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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第一章・無人島編

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22/251

22・ボス戦閉幕です

ブックマーク感謝ですm(__)m


今回は少々長めになっております。

硬質な鱗に金属の刃が叩き付けられる高音や、巨大な四肢や大木の様な尾、そして人外の速度で撃ち込まれる手足が奏でる破砕音等を聞きながら、ふとした拍子に戦闘とはあまり関係の無い思考が脳裏を過る。


……眼前に相も変わらず君臨するリンドヴルムとの死闘が始まってから、どれだけの時間が過ぎたのだろうか……。


目の前で『絶対的な死』として君臨するリンドヴルムを倒す為、その心臓に俺の相棒たる『濡烏(ぬれからす)』を突き立てる為に疾走し、どうにか腹の下に潜り込めないかと間合いを詰めようとする俺に対して、その強大かつ変幻自在な尻尾での迎撃が試みられるが、その迎撃に対して練っておいた『気』を腕力の強化に回した上で、槍の基本技能の一つでもある『巻き』を流用して床へと軌道を誘導し、直撃をどうにか回避しつつ更に距離を詰めながら、周辺へと警戒の意味合いも込めて視線を走らせる。


……既に分かりきってはいた事だが、もう動いている人影は、相対するリンドヴルムを除いては、俺達三人のそれらだけ、となってしまっている。



仕切り直しとなった『あの時』の直後から、先生を除いた女性陣はリンドヴルムの言葉に当てられていたのか、矢鱈と好戦的になってしまっていた。


それでも、そのままぶつかっては勝ち目なんて微塵も無い、と言う事がわかる程度の理性は残していたらしく、各自でただ突っ込むのではなく、連繋や工夫を凝らした戦闘を展開する程度には正気だったみたいだけど。


亜利砂アリサさんや先生の様な手数系のスキルの場合、幾ら数を撃っても鱗に弾かれてしまって意味がない。ならば、同じ所に集中させれば良いとばかりに、同じ鱗にだけ集中させたり、他の人が作った傷を狙ったりと、確実に体力を削りに行く様な戦法を取ったり、音澄さんの分身や、久地縄さんの遠隔斬の様に、直接近付かなくても良いスキルを使って撹乱や隙を突いての一撃を入れたりと、様々な工夫を凝らしていた。


その他にも、決め手になりにくい他の面子が引っ掻き回した隙に、これまでの戦闘で無意識的に手加減するようになってしまっていた阿谷さんが、意図的にフルパワーで鉄塊を足の関節等を狙って振り下ろして確実に機動力を削りながらダメージを蓄積させたり、遠距離からの攻撃の要が先生だと確定させたリンドヴルムの攻撃を、乾と桜木さんの二人掛かりではね除けつつ、意識が自分達から外れた時は、積極的に手持ちの鈍器で殴りに行ったりと、地味に色々とやっていたのである。


もっとも、序盤の方こそリンドヴルム自身が、この場での『敵』は俺達野郎共だと定めていた事もあり、ある意味見逃されていたのだが、それでも中盤以降は鬱陶しくなってきたのか、それとも自身にある程度以上のダメージを与えた為に、女性陣おも『敵』として認識し出したらしく、そのお陰で一人、また一人と順に倒されてしまい、結果的に今立って戦闘しているのは俺達だけとなってしまっているのだ。

まぁ、不幸中の幸い……と言うべきかは置いておくとしても、取り敢えず今のところ死者は出ていないみたいだけど。

もっとも、このまま放って置けば、確実に死に至るであろう事は、まず間違いが無いのも事実ではあるが。



……そして、今こうして戦闘を続けている俺達とて決して無事では無いし、状態的には、彼女達と似たようなモノではあるのだけど。



そんなことを思いつつも、どうにか迎撃の網を回避しきったらしく、何とかリンドヴルムの広すぎる懐へと潜り込む事に成功する。


その懐へと滑り込んだ勢いもそのままに、生物にとっての絶対的な急所である胸部へと必殺の一撃を放……たずに急ブレーキを掛けて勢いを殺し、その場で緊急回避に移行する。


すると、つい数瞬前まで俺が居た所に、リンドヴルムの巨木を思わせる右の前足が轟音と共に振り下ろされ、その場から放射状に床へと大きなひび割れを刻む。


その半ば見慣れた光景を右目の視界だけ(・・)で、無機質とも無感情とも取れる様な温度の視線で眺めつつ、丁度良い所に在るその右前足へと相棒を振り下ろし、その下手な短剣よりも長い穂先でリンドヴルムの指を切り飛ばす!



