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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第二章・魔王国編

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43・少々はっちゃけ過ぎた様です……

ブックマークや評価してくださった方々に感謝ですm(__)m


「いや~、暴れた暴れた!久方ぶりに本気で暴れたな!最近だと、ここまで暴れた記憶が無いけど、何時以来だったっけか……?」


「……うむ、『個』としての強者は見受けられなかったのが残念だが、『群』としては中々に歯応えの有る、良い戦闘だった」


「僕も~、久しぶりに色々出来たから~、結構楽しかったよ~!特に~、新しく考案していた罠だとかを~、実際に使えたのが良かったかなぁ~?案外と~、あの手の罠や仕掛けって~、設計上は上手く行く様に作ったハズのモノでも~、案外と実際に使ってみたら微妙だった~、って事も多いからね~」


そんな事を言い合いながら俺達は、まだ日が高いながらも、数時間前に通ってきた道を逆走し、首都クラニアムへと帰還する事を目指して進んでいた。


あの後、結果としては、出てきた魔物達を殲滅し、各自が欲していた薬草の類いも、恙無く回収することが出来たのだが、そこでとある問題が発生した事に、今更な事ながらに気が付いて、まだ奥を目指して探索することも出来たのだが、こうしてクラニアム目指して来た道を逆走しているのである。


……そう、その問題とは、魔物の死体の処理についてなのである。


一応、言い訳をさせてもらうと、その辺りの事についても、軽くであればアストさんから説明は受けてはいたのである。

……ただ、その時受けた説明では、魔物の死体は極力燃やし尽くすか、もしくは深い穴を掘って埋めるかをしなくてはならない事(放置すると疫病の元になるし、確率でアンデッドになるとの事らしい)と、魔物によって素材として取引される部位が異なる為、その見極めをする必要がある事しか聞けておらず、どの魔物の何処が素材として取引されるのか、それらを解体する際に、特定の何かが必要なのかどうか、どんな手順で解体する必要が有るのかは、これから実地で教わる予定だったので、俺達にはその辺の知識やノウハウが全くもって無かったのである。


……いや、まぁ、確かに?

俺達は一応、全員共に『解体』の技能は持ち合わせているみたいだから、解体するだけならば、多分イケはするとは思われる。

だが、その結果として、やり方が間違っていたからこの素材は減額!だとか、実は解体の過程で棄てていたアレが高値が付いたのに!だとかのハプニングが起きないとも限らないのだ。

いや、むしろ、俺達だけで解体すれば、まず間違いなく無駄にしてしまう素材が出てくる事となるのは、分かりきっているからね。


故に、今回倒した魔物の死体は、取り敢えず全て纏めてレオの『空間収納』で回収して、そのままの状態で保存してあるのだ。

そして、帰還してからアストさんか、もしくはギルドの人の監修の元に解体する予定なのである。


もっとも、こうして帰還を急いでいるのは、素材の処理をどうやったら良いのか分からないから、と言うだけではないのだけれどもね?

一応、他にも理由は有るのである。……少々恥ずかしい事だけれども。


そんな風に帰路を急いでいた俺達へと、とある理由から何時もの場所(俺の頭)にしがみつくのではなく、自力で飛びながら移動していたリンドヴルムが、そう言えば、と言った感じで俺達へと質問をしてきた。


『のぅ、主殿よ?』


「何かな?俺達が戦っていた処を、最初から最後まで横から見ていただけで、一切の手伝いもしなかった『黒龍女帝』様?」


『……そこに関しては、主殿達が一方的に殲滅・蹂躙しておったから、妾が手出しする隙が無かっただけで、別段高みの見物を決め込むつもりで有った訳では無いのじゃがのぅ……?

