216・早速始めてしまいましょう
ブックマークにて応援して下さった方々に感謝ですm(_ _)m
あと、この更新で書き始めて丸二年が経過したらしいです
応援して下さった皆さんのお陰で続けられて来たとは言え、時の流れは早いですねぇ(シミジミ)
それと、なんか応募していた『HJ大賞』で当作品が1次予選突破したらしいです
……1次は抜けるんだよなぁ、1次は……
「さて、おはよう諸君!早速で悪いが、彼の件を進めてしまおうかと思う。なので、取り敢えず今日中に片を付ける事にした。
方法はリンドヴルムから既に聞いているだろうから、役割上必要な面子は朝食を終えた段階で『テーブル』まで集合する様に!以上、解散!!」
早朝からテンション高めに宣言し、そのまま特に何をする訳でもなく立ち去るアンフィスバエナさん。
その後ろ姿を呆然としながら、ただただ言葉も無く見送る俺達。
昨夜別れる前は極普通の感じであったので、別れた後の深夜帯に何か在ったのだろうとは思うのだが、一体何が在ったのだろうか?
似た様な時間帯に、リンドヴルムもテントを抜け出していたみたいだから聞いてみたのだが、どうあっても話さない、との強硬な態度に出られたので、結局知ることは出来ないままとなっている。
まぁ、流石に必要も無いのに身内に拷問するのも気が咎めるし、多分したとしても吐きはしないだろうからしないけどね?無駄な事するのいく無い。
…………必要が在ればするのか?そりゃするでしょ?当然。
あまり関係無い事を考えながら、手早く皆で朝食を済ませて移動を開始する。
取り敢えず、ここに来ている面子は全員、俺の企みに於いては必要な面子なので、皆で連れ立って例の『舞台』へと歩いて行く。
拠点として使用しているベースキャンプからも、例の『舞台』は見えてはいたが、こうして改めて見てみると、その大きさにより圧倒されそうになる。
何やら知っているらしいリンドヴルムを皆で弄りつつ、何かを察しているのか矢鱈もじゃれついて来るリルやカーラを宥めすかし、モフって毛並みを楽しみながら進んでいると、そんなにしない内に例の『舞台』へと到着した。
「……さて、こうして到着した訳だけど、誰も居ない様な……?」
「……パッと見て分かる範囲には居ないな……」
「でも~、ああして呼んだ以上は~、何処かしらには居るんじゃないの~?」
「もしくは、何かの準備でもしてくれているのでしょうか?」
「サァ?ワタシが感知出来ル範囲にはダレモ居ないみたいダケド、何処で何してイルンダロウネ?」
「主様やネフリア殿が感知出来ないのであれば、某には分かりかねますな……。と言うより、某がここに居ても良いのですか?ぶっちゃけ、足手まといなのでは?大丈夫??」
「……サーラ?少しぶっちゃけ過ぎじゃない?それに、足手まとい云々を言っちゃうと、ボク達は皆そうなるハズだけど?」
「多分、大丈夫なんじゃないかしらぁ?私達三人で一人換算ならぁ、ギリギリ使えるって言う判断なんだと思うわよぉ?多分だけどぉ」
相も変わらず黙りを決め込むリンドヴルムを除いた他の面子による、姦しいと表現しても良いであろう会話を耳にしながら周囲を見回していると、いつぞやと同じ様に俺にすら気配を感じさせずにアンフィスバエナさんがその姿を現す。
その周囲には、今も俺の隣で飛んでいるリンドヴルムを除いた他の帝龍達も揃っており、その引き締まった表情や雰囲気から、昨夜の決定から更に何かしらの心境の変化が在ったのだろうと察せられた。
俺に対して憎々しげな視線を向けていたウェントニトルスでさえ、今日はその表情を引き締め、見るからに本気で事に当たると言う事を態度で表している。
…………いや、昨夜に一体何をしたのよ!?マジで!!?
