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クラス丸ごと異世界召喚~無人島から始まる異世界冒険譚~  作者: 久遠
第四章・妖精国編

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99・取り敢えず、邪魔なあいつを排除します

ブックマークにて応援して下さった方々に感謝ですm(_ _)m

 


 作戦が有る。乗るか?



 そう尋ねた俺に対し、躊躇う事なく首肯して見せた二人に向けて、俺が考案した作戦を伝えて行く。


「……確かに、それなら何とかなるだろう。役割も、俺ならばどうにか出来るだろう。……だが、本当に上手く行くのか……?」


「確かに~、僕らなら出来るだけの能力も有るし~、『特殊技能』の面から見ても適役なんだろうけど~、タカの見積りではどのくらいの勝率だと思うの~?」


「……まぁ、ざっと見積もって四割強って処かね?ちなみに、コレはあいつをぶち殺せる確率であって、単純に『アダマンタイトを手に入れる』って言う当初の目的だけで考えるなら、ほぼ九割位はどうにかなるんじゃないか?

 あと、ついでに言っておくと、今までの戦いで、後になって解析してみた結果としての勝率を出してみた事があるけど、どれもこれも三割有るかどうか、って程度だったけど?」


「「なら大丈夫だな(だね)」」


 やはり決行する事となった俺達は、細かい部分を詰めた後、それまで俺達の代わりに前へと出ていてくれていた従魔達へと声を掛ける。


「そろそろ仕掛ける!代わってくれ!」


『了解じゃ、よ!!』


 俺達へと返事をしつつ、『大地竜(アースドラゴン)』の顔面へと吐息(ブレス)を吐き掛けてから大きく後退して来るリンドヴルム。


『グルルル?グォン!!』


 そうして体勢が崩れた処へ、追撃として渾身の体当たりを仕掛ける事により、更なる時間稼ぎを敢行するリル。


「なら、ソロソロお願いしようカナ?ゴ主人サマ!!」


 そして、トドメとばかりに、その繊細にして強靭な糸によって四肢や尻尾を拘束し、通常であればその剛力によって容易くはなくとも確実に引き千切られるたであろう『枷』にて、体勢を崩されて起き上がろうともがいている『大地竜(アースドラゴン)』を無様に地面へと縫い付けたネフリアさんも、俺の指示に従い後退してくる。


 そんな三人?に対して



「良くやった!」



 と、労いの言葉を掛けてから、下がってきた彼女らと交代するかのように、俺達が勢い良く前へと飛び出して行く。


 そんな俺達を脅威として認識したのか、半ば無理矢理に身体を動かし、暴れる様な形で遮二無二に自身に掛けられていた拘束を解除し、俺達へと敵意のこもった瞳を向けてくる『大地竜(アースドラゴン)』。


「じゃあ~、打ち合わせの通りに~、まずは僕から行くねぇ~」


 そう、俺とタツとに声を掛けてから、一人加速を強めて前へと出て行くレオ。


 それをむざむざ見逃すつもりは無いらしい『大地竜(アースドラゴン)』は、レオの身体を踏み潰さんと前足を振り上げる。


「……ハッ!遊撃担当の僕が、一人で真っ正面から仕掛けるハズが無いだろう!!」


 だが、その行動に対して嘲笑の嗤みを口元に浮かべるレオが、その身に纏っていたローブへと魔力を流し込み、姿と共にその気配を絶つ。


 自身の攻撃が当たった訳でもないのに、唐突にその姿を消したレオを探して視線を左右にさ迷わせる『大地竜(アースドラゴン)』は、そうして視線を切っていた為にタツの接近により気付く事が出来ないでいた。


「……まずは一発!」


 そう呟く言葉の通りに、『大地竜(アースドラゴン)』の胸元まで潜り込んでいたタツによる渾身の一撃が放たれ、その十mは有ろうかと言う巨体を確かに吹き飛ばす。


 その吹き飛ばされた衝撃からか、もしくはタツの一撃によって大きくへこまされた胸元が発する痛みからかは不明だが、それまでレオを探す事に割り振っていた意識をタツに向け、本格的に自身を害しうる敵である、と認識して、排除する為に攻撃を仕掛ける。


