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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第二章・魔王国編

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57・敵を蹴散らした先にはボスが待ち構えていました

ブックマークしてくださった方々に感謝ですm(__)m



「はぁぁぁああああ!!!」



ビュォン!!!



「◆Ω♪※☆〓!!!!」



ガギィィィイン!!!!



俺が裂帛の気合いと共に放った、やや下方から捻り込む様な横凪ぎの斬撃を、言語としては理解出来ないながらも、相手である上位種(推定『総帥(ヒューラー)』クラス)も同じ様に雄叫びと共に渾身の力を込めて、得物であるポールアックスの斧刃の峰に相当する部分にて、俺からの致命の一撃を防御する。


……だが、街を壊滅させうる可能性を秘め、『災厄』として恐れられている『小鬼(ゴブリン)』の上位種であったとしても、それまでに俺から与えられていた大小様々な傷により、それまでの様に上手く膂力を乗せられなかったらしく、戦闘開始時とは真逆の形で今度は『小鬼(ゴブリン)』の方が力負けして、無理矢理にノックバックさせられる形となっている。


流石に、体勢を崩して距離を取らされている状態を見ては、追撃を入れざるを得ない訳で、ここぞとばかりに踏み込むが、やはりと言うかなんと言うか、ここ数回の打ち合いに於いてほぼ確実に俺が嫌がるタイミングで打ち込まれて来ていた矢が、バッチリとこのタイミングでも俺目掛けて飛来したのだが、既に十回程は似たようなタイミングで撃ち込まれており、いい加減見えなくても気配で感知出来る様になってしまっており、立ち止まったり視線を向けたりする事すらせず、首を傾けるだけで頭部に定められていた狙いを回避し、前衛たるポールアックス持ちの個体が体勢を立て直す前に、更に踏み込み距離を詰める。


奴らも、この避け方は予想外だったらしく、距離を詰めさせない為の牽制の矢は飛来せず、先程まで戦っていたポールアックス持ちの個体は、まだ体勢を立て直す事が出来ていないのか、驚きの表情(多分)を浮かべたままに硬直し、こちらを凝視するだけとなってしまっている。


……何だ、ここまでは中々見所の有りそうな感じだったのに、最後の最期でコレでは、とんだ期待外れと言うモノじゃあないか……。


そんな、我ながら戦闘狂染みた思考に若干呆れながらも、それまで『練気』無し(・・)で行っていた戦いに終止符を打つべく、目の前に居る『獲物』の命を刈り取る為に相棒を差し向ける。


そのタイミングで、どうやら弓持ちの個体が戦意を取り戻したらしく、俺にトドメを刺させまいとして矢を放って来るが、こちらとしてはいい加減にうざったくなってきた事もあり、相棒を回転させる勢いのままに矢を弾くと同時に体勢を入れ替え、その際に生じた勢いを殺す事なくそのまま腕へと伝わらせ、俺が相棒を操っている様にのみ注意が行っていた弓持ちへと、左手の中に造り出した短剣を投擲し、何かしらの反応を起こされる前に排除してしまい、改めてポールアックス持ちの個体へと向き直る。


すると、仲間を殺されて激怒したのか、それまでよりも荒々しくポールアックスを振りかぶり、俺目掛けて降り下ろそうと仕掛けて来る。

……だが、怒りによって我を忘れてしまっているらしく、勢いや気迫の類いはそれまでよりも上ではあるが、如何せん振るった際の刃筋が余計な力みや感情によってブレてしまっており、俺が横から軽く叩いてやるだけで、意図も簡単に目標たる俺から外れて地面へと食い込み、そうそう容易くは外れてくれないであろう程度には深く突き刺さってしまっている。


身を守る為の武器を手元に戻そうと、必死にポールアックスの柄を引っ張っているが、その程度で容易く抜けてくれる程に地面は柔らかくは無かったし、そこまで刺さりが浅い様にも見えはしない。


そんな、見方によっては滑稽にも見えてしまう様を目の当たりにし、それ以上、これまで死闘を繰り広げた相手の無様な姿は見ていたくなかったので、見る者が見なければ『雑』な手つきである、とでも評価されたであろう一撃にて首を落とし、俺の元へと来ていた分の討伐を終了させる。

