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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第二章・魔王国編

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55・ちょいと敵拠点にカチコミ掛けて来ます

ブックマークや評価で応援してくださった方々に感謝ですm(__)m



「……まさか、あんな事になるなんて、さすがに予想もしていなかったんだけど……?」



「……完全に、予想外だったな……」



「こう言っちゃあアレだけど~、やっぱり『文化の違い』って奴なんじゃないのかなぁ~?だとしたら~、あんまり深く考えても仕方ないんじゃないの~?今までだってそうだったでしょ~?」



そうやって、直前に行われた『とある出来事』について愚痴り合いながら、森の中を深部目掛けて高速で移動し続ける俺達三人。


カーラは、サーラさん達三人の護衛と本陣への道案内、それと周辺の安全確認を兼ねた斥候的な役割として派遣しており、リンドヴルムはアストさん達への伝達役としてこの場を離れているので、珍しくここには俺達しか居ない。


そして、何でそんな状況をわざわざ作り出してまで、内輪で愚痴を溢しているのか、と言えば、やはり彼女らのあの発言、特に『主』云々に関してが主な原因だと言っても間違いは無いだろう。


……いや~、あの時はマジで焦った。

いや、『焦った』と言うよりも、どちらかと言えば『パニクった』と言う方が的確だろう。


何せ、言われた当初はあまりにも突然な出来事に、滅多なことでは最早動じない、との自負があった俺達も些か混乱し、タツは何かの状態異常なのか?と目を見開いて三人を『看破』で診断し始め、レオは近くから魔法か何かでも使われているのか?と周辺を探索しに行こうとし、俺は俺で使った『命の水(エリクサー)』に何かしらの異常や毒物でも混入したのか?との考えに思考が飛躍し、一応は、と携帯していた毒物を検査する為の試薬やら、解毒剤の材料として使える素材やらを取り出して、その場で調薬を開始しようとした位である。


カーラは相変わらずモフッとしており、何やら騒がしいかな?みたいな表情で俺達の顔を見比べるだけであったし、リンドヴルムに至っては、主殿の新たな(しもべ)が増えるのかのぅ?とか、訳の分からない事を口走る始末で、余計に俺達の混乱を助長させるだけであり、事が一端の沈静化を図れたのは、見かねたサーラさん達が俺達を宥めに掛かってくれたからであった。

……その位混乱していた、と言う事である。


辛うじて精神の鎮静化に成功し、残っていた僅かな動揺もカーラをモフモフする事で払拭する事に成功した俺達(主に俺)は、サーラさん達に礼を言うと同時に、先程の発言の意図を問い掛けてみたのだが、その質問に不思議そうな表情をしながら答えた彼女らの証言を纏めると、大体こんな感じになる。



・まず、『獣人族(ベスタ)』全体的な考え方や感性として、自分よりも強い者に惹かれ、それと同時に『従う』、『仕える』と言った感情を非常に強く抱きやすい傾向が有るが、より強い相手と遭遇した場合、そちらの方に乗り換える事も珍しくは無いのだとか。


・種族全体で見た場合の『ルール』(の様なナニカ)に於いて、『命を助けられたのであれば、それに値するだけの返礼をするべし』との記述が在る位には義理堅い種族であり、助けた本人が嫌と言ったとしても、無理やりにでも『お返し』をしないと、『獣人族(ベスタ)』全体から『恥知らず』、『恩知らず』の謗りを受ける事となるらしい。



……そして、今回の件は、『自分達よりも圧倒的に強い』俺達が『三人の命を救った』構図となっているのだ。

そして、結果的には先程挙げたどちらのケースにも当てはまる事であり、恩返しをする事は確定事項ではあるモノの、返すべき恩が大き過ぎる程に大きく、とても普通の手段では返しきれるモノでは無いと判断した為、ある意味『獣人族(ベスタ)』の中では禁断の行為とされている、自らの誇りと信念に誓い、仕える主を一人に定める事で、一生涯を掛けて俺達それぞれに恩返しとさせて貰おう、との考えの元の言動であり、その果てのあの言葉であったのだとか。


……確かに、良く良くあの時の場面を思い返してみれば、それぞれ助けられた相手に対して、真っ直ぐに見詰めながら言っていた様な記憶も有るし、その直前にもおかしな言動を見せていた訳ではなかったのだから、恐らくは本当の事を言っているのであろう。

まぁ、もっとも、この『獣人族(ベスタ)』の性質?習性?は、色々な意味で有名なモノであるらしく、説明していたサーラさん達も、何故そんなことを聞くのか?とでも聞きたげな表情を見せていたが、そこはどうにか誤魔化せたと思われる。……多分。



そんな訳で、これから末長く仕えさせて頂きますので、覚悟して下さいね?主様?