 当然の様に、タツの手に在ったモノは『龍鱗』ではなかった為に、タツの全力の一撃には耐えきれる訳もなく最早その役目を果たせない程に砕けてしまっており、元より防御出来る類いの生半可な攻撃をしては来ない『大地竜(アースドラゴン)』相手であれば、最早回避する以外の行動選択肢が存在しないであろうその状況に敢えて回避を選択せず、その場で立ち止まって受け止める様な構えを取り始める。


 それを挑発と受け取ったのか、まるで激昂したかの様な咆哮を上げながら、その前足をタツへと全体重を載せながら真っ直ぐに振り下ろす!


 ……しかしそんな、喰らえば一撃で挽肉確定な攻撃をこれから貰おうとしているのにも関わらず、その場から動こうともしない処か、普段は動かしもしないその口元に肉食獣を彷彿とさせるような獰猛な笑みを浮かべ、最初からそうさせる事が目的であったと言わんばかりの気迫で吼え猛る!



「……その攻撃、待っていたぞ!『金剛体』、発動!」



 そう吼えたタツの身体の表面を、一瞬だけ金剛石(ダイアモンド)を連想させる煌めく光が覆ったが、その次の瞬間には『大地竜(アースドラゴン)』の攻撃がタツへと直撃していた。


 その様子に、何やらやってはいた様だが結局自分の一撃を防げる訳も無いだろう!とでも言いたげな風に目元を歪めた『大地竜(アースドラゴン)』だったが、次なる目標たる俺(見えていたのが俺だけだから)へと一歩踏み出そうとした処、あり得ないハズの事が発生する。


 そう、それは、先程踏み潰し、確実に対象を葬り去ったハズの前足がその場から動かせないだけでなく、何かに拘束されている様な感触を伝えて来たのである。


 何事か!と思ってそこに視線を向けると、本来であれば既に死肉と化していなければならないハズのタツが、『大地竜(アースドラゴン)』の攻撃を受けるまで居たのと同じ場所に仁王立ちし、その両手で『大地竜(アースドラゴン)』の前足を己が両腕で抱え込むように締め上げていた。


 そんな馬鹿な!?とでも言いたげに表情を歪ませた『大地竜(アースドラゴン)』は、ただ単に先の攻撃にて倒しきれなかったので追加で攻撃を仕掛けてきたのか、それとも、自身の攻撃にて絶命していなかった事に対する『怒り』によるモノなのかは定かではないが、未だに前足を抱えたままのタツへと尻尾での攻撃を敢行する。


 ……が、その攻撃も、それまで両手で抱えていた前足を、指を鱗の隙間から生身へとめり込ませる事により片手での抑え込みに成功したタツが、空いた方の片手で苦もなく受け止め、そのまま尻尾の方にも指を差し込み人外染みた膂力にて両方共にその場に縫い止めてしまう。


 自身の巨体がその場に縫い止められた事か、それとも、それを成したのが自身と比べてあまりにも矮小な存在であった事からかは定かではないし、その両方であった可能性は高いが、その場で一瞬意識・身体の動き共に停止してしまった『大地竜(アースドラゴン)』の背中、正確に言えば首と頭との接続部分に、それまで姿を隠していたレオが籠手から不可視の刃を最大展開した状態で姿を現す。


「ご苦労様!このタイミングが欲しかったんだ!」


「……やるのならば早くしろ!この『技能』が長続きしないのは知っているだろう……!」


「ハッ!なら、遠慮無く行かせて貰うよ!『殺戮技巧』!!」


 そして、その両の籠手から出ている不可視の刃に真紅のオーラの様なモノを纏わせたレオが、タツが辛うじて留めている『大地竜(アースドラゴン)』に対してその刃を振るう。


 これまでと同じ様に、その鱗に防がれて刃を弾かれるか、もしくは敢えなく砕け散るだけかと思われたが、その予想は『大地竜(アースドラゴン)』の絶叫(・・)によって完全に否定される事となる。



