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157・何かヤバそうなモノを見付けてしまいました……

ブックマークにて応援して下さった方々に感謝ですm(_ _)m

無事に900件突破しました!(^^)

 


「「「助けて女王様!!!」」」



「へぁ!!?」



 この世の終わりでも来たかしらん?と突っ込みたくなる様な光景を直接目の当たりにするハメになり、半ば心がへし折られ掛けてビビっている俺と、そんな俺を見て『こりゃヤベェ』と内心ガクブル状態となっているタツとレオと共に、大急ぎで俺達が出立した時に本隊が居た場所へと向かっていた俺達は、途中まで俺達が拓いていた道を辿って来ていた本隊を発見すると同時に全力で飛び込み、専門家たるルィンヘン女王へと丸投げするべく、顔を合わせると同時に全力で泣き付いた。


「タ、タカ様?それに、お二方も一体どうなされたのですか!?貴方達がそこまで怯えるなんて、一体何が在ったと言うのですか!?」


 最初は、そうして泣き付いて来た俺達の姿を見て驚いたのか、変な声を出していたルィンヘン女王だったが、見かねて割り込んできたそれぞれのパートナーに俺達が回収され、ガクブル状態になっていたのをあの手この手で宥められている間に復活したらしく、普段の調子で問い掛けて来た。

 そこで俺が、斥候に出た先で見付けたモノと視た光景を、同時平行で従魔達からのアニマルテラピーを受けながら説明すると、タツに巻き付いていたサーフェスさんも、レオを後ろから抱き抱えていたシンシアさんも、背中から俺に寄り添ってくれていたアストさんも皆一様に唖然となり、周囲を警戒してくれていたサーラさんとネフリアさんが不審に思って覗きに来る程に辺りが静まり返る事となってしまう。

 それが、俺のもたらした情報によるモノなのか、それとも普段とは異なる弱気な俺の言動によるモノなのかは不明だが、それでも俺が関わっていると言う事だけは間違いない事実なのだろう。


 そうして静まり返る中、唯一俺からの情報を静かに受け止め、自身の中にて咀嚼して判別し、予測を交えながら理解を深めていた(らしい)ルィンヘン女王がそれまで閉ざしていた目を開くと、力強い動作と共に使い物にならなくなっていた俺に代わって号令を下すのであった。




「一刻も早い調査が必要だと判致しました!タカ様。お辛い処申し訳ございませんが、その祭壇の在った場所まで案内をしては頂けませんか?もしかしたら、もう一度確認の為に視て頂く事になるかもしれませんが、ソレ以外は全て私達にて処理致しますので、どうかお願い致します」




「…………流石に、そこまで言われてしまっては、ただビビっているだけでは男が廃りますね……。

 ……分かりました。祭壇までは案内させて貰います。ですが、俺達ではどうにも手が出せない様な代物ですので、どうかお願いしますよ?下手をしなくても、あからさまに今回の騒動に関連が在るのは間違い無さそうなんですからね?」


「えぇ、ご心配無く。『妖精族(アルヴ)』の女王たるこの『ルィンヘン・アリエル=アズラレス・ファノメレル』の名に賭けて、必ずや原因を突き止めて見せましょう!何せ、他ならぬ貴方の、私に対する初めての願いなのですからね?タカ様♪」


 俺からの発言の返答として、自らの名に賭けての宣誓をして見せたルィンヘン女王は、最後に何処か愛しそうな色を混ぜた視線を俺へと向けながら、その口元に蕩ける様な微笑みを浮かべて見せ、誘う様に手を差し伸べて来る。



