05・水場の確保と解体、そして合流
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あれから各個人が、それぞれに生えたスキルの効果や範囲、そして使用方法等を探りながら、兎公と遭遇してしまった為に中断されていた『水場』の確保の為に移動を再開したのだが、目的地へと到着した頃には、それぞれが獲得(?)したスキル?の能力を、ある程度ではあるが、把握する事に成功した。
まず、俺のスキルだが、詳細は良く分からなかったのだが、取り敢えずは『種類制限』は有るらしい、と言うことが判明した。
まぁ、『本数制限』らしきモノも有ることには有ったのだが、そっちについては良く分かっていない。
実験的に、相棒をもう一振り出してみようとしたのが、何回やっても出すことは出来なかったのだ。他の槍(練習用や予備のそれ)は出せたりはしたのだが、そちらの方は、複数本出す事に成功しているし、他にも複数出す事に成功した物も有るので、そこについては要実験、って感じだ。
それと、どうやら出す為の条件として、細部まで確りと、と言うわけでは無いみたいだが、それでもある程度は把握している物でないと出せないらしい事も判明した。
なので、『天下三槍』とかふざけて出してみようとしたが、結果としては出せずに終わってしまっている。
……残念。
それと、『種類制限』に関してなのだが、どうやらカテゴライズしたさいに『武器』だと判断でき、その上で金属を使用しているモノであれば出せる……らしい。
実際に試した所、食器として認識していた皿等や、『鈍器』や『投擲武器』として認識していた六○全書は出すことに失敗している。
それ以降、試行錯誤の結果として、刃物であれば、日本刀から包丁や銀食器のナイフセットまでは、出す事は可能である事が判明している。
しかし、何ならば出せるのか?の実験の途中で、試しにフライパンを出してみた所、何故か出す事に成功しており、それと同時に同じく出そうとした鍋は失敗している事から考えると、多分フライパンは打撃武器に分類されているのではないのか?と考えられる。
……何を基準にカテゴライズしているのかは不明だが、結構適当に分類されている様な気がするなぅ……。
尚、何処まで出せるのか?の実験として、試しに、タツとレオの得物である『龍鱗』(タツの得物。藍に近い群青色の籠手一組)と『虎爪・狼牙』(レオの得物。二刀一対で白い刀身を持つ忍刀)を出してみた所、本当に出てきたので、二人に渡して装備させてある。
これで、万が一にあの兎公がもう一度出てきたとしても、前回よりは危ない橋を渡らずに済むと思う。ヤッタネ!
続いて、レオの『収納』系のスキルだが、こいつが中々便利そうなのだ。
例の兎公を収納した後に、何かしらの負荷の類いが無いのか確かめてみたのだが、特には感じていないとの事から、収納するに当たってのデメリットの類いは今のところ発現してはいないらしい。
おまけに、兎公を入れたままでも、まだ何となく収納出来そうだ、との事だったので、俺が練習に出してみたモノ(槍、刀、包丁や食器、フライパン等々)を試しに収納させてみたのだが、それらを全て収納しても、まだ入る余地が有りそうなのだそうな。
……正直、俺が出した諸々の品って、既にスーツケースの一つや二つじゃ足りない位の量に達しているので、それらを収納した上でまだまだ大丈夫な収納量って事は、下手するとコンテナランクの容量が有る、って事になるのかね?良く分からんけど。
それと、着けていた腕時計を収納してみた結果、どうやらレオのスキルで収納した場合、内部では時間が流れない様になっているらしい事も判明した。
更におまけとして、収納する際にこそは、対象に触れていないと収納出来ないし、生物の類いも収納出来ない様なのだが、中から出す分には、自身の半径10m以内であれば好きな様に出せる上に、今何がどの位入っているのか、と言った事も、感覚的に理解出来るのだとか。
……うん、結構ヤバそうだね。
そして、最後に紹介するのは、タツの『鑑定』系スキルだ。
まぁ、タツのスキルに関して言えば、俺やレオみたいに切っ掛けらしきモノや、これと言って発現したと思われる確たるタイミングは無かった様なのだが、本当にいつの間にか、気が付いたら獲得していたんだとか。
……本当かね?
