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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第二章・魔王国編

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52・おや?何だか聞いた覚えの有る悲鳴が……

ブックマークしてくださった方々に感謝ですm(__)m

飛び出した勢いのままに『小鬼(ゴブリン)』の群れへと突っ込む様な形で駆け寄り、その手前で急ブレーキを掛けながら相棒を大きく振り回す様に振るい、最前線の『小鬼(ゴブリン)』共を纏めて十数体程両断する。


しかし、勢いを付けて大きく振るった事の弊害として、敵に背中を見せる状態で体勢が固まってしまう。


最初の一撃で、多くの同胞の命を奪われた事により、一瞬動揺した様な雰囲気が『小鬼(ゴブリン)』共を包んだが、それを成した相手である俺が背中を向けた体勢となっている事を目の当たりにし、報復するチャンスだ!とでも考えたのか、それまではそこそこ広角に広がりを見せていた『小鬼(ゴブリン)』共が、俺と言う一点を目指して収束を見せ始める。


……やれやれ、随分と単純で目出度い出来の頭だこと……。


別段、やろうと思えば幾らでも、この体勢で固まらないで済む方法は有った。

あのまま相棒の振りを止めず、軸足に重心を残してもう半回転すれば、最初に向いていた方向へと向き直る事も出来た。

また、今の体勢になるように振り抜いたままだったとしても、脇の下を通す形で石突きを突き出し、そのまま突いてやるなり、地面を突いて飛び上がり、何時ぞやの如く空からの強襲を仕掛けてやる事も出来た。


つまり、言われずとも分かってはいるとは思うが、敢えて説明するとするならば、わざと体勢が崩れて動きがとれない、と言うフリをしてやっているのである。


そして、何でそんなフリまでしているのか、と言えば理由はたったの一つしかない。


「ホレ、集めるだけ集めてやったんだから、キチンと殺ることは殺っておけよ?」


そう、声を掛けつつ、それまで固まっている様に見せ掛けていた体勢からそのまま一歩『前』へと進み、俺のすぐ後ろに控えていたタツと位置を入れ換わる。


「……当然。言われずとも解っている」


そうして俺との位置を入れ換えたタツは、必然的に突っ込んで来ている『小鬼(ゴブリン)』共の群れと、真っ正面から相対する事になるのだが、実はこいつ(タツ)の場合は、こう言う『多対一』の場面を作ってやった方が、より良い戦果を叩き出す傾向に有るのである。


そんなことを思いつつ、タツと位置を入れ換わった事により、テンポ的に余裕が出来た俺はその場で半回転し、身体の向きを元々向いていた方向である『小鬼(ゴブリン)』共の方へと向けたのだが、そこには半ば予想出来ていたとは言え、驚くべき光景が広がりつつ有った。


俺が半回転の切り返しを終え、丁度タツと『小鬼(ゴブリン)』共が戦っている方向へと向き直るまでには、自慢ではないがそう長い時間が掛かっていた訳ではない。

長くてもほんの数秒、下手をすればコンマ何秒の単位でしか掛かっていないハズであるし、俺達がすれ違った際に掛かった時間を含めたとしても、全体で五秒も掛かってはいないハズである。


……にも関わらず、俺が振り返った先では、既にタツの足元には、頸をへし折られたのか俯せに寝ているハズなのに、空をその瞳に写しているモノが三つ。

上半身と下半身の位置からして、恐らくはタツから見て右側から左側へと腰の辺りで『両断』されているモノが二つ。

返す『手足』で同じ様に斬り捨てられたのであろう、先のモノと同じ様に、されども位置関係からして逆向きに両断されているモノが三つ。


そして、今まさに突き出した刃を籠手で反らされ、その突っ込んで来た勢いと、それに合わされた踏み込みによる加速によって、もはや人体を超えた『凶器』と化しているタツの貫手によって、胸の中央部を貫かれてダラリとぶら下げられている出来立てホヤホヤの死体が二つ。


