15・まだ行ってない島の裏側に探検しに行きます
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俺達がこの湖に拠点を作ってから数日が経ち、この異世界(推定)に来てから大体10日程が経過した。
今だに来ると予想している助けては来ていないみたいだが、俺達は当然としてここに居る他の面子も何だかんだでサバイバル生活に慣れてきたのか、ここ最近は何となく余裕が出てきた様な気がしている。
むしろ、最近は狩りに同行するようにもなって来たので、体力等も付いたからか、女性陣が一様に逞しくなって来た様にも感じられる。
と言っても、別段彼女達が太ましくなって来た訳では無い。ぶっちゃけた話、そこまで飽食出来る程の食料が有る訳では……いや、有ったね。レオのスキルの中に。
……とにかく、別段彼女達の重量が物理的に増したと言う訳では無い。……多分。
無いのだが、何となく体力だとか筋力の類いが増してきている様にも感じられるのだ。
外見的には、変わった様子は見られ無いのに、だ。
だが現に、ここ数日の間で、手合わせ(アレからもちょくちょくやっている。もちろん、彼女達からの要請で)の際に放たれる打ち込みは重く、反応は鋭くなって来ているし、最初の手合わせの時と同じ位の手加減の程度だと、体勢が悪かったり油断していたりすると押し負ける様にもなって来ている。
おまけに、それまでは一人につき十数回も転がせば、ほとんどの場合、全員がバテてしまってギブアップで終了、となる事が多かったのだが、最近は体力が付いてきたお陰(?)で、全員で合わせて百回近く転がさないとダウンしなくなって来ているのだ。
……まぁ、体力や腕力が上がった程度で負けてやれる程、俺が受け継いだ『飛鷹流』は安くは無いのだけど。
そうなった理由として考えられるのは、主に二つ。
……と言うよりも、『それしか思い当たらない』のが二つ。
一つは、『魔物(仮称)を倒す』事。
実はこれに関しては、自身の体験としての経験から来るソレであるので、まず間違いは無いだろう。
実例を挙げると、狩りに出た先で、同じ様な大きさの魔物(おそらく同種の狼型)を何頭か連続して戦う事になった事が有ったのだが、明らかに一頭目よりも二頭目の方が、二頭目よりも三頭目の方がよりやり易くなっていたのである。
確かに、慣れの類いだった可能性は否定出来ないが、その時はどちらかと言うと『相手の動きに目が慣れた』結果と言うよりも『自身の身体能力が上昇した』結果として、相対的にやり易くなった様に感じたのである。
更に言えば、この現象はタツやレオも狩りの際に感じたことが有ると言っていたし、戦闘要員となっている女性陣五名も、何となくではあるけど感じたことが有るとの事なので、おそらく魔物を倒すと『ステータス』的な何かが上がるんじゃないかな?と考えられる訳である。
……流石に、ゲームの類いじゃあ無いのだから『レベル』は無いとは思うけど。
そして、二つ目の理由として考えられるのは、『魔物(仮称)の肉を食べている』事だ。
こちらの説では、特に何か裏付けの類いが有る訳でも無いし、何かしらの体験に基づいたモノって訳でも無い。
では、何でこんな事を言い出したのか?と言えば、ここに居る全員が共通してしている事と言えばコレ位のモノだし、あえて言うならば、戦闘に参加していない乾や桜木さんも、体力や腕力と言った身体能力の類いが上昇しているらしいので、理由として挙げられるのがコレ位しか無い、って事でもある。
と言った感じで色々と理屈を捏ねてはみているが、これらの出来事が気のせいなのかそうでないのか、気のせいでないのなら、この世界(推定)では普遍的な出来事なのか、はたまた俺達みたいに別の世界から来た連中だけに起きうる事なのか。
それらについて考え出したら切りが無いし、そもそも答えを知る術が無い。
要するに、『良く分からん』と言うのが、俺達が出した答えである。
まぁ、気になると言えば気になるから、俺の予想の通りに助けが来れば、その時に聞いてみる事にするかね。
もっとも、今現在は生き残る事が最優先故に、そんな意味があるのかすら良くわかっていない事を考える余裕は無い、ってのが本音の一欠片だったりもするのだけどね。
そして、そんな風に強化されつつある女性陣を引き連れて、俺達が向かっているのは、今だに山(名称未定)から見下ろした程度で本格的に調査をしたことが無い、この島を俺達が最初に出てきた砂浜から見て正面とした場合、山を挟んで反対側になる部分である。
……そんな未開の地処か、何が有るのかすら良くわかっていない所に、か弱い乙女達を引き連れて行っても良いのか?
……幾つか訂正させて貰うが、まず最初に言わせて貰うと、俺達だって彼女達を連れてくるつもり何て、最初は無かった。
……無かったのだが、俺達が
『ちょっと遠出してくるから、何日か居なくなるかも?』
と先生に言ってみたら、いつの間にか
『全員で遠出するから、各自で準備!』
って感じで情報が拡散しており、結果としてつれて行かざるを得なくなったのだ。
そして、何が有るのか分からない、って点に関して言えば、山の頂上から見た限りでは、部分的に岩場っぽくなっていた所が有ったので、そこを調べに行くつもりだったのだ。元よりそこまで危険性が高い様な案件では無いと考えて良いだろう。
それに、拠点にしていた辺りとは、別種の魔物等が出てくる事は考えられるが、トラップの類いは無いと見て間違いは無いだろう。
何せここは元々無人島。
先住民が居たかどうかすら危ういし、仮に先住民が居て、そんな彼らが何かしらのその手のブツを残していたとしても、多分経年劣化でまともに作動何てする事は無いだろう。
何せ、ざっと見渡した限りでは、あの湖しか水場が無いのに、その湖近辺に一切その手の痕跡が残されていなかったのだ。
少なくとも、ここ百年・二百年の話では有るまい。
まぁ、居たとするならば、の話だけれど。
そして、最大の間違いとして指摘させてもらいたいのは、『か弱い乙女』の部分だ。
……か弱い乙女って生物は
「よっ!!」 ブゥン! ミシッ! ベキィ!