 そう、レオの振るった刃は、高硬度の鱗に弾かれる事も、ましてや砕かれる事も無いままに、その鱗の下へと潜り込んで次から次へと削ぎ落として(・・・・・・)いっているのだ。



 自らの体験したことの無い激痛に、思わず叫び声を挙げながら身を捩ろうとする『大地竜(アースドラゴン)』だったが、片方とは言え前足と尻尾をガッチリと固定されている為にその動きは中途半端なモノとなり、依然として刃を振るって鱗を削ぎ落とした範囲を拡大し続けているレオを振り落とす事すら出来ずにいた。


 よって、当の『大地竜(アースドラゴン)』は痛みに悶える事しか出来ず、レオの凶刃が鱗の下の肉質層に至り、その更に下の骨を露出させた段階で砕けると同時に纏っていた真紅のオーラを失うまで続いた。


 そして、それまで狂気的な笑みを貼り付けていた口元が普段のソレへと戻り、それまで取っていた変態的なバランスを失って振り落とされた時には、周囲には血と言わず肉片や鱗の散らばる惨状が出来上がっていた。


「……やれやれ~、やっぱりこの『技能』は使い辛いねぇ~。使っている間は身体能力だとかが跳ね上がるし~、手にしていた武器も頑丈に鋭くなってくれるけど~、相手を『一撃で殺す』事か『絶対に殺さない』事にしか使えないし~、使っている間はほとんどオートで身体が動くから~、あんまり気分が良いモノじゃあ無いんだよねぇ~」


 そう溢すレオの顔は真っ青になっており、辛うじて立っているその姿は、よくよく見てみれば手や足が痙攣を起こしている上に滝の様な汗を流しており、現在の状態では上手く戦う事が出来ないであろう事が容易に察知出来た。


 だが、そうやって顔色を青褪めさせながらも、未だに闘志の光を失っていない瞳で俺へと向き直る。


「これだけタカの作戦通りにお膳立てして上げたんだから~、もう『失敗しました』じゃあ済まないからねぇ~?確実に倒して来てよ~?」


「当然!後はトドメだけなんだから、最後はキッチリ決めて来るさ!

 行くぞ!『龍の因子』発動!!」


 それまで後方で待機し続けながら己が内側に在る力の存在を探っていたが、どうにか見付け出す事に成功し、何となくこうすれば良い、との直感に従い、以前と同じく龍をモチーフとした金色のオーラに全身を包まれる。


 それに伴い、以前は極限状態であったから感じなかったのか、それともただ単に気が付いていなかったのかは不明だが、前の時には感じていなかった全能感が身体を包み、今であれば何でも容易にやり遂げられそうな気分になってくるが、祖父達による地獄の訓練(拷問)によって培われた精神力によりどうにか踏み止まり、新たな槍を手元に造り出しながら『大地竜(アースドラゴン)』へと勢い良く走り出して行く。


 しかし、その頃には、流石のタツでも留め置く事が出来なくなったのか、それとも使用した『技能』の効果が切れたからかは不明だが、それまで纏っていたオーラを失ったタツが振り払われて、俺の頭の上を吹き飛ばされて行くのが視界の隅に写り込んだが、そちらを心配して足を止めてしまうと、折角レオが削いでくれた鱗が再生してしまうので、そのまま足を止めずに走り続ける。


 すると、それまでは自分を拘束してくれていたタツや、自分を傷付けるだけでなくそれまでに体験の無い痛みを味あわせてくれたレオに対して殺意を向けていた『大地竜(アースドラゴン)』が、それまでとは異なる装いで自分へと向かってきている俺を次なる標的と認定し、排除しようと前足を掲げようとする。


 だが、その掲げようとしていた前足は、突如として横合いから浴びせられたネフリアさんによる幾条もの糸の束と、それを全力で引っ張るリルの合同作業にて失敗した上に、急に引かれた事によりバランスを崩して再度地面へと倒れ込む。


 その事態に驚愕した様子の『大地竜(アースドラゴン)』だったが、俺が接近してくるのを止めないと見るや、突如として全身に魔力をそれまで以上に流し始める。

 すると、まだ僅かに出血の続いていたタツが指を差し込んでいた箇所や、タツが殴り付けた事によりへこんでいた胸元等の負傷がそれまで以上の速度で回復を始める。


 不味い!このままだと、レオが作ってくれた好機を逃す事になる!?