……まぁ、まだまだ通常種の雑魚共や、タツやレオが相手していた分はまだ残っているのだろうけど。


油断無く相棒を小脇に抱えたままで周囲へと視線を向けるが、俺がほぼ一人で上位種二体を倒してしまった事に、周囲を固めていた通常種の雑魚共は酷く動揺しているらしく、俺の周辺にエアポケットを作って囲むだけで、別段襲い掛かったりしてくる気配は、今の処は存在しない。


……しかし、そんな現状も、とある理由(・・・・・)から『練気』による身体強化を『使えず』に、素の身体能力によってのみ戦っていた俺からすれば、消耗した体力を回復させるチャンスになるためにむしろ好都合であり、襲ってこないのであれば、と有り難く休憩させてもらう。

当然、臨戦態勢は解除せず、端から見ればそれまでと変わらずに相棒を構えている様にしか見えないだろうけど。


そんな体勢を維持したままに、少し前までタツとレオが上位種相手に戦闘をしていたハズの場所へと視線を向けて、必要と有らば加勢するために、今現在の戦況を確認しておく。


まずは、近場で戦っていたハズのレオの方に……と思って視線を向けるが、そこには両肩と両膝の関節部分に小柄と棒杭を撃ち込まれ、更に片目を縦に切り裂かれた状態で喉元も掻き斬られ、既に壮絶な戦士を遂げている、レオと戦っていたハズの盾と長剣を持っていた個体の姿が在った。


剣術と盾術の基本に忠実でありながら、それでもレオの足留めに徹する動きを見せていた相手だったとは言え、ちょいとばかり片を付けるのが早すぎないか?と思いながらその死体の周辺に目をやると、まるでガラスの表面の様に滑らかながらも、見る者が見れば『技』で斬ったのではなく、どちらかと言えば『力』で断ち斬った事が伺える切断面を覗かせている、真っ二つに両断された剣と盾が転がっているのが確認出来る。


……あの野郎、もう使いやがったのか……。


そんなことを思いながら、少し前までタツが大剣持ちの個体と槍持ちの個体の二体を相手取っていた辺りに目を向けると、そこでは大剣持ちをタツが、槍持ちをレオがそれぞれの対戦相手として一対一の戦闘に移行しており、戦況としては概ね二人の方が優位に立っている様にも見受けられる。

現に、槍持ちよりも遠い間合いから一方的に投擲を行い、確実に相手の被弾を増やしているレオと、既に大剣の間合いの内側に入り込んでしまい、敵の初動を潰しつつ、動きの始点となる腕や足、重量武器に於ける動作の起点となる腰と言った重要箇所を優先的に攻撃しており、両者共にそう遠くない内に決着が付くと見て間違いは無いだろう。


……こうして、戦闘の外側から改めて見てみると、俺達が戦っていた『総帥(ヒューラー)』クラスと思わしき上位種の戦闘力の高さが良く分かる。


これまで薙ぎ倒してきた通常種の雑魚共や、時折混じっていた指揮官的な行動を見せていた上位種(推定『将軍(ジェネラル)』クラス)ならば、確かに冒険者で言う所の『銅級(Eランク)』上位から『銀級(Bランク)』程度の戦闘力が有れば、余程油断しているか、もしくは極稀に混じっていた『変に強い個体』に当たらなければ、概ね問題なく倒せる程度の強さしか無い。

それは、実際に戦って得たデータとして、確定している情報である。


……だが、俺達が戦っていた『総帥(ヒューラー)』クラス(推定)は、それ以外の連中とは文字の通りに『桁違い』に強い、と断言しても良いだろう。


それこそ、この世界に来たばかりの俺達や、あの試練の迷宮をクリアした後位の乾達、そして、直接手合わせした事が有る訳では無いし、これまで『全力』を出している処を見たことが無い為ハッキリとした事は言えないが、恐らくは『ミスリル級(Sランク)』のアストさんやべリスのおっちゃん達で漸く戦いになるかどうか、と言ったランクの戦闘力を持っており、その上で、得物を武術の理に沿って扱うだけの知性を持ち合わせている事から、部下や配下として通常種の『小鬼(ゴブリン)』達を指揮したとしても、かなりの采配を振るうであろう事は、想像するに難くは無いだろう。


こう言ってはアレだけど、確かに街の一つや二つ程度ならば、こいつらならば潰せそうだ、と納得が出来てしまう程度には、厄介であると断言出来るだろう。


そんなことを考えていると、どうやらタツとレオも戦闘が終わったらしく、それぞれの相手であった死体を放置したままに、俺の方へと歩いてくる。


「ハイハイ、二人ともお疲れさん。

しかし、意外とタツの方は押されてたっぽいけど、大丈夫かね?負傷自体は『アレ』で治せるだろうけど、流した血液は戻らないっぽいんだから、早めに使って措けよ?

