと締まらないだの何だので強制参加させられて一日潰れ、その次の日も、何処からか俺達が拠点を潰してきた事が周りにも漏れたらしく、首都を上げての戦勝会(一応『小鬼』が発生していた事は公表されていた)に引きずり込まれ、あっちこっちで揉みくちゃにされ、結局その日もグロッキーにされてもう一日、最後にソレまでのアレコレから来た疲労等で撃沈し、結局更に一日丸々潰れる事となり、こうして顔見せに来るのに六日も掛かる羽目になってしまったのである。
……大半が自業自得?……否定はしない。
と、そんな理由で、こうして報告するのが遅れてしまった訳なのだが、どうやらそこら辺の事情は既に把握していたらしく、特に嫌な顔一つされる訳でもなく、逆にこうして頭を下げられているのである。
……別段、こちらからも友人だと思っているのだし、一応は王様何だから、そんなに易々と頭を下げないでくれ、とは言ってあるんだけどなぁ……。
そんな感じで途中微妙な空気に成り掛けたものの、今回訪問した大元の理由である『事の顛末』は説明し終えた為、登城する際には一緒だったのだが、何やらする事が有る、との理由で別行動中のアストさんを待つ間の暇潰しも兼ねての雑談の最中に、何やら部屋の外が騒がしくなる。
何事か?と思いながらも、反射で魔王を背後に庇い、一応は国家元首に会いに行くのだから、と武装解除していたので、『武器創造』の『技能』で手元に武器を造り出し、万が一の事態に備えておく。
……が、何やら騒ぎの元となっているらしき人物『達』の気配には何となく覚えが有るし、段々と大きくなって来ている話し声にも、物凄く聞き覚えが有る気がする。
そう、具体的に言うのであれば、基本的な戦闘能力の向上と、やや危険な域に達しつつあった俺への『執着』と言うか『偏愛』と言うか……とにかく、逝ってはいけない方向にイきかけていた感情を落ち着かせる為に預けていた数名と、ソレ以外の面子の声にソックリである様に感じられる。
思わず背後に庇った魔王に対し、首だけ振り返って質問する。
「……あの~、魔王様?そう言えば、『彼女ら』って、今日この辺に来る予定が有ったりしましたか?面会の約束が有ったりだとか?」
「……いや、それはない。昨日そなた達からの連絡を受けた為、今日は何も予定を入れていなかったハズであるし、彼女らはこの時間帯はまだ訓練中のハズなのだが……」
「……ならば、俺達が『今』ここに居るってことを知っている人って、どの位居ますかね?」
「そんなものは、そなた達と余を除けば、後は執事たるフルカスと席を外しているアシュタルト位のハズ……」
そう言い掛けたものの、どうやら俺と同じ思考に至ったらしく、奇しくも同じタイミングで言葉が口から零れ出る。
「「犯人はアストさん(アシュタルト)かぁ……」」
そう、おそらく、今回俺達(より正確に言えば俺)がこの魔王城へと来ている事を漏らした犯人は、この場に居ないアストさんで間違いないだろう。
多分、言っていた用事とやらも、女性陣に接触するための建前と言う奴なのだろう。
まぁ、何だかんだ言っても、アストさんと異世界組の女性陣は仲が良いから、俺が直接この魔王城に来た場合には、連絡するようにお願いしてあったのだろう。
……その他の手段で感知しました!とか言われても、正直どんな反応をすれば良いのか困ってしまうけれどもね?
そんな訳で、おそらくは魔王の首を獲りに来た暗殺者さん達、と言う訳では無いみたいなので、『技能』で造り出していた武器をレオに渡して収納しておいて貰う。
……まさか無いとは思うけど、今更になって俺達を召喚してくれやがった何処ぞの国に寝返った、とか抜かす様だったら、俺がこの手で直々に『処分』してやるから、まぁ、大丈夫だろう。
そんな物騒な事を考えていると、そう言えば、と言った感じで頭に浮かんで来た事を魔王に聞いてみる。
「そう言えば、女性陣の訓練って、もう終わったんですかね?特に、こうして隔離される原因となった方面は、ちゃんと耐性が出来たんですかね?