そう、この男は、俺が視線を戻すまでの僅か五秒足らずの間に、合計して十もの死体を拵えて見せたのである。


そのあまりの光景に、俺とレオ、それとリンドヴルムを除いた全ての存在が、呆気に取られて暫し硬直してしまう。


それは、それまで行動を共にしていたべリスのおっちゃんのパーティーや、眼前で二度目の殺戮を繰り広げられた『小鬼(ゴブリン)』共だけでなく、俺達と同じパーティーに所属しているアストさんとカーラも含めた、文字の通りの全てである。


しかし、そんな凍り付いた様な空気の中を普段と変わらない様な態度で歩き、そうした張本人であるタツの元へと歩み寄る影が一つ。


……そう、他の誰でもない俺である。


そうして近付いた俺は、両腕を血で真っ赤に染めたまま、それまでぶら下げていた死体を放り捨てながらも、『何故か』それまでとは違って近寄って来なくなっていた『小鬼(ゴブリン)』に訝しげな視線を向けていたタツの肩に『ポン』と手を置きながら、半ば揶揄(・・)する様に声を掛ける。



「タツ……お前……五秒で『たった』十体って、ちと鈍ったんじゃないのか?ン?」



そう、ニヤニヤとした笑みを浮かべながら言ってやると、タツの方も心当たりが無いでもないのか、不機嫌そうに


「……五月蝿い」


とだけ呟いて返しつつ、固まっている『小鬼(ゴブリン)』に対して殺気を込めた視線を送ると、急速に踏み込んで距離を詰め、その手足を縦横無尽に振るい、まるで刃物でソレを行っているかの様に、文字の通りにバッサバッサと『斬り捨て』て行く。


そして、瞬く間に追加で十体程死体を量産したタツが、今度はお返しとばかりに、先程まで俺が浮かべていた様な笑みを浮かべながら振り返ってくる。


「……これで二十だ。お前こそ、鈍ったんじゃないのか?」


「……え?何の事かね?」


そう返事を返した俺の足元には、俺の相棒である『朱烏(あけからす)』によって寸断され、もはや首の数以外では死者をカウントするのが難しくなってしまっている死体が、少なく見積もっても二十は撒き散らされて(・・・・・・・)いるのであった。


ソレを見て暫し無言のまま『小鬼(ゴブリン)』へと、ある種の八つ当たりとも取れる様に攻撃を加えていたタツだったが、何やら閃いたらしく、同じく『小鬼(ゴブリン)』の群れへと斬り込んでいた俺へと声を掛けてくる。


「……良く考えれば、この場で一番鈍っていそうなのは、まだ一体も倒していないレオなのでは?」


「いや?そうでも無さそうだけど?」


そう返事をした俺が指差した先では、味方であるハズの『小鬼(ゴブリン)』共諸ともに、俺達を巻き込んで攻撃を当てるべく展開している、遠目に見ても粗末な弓に矢をつがえている弓兵部隊と、どうやって用意したのか些か気になる『杖』を掲げ、足元には光を放ちつつある魔方陣と見て取れるモノを展開させている魔法部隊がそれぞれ概算で三十程ずつ存在しており、その両方共にそれぞれの攻撃手段を放とうとして『いた』。


……そう、正しく『いた』のである。


今回、現在形である『いる』や、既に攻撃が放たれて俺達の眼前へと迫っている!等の表現や形容詞を使わず、敢えて過去形である『いた』と表現している理由だが、それは極々単純な事柄である。


それは、レオが行ったと思われる小柄や棒杭による投擲によって、額から後付けのアンテナを生やされていたり、気配はもちろんとして姿すら周囲から隠蔽した奇襲を受けて、棒立ちのままに喉元を掻き斬られ、自身が既に死んでいる事にすら気が付けず、立ったままに死体と化していたりしているために、先程の様に『いた』と表現している訳である。