思わず視線でリンドヴルムとアンフィスバエナさんへと問い掛けたが、リンドヴルムはただただ視線をずらして返答せず、アンフィスバエナさんは意味深に瞳までにも笑みを浮かべて見せるのみであった。
内心での戸惑いを隠せずにいた俺だが、一団として登場した帝龍達の中からリーダーであるらしいウシュムガルさんが俺達へと向けて歩み出た事により、強制的に思考回路を切り替える事で疑念や戸惑いを一旦脇に追いやっておき、目の前に横たわる問題へと全意識を傾け始める。
「皆さん、おはようございます」
「おはようございます。こうして呼ばれたと言う事は、そう言う事だと思っても良いのですか?」
「ええ、その通りかと。些か急な話ではありますが、私達とて暇を持て余していると言う訳ではありません。なので、出来る状況に在る内にやってしまった方が良いかと。タカナシさんにしても、早く終わるのならば早い方が良いでしょう?」
「それは、否定しませんが……」
「なら、良いではないですか。こちらの準備は終わっていますので、覚悟が出来たのでしたら仰って下さいね?」
「覚悟ならば、既に。あまり待たせるのも良くないでしょうから、早速お願いします」
「ええ、了解致しました。まずは、あの『テーブル』の上に移動しましょう。……大丈夫、ですよね……?」
「…………何名かは、運んで頂けると有難いです……」
結局、自力で移動出来た俺達三人と、本人の技術によって半ば無理矢理に登坂せしめて見せたネフリアさんを除いた他の面子は、帝龍達の手によって『舞台』の上まで運搬してもらう羽目になるのであった。
…………し、締まらねぇ……。
******
「……さて、では気を取り直して、早速ですが始めましょうか。手順自体は、既にご存知なのですよね?」
「ええ、以前にリンドヴルムから聞いてはいます」
「解りました。ならば、こちらからは言う事は在りません。準備が出来たら合図をお願いしますね?」
「よろしくお願いします」
会話を打ち切り、他の帝龍達と同じ様に俺達から離れた場所へと移動して行く彼女の後ろ姿を見送りながら、予め説明されていた手順を思い返す。
先ずは、第一段階として俺の中に在る『黒龍』の因子を活性化させるべく、わざと他の帝龍に力を吹き込んで貰う。
これにより、中途半端にリンドヴルムから継承されている『黒龍』の因子を俺の内部で活性化させ、リンドヴルムの内部に残されている未継承の分の因子と引き合わさせ、半ば無理矢理元々の総量に等しい状態を作り上げる。
そうなると、『黒龍』の因子による急激な侵食が開始されると予測され、それに伴って俺の意識が消し飛ばされるのが第二段階。
コレが発生すると予想されていた為に、協力してくれる帝龍がアンフィスバエナさん一人だけの時には手を出さずに只待っていた、と言う訳だ。
何せ、アンフィスバエナさんには、その状態の俺を閉じ込める為の結界……の様なモノを張って貰う必要が在るからだ。
確実に暴走し、かつ不完全ながらも帝龍としての力を振るう事が予測され、全力で周囲へと無差別に破壊を撒き散らす事間違いなしな俺の身体を抑え込もうとおもったら、同じく帝龍が全力……とまでは行かなくとも、少なくない力を振り絞る事が必要になってくる。
その上、内部で暴れまわる俺をそのまま放置していては、万が一結界を破壊して外へと出て来てしまう事が考えられる為に、内部で俺と闘ってある程度体力等を削っておく必要も在るのだそうた。
なので、第三段階。
アンフィスバエナさんの他の帝龍達に協力して貰い、俺の身体の体力が尽きるまで結界の中で闘い続ける。
もちろん、帝龍達に直接的に俺の身体の相手をして貰うつもりは無い。流石に、それは頼りすぎと言うモノだろう。
なので、彼らにはアンフィスバエナさんが張る結界が、万が一にも破られない様に強化して貰ったり、メインで闘う仲間達の援護や魔法による強化を頼む予定となっている。
一応交代しながら闘って貰う予定だが、精神的なアレコレからミスをする事も在るだろうとは予測出来なくもない。親しくしている仲間だからこそ、その相手に刃を向けると言うのは一部の連中以外にはかなり精神的にクるのは間違い無いだろう。
そう言う理由から、仲間達がヤバそうになったり、休憩する際の隙を潰す為に助けて貰う事はお願いしているが、基本的に直接の手出しは無用と言う事になっている。
まぁ、もっとも、計画がそのまま上手く行くとは思っていないけどね?
そもそも、俺の体力がどれだけ持つか分からないし、何よりあいつらでもまともに相手になるのかすら微妙な処だ。実験も兼ねて以前に条件付けて手合わせした時も、二人掛かりでも抑えきれなかった事実を鑑みても、抑えきれずに敗北する事も十二分に考えられるだろう。
……ただ、それしかもう手は無い。
何より、全てを承知した上で協力を約束してくれているあいつらになら、任せられると思える。
それに、いざヤバくなったら、最悪俺を殺してでも自分達の命を優先する、と言う約束になっているしね。多分、どうにかなるでしょ。
なんて事を考えながら、離れた場所に居るアンフィスバエナさんへと手を振る。
すると、向こうも手を振り返してから両手を複雑に組み合わせ、その後地面へとその組み合わせた両手を勢い良く押し当てた。
それと同時に、俺と隣に居たリンドヴルムを中心とした半径百m程の円が隆起した『舞台』によって形成され、それに沿う様な形にて半円状に黄茶色の光が立ち上がり結界が造り上げられたのであった。
ものの試しに、と短剣を『技能』にて創り上げ、そこそこ本気にてその結界へと目掛けて投擲してみる。
すると、カツン、との軽い感じの音と共に結界から弾き返され、『舞台』へと落ちてカラカラと音を立てながら転がって行く。
成る程、これならば派手に暴れても大丈夫だろう。
そう安心感と共に確信を抱いた俺は、少し離れた場所にて待機している仲間達へと確認の意を込めて視線を向ける。
すると、長い事一緒に色々とやっているタツやレオを筆頭に、皆が一様に覚悟を秘めた目をしながら頷き返す事で返答の代わりとして来た。
あの様子なら、大丈夫だろう。
そう判断した俺は『舞台』へと直に座り込み、胡座をかいた膝の上にリンドヴルムを乗せると、最後の一押しをしてくれるとの約束になっていたウシュムガルさんへと手を上げて合図を送る。
彼女の方も、手を上げる事で確認したと言う事を俺へと告げ、俺の方へと掌を向ける形で手を掲げて来る。
そして、何かを呟いた様に見えると同時に、形容し難い『何か』が俺の身体へと殺到し、身体はまるで芯でも入れられた様に硬直したままに、俺の意識だけがスイッチを切った様に唐突に途切れるのであった。
……後は、任せたからな……。
次回から、本格的に戦闘が始まる……予定です
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