んでもってレオよ?お前さん、何でこんなタイミングで使っちゃってんの?基本的に使わずに、ボスとの戦闘まで温存、って話だっただろうに?と言うか、もう『使っちまった』ってことは、そこまで長々とは戦えない、って判断するけど、構わないんだろうな?」


「……案外と手練れで少々梃子摺った。怪我自体は大した事がないし、流血もそこまでではないから、まだまだ大丈夫だ」


「流石に~、あのレベルで『使える』相手が複数掛かりだと~、万が一が有りそうだったから~、仕方なく、ね~。でも~、使ったのはあの盾持ちの奴相手にした時だけだし~、まだ数分程度しか使ってないから~、まだまだ大丈夫だよ~?」


そうまるで『何て事は無かった』とでも言いたげな表情で返事をしてくる二人だったが、片やそれなりに深い傷も幾つか負ってしまい、そこそこの量の出血を強いられた為に若干貧血気味であり、やや顔色を悪くしているし、もう片方は、パッと見た限りでは碌に負傷らしき負傷をしている様には見えないが、それでも『練気』による『全身の強化』を行った反動により、良く見なければ分からないレベルではあるが、体力の消耗と身体各所からの痛み(危険信号)によって顔を歪ませている。


……そう、俺が、今の今まで『練気』による強化を最低限に押さえていた理由が、今レオを襲っている『反動』である。


以前も説明した通りに、この『練気』による身体強化は、時間を掛けて少しずつ生成し、徐々に身体に馴染ませる必要が有る。

そうしないと、強化するだけで大きな負担が身体に掛かるからだ。


だが、時間を掛けて馴染ませたとしても、使用した際に掛かる負担が無くなる訳では無い。


手足の様な一部分だけだとか、下半身・上半身を一瞬だけ、だとかならば、比較的負担は大きく無い為、それなりに数を重ねたとしても大丈夫なのだが、それが全身の強化であったり、それらを持続して行ったりすると、強度の『気』による強化に体が耐えきれなくなり、強化を解いた後に反動として身体にダメージが発生するのである。


そして、そのダメージは『命の水(エリクサー)』による回復保証の範囲外であるらしく、例え多めに摂取したとしても回復してはくれなかった為に、今回は出来るだけ『練気』による強化は温存する、と言う方針を立てていたのである。


まぁ、幸いにして、『練気』による強化の反動ダメージは、暫く休んでいれば抜けてくれるタイプのモノだし、『練気』その物も、それこそ数十分も使いっぱなしとかにしなければ死ぬことは無いのだから、そこまで深刻な問題……では有ると言えば有るのだが、今それを言っても仕方があるまい。


そんな訳で、敵の主戦力と思わしき連中は片付けられたものの、その他の通常種の数の暴力は未だに健在にも関わらず、こちらの戦力としては、タツが半減、レオが暫く使い物にならない。

唯一残った俺にしても、今ここで『練気』による強化を最大にして大暴れするならばともかく、そうでないならばここまでの数を相手にするのは、出来れば遠慮願いたい処である。


これまで俺達を遠巻きに眺めるだけだった雑魚共も、どうやら俺達が攻め込むつもりが無いらしい、もしかすると何処かに怪我でもしていて、もう戦えないんじゃないのか?と言った様な考えに至ったらしく、顔にこれから行う戦闘に対する戦意と、自分達の数によって一方的に俺達をいたぶる事を想像した事による愉悦を張り付け、ゆっくりと少しずつそれまで作っていたエアポケットを狭めて来ている。


……不味いなぁ……、これは、頑張って殺らないとダメかなぁ……?