そんな、何時行われたのかすら定かでは無く、俺達ですら碌に気が付けなかった程に鮮やかな手際で、今のところの最大撃破数を更新してくれたレオが、ローブによって隠していた姿を現しながら、レオにしては珍しく満面の『ドヤ顔』をしながら俺達へと話し掛けてくる。


「ふっふ~ん!これで~、今のところの『撃破数』一位は僕になったかなぁ~?全く~、二人とも弛んでるんじゃないの~?さっきまで~、二人で『鈍ってる』だとか何だとか言い合ってたけど~、僕から見れば~、二人とも鈍っている様に見えるけど~?」


そんな事を、何時もの『ニコニコ』とした笑みから、種類を変えた『ニタニタ』とした笑みを浮かべながら、俺とタツへと言い放ってくるレオ。



……ブチッッッ!!!!?



まるで、物理的にナニカが切れた様な音を、自身の頭とタツの頭の辺りから幻聴した俺がタツへと視線を向けると、大量殺戮犯があどけない子供に見えるであろう程に凄絶な笑みを浮かべ、米噛みの辺りに青筋を立てながら、似たようなタイミングで俺へと視線を向けてきていたタツと目が合う。


そこで、俺とタツとで無言のアイコンタクトを取り、互いの気持ちを確認しあってから正面へと向き直ると、ほぼ同時に『小鬼(ゴブリン)』の群れの只中へと踊り込んで行く。


「……あの野郎だけは首位から引き摺り降ろす!それまで組むぞ!良いな!?」


「……承知した!!」


「ちょっ!?流石に、二人で協力するのはズルくない!!?」


「「問答無用!!」」



……そうして、突然に開始された俺達の俺達による俺達の為の『撃破数』レースによって、唐突に開始された圧倒的な速度による虐殺を目の当たりにした他の面子が『ポカーン』とした表情を浮かべる中、俺達が担当として指定されていたエリアの『小鬼(ゴブリン)』共は瞬く間に狩られて行き、呆気に取られていた者達が気を取り直した時には、殆どが駆逐されてしまっているにも関わらず、まだまだいるハズだ!と更に奥(予測本拠地)まで突き進もうとする俺達を正気に戻すべく、走って追い掛ける羽目になったのだとか。





******





「……ふぅ、久方ぶりに良い汗かいたぜぃ!」


そんなことを呟きながら、額に軽く浮いていた汗を服の袖で拭い取る。


……そのついでに、僅かに浴びていたらしき返り血も一緒に落ちるが、そちらは見なかった事にしておく。


そんな俺に対して、その戦闘手段から必然的に両手が血塗れになってしまうタツが、軽く両手を振って血糊を落としながら、戦闘で消費した小柄の類いを『空間収納』から取り出して、改めて全身に仕込んでいるレオと共に声を掛けてくる。


「……どうやら、この辺りは終わったみたいだな」


「近くには~、気配は感じられないし~、この辺にいた連中は駆逐し終えちゃったかなぁ~?

……そう言えば~、二人はスコアはどんな感じになったの~?僕は~、大体『180とちょっと』位だったと思うけど~?」


「……勝った。大体『190前後』と言った辺りだ。

……お前はどうだったんだ?」


「んじゃ、優勝は俺だな!確か、総数が『200と少し』だったハズだから、文句は有るまい?」


そんな俺の勝ち誇った様な表情に、今にも歯軋りしかねない程に悔しそうな表情を浮かべる二人。


そんな、戦闘を終えた上でまだふざけるだけの体力を残していた俺達を、半ば座り込みながら何処か恨めしい様な視線を向けてくるおっちゃんのパーティーメンバー達と、そんな俺ですら愛しい、とでも言いたげな視線を、激戦を潜り抜けたにも関わらずに汚れた様子が欠片も見受けられ無いまま、戦闘開始時と変わらない姿で微笑んでいるアストさんへと、一通りジャレ合った俺達が歩み寄る。


「取り敢えず、俺達で大体600程殺ったみたいだけど、そっちはどの程度殺ったのかね?