ザンッ!!!



思わず苦痛の呻き声を漏らすリンドヴルムだが、そこで手を止めてやらねばならない道理は無いので、一切の遠慮をせずに、跳ね上がり掛けていた右前足の肘に当たる関節へと穂先を刺し入れ、全身に掛けていた『気』の強化を全開にしながら、地面に向かって引き倒す様に捻り込む!!



『ガァァァァアアアアアアアアア!!!!!』



それには流石の『黒龍女帝』も堪らなかったのか、それまで挙げた事の無い様な苦痛に満ちた絶叫が辺りに響き渡る。

まぁ、引き倒す際に、ゴリゴリとした硬質な骨を削り斬る感触と、ブチブチと何やら腱の類いが千切れる様な音が聞こえて来たので、当然と言えば当然かね?


破壊された肘に走る激痛に絶叫しながら、まるで痛みの余りに正気を喪って暴れだした様にも見えるリンドヴルム。


その姿を好機と見て、懐へと飛び込もうと走り出す為に足に力を込める。状況を見たタツとレオも、同じく好機到来と考えたらしく、追撃を加えるべく距離を詰めてくる。ならば、と三人掛かりで止めを刺すべく飛び出そうとした瞬間に、背筋へと極大の悪寒が襲い掛かり、咄嗟に前進を取り止めてバックステップで距離を取る。


それを見たからか、それとも俺と同じく悪寒を感じたからなのかは不明だが、やはり俺と同じ様に緊急停止し、その場から距離を取る二人。


……そして、その行動は正しかった様で、直前まで俺達が居た空間を紅蓮の焔が埋め尽くし、辺りを灼熱地獄に変異させる。


その攻撃をどうにか回避した俺達を憎々しげに、されども何処か『感心』や『歓び』の混じった色を含んだ視線で見詰めるリンドヴルムが視線と同じ色を滲ませた声色で吼え猛る。


『カッ!惜しいのぅ。あのまま近付いて来ておれば、そのまま纏めて焼き払ってやれたモノを!これでは妾のやられ損ではないか!!』


そう悔しげに、されども何処か愉しげに言葉を紡ぎながらも、微かに口元を上向かせているリンドヴルム。

どうやら先程の狂乱は演技だったらしく、下手に攻め込めば本当に消し炭になっていたであろう事実に滲み出た冷や汗を拭いつつ、攻撃手段の一つであると同時に、移動手段であった前足を破壊されては流石に移動出来なくなったのか、その場から動かなくなったリンドヴルムを横目に捉えながらも、警戒を解か無いままに一息入れる為に一旦距離を取る。


もちろん、あの巨体相手に遠隔攻撃手段が無いのに距離を取る何て事は、自殺行為以外の何物でもないのは重々承知しているが、流石にあれだけの回数を死線と紙一重の処で立ち回ってしまうと気力や体力と言った諸々を極度に消費するので、此処等で一息入れないと、差せる止めも差せなくなるから仕方がない。