俺的には、そこが一番心配なんですけど?」
「ああ、それに関しては……」
と、俺からの質問に応えようと魔王だったのだが、そのセリフは、突然開かれた扉が立てた音と、扉を開いて飛び込んで来た闖入者によって遮られ、俺の耳に入る事なきままに空気に溶けて消える事となった。
「「小鳥遊君!!!」」
そう叫ぶ様に俺の名前を呼びながら、飛び掛かって来た二つの人影による奇襲攻撃を、殺気が無かった事になったより無防備なままに受ける事になってしまった俺は、思わず口から『グェ!?』と悲鳴とも呻き声とも付かない音を漏らしながら、部屋の奥側の壁に激突する羽目になる。
一応は知り合いかつ女性であり、その上で告白まがいの事までされた相手だった事もあり、激突する瞬間に咄嗟に受け身を取りながら、襲撃者二人を腹側に回して傷付かない様にガードしてやる。
……まぁ、その代償として、咄嗟の受け身では流せない程の衝撃を背中の広範囲と腹部の一部に負い、暫く呼吸困難に襲われる事となったのだけれども。
そして、二人を庇った結果として悶絶する事になった俺へと、そうした張本人が激しいスキンシップ(片や俺の胸元に鼻を突っ込んでフガフガ、片や俺の顔面を胸元に突っ込んで頭をグリグリ)を取りながら、まるで長いこと会えていなかった恋人や、長年応援していたアイドルにでも遭遇したみたいに感極まった様な声色で、俺の名前を連呼したり、『会いたかった』だの『寂しかった』だのを延々と呟いている。
そんな二人の行動により、そろそろ呼吸困難は治まって来たのだが、そうしたら今度は別の要因で窒息しそうになった為、半ば無理やり引き剥がしてやると、今度はやれ横暴だ!とか、今まで我慢したのだからご褒美くらい頂戴!だの騒ぎ出した為、両者共に頭部へと手刀を落とし、物理的な衝撃によって強制的に黙らせる。
「……まったく、乾も先生も、俺から隔離した意味がない処か、逆に悪化してないかね?」
「私、小鳥遊君と別れてから、『我慢はしない方が健康に良い』って学んだからね!だから、頑張って戦える様になった私に、ご褒美として小鳥遊君の香りと成分の補給の為のハグをプリーズ!」
「先生も、頑張って魔法使える様になったから、小鳥遊君からご褒美が欲しいかな?何だか、小鳥遊君と離れていた間に母性に目覚めたって言うか、年下の男の子はドロドロに蕩けるまで甘やかす事こそが至高だ!って事に気付いたから、取り敢えず頭ナデナデしてから添い寝で構わないから、先生にさせて貰えないかな?」
そんなことを、キラキラと輝く無垢なる瞳で言い放つ二人を尻目に、魔王へと詰め寄り抗議する俺。
「……なぁ、魔王様よぅ?」
「……何かな?」
「……あの二人、預ける前より悪化してんたけど、どう言う事だ?あぁん?」
「……フルカスより聞いた話では、クチナワ殿とクマタニ殿に関しては、鎮静化する事に成功したとの事だったのだが、イヌイ殿とサトウ殿に関しては、逆に深刻化したとも報告が……」
そこで口籠った魔王の胸元を思わず掴み上げ、思いっ切り前後にガックンガックン!と揺さぶりまくる。
「そう言う大事な事は!もっと早よ言えや!!」
……思わず怒鳴り付けた俺に対して、非難できる人はそうそう居ないと思う……。
******
どうにかこうにか落ち着かせた乾と先生も席につかせてから、今回こうして『二人だけ』で突撃かまして来たのかを聞き出してみる。
……そうしたら、案の定二人が俺へと特攻かましてくれていた隙にこっそりと侵入していたアストさんに、今日俺が来ている事を教えられ、居ても立ってもいられなくなって突撃してきた、との事である。
そんな二人の供述に頭を抱えていると、二人の方からジットリとした視線が向けられている事に気が付く。
その視線に対して、首を傾げて説明を求めると、ため息と共に俺へとお説教が降りかかる。
「はぁ……。小鳥遊君?貴方は、私達の外見で、何処か変わった処が有ることに、まだ気付かないの?本当に?」
「先生はもう大人だから、小鳥遊君の年頃だったらまだ気付かなくても仕方ないって事は分かっているけど、それでも女の子が『想い人』の為に頑張った『お洒落』に気付いて貰えない、って言うのは、結構悲しい事なのだけど、それは理解してくれているのかな?」
そう言われて、あぁ、そう言う事か、と納得する。
確かに、乾は胸元やら方やらが丸出しで、矢鱈とセクシーなドレスだったし、先生もパンツスタイルのスーツみたいな格好だったけど、大胆に背中が剥き出しなデザインのモノを着用しており、何だか色っぽく感じてはいた。
だが、外で冒険者として活動していると、そんな感じの服装で出歩いている人(『魔族』?)もチラホラと見掛けてはいたので、ここに居る時はそんな感じの格好だったのだろう、と勝手に解釈していた為に、敢えて指摘せずにスルーしていたのである。
「……いや、そりゃ以前とは服装が違うなぁ、とは思っていましたけどね?別段恋人でも無い異性が、突然に服装の話題何て出す訳が無いでしょうよ?