と言うよりも、多分じゃがあの時、下手に手出ししておれば、妾ごと巻き込んで攻撃してきたのではないのかのぅ?何となく、そんな気配がしたのじゃが、妾の気のせいかのぅ?』


「…………ソンナコトナイヨ?」


『……せめて、その台詞は妾の目を見て言うべきじゃったのぅ、主殿よ?』


言われて考えてみた処、はっちゃけていた時の精神状態やら何やらを考慮して鑑みてみた結果、『絶対にやらなかった』とは断言出来なかった為に返答がぎこちないモノとなり、そこをリンドヴルムに突っ込まれると同時に、抗議やら何やらを纏めて込めたと思われるジットリとした半眼による視線を向けられてしまう。


そのジト目による抗議の視線に耐えかねた俺は、リンドヴルムが何やら俺に聞きたいことが有った様な事を言っていたのを思い出し、そちらの方向へと水を向ける事で、現状からの脱出を試してみる事にした。


「……そう言えば、何やら俺に聞きたいことが有ったみたいだけど、何を聞きたいんだ?ちなみに、野郎故に自身のスリーサイズは知らないし、正確なチン長は測ったことが無いから答えられはしないぞ?」


半ば下ネタ混じりの冗談を飛ばしつつ、『聞きたい事が有る』と言い出した張本人であるリンドヴルムへと、その質問の内容を言うように促してみる。


すると、俺の下らない冗談によって半ば呆れた様な視線と表情(ドラゴンの顔故に確たる事は言えないが多分そう)を浮かべたリンドヴルムだったが、それにより聞きやすくなったのか、促されるままに俺へと質問を飛ばしてきた。


『……後者の方は、まぁ、気にならんでもないが、それは置いておくとしてじゃ。

主殿よ。そなたは先程、『久方ぶりに本気を出した』と言う様な事を言っておったが、過去にあの迷宮で妾と相対した際は、別段『本気』は出していなかった、と言う事かのぅ?

……この返答次第では、もう一度、妾と死力を尽くしての闘争を繰り広げて貰う事になるであろうから、そのつもりで答えて欲しいのじゃが?』


……うん?

これって、もしかしなくても、さっきの俺の発言が、彼女の『逆鱗』に触れかけている、って事なのかね?


まぁ、確かに、思い返してみれば、どうやら彼女は戦闘に対してある種の『崇高性』や『神聖性』と言うモノを求めていると言うか、とにかく言葉には少しし辛いのだが、『闘う』と言う行為そのものを、ある種『神聖視』している様に思われるのだ。


それ故に、互いの命と命がぶつかり合い、相手を殺しきる事だけを考え、そこに向けて全てを掛けて死力を尽くす、と言った様な激戦であればある程に、彼女の中では貴重かつ崇高なモノであるらしく、中でも俺達を相手取ったあの一戦は過去最高のモノであったのだそうな。


……だが、もし万が一、その戦闘の際に、俺達が死力を尽くさず手を抜いていたとするならば、彼女にとっての『最高の一戦』が汚される事となり、下手をしなくても彼女自身を否定され、その誇りを汚される事に繋がりかねない、と言う事なのだろう。


よって、もしそうだったのだとするならば、今度こそは死力を尽くした闘争をして貰うぞ?と言った確認なのだろう、と思われる。


……これは、返答の仕方を間違えると、大変な事になりかねないぞ……?


そんな事を考えつつも、どの様に返答をしたものかと、頭を回転させる。

一応、納得はさせられそうな回答は出来たと言えば出来たのだが、それで確りと説得出来るのか?と言われると、正直『微妙』としか返せない様なモノでしかないが、取り敢えずはこれしか無いので、試すだけ試してみるかね?


「……いや?手加減なんて出来るような状況じゃあ無かったし、していたら自分諸ともに他の面子まで死んでいただろうから、誓って『していない』と言えるけど?