そんな不穏なセリフと共に、サーラさんは俺に、シンシアさん(ライオネルの人)はレオに、サーフィスさん(ナーガの人)はタツへとジリジリとにじり寄り、端から見れば、『末長く仕える』って絶対意味が違うよね?だとか、『覚悟する』ってナニを覚悟させるつもりかね?だとかの突っ込みが入ること間違いない様な雰囲気で近付こうとしていたのだが、その時突然に本陣の方から狼煙が上げられる。


リンドヴルムに上空から観てもらった処、本陣からの進捗状況を問うモノであった事が判明したのだ。


一応、事前に行われていた打ち合わせに於いて、それぞれで距離が出来てしまう事により、意思の疎通が取れなくなってしまい、それにより戦場の状況確認が出来なくなってしまう事を危惧した指揮官(一応居る。……本陣に詰めて出てこないけど)により、先程の様な狼煙による通信手段が提案され、こうして実際に使用されている訳なのである。

その時に決まった内容としては、今みたいに本陣から『白』の狼煙が上がった際は、俺達雑魚掃除組に対する進捗状況の問い合わせであり、それに対する返答としては、『赤』の狼煙で『危険、対処不能』、『緑』の狼煙で『経過良好、作戦順調』、『青』の狼煙で『殲滅完了、作戦成功』と言った感じとなっている。

……ちなみに、どうやって狼煙に色を着けているのか、そもそもどうやって上げているのか?と言うと、魔物由来の不思議素材を弄くって作られたピンポン玉状のモノが配給されており、それを焚き火に放り込むなり、松明にくべるなり、魔法で炙るなりすると、その玉に着いている色の煙がモクモクと立ち上ぼり、目印としては目立ちすぎる程に目立つ狼煙が上がる仕組みとなっている……みたいなのである。


そして、本陣からの狼煙を受けて、森の各所からも返信としての狼煙が上がり始めるが、何処もかしこも『緑』の狼煙ばかりが上がっており、その中で時折『赤』の狼煙が混ざる程度の進捗でしか無いらしく、唯一上がった『青』の狼煙も、方向と距離から考えてみると、俺達とべリスのおっちゃん達とが殲滅した処だけの様であった。


一応、サーラさん達が担当していたこの周辺も、俺達の索敵能力や気配察知の及ぶ範囲内には、既に敵が居ないと分かっているので、上げる狼煙は『青』になるのだろうが、それでも十数個あったレイドパーティーの中でたったの二つだけであり、しかもその両方に俺達が関与しているとなると、若冠情けなく思ってしまったとしても、責められはしないのでは無いだろうか?


そんなこと考えつつも、視線で『某達は如何なさいますか?』と、考え方が既に仕える側へとシフトしているらしきサーラさんが問い掛けて来るのに対して、取り敢えずここの分も『青』で上げておくしか無かろう、と指示を出そうとしたその時であった。


ふっ、と俺の脳裏に、こんな考えが過り出したのだ。


……アレ?既に殲滅を終えて、ある意味自由に動ける様になっているのは、まだ俺達とべリスのおっちゃん達とで組んだレイドと、サーラさん達三人だけ。

その内、サーラさん達は負傷は完治させたけど、それでも流れ出してしまった血液の補充はまだ出来ていないだろうし、戦闘で壊れてしまった装備も多い事から、これ以上の戦闘はあまり望めはしないだろう。故に、本陣まで下がらせたとしても、周囲から責められはすまい。


そうなると、ある意味で完全に『フリー』になっている人間は、俺達三人とべリスのおっちゃん達三人、それとアストさんだけと言う事になるだろう。


そして、先にボスを潰してしまった際に発生するであろうデメリットの元である雑魚共は、俺達が削った分を除いたとしても、かなり数を減らしていると見て間違いは無いハズだ。


そして、本命として投入される予定となっていた最精鋭の連中も、まだ『赤』の狼煙が上がっている様な状況ではまだ投入されないだろうし、今のタイミングでサーラさん達を一旦下げ、本陣まで戻らせた上で、『一応殲滅には成功したが、多大な犠牲が出たので退却してきた』とでも報告させれば、更に投入のタイミングを遅らせる事が出来るんじゃあるまいか?……まぁ、逆に、そこから送り込もう!なんて流れになるかも知れないけれども。




そんな、本陣がグズグズとしていると、勝手に被害が拡大しかねない状況にあるならば、自己判断で俺達がボスを殺っちゃっても構わないよね?




