16・岩場を探険……の予定だったのですが……
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今回、探索……もとい探険する予定の岩場へと辿り着いた訳なのだが、一応は山頂から見下ろしていて把握しては居たことなのだが、こうして再確認してみると、改めて思う。
「……うん。見事に何もない。岩だらけだな」
そう、ここには文字通りに岩しか見えず、特筆すべき何かが有る訳では無い。
「……なのに、ここを目的地に選んだの?でも、だからこそ、小鳥遊君が気にしている『何か』が有るんじゃないの?そうでなければ、あの時私達を置いて、小鳥遊君達だけで行こうとはしなかったんじゃない?」
……乾さん。あんたぁ、エスパーか何かかぃ?
「……まぁ、大体そんな感じさね。もっとも、ここを調べようとした理由は、何かが『有ったから』じゃなくて、何も『無かった』からなんだけどね」
「ん?どう言う事?」
……さて、どう説明したモノだろうか……。
「……前提として聞いておくけど、乾はタツのスキルの効果ってどの程度把握していたりするかね?」
「えーっと、『スキル』って言うと、私と桜木さん以外の人が使えている、あの不思議な能力の事だよね?」
「そうそう、それそれ。まぁ、俺達が勝手に『スキル』って呼んでいるだけだから、この世界での名称は違うかも知れないけど、その認識で大体合ってる。
それで?どの程度知っている?」
「う~ん……。ごめん、私が知っている限りでは、藤井君の能力としては『見た物の情報が分かる事』で、それをするにはある程度の時間見詰めている必要が有る、って位なんだけど、コレで合ってるよね?」
「まぁ、大体は。正確に言えば、『既に知っている情報は見るだけで理解出来るが、そうでない情報は一定時間以上見詰めていないと取得出来ない』って言うのが、俺達が実験してみた結果として判明している範囲での、タツの持っているスキルの詳細になる。とは言っても、意図的にスキルを使おうとしない限りは分からないらしいけどね?
……で、ここまでが『前提』として把握しておいて欲しい情報なんだけど、ここまでは大丈夫かね?」
「うん、大丈夫だと思う。それで?何でここを調べてみようと思ったの?」
「そいつは重畳。で、何でここを調べようとしたのか?だったよな?
まぁ、別段、俺達も、最初からここを調べてみよう、とか思っていた訳じゃあ無いんだ。ここだって、最初に地形把握したいがために、山に登った時に見て、その時はただ単に『岩場が有るな』程度にしか思っていなかったからね。
ただ、二日前位だったと思うけど、タツが暫く拠点に帰って来なかったって事が有ったのは覚えているかね?」
「うん。あの日は確か、朝に藤井君が一人で出て行って、帰ってきたのが夕方だったよね?あの時は、皆で心配して、探しに行こうかどうしようか、って意見も出ていた位だったし。
まぁ、小鳥遊君と神埼君は『そのうち帰って来るから放っておいても大丈夫』って言っていたけど」
「現に、無事に帰って来ただろう?で、ここまで言えば察しは付くとは思うけど、その日にタツは一度ここまで来ていたんだってさ。俺も、タツが帰ってきてから聞いたけど」
「ふーん、そうなんだ。……あれ?でも、だったら何で、今回ここを調べようとしていたの?藤井君が既に来ていたんだったら、特に調べなきゃいけない様な事は無いんじゃない?」
「それに関しては、さっきも言ったけど、『何も無かった』からこうして来ているんだよ。
タツ本人から聞いた限りでは、ここに来てみようと思った理由は特には無いし、ただ単に山頂から見えていたからちょっと行ってみるか、程度の気持ちで来たらしいんだ。
で、実際に来てみて、軽く辺りを調べてみようとした際に、試しにこの岩場自体をスキルの対象にしてみたらしいんだけど、そこで今までに経験の無い反応が出たらしく、何となく嫌な予感がした為にそこで切り上げて帰還したんだってさ」
「……あの藤井君が?私の見立てだと、彼みたいなタイプの人って、気になった事が有ってそれを調べ出したなら、ある程度の成果が出るまで止めないと思うけど?それに、少しは交流があったから分かるけど、藤井君ってある程度の障害だったら踏み潰してでも先に進むタイプだよね?」
「うん、大体合ってる。それ処か、あいつの行動指針って大概そんな感じだから。よく分かったね」
「人間観察は得意だからね!……でも、そんな藤井君が撤退を選択する反応って、一体どんな反応があったの?」
「……『何も』」
「……え?」
「……タツ本人曰く『スキルを使ってみたが、何も分からなかった』んだそうな。
何時もなら、スキルを使用した直後に何かしらの、それこそ[岩]って感じの、『そんなの見れば分かる』って突っ込みを入れたくなる様な情報だとかであれ何であれ、とにかく何かしらの情報は出てくるらしいんだ。
それなのに、ここはスキルで調べてみても、何も分からなかったんだってさ。その上、嫌な予感がしたもんだから、その時は一時撤退を選択して、こうして後日に俺達を連れて調査しに来た、って訳さね」
「……成る程、理解した。だから、最初は小鳥遊君達だけで行くって言っていたんだね。私達が危ない目に逢うかもしれなかったから。……因みになんだけど、藤井君が『嫌な予感がする』って言い出した場合の的中率ってどのくらいになるの?」