そんな俺の行動を見て、牽制としてかはたまたただ単に疲れたからなのか、俺の所にタツとレオも集まってきた。

……まぁ、二人とも息を切らしているみたいだから、多分休憩の方だろうけど。


そんな二人に視線すら向けずに声を掛ける



「ハァ……よう、お前ら。俺は、見ての通り(・・・・・)、だが……そっちは、どんな感じ、だ……?フゥ……」



息が切れている以外(・・)の理由からも言葉を途切れさせながらも、各自の状況を共用するべく問い掛ける俺へと、二人も似たような調子で答えてを返す。



「……フゥ。俺は、まだ戦闘継続、可能だ。と言っても、先程攻撃を受け損ねて、左腕、折られたが、短時間なら、まだやれる。……それ以降の保証は出来ん……グッ……」



「痛タタタ!僕の方も~、戦闘自体は、出来なくは無いかな~。……ただ~、ウッ……少し前にミスって掠めちゃってね~、肋の2~3本位、持って行かれたっぽいから~、そこまで長くは戦えないかな~?……ゲホッ!!」



……フム、どれだけ軽く見積もったとしても、二人ともに重傷。戦闘は辛うじて続行可能なれど、そこまで残存時間は長く無い、か……。


そんな二人の状況を加味した上で、更に状況を判断する材料として乗せるべく、俺自らの状態を確認。


最初に確認するべきなのは、やはりあの時必要に駆られていたとは言え、粗雑な『気』を流して痛め付けていた左腕だろう。まぁ、とは言っても、どうやら戦闘中の負荷に耐え切れなかったらしく、一足お先に御臨終間際の所まで逝っており、どうにか動きはするものの、あの時の様に『風切り』を放つ何て真似は天地が引っくり返ってもまず不可能だろう程度にしか使用出来なくなっている。


次に意識を身体全体へと移して行くが、此方も余りよろしくは無い。少々出血し過ぎたせいか、体力が低下してきているし、身体の各所に負ったダメージも決して少なくない。


そして、現状最大の負傷にして最悪のデバフとして降りかかっているのが、顔面の左側から胸元に掛けての『大きな』と形容しても間違いは無いであろう裂傷だ。


少し前に飛び込んだ際に、下から掬い上げる様に振るわれた爪を回避し損ねて掠めてしまい、鎧の胸部を砕かれるだけでなく、そのまま胸元にから左目を縦断する形で切られてしまっている。

痛みやその他諸々から、左の瞼が開けられていない為確たる事はまだ言えないが、おそらく左目はもうダメだろう。

おまけに、切られた傷自体も結構深めにやられているので、一応は止血を試みてはいるものの、一向に止まる気配を見せずに、未だ出血が続いている。


それらを総合して自己診断してみた結果、『限り無く死人に近い瀕死、又は棺桶に両足突っ込んでいる状態』と出た。

……うん、我が事ながら、これは酷い。


多分だが、タツとレオの二人も、俺ほどでは無いにしても、俺に言ってないだけで他にも負傷が有るだろうから、俺と似たような状態なんだと思う。



まぁ、要するに、こっちは全員死にかけてるって訳だ。



対して敵さんは、とリンドヴルムへと視線を向ける。


そうして俺の目に写るリンドヴルムは、一見俺達と似たような状態に有るようにも見える。


仕切り直しをした際と変わらずに片目は閉ざされているし、肩の傷からの流血も続いている。


先程俺が壊した右前足は肘の所からダラリと垂れ下がったままになっており、既に使える状態では無い事を容易に想像させる。


その他にも、これまでの戦闘で女性陣が付けた無数の大小様々な傷や、タツによって破壊され、もう飛翔する事は叶わないだろう事を連想させる様相を見せている翼。レオによって丁度中程の辺りを大きく切り裂かれ、滝のように出血しながらも、それでも半ば無理やり『武器』として酷使され、ボロボロと言う表現が最適であると思わされる程に痛め付けられている尻尾。


それらを見る限り、俺達と同等かそれ以上のダメージを負っている様にも見てとれるが、実際の処はその通りとは言い難いだろう。


何故なら、よくリンドヴルムを観察してみると、徐々に、徐々にでは有るが、彼女に付けられている傷が、何もしていなくても勝手に塞がっていっているみたいなのだ。こうして俺達が息を整える為に止まっている間にも、小さい傷であれば素早く塞がり、その上から新しい鱗が生えて来ているのが見えている。