 ……この貴人にそこまで言わせた上で、この手を取らない選択肢は無い、な。



 そうと決め、萎れかけていた心を奮い起たせた俺達は、ついさっき尻尾を巻いて逃げ出して来た処へと、皆を率いてもう一度行く事を決めたのであった。





 ******





「…………アレが、例の祭壇です……」


 ほんの少し前に、尻尾を巻いて逃げ出して来た道を再度通り抜け、一時間掛けない位にて例の祭壇が在る木立の広場へと到着する。


 魔力を視る機能をOFFにしていれば、何の変哲も無い広場と祭壇にしか見えないのだが、一度機能をONにしてしまうと、途端に視える光景が変化する。

 何か白っぽい材質にて作られていた祭壇は、その上に安置されている謎の鉱石と同じ禍々しい赤紫色に染まり、その鉱石からは極太で同色の光の柱が天を貫かんばかりの勢いと高さで突き立っており、とても直視し続けていられ無い様な謎の威圧感を放って来ている。

 そして、その赤紫色の魔力は祭壇を染めるだけでなく、祭壇から溢れ落ちて地面にも染み込んでいるらしく、その影響からか周囲の下草の類いは死滅している様に見て取れた。


 改めて目の当たりにする光景に、滴ってきた冷や汗を拭っていると、どうやら隣に来ていたルィンヘン女王も同じ様に視えているらしく、表情を強張らせながら冷や汗を垂らしていた。


「……これで、俺が言っていた意味が理解出来たでしょう?それで、どうにか出来そうですか?」


「……えぇ、これは、直接目の当たりにしないと、伝わりきらないタイプのモノだったの様ですね?流石に、少し調べてみないと難しそうですね……」


 そう言いながら、半ば無造作にも見える様な足取りにて広場へと踏み入り、祭壇を目指して歩んで行くルィンヘン女王。


「では、私も参ります。タカ殿は、辛くない程度に情報を流して頂けますと助かりますが、無理はなさらないで下さいね?」


 そして、俺達の中では魔法方面に対しての知識が豊富なアストさんが、ルィンヘン女王と共に広場へと足を踏み出して行く。


 流石にルィンヘン女王や俺の様に、魔力を視覚的に捉える様な能力は持っていない様子だが、『獣人族(ベスタ)』組の三人の様に何も感じていない(普段と変わらない様子で祭壇を不思議そうに眺めていた)訳では無いらしく、やはりその額や首筋にはうっすらと汗が滲んでいた。


「……これは、『ブエルの手』に『マルバスの髭』、でしょうか……?」


「……えぇ、その様ですね。私には、何となく大きな魔力の流れが在る、程度にしか感知出来ませんが、回復薬(ポーション)の原料となる『ブエルの手』や、魔力回復薬(マナポーション)の原料として使用される『マルバスの髭』が魔力過多によって立ち枯れるとは、尋常では無い事態が起きている証拠と言えますね。

 ……これは、タカ殿がアレだけ取り乱される訳ですね……」


 下草が立ち枯れて死滅している事によって形成されている境界線まで近付き、その周辺を観察していたルィンヘン女王とアストさんとの声が聞こえて来る。

 ちなみに、俺達が以前採取の依頼を受けた事が在る『ブエルの手』も、一緒に生えていたらしい『マルバスの髭』と言う植物も、どちらも一般的にはある程度以上空気中の魔力が多い場所にしか生えない植物であり、その魔力が多ければ多い程元気に良く育つ、と言われている代物である。

 ……そんなとんでも植物が立ち枯れる様な環境って、一体どんな魔境なんだよ?俺達が入っていたら、一体どうなっていたんだろうか?ぶっちゃけ、無事で済んでいたとは思えないんだけど!?