そんな結論を勝手に脳内で叩き出した俺は、手招きでタツとレオとを近くに呼び、聴力にも優れているとの話であるサーラさん達(『獣人族(ベスタ)』は身体能力が全般的にとても高い……らしい)には聞こえない様にコショコショと内緒話を耳打ちし、こんなことを考えてみたんだけど、お前らはどうする?と視線で問い掛けてみた処、



「……当然、参加だ。決まっているだろう?」



と言いながら、普段のしかめ面からは想像も出来ない程に、獰猛な笑みを顔に張り付かせた強者との戦闘(ジャイアントキリング)が大好物なタツと、



「そんな『面白そう』な話、僕が乗らないハズが無いだろう?」



普段のポヤポヤとした口調と表情をかなぐり捨て、もはや『本性』とでも表現すべき素顔を覗かせ、まだ拠点に辿り着く処か出発すらしていないのに、早くも殺気を溢れさせ、まるで人斬り包丁の様な雰囲気を纏ったレオと言った、この上無い返答が返ってきた事により作戦の決行が確定し、行動に移される事となる。


まず最初に、本陣へと連絡を入れる事を含めて、最初の混乱を発生させる為に、『青』の狼煙を上げた直後に『赤』の狼煙も上げさせてから、カーラに先導兼斥候役をお願いし、サーラさん達に着けて本陣まで退却させ、俺達が考えたシナリオを吹き込ませて、更なる混乱……と言うよりも、無理矢理に選択肢を増やしてやり、どれを選ぶのかを選べない、みたいな状況を作り出してやる。

……ちなみに、サーラさん達には、俺達と遭遇したことは秘密にし、負傷は偶々持っていた『凄い回復薬(ポーション)』で治した、的な説明をするように頼んである。万が一俺達の事を喋ったら、頼もしいモフモフ先導役が、即座に凄腕の暗殺者(『小鬼(ゴブリン)』の上位種程度なら普通に殺れる)へとジョブチェンジするからね?とも脅しておいたから、多分大丈夫だろう。


そして、リンドヴルムにはアストさん達への伝言として、一応の予備戦力として合流をお願いしたい、と伝えて貰う様にお願いしておいた。

一応、俺から程では無いにしろ、何となくで良ければリンドヴルムの方からも、俺の位置は分かるらしく、合流する際にはリンドヴルムに先導してもらえば、まぁ間違い無く合流出来るだろう。……まぁ、派手に戦闘が起こっている処を目指せば、下手をしなくても辿り着けるかも知れないけど。


それに、一対多に特化しているタツや、一撃離脱型のレオ、一対一の方が得意な俺と揃っているとは言っても、対遠距離攻撃時に取れる手段がそこまで多い訳ではない(無いとは言っていない)ので、実際に魔法による範囲攻撃を行っていたウェパルさんや、まだ見たことは無いが、言動から使えると推測出来るアストさんは、後衛として是非とも欲しい戦力であることは、間違い無いのだけどもね?

もちろん、機動戦が得意との話のレライエさんも、頼りにしているけどね?俺達みたいに一芸に特化している人間だと、あの人みたいな多彩な戦い方は出来ないからね。

……べリスのおっちゃん?

…………ほら、あの人は、もう歳だから……。



そんな訳で各員に指示を出し、冒頭の様に俺達だけで敵本拠地を目指して突き進んでいるのだが、何故それが愚痴大会に発展しているのか?と言われると、参加者たる俺にも確たる事は言えないし、そもそも良く覚えていないのだが、たしかこれから襲撃する『小鬼(ゴブリン)』の本拠地には、どんな奴が居るだろうか?と言った感じの話題から発展し、


俺達の持ち場にあった砦って、どうやって作ったんだろうか?



あそこでアレだけ出てきたってことは、何かの重要拠点の類いだったんだろうか?