……まぁ、それでも、『全力』ではあったけど、それでも『本気』は出せなかった(・・・・・・)のは、事実ではあるのだけどね?」


『……!なれば、やはり手を抜いておったと言う事ではないか!!』


「いやいや、誤解しなさんなって。そもそもの話として、多分俺達とお前さんとでは、『本気』と『全力』の定義が違うんじゃ無いのか?多分だけど、お前さんの言っている『本気』って、死力を尽くしている状態、って事で間違ってないか?」


『……概ねそんな感じじゃが?』


「俺達にとっては、それが『全力』。

身体能力だとか、技量だとかを振り絞った状態の事。

言わば、『肉体面』での全身全霊って事だな。


対して、俺達にとっての『本気』って言うのは、言わば『精神的』な方面での事で、勝って生き残る為ならば、普段は絶対に行わないであろうあらゆる手を講じてでも、相手を殺し尽くす事だけを考える様になる、そんな状態の事を指して言っているのさ。

今だから言える事だけども、あの時のあの場には、そんな状態を見られる(・・・・)訳にはいかない人達が居たからね。

本気を出せなかった、って言うのは、そう言う事だよ。


……現に、今回はその『本気』を出しちゃったお陰で、こんな状態(・・・・・)になっている訳だからね?」


『……納得出来た様な、そうでない様な、と言ったのが、妾の正直な心持ちじゃが、主殿が妾を謀ろうとしている訳では無いのじゃろう事だけは、確たる事として伝わっておる。

……あの時の闘争は、お互いが持ちうる限りの力を尽くしたモノであったが、互いに『枷』の嵌められた状況につき、死力を振り絞った闘争とはなり得なかった、と言った処が落とし処かも知れぬのぅ……』


そう、最後に呟いたリンドヴルムの声には、あの戦いにはまだ上があったかも知れない事への、渇望にも似た欲求と、もはやそれを直接演ずる事が出来ない現状に対する寂寥感が滲み出ている様でもあった。


そんなリンドヴルムに対して


「まぁ、そう落ち込みなさんな。確かに、逃がした魚は大きいかも知れないけど、これから先にあの時に匹敵するだけの戦いが無いとも限らないんだから、過去を惜しむよりも、そちらを期待する方が良いんじゃないかね?」


なんて、半ば冗談めかして言ってやると、それまでの見方によっては『沈んでいる』と言っても間違ってはいなかったであろうリンドヴルムの雰囲気が、徐々にではあれども上向いて来たのが感じられた。


それを見た俺が、思っていたよりも大丈夫そうだな、なんて思っていると、目標としていたクラニアムの正面門の付近へと到着した為、朝と同じ様にギルドタグを提示して、何事も無いままに通過出来ないかなぁ~?と、淡い期待を胸に、門を潜ろうとしたのだが、案の定(・・・)止められる事となってしまう。


……まぁ、それもある意味当然の話であろう。


何せ、今現在の俺達は、あの森で出てきた魔物共から浴びてしまった返り血によって、真っ赤……と言うにはあまりにも黒みが強いが、それでも、頭の上から何かしらの血液をバケツ単位でひっ被った様な見た目と鉄臭さを漂わせていたため、こうして門の処で止められている訳なのである。

……ぶっちゃけた話、こんな状態の輩を素通りさせたなんて言うならば、そもそもそいつを門番として置いておく必要性が無くなってしまうし、俺が門番だったとしても、確実に止めていたと思う。マジで。


もっとも、最初に呼び止められた感じからして、不審者と見なして呼び止めたと言うよりも、どちらかと言えば大怪我をしていると勘違いされ、心配から声を掛けられた、と言った感じが強いのだけど。

実際に、呼び止められた時には、問答無用で門の処に併設されていた医務室っぽい処に強制連行されたからね?


