土下座するから赦してくださいヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ~フラワー国国王視点~
遅くなりました~
誤字修正しました!
あー……面倒くさい。ホントに面倒くさいなー。
目の前で必死に土下座して自国の現王を引きずり落とす協力を仰いでいる……宰相の(義理の)子息にして現王の実子兼王太子の双子の弟であるエドガーを玉座の上から眺めているのはフラワー国国王フリティラリア・フラワーその人である。
エドガーの懇願に思うところはあれどもフリティラリアからすれば勘弁してくれと嘆かざるを得ない。
(絶対王政を廃止して立憲君主制にしたいのは解るよ? 解るけどさ~私自ら動いてその国の王族滅ぼして? でもさ、そんなことすればそれならなんの為に従国にしながら王族を排除せずに、そのまま各国の体制を保持したままでいると思ってんの? 意味無くなるじゃないか…………)
自分の容姿を遺憾なく発揮した仕草と口調はそれだけでフリティラリアに神性の魅力と威厳を見る者に与える。
(これ以上仕事増やさないで欲しいんだけど。只でさえ、可愛ゆいマーちゃんと過ごす時間が削られまくっているってーのにーー……)
中身は全てを裏切る見事な台無し加減ではあるが………。
実の娘をマーちゃんと呼び………その度にマーガレットから絶対零度の微笑みを向けられながらも懲りずに呼び………最後に愛娘からの愛の鞭をもらうということを繰り返すフラワー国国王フリティラリア──────ソレ(が王)で本当にいいのか? フラワー国…………。
そもそもフリティラリアが周辺国を平定していく切欠になったのは愛しの妻であるスピラエアが当時同盟国であった王に殺されたことが原因であった。
フリティラリアはその神懸かった美貌から当時の各国の権利者達に狙われることが多々あった………色事の意味、で。
十数年以上の昔、まだフラワー国が中小国であった頃。若くして王位を継いだフリティラリアは花嫁探しの舞踏会でスピラエアに一目惚れして苦難の末に結婚した。
しかしフリティラリアの美貌に目を眩んでいた各国の権利者達は、平凡な容姿のスピラエアに一方的な悪意と嫉妬を抱いて────遂にある国の王がスピラエアを殺害した。
それに怒り狂ったフリティラリアは稀なる戦の才気を発露し、瞬く間にスピラエアを殺した国を制圧した。スピラエアの殺害を命じた王とその協力者達は皆殺しにしたが妻の仇を討ちたかったフリティラリアは制圧した国には興味無く、むしろ邪魔に思い従国として下しながらも自国での統治を許した。
従国に下した国は先頭切って文字通り乗り込んできたフリティラリアの姿に気圧されて、どこか恍惚とした様子でみな従った。
だが周辺諸国がそうはいかなかった………まさかフラワー国が勝とは思わなかった各国の権利者は自分達の国も狙われる(フリティラリアに邪な思いを抱いていたから)のではと焦ったのだ。
それをすぐさま察知したフリティラリア率いるフラワー国の者達はすぐに動いた。
外交での交渉、交易、不可侵条約、牽制などなど……様々な方法を用いて戦争をなるべく回避していた
。中にはフラワー国を攻めて美貌の若き王フリティラリアを手に入れてようとした国もあったが、そういった国はフリティラリア直々に(むしろ笑顔で)攻め滅ぼした。
それを繰り返していったらあら不思議。なんとこの辺一帯を治める宗主国の王として名を馳せるようになったとさ。
本気で覇者を目指すものからすればブチ切れものの成り上がり譚である。
「そなたの言いたいことはわかった………しかし何故? 何故、私の愛しき愛娘を罪無き身でありながら投獄し。あまつ仕えるべき主国の大切な世継ぎの姫でありながらも処刑するとのたまう輩共の国を救うために私が力を貸せねばならないのか?」
言外に先にマーガレットの無実を晴らしてとっととこっちに返せと言う。もっとも。
(マーちゃんのことだから今頃“影”を使ってとっとと脱獄してるだろうけどね~)
愛娘がヤられっぱなしで済ませるなんてこれっっっぽっちも思っていない。売られた喧嘩は笑顔で買い取って売った相手が真っ青になって返却させて欲しいと泣いて頼んでも笑顔で拒否する娘だ。………今はきっと、さて? どうやって報復しようかな? とワクワクしながら考えているはずだ。
「……っ!? 仰りたいことは重々承知しています!! ですが、ですが我らが国はもう駄目なのです……!! 先代までの歴代の王は時代遅れてと言っても過言で無い絶対王政という制度を自らの才覚と良識で持って治めてまいりました! しかし、しかし現王は才覚はあれど良識が欠けております! まるで一昔前の暴虐極まりなき、民も臣下も省みない絶対王政が生んだ暴君となっているのです!! 我らが今の制度のままでこれたのも偏に歴代の王が人格者だったからです! っ、地方の貴族達や老臣の中には直接王城に関わっていないせいか未だに現王に先代国王の姿を見るものがいる始末! だが我が国は既に現王によって瀕死の状態……!! 今こそ王族の腐敗を! 膿みを出す時期なのです!!!」
(あー……やっぱりそういうことか。今いる王族廃したらその後は? ってことになるけど既に私の国の従国になっているからその辺の心配はせずに済むもんね~~? 最悪、私が直接治めれば良いのだし。はぁ……やっぱり面倒くさいなー)
(´ヘ`;)ハァ
どうしたものかと考えていたら………玉座の間に入室の許可を求む声が。許可を出したら部下が小走りしながらフリティラリアの下に火急の知らせがあると言ってきた。どうもエドガーを気にしているようなのでそばに寄らせて耳打ちで話を聞いた。
(陛下大変です。マーガレット王女殿下が先ほどご帰還なさいました!)