そうでない傷も、余程大きなモノで無い限りは既に出血が止まってきており、完全に塞がりきるまでは少し掛かりそうでは有るが、それでも行動や戦闘に支障の出るレベルからは軽く脱出している事が伺える。


もっとも、最初に潰された目が回復していなかったり、先程破壊した前足の部分に再生が始まっていなかったりと、この謎の再生力も万能と言う訳では無い様子なのが、唯一の救いと言えるだろうけど。


「……フゥ。さて、敵さんは見ての通りに、再生能力が半端無い。おまけに、鱗による高防御と巨体による超タフネス、それに加えて範囲攻撃もイケる高火力持ち。幸いにも、今は機動力が潰れているが、余り足しにはならないだろうね。

さて、ここで問題だ。アレを倒すにはどうすれば良い?」


「……持久戦に持ち込まれては、此方に勝ち目は無い。短期戦を仕掛けるべきだろう」


「それも~、手数に頼る様なのは多分ダメだろうから~、一撃で殺しきる位の攻撃でないと~、意味がないんじゃ無いかな~?」


まぁ、だろうね。


ならば、と二人にハンドシグナルだけで次の、そして最期になるであろう作戦を伝達し、二人の合意を待ってから、真っ先に俺が飛び出す。


それを見たリンドヴルムも、此方の動きを伺う姿勢から迎撃の為のソレへと体勢を移行させる。


さて、上手く行くと良いのだけど……。




*******





『カッ!ようやっと話は終いか!しかし、全て見えておるぞ!まずは槍使いのお主が突っ込んで来る……と見せ掛けて、無手のお主が本命であろう!!』


そう言い放ちながら、まずはタカの迎撃に向かうと見せ掛け、彼の加速に隠れるように回り込もうとしていたタツへと焔を吐き掛ける。


それは、最初に使ってきたソレとは違い、高さはそれほどではないが、とにかく左右への範囲が広くおまけに吐いている時間からして射程が短いハズもなく、とにかく回避が出来ない様になっていた。


唯一方法が有るとすれば、それは上空に逃れる事だけだが、それでも人間が跳んで越えられる様な中途半端な高さでは無いし、万が一跳んで直撃はやり過ごしたとしても、どのみち半ば壁状になっている焔に炙られて息絶えるのは間違いない。


……リンドヴルムとしては、この一撃でタツを確実に仕留め、後に残ったタカとレオが動揺している隙を突いて決着を付ける心積もりであった。


そう、普通に考えれば、これで『詰み』である。


だが、リンドヴルムは知らなかったのだ。


自分が今、確実に火葬したと思っている相手が、何を持っていたのかを。


そして、まだ確認していないのに、『倒した』と思い込んで意識をタツからタカ(次なる獲物)へと移してしまったのだ。




「……この瞬間を待っていた!」




その声が聞こえた瞬間、リンドヴルムの意識に一瞬の空白が発生する。


だが、それは仕方の無い事だと思われる。


何せ、確実に仕留めたと思っていた相手が、回避出来るはずの無い焔を回避して生き残っていただけでなく、翼も持たない人族(ヒューマン)の分際で空中を駆け、己の頭部よりも上に現れたのだから。


そして、その豪腕に全身の力に加えられて、全力で生成された『気』が乗せられた一撃がリンドヴルムの頭部へと突き刺さる!


「『瀑布』!」


それは、蛟流の奥義の一つ。


敵の頭上と言う、生物にとっての最大の急所にして最大の死角から、全身の力と共に『勁』を全力で叩き込み、相手に極大のダメージを負わせる荒業である。


本来、想定されている『人間』相手の場合、当たれば確実に相手を死に至らしめる『殺撃』でもある。


……だが、今回は『相手』も『状況』も著しく悪かった為か、喰らったリンドヴルムは大ダメージを貰い、それと同時に産まれて初めての脳震盪を経験してはいるものの、未だに戦闘不能には陥っていなかった。


即座に、とは行かないまでも、空中で渾身の一撃を放ったタツへの迎撃を行うべく口を開き、今度こそ!と意気込んで焔を吐き出そうとするが、その時、仕切り直しの時から閉ざされていた目の方の首筋に唐突に違和感が発生する。