 そんな思いから、更なる加速へと移ろうと足により一層の力を込めようとした時、『大地竜(アースドラゴン)』の上空から高速でレオが鱗を削いでくれた場所へとリンドヴルムが飛び込み、加速による体当たりだけでなく、未だに剥き出しの状態となっていた傷口へとゼロ距離での吐息(ブレス)を見舞い、傷口を焼き固めてしまう。


『ほれ、主殿よ。さっさと決めてしまわぬかのぅ?』


「言われるまでも無い!」


 そうリンドヴルムへと応えた俺は、元より激痛を放っていた傷口に更なる打撃を受け、その上に業火で表面が炭化する程焼かれた事により、最早発狂する寸前の処で数瞬意識を飛ばしてしまい、体勢も崩れていた事も相まってその首を地面に着けてしまった『大地竜(アースドラゴン)』の首裏へと駆け上がると、『龍の因子』によって強化された分の身体能力もフルに活用し、渾身の力を込めた一撃を、着弾の際の抵抗や衝撃によって槍が砕け散るよりも早く根元まで首の頭側の付け根に埋め込む。


 すると、それまでタツの馬鹿力によって物理的に動かされる以外は、被弾による動きを見せてこなかった巨体が大きく痙攣を起こし、それが収まった後には心拍や呼吸と言ったモノを全て含めた上で、二度と動くことは無くなっていたのであった。


 こうして、このクソ厄介なガチガチの大蜥蜴を討伐し、目的の鉱石の採掘を達成した俺達は、レオの『技能』によって『大地竜(アースドラゴン)』を収納すると、色々と無茶をやらかした反動で鉛の様に重くなった身体を引き摺ってギルドの方へとまず向かう。


 そこで、採取しておいた諸々の鉱石や討伐対象として貼り出されていた魔物の討伐証明部位等を提出の上、坑道で『大地竜(アースドラゴン)』と遭遇したがどうにか討伐した事を報告した。


 それにより、ちょっとした騒ぎ(討伐隊を編成していたのに、送り出す前に倒されてしまった為)が起きていたが、俺達は興味が無かった上に疲れていたのでそのままギルドを辞し、鍛冶師のオッチャンの元へと移動する。


 オッチャンの元へと到着したらしたでちょっとした騒ぎ(オッチャンは坑道に『大地竜(アースドラゴン)』が出ていた事を知らなかったが、主人公達が行った後に聞いて知った)が起き掛けたが、そこら辺は俺達が別に気にしていない事と、手に入った素材(『大地竜(アースドラゴン)』素材)で更なる頑強さをもたらしてくれる事で話に方が着いたので、朦朧とする頭でレオの『収納』から鱗やら牙やら爪やら血液やらを適当に放り出すと、半分眠ったままの状態で宿まで移動し、身繕いする間も無くそのままベッドに倒れ込むと、そのまま意識を失うのであった。






 尚、主人公達三人は、そのまま翌日の昼頃までぶっ続けで眠り通し、起きたら起きたで筋肉痛やら反動による身体のガタやらで数日の間苦しむ事となるのだが、それはまた別のお話。

残りの部分は後日キッチリ解体し、タツの手によってドラゴンステーキになったとかならなかったとか?


面白い、かも?と思っていただけたのでしたら、ブックマークや評価、感想等にて応援して頂けると大変有難いですm(_ _)m

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新作始めてみました 『血塗れの殺し合いはもうお腹いっぱいだったので、テンプレ展開を期待して追放される為にわざと非戦闘系スキルばかり選んだら、何故か戦闘系スキルの連中を差し置いて『救世主』扱いされる様になりました』 珍しく戦闘少なめなコメディよりの作品になってます ……なってるハズです 良かったら読んでみて下さいm(_ _)m
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