そこで俺達からも詳しく説明した上に、医務室っぽい処にいた医者っぽい人(正確には、回復魔法の使い手らしい)からも、俺達が怪我をしている訳では無い事を証言してもらった事により、次回からはちゃんと汚れを落としてから来る様に!とのお叱りを頂いてから、ようやくクラニアムへと入る事を許可されたのであった。


……一応は、そこそこ早い段階で、レオの『空間収納』に入っていた水を頭から被って、軽く流してはいたのだが、それでも落ちてはくれなかった分が、剥き出しになっていた肌の上だとか、髪の毛だとかを巻き込んで固まり掛けており、それによって発生したと思われる痒みに顔を歪めながら、首筋の生え際を掻きむしる。

何故か、あの『迷宮』で入手した装備品の類い(俺の鎧やタツの脚甲(グリーヴ)、レオの籠手(ガントレット)やローブ等)や、俺の得物である『朱烏(あけからす)』は、血汚れの類いは吸収し、泥汚れの類いは弾く様になっているらしく、不思議と俺達本体とは反比例するかのように綺麗なままなのだが、その機能を俺達の方にも適応してくれても良いんじゃないのか?と思うことは、そんなに贅沢な事ではないと思う……。


そんなことを考えつつ、ギルドへの道を進んで行くと、丁度ギルドの近くに辿り着いたタイミングで、あの無駄に大きな出入口から、外を窺う方法が無いハズのアストさんが俺達の事を出迎える。


……が、次の瞬間には、俺達の大変悲惨な状況に気付いたらしく、大慌てで俺達の元へと駆け寄って来た。


「タ、タカナシ殿!?これは、一体どう言う状況なのですか!?こんなに血で汚れて……ま、まさか、何処かにお怪我でも!!?」


「い、いえ、別段何処かに怪我が有るって訳では無いのですが、少々、はっちゃけ過ぎたと言いますか……」


「……少し、興が乗りすぎた結果では有るのだが……」


「まぁ~、ちょーっとフィーバーし過ぎちゃったのが原因かなぁ~?反省はしているけど~、後悔してはいないかなぁ~?」


そんな俺達の説明を受けて、納得出来た様な出来ていない様な、と言った感じの表情を浮かべるアストさんだったが、これ以上入り口付近で話をするのは邪魔にしかならないだろうから、と取り敢えずギルドの中へと入ってしまう事にした俺達。


そして、どうしてこうなったのかをアストさんに説明しつつも、朝に出て行く時には無かったと思われる、微妙に人形に見えなくもない床の窪みと、その頭部に当たるであろう辺りに付いていた赤い染みに戦慄したり(アストさんに聞いてみたら『朝から有りましたよ?』とのお言葉を、素晴らしくも背筋が凍える様な笑顔で頂くこととなった)、依頼の品を提出がてら、森で討伐してきた魔物の買い取りをお願いしてみた処、これまたトンでもな値段になった上に、買い取り係の人からも、依頼として張り出されていたモノや、中々に珍しいモノ等も含まれていたらしく、それらを買い取りに出した場合に受けられる評価から鑑みると、比較的直ぐに次のランクへの昇級のお誘いが掛かるんじゃないかな?とのお墨付きを頂いたりしながら、取り敢えずは現状を改善するためにギルドを出る。


そして、アストさんが現役で冒険者として活躍していた時の定宿だった宿へと案内して貰い、これからの(ねぐら)を確保すると同時に、今現在のこのしつこい汚れをどうにかするための施設(早い話が風呂である)を確保する事に成功するのであった。


……まだ昼過ぎ位だったので、お風呂代は高めについたが、まぁ、この状態(血塗れ)を解除するためならば、別に良いよね?


あぁ~、心地良い~。


さて、次はどんな依頼を受けてみようかね?

前回予告し忘れていましたが、今回も能力解説


佐藤・分裂(矢)……自身が放った矢(正確には『飛来物』だが)を、望んだ数に分裂させ、それを操れる能力。本人がまだ深く理解していない為にまだ不可能ではあるが、習熟を深めて行けば、某ロボ作品の遠隔兵器の如く自身の周囲に常時展開しながらも、敵に対して全射程攻撃を仕掛ける事も可能ではある。


※次回は阿谷の能力を解説する……予定です。


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価、感想等頂けると大変有難いですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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