それに、二人とも俺と『そう言う関係』に在る訳でも無いのだから、そもそもとして期待する方がどうかしているのでは?それと、外だと似た様な服装の人って結構居ましたからね?」
そう指摘してやると、二人とも何処かで心当たりでも有ったのか、それ以上は特に言及してくる事は無かったが、それでも『綺麗だね』だとか『似合ってるね』だとか言って欲しかったんです~!とブウブウ文句言っていたけれども。
……まぁ、確かに、彼女らにその服装は似合っているし、着飾っているその姿は綺麗ではあったが、わざわざそれを言ってやる必要性ってあるのかね?何て考えていたのだが、どうやら口から言葉として漏れていたらしく、それを聞いただけで二人ともにコロッと機嫌が直ってしまったみたいである。
……ちょいとチョロ過ぎない?お兄さん心配になってきたんだけど?
そんな、俺の一言で一喜一憂している二人には悪いが、俺本人としてはそこまで深い関係になるつもりは無い為に、わざと空気を読まずに本題へと入る。
「それで?こうやってわざわざ来た、って事は、何かしらの用事なり何なりが有ったんじゃないのか?」
「それは勿論、小鳥遊君に会いに「そう言うのは良いから」……んもう、ケチ」
「冗談はここまでにしておくとして、先生達がここに来た元々の理由なのだけど、フルカスさんから先生達全員に『もう大丈夫でしょう』ってお墨付きが貰えてね?もう外で冒険者として活動しても大丈夫!って許可が貰えたから、その事を小鳥遊君に報告しようと思って陛下にお願いしようかな?と思っていたら、アストちゃんと遭遇して、こうして顔を合わせている、って処かな?」
「じゃあ、他の面子は?そもそも、冒険者志望じゃあ無かった奴も居たんじゃなかったっけか?」
「そこは、せっかく戦闘訓練を受けたんだから、取り敢えず登録だけでもしておこう!って言う風に意見が纏まってね?だから、ここを出たら取り敢えず全員でギルドに行ってみようと思っていたの。他の人達は、全員分の荷物を纏めている処だね」
「……ふむ?なら、一緒にギルドまで行くかね?俺達もこの後は依頼も入れて無いし、ギルドまでの道も知らないだろう?
……それに、後から俺達の知り合いだとバレると、他の冒険者やら性質の悪い連中やらから、変なことをされかねないからな、先にまともな知り合いに紹介しておいてやるよ」
そう言ってやると、俺からは反対されるとでも思っていたらしい二人は驚いた顔をしていたが、それでも俺達(多分主に俺)と一緒に冒険者が出来る、と理解したらしく、その顔に喜色を浮かべながら、他の面子がやっている荷造りを手伝うべく、走って部屋から出て行くのであった。
……集合場所は指定してなかったけど、取り敢えず門の処で待っていれば良いかね……?
そして、スタートから置いていかれたかと思った!と案の定文句を言われながらも、道中賑やかに移動し、俺達が身元を保証する形で身分証兼で手に入れたギルドタグに目を輝かせながらも、俺達とはランクが違いすぎるからまだ一緒にはお仕事出来ないと知り、四名程その場で床へと崩れ落ちる事となったのだが、それはあまり関係の無い話故に、詳しくは語らないけどね?
後1~2話程でこの『魔王国編』を締める予定ですが、その後に『キャラクター紹介』か『用語集』のどちらか、もしくは両方を入れるかどうかで悩んでいるのですが、どちらか、もしくは両方とも有った方が良い、と言う方は、感想にてお知らせ頂けると有難いですm(__)m
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