 意外な処に転がっていた即死級のトラップの存在に、内心どころか実際にガクブル状態になりながら、心配して寄ってきたリルに寄りかかり、カーラを膝に乗せてその羽毛をモフりつつ二人の行動を見ていると、それまで余裕が無かった為に気が付いていなかったが、空に重たい雲が掛かって陽光が遮られ始めており、空気にも水の匂いが濃く漂い始めていた。


「……やべっ!?レオ!不味い、降り出しそうだ!早い処、テントとタープの準備を!!タツも手伝ってやってくれ!!」


「「……!?了解!!」」


 この世界に来てからは、基本的に屋根有りでの移動手段に頼ってばかりだった為にあまり気にしてはいなかったが、今居る様なジャングルに於いて降雨中に移動するのはあまりよろしく無い。何故なら、急激に湿度が上がって不快感が急増するし、只でさえ覚束無い足元が雨でぬかるんで更に悪くなる。

 それに、幾らかは木々の梢が防いでくれるとは言え、少なくない両の雨粒は確実に地表へと直接的に降り注ぐ。その為、それらに当てられる事による衝撃と、服が濡れる事によって発生する体温の低下は多大に体力を削る事に繋がる為に、ほぼ絶対と言って良い程に避けなければならない事態だと言っても良いだろう。


 そんな事情から、何時までもヘタレている訳にも行かず、半ば強制的に自ら渇を入れ、大慌てでテントの類いを技能によって収納しているレオへと状態を知らせ、タツにもそれに伴った指示を出す。

 流石に、魔物が犇めく大森林にて大声を出すのは憚られる事も有り、最低限聞こえる程度の声量にて叫ぶ、なんて器用な真似をさせられるハメになりはしたが、俺達が突然空を気にしながら動き始めた事により事態を把握したらしい、調査の為にやや離れている二人と、周辺を警戒している見張り要員のネフリアさんを除いた『獣人族(ベスタ)』組の三人が手伝いを申し出てくれた為に、黒々とし始めた雲が蓄えた雨粒を落とし始めるよりも先に逃げ込む先を用意する事に成功する。


 取り敢えず、ネフリアさんには糸による警戒網を敷いて貰い様に頼み、外に出たままで濡れ鼠になりながら見張りを続け無くても周囲の安全を確保出来る様にしてもらってから従魔達も中に引き入れて、濡れてから入って来る事の無い様にしておく。

 そして、まだ外に居る二人にも早く入る様に促す為に、一人広場の中へと踏み込んで行く。


 丁度、二人共に例の境界線を調べている途中であったらしく、手を翳して何かを唱えたり、外側から枝や棒を差し込んだりしている様に見える。


「……お二人ともちょっと良いですか?そろそろ、雲の状態的に一雨来そうなので、今日は早めに切り上げて屋根に入りませんか?まだ何も解ってはいないとは思いますし、頼んでおいてこの物言いは申し訳無いですが、このままだとずぶ濡れになって体調を崩しかねません。そうなった方が、より時間が掛かる事は分かって貰えますよね?」


 その言葉に反応して顔を上げた二人は、俺の顔を見るなり驚いた様な表情を浮かべるが、その直後には何処か安堵した様な微笑みを浮かべ、地面に座り込んでいた為に着いた土埃や手の汚れを叩き落としながら立ち上がる。


「ふふふっ、その様子ですと、どうやらもう大丈夫な様ですね?怯えられていたタカ様も可愛らしかったですが、やはり何時もの凛々しいタカ様の方が良いですね!」


「無理をなされている訳では無い様子ですが、もし辛くなる様でしたら遠慮なさらずに言って下さいね?タカ殿が思っておられる以上に、貴方を想っている者は、貴方が辛そうにしている様を見るのは心が痛むのですから。

 まぁ、陛下の仰られる事も理解出来ますが、私としましてはベッドの中で甘えてくれるタカ殿の方が……」


「……ま、まぁ、そうですの……?すぐに、そこに私も混ざる事になるのは、私の魅力からすれば確定事項ですが?それでも予習と言う事はやっていて損の無い事ですし?予め彼の好み等を聞いておけばより一層悦ばせる事が出来るので?その為の見識として参考にしたいだけですがえぇそこの処少々詳しく!?」(凄い早口)


「えぇ、構いませんよ?現時点ではタカ殿の『唯一の女』である私が!ご教授して差し上げましょう!