「ギャピィ!」グチャッ!
「……あ。しくった。またミンチにしちまった……」
……こうやって、自身の身長よりもデカイ大剣を振り回して、体長が1m近くある兎を周囲の木立ごとミンチにしたりはしないハズだし、
「ほら!これでお逝きなさい!」 シュシュシュン!!
「ギャン!!」×3 シュドドドッ!! ……ブシューッ!!
「あら?やはりこの程度ですの?張り合いが有りません事ねぇ」
複数体で連携を取りながら集団で攻撃してくる狼型の魔物に対し、その場から引くわけでもなく、一体ずつ数を減らす訳でもなく、ほぼ同時に三体全ての全身を蜂の巣もかくやと言わんばかりの穴だらけにしたりはしないだろう。
他にも
「どうなっているのか、行っている拙にも理解出来ませんが、『離れていても斬れる』と言うのは、思っていたよりも便利ですね」
何故か、抜刀と共に、数m離れていたハズの標的が、首から真っ赤な噴水を噴き上げて死に絶えたり、
「「「「「……これ、どうなっているのか良く分からないけど、意外と便利」」」」」
準兎公級の相手に対して一人で挑んだハズなのに、いつの間にか五人に増えて連携しながら相手を切り刻み、そして五人に増えたまま、俺達に対して、まるで『ドヤ顔』の見本かな?と言わんばかりの顔を向けてきたり、
「……コレ、質量保存の法則とか、完璧に無視しているけど、どうなっているのかな?」
一本しか矢を放っていないハズなのに、標的まで到達する前に、幾本にも分裂して標的へと飛んで行くのだが、その分裂した矢もホーミング機能でも付いているかの様に、それぞれがバラバラに動いて標的へと必中するような進路を取ったりするのである。
……こんなことが出来る連中を、俺は断じて『か弱い乙女』とは認めない、いや、『認められない』のだが、それはそんなに間違っているだろうか?
尚、残りの二人だが……
「ねえねえ、うるちゃん!みんな、こんなにいっぱい狩って来てくれたみたいだよ!捌き甲斐が有るなぁ」
「……そ、そうですね、サチさん!悪くなる前に、早く捌いちゃいましょう!き、今日は、久し振りにハツ(心臓)とレバー(肝臓)パーティーですね!」
「そうだね!楽しみだね!……ジュルリ、おっと涎が……」
解体用の大型ナイフと、細かい処用の小型ナイフとのセットになっている、巻物状態のナイフホルダー(俺製)をカバン(俺製)から取り出して、早速解体を始めようとしている模様だ。
……さて、再度聞きたい。
この場に『か弱い乙女』なるモノが、存在すると本当に思っているのかね?
……本人達に言ってやれ?
……それが出来たら苦労はしないし、仮にやったとしたら、今解体されている肉の山に、俺自身が積まれる事になるか、もしくは解体する必要が無いレベルでミンチにされるかの二択だろう。
流石にそれは御免だし、敢えて勝ち目の無い戦いに赴く趣味は無いのだから、する必要も無いだろう。
そんな、見方によってはとんでもなく危険性が高い事を考えながら進んでいると、突然声を掛けられる。
「小鳥遊君?……小鳥遊君!」
「うぉう!……突然、何事だ?乾。……別段と変なことを考えていた訳では無いぞ……?」
そう半ば慌てながら返事をする俺に対して、少々訝しげな顔をしながらも、特に何かに感付いた様子も無いままに話を続ける乾。
「ふーん?でも、考え事しながら歩くのは危ないよ?あまりしない方が良いと思うけど?」
「ああ、分かった。次からは気を付ける。それで?何か用事か?」
そう答える俺に乾は、今度こそ呆れた表情を見せながら、俺の顔を覗いている彼女の後ろ、俺から見て正面を指差しながら、こう答える。
「ほら、アレ。多分だけど、小鳥遊君達が言っていた『岩場』って、コレの事なんじゃないの?だとしたら到着したことになるから、確認お願い出来る?」
そう言われながら、指先の方を確認すると、確かに俺達が見に行ってみようかな?と思っていた岩場に到着していた様子であった。
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「……あいつらが居なくなった?」
「ああ、全員で、な」
「……なら、今がチャンスと見るべきだろうね。もっとも、あいつらが居ないタイミングで女子達を押さえて、人質として利用する計画は使えなさそうだけど」
「なら、何時帰って来るか分からない以上、早く行動するべき、か。良し、やるぞ!あのクソッタレ共に、あの時の借りを返してやれ!」
「「「「おう!!!!」」」」
「……さぁ、待っていてね?紗知。……僕があいつらから、君を助けてあげるからね……」
さて、最後の不穏な会話は一体……(笑)
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