スキル自体の効果と使い方として意外と単純で、鑑定したい対象を、暫く見詰めていれば、勝手にそれに対しての情報が出てくるのだそうな。
……本人的な感覚としては、『流れ込んでくる』と言うよりも『涌いてくる』感じなのだそうだけど、正直どっちがどう違ってどう言う感覚なのかがさっぱり分からんので、ぶっちゃけた話どうでも良い。
今のところ、鑑定結果と実際に試してみての結果とには齟齬が出てはいないので、精度としては、まぁ信じられる程度のモノであるのは間違いないだろう。
尚、道中で鑑定して、可食だったり、調味料の類いとして使えそうなモノは回収し、レオのスキルで収納してある。
使えるものは使わないとね?
それと、タツのスキルで手当たり次第に鑑定してみた結果、確かに周囲の動植物の大半が、俺達の知識に無いモノだったのだが、中には同じ様な名前で、同じ様な特性や効能を持ったモノも有り、故意的に探せばもっと見つかる可能性も有る……かもしれない。
……しかし、こうやって比べてみると、俺のスキルだけちと微妙じゃあないかのう?気のせいかの?
そんな事を考えながら移動していたのだが、そうこうしているうちに、当初の目的地であり、山の上から見えていたモノと思わしき、湖の畔へと到着したのだった。
「……ふぅ、ようやっと着いたか。まぁ、言うほど疲れちゃいないけど」
「……これで一応、生存の目は出たな」
「あんまり時間を掛けても~、先生とかに心配かけるだけだから~、さっさと解体して海岸に戻ろっか~」
「了~解」
「……うむ」
と、言う訳で、早速解体を開始。
まずはレオに兎公を出してもらい、取り敢えず胸骨の下から下腹部に掛けてナイフを入れて、内臓の処理から始める。
まぁ、本来ならば、胸骨ごと開胸出来れば楽なのだが、あまりにも肋骨がごつ過ぎるので、取り敢えずは腹腔から攻めるとしますかね。
ナイフで入れた切り込みに沿って腹を開くと、デロリ、と効果音が聞こえてきそうな勢いで腸が飛び出してくる。
それをそのまま、決して傷付けない様に慎重かつ大胆に全て引っ張り出すと、先に喉の辺りに有る食道を切り離してから、ナイフで肛門回りの肉ごと、少々大袈裟気味に切り取り、中身が溢れない様に、慎重に取り出してしまう。
……ふぅ、どうにか成功、と。
この工程をしくじると、得物の可食部がかなり減ってしまう(特に内臓は全滅する)ので、何回やってもこの時は緊張してしまう。まぁ、どうにかなったけどね?
取り出した食道から肛門までの一塊は、胃の部分だけを切り離してから棄ててしまう事にする。
胃の部分は、割と簡単な加工で水筒に出来るからね。
意外と便利。
もちろん、今回は棄ててしまう事になってしまっている腸の部分も、キチンと処理・加工すれば食べられる……ハズ、なのだが、今回はそれらをする手間が惜しいし出来ないのでパス。
……それに、推定とは言え異世界らしいから、少しでも危なそうならば避けるべきだしね。下手な処理で食べたら上からも下からも『エライ事』に……なんて落ちはゴメン被るからの。
危険部位を処理出来たので、後はサクサク内臓を処理して行く。
膵臓や腎臓は、食えるのかどうかが危うかったので、取り敢えずポイ。
肝臓は胆嚢を丁寧に取り除いてから、レオのスキルで収納。多少危ういが、新鮮なレバーを食せる事が狩りに於ける狩人の特権故、捨てるなんてとんでもない、ってね。
……丁度、生姜っぽい感じの植物と、ニンニクっぽい感じの植物も手に入っているし、『生レバー』風に、擦りおろしたモノと塩をふって、適当な柑橘類でも搾って見ようかしらん?