……それとおっちゃん、ちょいと息切れが早くは無いかね?歳か?」


「……俺達は、大体、三人で100前後ってとこだが、普通は、倍の人数が居ても、その半分程度が精々だってんだよ!

それと!俺の息が切れてたのは!お前らが勝手に奥へ奥へと進撃するもんだから、俺達もそれに合わせて進むハメになったからだろうがよ!!

こちとら全身鎧の上に、こんな大楯持ってんだから、少しはこっちへの配慮も見せやがれってんだよ!!?」


「私の方は、大体50程度でしょうか?まぁ、上位種と思わしき個体を優先的に狙い撃ちしましたので、数が些か少ないのは勘弁して下さいね?」


それぞれの戦果報告?を聞きながら、おっちゃんに対しては、……うん、何か、ゴメンね?と謝り、アストさんに対しては、隊列が乱れて殺り易かったので助かりました、とお礼を言っておく。


そして、少し戻って元砦で現更地となっている場所を調査し、砦の跡やら有った時の規模やらから、おそらく100体程が戦力として配備されていたのであろうと予測を立てた上で、それぞれの戦果を合計すると、この場には約850体近くの『小鬼(ゴブリン)』が居たと言う事になるのだろう。


予想されていた敵勢力のおよそ一割強程の戦力が、ここに配置されていたと言う事になる。


「……なぁ、おっちゃん?ココって、ゴミ共からしてみれば、結構重要な場所、的な所だったりするのかね?何か聞いてない?」


「……俺も、特にはその手の事は言われちゃいねぇがね。それでも、何かしらの理由でも無い限りは、こんなに極端に配備はしないんじゃないのか?常識的に考えて。

……まぁ、奴らにそんな『常識』があんのかすら定かじゃねぇけどな?」


ですよね~?と相槌を打ちながら、ここがこんなに『激戦区』となった理由を考察してみるが、やっぱり良く分からない。

……本隊に近い分隊だったのかな?


だが、もしギルドの方が、ココにあの部隊が居た事を把握していたのであれば、おそらくは必然的に俺達はココへと配置されたと言う事になるのだろう。

何せ、ギルド公認の実力者が二人も揃っている上に、今回参戦している中で、唯一最精鋭のレイドパーティーに比肩しうるだけの戦力を抱えているレイドパーティーである以上は、その手の厄介なポイントを任せられる、もとい『丸投げ』される事になるであろう確率は、そこまで低いモノでは無かったと見て間違いは有るまい。


そんな、深く考えるとギルドに対して殺意を抱きかねない様な状態に陥りつつ在った思考を、強制的に打ち切っていると、少し前まで俺達が突き進もうとしていたのとほぼ同じ方角、正確には、現在地から真っ直ぐ深層を目指すのとは少々外れたコースを辿ることになるであろうポイントから、何時ぞや……と言うか、極最近聞いた覚えの有る様な『女性』の悲鳴が周囲に響く。


それを聞いた、聞いてしまった俺達は、咄嗟におっちゃんとアストさんの方へと向き直る。


「……悪い。おっちゃん、アストさん」


「……仕方ねぇ、行ってこい。但し、あくまでも最優先は『お前ら』だ。ソコんところ間違えるんじゃねぇぞ?」


「私達も後から向かいますので、先行をお願いしますね?」


そんな二人の台詞が終わるかどうか、と言った段階で、既にその場を離れて走り出しており、そんな俺へと続く様に走り出すタツとレオ。


……俺の脳裏には、あまり良い関係では無かったと思わしき人物が写し出されているが、それでも悲鳴を聞いてしまった以上は、助けてやらねばなるまい、と心の中でのみ溢して、一刻も速く辿り着ける様に、走る速度を上げるのであった。

さて、悲鳴を挙げたのは誰なのでしょうか……?


面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等頂けると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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