 では、まずは前提としてーーー」


 俺の様子を心配してくれていた事を口にした二人だったが、突然話が大幅に脱線を開始し、何故か話のネタにされている本人の目の前にて猥談が開始され、時折実際に俺の方へと視線を向けたり指先にて指し示したりして話を進め、合間合間にキャー!だのゴクリッ!だのと言った効果音(?)を挟みながら二人で盛り上がりを見せている。


 ……アレ?俺って、それなりに重要な用事が在って二人に声かけたんだったよな?用事って何だったっけ……?


 そんな風に内心で考えながら、思わず頭痛を堪える様な仕草にて額に手を当て空を仰ぐと、もう今にも雨粒を落とし始めそうな黒雲が視界に飛び込んで来た為に用件を思い出し、二人へと急いで視線を戻す。

 すると、二人共に自身の目で現在の空模様を確認していたらしく、その話はまた後で、と言い交わしてから祭壇へと向き直る。


「では、楽しみは後に取っておくとして、取り敢えず軽くだけでも調べてしまいましょうか」


「そうですね。今更、雨の一つや二つでどうこうなりそうな見た目はしていないですが、それでも一度降りだしてしまえば直接的に調べる事が出来なくなりますから、触りだけでも情報を集める事と致しましょう。タカ殿が仰っていた通りに、この魔力は少々厄介ですが、こう言う環境をどうにかする為の魔法も無い訳では無いですからね」


 そう言うと、二人揃って呪文の詠唱へと入って行く。



【悪意在る者より我が身を隠し、我が力を周囲へと知らしむる事無かれ】


『ハインドベール』!



 呪文の詠唱を終え、魔法を発動させた二人は、その身にうっすらと光を放っている薄絹の様なモノを纏っており、二人共に手足を動かして具合の確認を行っている。


「……ふむ?急造で整えた割には、それなりに形になっているみたいですね?」


「えぇ、そうですね。本来ならば初級も初級、わざわざ呪文まで唱えて発動させるなんて、まだ魔法を扱い始めた子供しかしない様な、自身の気配を薄めて身を隠す為だけの魔法ですが、それを少々改造して『外部から与えられる魔力の影響を遮断する』魔法を作ってみた訳ですが、案外と上手く出来ているみたいですね?

 初めて使用したので呪文の詠唱までやるハメになりましたが、久方ぶりに初心を思い出した様な気がしますね。

 ……これは、もしかすると私の有能さを示せた事に繋がる可能性が在りますので、タカ様に対するアピールポイントも高いと見ても良いのではないでしょうか!?」


「そうですね……。あのお顔は、凄いけどどの位凄い事なのか分かっていない、と言うお顔ですね。まぁ、タカ殿は魔法にあまり触れられてはいませんし、仕方の無い事かと。

 それよりも、もう今にも降り出しそうですし、この魔法にも時間制限が在りますから、手早く調べてしまいましょう」


「えぇ、そうですね。外部からの魔力の影響を遮断出来たまでは良かったのですが、私達が外部から吸収している『マナ』まで遮断してしまうので、自前の魔力で賄うしか無いのはある意味欠陥ですよねぇ……。

 まぁ、私もアシュタルトさんも、魔力量は多い方なので、そこまで心配する必要は無さそうですが。

 ……とは言え、魔力が尽きれば辛くなるのは必定ですし、ここは早速調べてしまうと致しましょう!」


 一通り具合を確認しながら会話をしていた二人は、例の境界線のギリギリの処まで近付いてから一旦立ち止まり、大きく踏み出してその境界線を踏み越えて中へと入って行く。

 そして、境界線の中へと踏み込んでも特に異常が出てこない事を確認すると、手早く祭壇その物とその周辺、並びに安置されている謎の鉱石を調査すると、俺共々降りだした雨に追われる形で、用意していた屋根の下へと三人揃って飛び込んで行くのであった。

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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