「あ~あ、タツにばかり気を掛けて、僕を見落としちゃう何て、お間抜けさん」



そんな呟きが耳に届いたと思った時には、首筋にドロリとした感触が走り、その次の瞬間にはまるで火山が噴火したかの様な勢いでリンドヴルムの血液が噴出し、周囲を焔とは別の方向で真っ赤に染めて行く。


タツとレオの攻撃により、脳震盪と出血多量によって意識が朦朧とし出すリンドヴルム。


辛うじて立ってはいるものの、いつ倒れてもおかしくは無い位の重傷である。


そんなリンドヴルムへと止めを刺すべく、タカが疾走す(はし)る。


そして、必殺の一撃を持ってこの戦いに幕を引くべく懐へと入り込もうとした時、リンドヴルムに確かな意識が戻る。


それは、ただの偶然か、それとも、タカの殺気に反応したのかは不明だが、それでもリンドヴルムが意識を取り戻した以上、このまま殺されてやるつもりは更々無い。


故に、タカが懐へと飛び込んで来た瞬間、全力で攻撃を仕掛けようと意識を集中させているであろうそこに、故意的に重傷を負っている右前足で斬りかかる。


まだ無事な左側に比べれば、完全に破壊されていると言っても間違いではない状態の右前足に対する警戒は格段に下がるのが道理だし、何よりリンドヴルムから見て右側は、タカの潰された左目に相当する向きであり、攻撃するのにもってこいの位置であったのだ。


だが、その必殺のハズの一撃は、タカの左腕を奪う事には成功するが、本来の目的を遂げることには失敗してしまう。


失敗した理由としては、リンドヴルムの脳が未だに脳震盪で揺られており、ソレによって狙いが甘くなってしまった事と、タカが予めこの攻撃が来るであろう事を予測していた為、必殺の位置取りを外すこと無く回避した為であった。


だが、今この場にて対峙する二人にとってはそんなものは大したモノでは無く、ただ単に『仕留め損ねた者』と『これから仕留める者』に別たれただけの話しであった。



『……やれやれ、妾もヤキが回ったかのぅ……』



「……さぁな。……だが、これで全部終いだ。『飛鷹流』の奥義、冥土の土産にもって行け!」





天穿(あまうが)ち』!!!





それは、『飛鷹流』の奥義にして、基本技である『突き』を極限まで突き詰めた、必殺の一撃。


ただ単に、『気』で強化した身体能力を全開にし、『飛鷹流』にて『縮地』と呼ばれる、加速度を0の状態から一気に100までもって行く技能を使って超加速し、『抜き』と呼ばれる手の中で槍の柄を滑らせて、刀の鞘走りにも似た状態で加速させる技術も流用し、『飛鷹流』に於ける最高速度にて相手を貫く、そんな技である。


名称の元は、開祖がこの技を使った際に、余波で天の雲に孔を開けたと言う逸話から来ているらしいのだが、タカが放った一撃にて、胸だけでなく背中まで貫通するほどの大穴が開けられている現状を鑑みると、強ち嘘や迷信では無かった可能性が高い。



そして、タカの必殺の一撃で、こうして大穴を開けられたリンドヴルムだったが、即座に死に至っている訳ではなく、渾身の一撃を放って即応が出来なくなっているタカに対して、死出の旅路の道連れに!とその牙をタカに突き立てんとしたが、寸での処で思い直したのか、それとも何かしらの感情が芽生え、それ故に止めたのかは定かではないがそのまま取り止め、それまで着かずにいた膝を地面に落とし、こう宣言するのであった。




『……美事(みごと)なり、タカナシよ。お主の、勝ちぞ……』




そして、まだ息絶えないまでも、リンドヴルムが敗北を宣言した事により、この戦いは辛うじて小鳥遊達の勝利となったのである。

勝負には勝った小鳥遊達だが、この後どうなる!?


面白いと思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等頂けると大変ありがたいですm(__)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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