何て考えながら、改めて相棒を構え直した時だった。


突俺達を囲む様に布陣していた『小鬼(ゴブリン)』共の背後から突然に、見上げんばかりの高さを誇る水で出来た壁が立ち上がり、それがこちら目掛けて崩壊し、殺到して来たのである。


その、突如として発生した水害により、俺達を痛め付ける事だけを考えていた『小鬼(ゴブリン)』共はパニックに陥り、指揮もクソも無いままにアタフタと慌てるだけであったが、その混乱に乗じる様に、水の壁が立ち上がった辺りから飛来した矢や、黒みを帯びた緑色をした槍の様なモノに貫かれ、確実にその数を減らされて行く『小鬼(ゴブリン)』共。


大質量の水や一撃必殺の矢、そして、着弾すれば一瞬で、そうでなくてもかすっただけでその場所から腐敗して行き、そう時間が掛からない内に腐れ落ちさせられる槍による強襲により、士気はガタガタ隊列はボロボロに崩されてしまった『小鬼(ゴブリン)』の中へと、まるで追撃でも掛けるかのように飛び込んで行く全身甲冑の大楯持ちと、それに追随するように飛んでいる鳥と子竜の姿を見て、漸く飛び出そうと下半身に込めていた力を抜いて、戦闘体勢はとったままで若干楽な姿勢へと重心を変える。



……どうやら、ここではもう頑張らなくても良いっぽいね……。



そんな事を胸中で考えながら、戦場の『流れ』が完全にこちら側に在ることを確認した上で、初めて身体を休める為に、相棒の石突きを地面に降ろすのであった。




******




リンドヴルムからの伝言を聞き、駆け付けてくれたアストさん達と共に城塞前に展開していた『小鬼(ゴブリン)』共を殲滅する事に成功した俺達だったが、その前から戦いっぱなしだった俺達も、急行した直後に戦闘に突入する羽目になったアストさん達も些か疲れが出てきていたので、暫し休憩を取ることになった。


ある程度『小鬼(ゴブリン)』の死体を脇に寄せてから地面に座り、それぞれがここに来るまでに何があったのか、ここでどの位倒したのか、等の情報交換を行いながら、ある者は持ち込んだ携帯食料を口にし、ある者は消費した消耗品の類いを再度準備し、またある者はまとわり付いて来る小動物達を撫で回して癒されながらも、とある人物からもまとわり付かれて固まったりしながら、各自で疲れを癒して行く。


そして、それぞれがある程度回復したので、そろそろ本丸を攻めてしまおうか、と意気込んでみた時であった。



それまで固く閉ざされ、外に展開していた『小鬼(ゴブリン)』共が、必死の形相で『開けてくれ』と懇願するように叩いた時にも開かれる事の無かった門がゆっくりと開かれ、そこから通常種よりも若干体格の良い『将軍(ジェネラル)クラス』と思わしきモノを多数と、通常種と比べると明らかに体格からして異なる『総帥(ヒューラー)クラス』と思われる数体の『小鬼(ゴブリン)』を引き連れた、明らかに体格の違う、されども外見としては概ね『小鬼(ゴブリン)』と変わらないが、結果としては今の今まで見たことの無い個体が歩み出て来たのであった。



その、今まで見た事の無かった個体は、一目で他のそれとは違うと理解出来た。


体格が大きいとか、装備が他の連中よりも立派だとか、さっき戦った『総帥(ヒューラー)クラス』の連中が従っているみたいだとか、そんな見て解る様な事柄ではなく、その身に纏った雰囲気が、俺が、俺達がよく知っていた『ある人達』とそっくりだったのだ。


……そう、結局、幾度も挑んだものの、一度として勝つことの出来なかった祖父達。

俺達の流派の先達にして、先代の継承である師匠達の纏っていた『絶対強者』の雰囲気その物であった。


そして、そいつは城塞から出撃し、ある程度の処まで俺達に接近すると、それまで背中に背負っていた槍斧(ハルバード)を片手で抜き放ち、その先端に付いている槍の穂先でこちらを指し示す。


そして、俺達でも理解する事の出来ない、『小鬼(ゴブリン)』共の言葉を静かに呟くと、その周囲にいた上位種共が、顔に戦意と恐怖の色を張り付かせたまま、一斉にこちらへと武器を振り上げながら駆け寄せて来る。



「総員、戦闘体勢を取れ!あれらは全部上位種だ!油断すると殺られるぞ!特に、中央のデカブツには注意しろ!アレはヤバい!!」



咄嗟にそれだけ声を掛けると、初動の出遅れを取り戻すべく、相棒を脇に構えて駆け寄せて来る『小鬼(ゴブリン)』の群れへと突っ込んで行くのであった。

一応、次かその次位でこのゴブリン辺は終了させて、その後何話か続けた後に、『魔王国編』を終わらせる……予定です


面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等で応援していただけると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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