「まぁ、理由の一つではあるかな?それと、タツの予感の的中率だけど、悪い方向に限って言えば『ほぼ100%』当たるかなぁ。あいつ、野生の獣並みに、その手のセンサーが発達しているから、そっち方面では嫌になる位当てるんだよねぇ……」
そう教えてやると、早くも乾は、着いてきた事を後悔している様な表情をし出していた。
******
乾に今回の行動の真意を教えた後、取り敢えず三班に分かれてこの岩場を調べる事になった。
俺達三人をリーダーとして配置し、それぞれの班で戦力的に偏りが出来ない様に注意しながら分けたので、もし万が一に何かがあったとしても、他の班が駆け付けるまでは、どうにか持たせられる様な編成となっている。
……まぁ、大概の敵なら、駆け付けるまでもなく殲滅出来るとは思うけど。
そして、今回俺の班として割り振られたのが
「ふふ!また一緒になったね!」
何故か『強硬』と言っても良い位の姿勢で、俺の班に編成される事を望んだ乾と
「では、小鳥遊殿、宜しくお願い致します」
友人であり、同時に非戦闘要員でもある乾が行くならば、と半ば心配してこちらへの編成を希望した久地縄さん。それと
「ふふふ、皆仲が良いわねぇ。先生も混ぜてもらっても良いかな?」
バランス的に、護衛対象が居るのに遠距離型が居ないのはどうなのかな?と言う訳で、先生がこっちに加わり、計四人の編成となっている。
なお、他の班の編成としては、タツの班は非戦闘要員は入れずに阿谷さんと二人で、レオの班には、レオ自身が遠距離攻撃も得意なので、非戦闘要員である桜木さんを加えて、残りの亜利砂さんと音澄さんを編入しての構成となっている。
……若干、タツの班が攻撃力過多と言うか、攻撃に特化し過ぎている気もしないでは無いが、まぁ、そこはあまり気にしない方向で。
そんな訳で班分けをした俺達は、それぞれでこの岩場を外側から調べて行く事にした。
と言っても、別段何か理由が有って外側からやっている訳ではないけれど。
そうして外側からまずグルリと回って見た結果として、山頂から見下ろしただけでは分からなかった事が見えてきた。
「……なんだかこの岩場、円を描いている様にも思えるんだけど、気のせいかな?」
「いえ、多分合ってると思いますよ、先生」
そう、ここは、自然に出来たのであれば、それこそ『不自然』と表現する他に無い位に、整えられた『円』を描いていたのだ。
もはや、人工物では有りません!とか言われたとしても、確実に嘘だろうと思える程度には、不自然に整えられている。
無人島なのに、人工物とはこれ如何に?と思わないでもないが、俺達が痕跡を感じられない位に昔の住民の遺物なのだとしたら、不思議では無い……のか?
うん、よくわからん。
大雑把に外側を見て回った俺達の班は、次に内側に入って見てみる事にしたのだが、そちらもやはり人の手が入っているらしく、遠くから眺めただけでは良くわかっていなかったが、ただの岩場に見えていた内部の岩々は、何の目的で配置されているのかまでは理解出来ないが、それでも規則的かつ意図的な配置のされ方をしている様に見受けられる。
そして、少し見回っただけでも感じ取れる、この神聖さとも、邪悪さとも取れる様な違和感にも似た感覚。
以前、師匠たる祖父達に、修行と称して放り込まれた秘境の地で、似たような雰囲気の場所を見たことが有ったが、確かそこは周囲の住民達からは聖域指定をされていた場所だったハズだ。
……となると、ここも先住民達の『祭壇』だとか、そんな感じの儀式場だったのだろうか?
そんなことを考えながら調査を進めて行くと、いつの間にか中心地と思わしき、少し開けた場所に出ており、時を同じくして他の二班も別の方向からこの広場へと到着していたのであった。
「よう、そっちはどうだった?」
「……依然として分からん。しかし、嫌な予感だけはしている。……むしろ、この広場に来てからより強くなっている気がする」
「確かに~、ここってあんまり良い空気じゃあ無いよね~?確かに僕もここの事は気になるけど~、僕もタツと同じで~、あまりここに関しては~、良い予感がしないから~、早めに引き上げちゃわない~?」
「……そうだな。じゃあ、目の前のブツを調べてから撤退ってことにするか」
そう言いながら視線を向けたのは、目の前に広がっている広場……ではなく、その中央に誂えられた、岩で出来ていると思わしき台座らしきモノだ。
……見るからに怪しさが爆発しているが、あからさまにこの場の中心です!と全力で主張しているアレを無視するって事は、流石に出来はしないだろう。
そんな思いを胸に、俺は好奇心から、タツとレオは嫌な予感を振り払う為に、広場の中心へと足を踏み出したのだが、後から振り返ってみれば、ここであんな怪しさ満点なブツはスルーしておけば良かったと後悔する事になる。
そう、その広場に一歩足を踏み入れた途端、辺りに『ミシッ!!』とも、『ビシッ!!』とも取れる様な不吉な音が足元からの振動と共に鳴り響き、背筋に走った悪寒に従って後退しようとするものの、その時には既に、確固たる足場として存在していたハズの岩場は、その広場だけが脆くも崩れ落ちて、その中に踏み込んでいた俺達を空中へと投げ出していたのであった。
書いておいてアレですが、結構急な展開、果たしてどうなる!?
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