あそこにアレだけ居ると知った上で俺達を投入していた、とするならば、やっぱりギルドには『落とし前』をつけて貰わねばなるまいなぁ……?


と言った感じで話題がシフトして行き、最終的にはギルドやら何やらに対する愚痴が溢れ出し、最終的にサーラさん達の行動に対するソレへと至った訳なのである。……ハズ。多分、きっと。



そして、そんな感じで三人だけで森の中を突き進んでいると、本来は森の中には……まぁ、あり得ない訳ではないが、それでも自然に出来る訳が無い、一目で『人工物』だと認識出来るブツが、目の前に現れる。


それは、サイズこそは、使用者たる『小鬼(ゴブリン)』共に合わせてあると思われる、俺達人間が使うには、やや天井が低そうな造りだが、それでも十二分に堅牢に造られている事が伺えるそれは、少し前にみた砦よりも更に大きく、最早『城』だとか『城塞』だとかと形容するべき偉容を誇っていた。

……こいつらが、一体何を考えて、こんな処(鬱蒼と繁った森の奥深く)にこんなモノ(攻城兵器でも持ってこないとぶち抜けそうにない城塞)をおっ建てたのかは、ぶっちゃけ理解不能だが、奴等には奴等なりの何かしらがあるのだろう、と無理矢理納得するだけはしておく。


そんなブツを前にしつつも、見方によっては『暢気』とも取れる様な雰囲気で、どう攻めるのかを話し合う俺達。


「んで?どう攻め落とす?取り敢えず俺は、タツが真っ正面から攻め込んで、門やら壁やらの障害物を排除している所に乗り込むか、レオが忍び込んで内側から開けてくる、って感じのを推したいけど?」


「……俺がタカを城壁の中に投げ込むか、レオがボスに近い側近を暗殺し、その混乱に乗じる、のどちからに一票」


「それなら僕は~、タカが一騎掛けで突っ込んで囮になっている隙に~、ボスの首を獲ってくるか~、タツが派手に暴れている間に~、忍び込んで暗殺しまくるかに一票かなぁ~?」



「「「…………あ゛ぁ゛ん!!?」」」



半分冗談だとは分かっているが、それでも自身を囮に使われるみたいな作戦を出されて、微妙に戦闘態勢に入りかける俺達。

もちろん、この場でドンパチし始めると、眼前の城の中から敵さんが山ほど出てくるのは分かりきっているので、さすがに死合いには発展していないが、それでも仲間内で多少のヘイトが互いに向く形となってしまう。

……まぁ、『半分』冗談で言っていた事は、言われなくても理解しているのだが、ソレと同時に『もう半分』は本気で言っていた事も理解している以上、互いに向け合う殺気や戦意も、当然の様にそれなりのモノとなってしまっているのだけどね?


そんな感じでしばらくの間、刃と拳と投擲物とが飛び交うO・HA・NA・SIが続けられたのだが、結局の処としては、何時もと殺ること自体は変わらないのだから、と言う事で一応の決着が付き、三人揃って眼前の城壁の正面門へと接近する。


当然の様に、真っ正面から来た俺達は、門番をしていた『小鬼(ゴブリン)』や、城塞上部にて歩哨として巡回していた『小鬼(ゴブリン)』にアッサリと発見され、ある程度近付いた処で早々に周囲を取り囲まれてしまう。


別段、展開の邪魔をしようと思えば何時でも出来たが、むしろ俺達としては、こうやって展開してくれた方が殺り易いので、わざと邪魔をせずにしっかりばっちり展開して貰う(・・・・)


そうして、恐らくはまだ『全戦力』と言う事では無いのだろうけど、それでもソコソコな戦力を展開してくれた(・・・・・)小鬼(ゴブリン)』共をグルリと見回し、獰猛な笑みを無意識に浮かべながら、左右にいるタツとレオへと声を掛ける。



「……さて、お前ら、準備は良いか?」



「……当然!」



「もちろん、ばっちりだよ~!」



『なら行くか』


その一言は、結果的には言葉として発せられはしなかったが、それでも俺達三人は、申し合わせた様にほぼほぼ同時に目の前に展開されている『小鬼(ゴブリン)』共の群れの中へと、叫び声を挙げながら突っ込んで行くのであった。





「「「カチコミじゃあぁぁぁぁぁああああ!!!」」」





さて、今後の運命(ゴブリン側)は如何に!!?


面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等で応援していただけると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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