膀胱は、胃と同じく、水筒として使用出来るので、同じく収納。
水筒にしなくても、袋としても利用出来るだろうから、取り敢えず取っておくべぇか。
肺は片方がタツの攻撃によって引き千切られていたが、もう片方は無事だった為、こちらも傷付けない様にしながら摘出し、同じく収納。
肺も、意外と密封性に優れるので、上手く加工すれば水筒等として使用出来る。
……何だか、さっきから水筒向けの臓器ばかり出している気がする……。
その後も、残っていた内臓……と、言っても、わざと最後に残した心臓以外は、何だかよく分からない臓器しかなかったので、それらは纏めて棄ててしまった為、残っているのは心臓だけとなっていたのだが、その心臓を取り出してみた所、流石は異世界(仮)とでも言うべき、不思議現象が起きていた。
そう、その取り出してもなお鼓動を止めない心臓には、一見宝石の様にも見てとれる鉱物?が、それこそ通常の生物であれば普通死んでるよね?ってレベルでガッツリと食い込んでいたのだ。
……うん、小鳥遊分かってた。
ここが異世界なのであれば、あのあり得ざる兎公も、多分魔物の類いなんだろうって事は。
で、あれば、小説等のお決まりから考えれば、これはおそらく『魔石』だとか『魔核』だとか呼ばれるブツなんじゃ有るまいかね?よく分からないけど。
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心臓を取り出した後、 皮を剥がしてから大雑把にではあるが、ある程度使いやすい様に解体し、使う部分はレオが収納、棄てる部分は掘った穴に埋めてから、取り敢えず海岸を目指して湖を出発する。
……心臓?
動いていたのは、どうなったのか?
……ああ、アレね?
くっ付いていた石……まぁ、便宜上『魔石』とでも呼ぶかね?……とにかく、その魔石を弄っていたら取れたのだが、そうしたらいつの間にか止まっていた。
まぁ、どのみち後で食べるつもりだったのだから、あんまり関係無いか。
……心臓、美味しいんだよ?ホントダヨ?
……まぁ、心臓云々は置いておくとして、湖を出発した俺達は、太陽の動き方や木々の苔むし方、そして、記憶による『確かこっちだったハズ』と言った感覚を頼りとして、海岸を目指して進んで行くと、大体十数分程で浜辺へと到着した。
多少のズレが有った様で、俺達が出た所には誰も居らず、人の気配らしきモノが感じられる方へと足を向ける……前に、一応俺達の武装の内で、追加された諸々を、レオのスキルで収納しておく。
……別段バレても構わないと言えば構わないが、それでも痛くない腹を探られるのは不快なのだし、面倒ごとは出来るだけ回避する方向でいくとしましょう。
そんなこんなで暫く海沿いに歩いていると、ようやっと元居たと思わしき砂浜に到着、それと同時に、若干森寄りの木陰に先生を発見。報告に向かうとしますかね。
「どうも~、只今戻りましたよ、佐藤先生。取り敢えず、この辺りの地形把握と水場の確認と確保して来ましたけど、詳しい報告要ります?
後、他の野郎連中はどうしました?
一応、お土産に果物取ってきましたけど食べます?」
そう捲し立てながら、ポーチに入れておいた果物っぽいナニカ(見た目は黄色いリンゴ、味はオレンジに近い)を渡してみる。
……呆れ顔をしながらも、一応は受け取るんですね?佐藤先生。
「ハイハイ、お疲れ様。一応、詳しい報告は欲しいけど、こんな短時間で本当に地形把握何て出来たのかな?まだ二時間と少ししか経ってないのだけど?
他の子達が居ないのは、食料だとかを集めて来る、って大神君が連れていってしまったからなのよ。私も行こうとしたけれど、体調の良くない人も何人か居たから、その付き添い兼貴方達が戻ってきた時の為の留守番って所かな?
お土産は有り難うね?
……処で、貴方達の中で、応急措置とか出来る人居たりしないかな?私じゃあ、良く分からなくて……」
……フム?
まぁ、分からない事もないから、取り敢えず診るだけ見てみましょうかね?
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次回から出場キャラが増える……かも?
注・今回出てきた獲物の解体に関しては、大体が作者の知ったかぶりに基づくモノですので、あまり激しく突っ込まないで頂けるとありがたいです