(……おや? 思ったよりも早かったね。しかしそれがどうかしたのかい? 我が娘があの程度の者達にむさむざ遅れを取らぬことはそなたも良く知っているだろう。何をそれ程、慌てているのだ………)
流石はマーちゃん。私とスピラエアの娘だ。
(●´ω`●)ウンウン
内心親バカ全開にマーガレットを思い浮かべていたフリティラリアは部下が続けた報告に心底驚いた。
(違うのです陛下!! 殿下だけではないのです! 殿下と共に彼の国の男爵家夫婦とその庶子もこの王城に来ているのです!!!)
(●´ω`●)ふーん
(●´ω`●)………ん?
(●´ω`●)んん??
∑(OωO; )?!!
「なんですと?!(なんと?!)」
「「……………………は?」」
ポカーンとした二人の様子にフリティラリアは内心ヤベッと心臓が跳ねた。
(しまっっったぁぁぁぁああああ?! 本音と建て前が逆になってしまったぁぁぁあああああ!!!)
しかしここで誤魔化さねば愛娘に
´∀`)=⊃)`Д°);、;∵
って、愛のストレートパンチをもらってしまう!!?
「────何をしておるのだ。早く事の詳細を調査せよ!! 私は王女に直接話を聞く! そこな使者殿には…………悪いが王城の一室に軟禁させて頂く。これにて会談は閉会とする!!」
…………フリティラリアは勢いでその場を凌ぐことにした。
「は、かかか畏まりました!!」
去っていく部下がボソッと、気のせいか……? と呟きながら玉座の間を急いで走り去ってしまった。
よしよし……。そのまま気のせいということにしておけ。
「お待ちください! 今……王女と仰いましたか!? まさか……マーガレット王女殿下がご帰還なっているのですか!?」
フラワー国に王女と呼ばれる存在はマーガレットしかいない。エドガーの疑問はもっともなことだった。
「…………」
マーガレットには常に護衛の“影”が付いている。だがそれをバカ正直にエドガーに話す謂われはフリティラリアにはなかった。
「───使者殿。部屋にてしばし大人しくしているが良かろうよ……」
「!? お待ちを、陛下!! …………!? な、離してください! まだ………話が…………!!」
玉座の間の外にいた衛兵がフリティラリアの命にてエドガーを貴賓室へと連行しよいとするもエドガーは抵抗する。
(待ってくれ………! まだ話を!! 父上と、俺達の悲願が………!!)
エドガーは必死にフリティラリアに手を伸ばすも…………フリティラリアは省みることはなく立ち去るのであった…………。
●○●○●○●○
玉座の間を出たフリティラリアはほぼ駆けるようにしてマーガレットが居ると聞いた中庭へと向かっていった。
そこで、フリティラリアが目にしたのが────。
「ほら、こちらも美味しいですわよ?」
「あーん! あむ、あむあむあむ」
楽しげにお茶会を開いている愛娘と、愛娘と同じ年頃の見知らぬ少女の姿。
幸せそうに王族専属の料理人がこしらえたお菓子を頬張っている見知らぬ少女と、その様子を微笑まし気に見守っている愛娘。
え? これってどういう状況??
( ̄。 ̄;)あれー?
「はう~~おいひいです!!」
「ふふ……そうでしょう? 王家自慢の料理人特製のクリームを使った焼き菓子なのですよ。わたくし、彼の焼き菓子ほど美味なものは口にしたことがありませんわ」
なんとも微笑ましい光景にフリティラリアは一瞬、今の時世を忘れそうになったがマーガレットが口にした名で正気を取り戻した。
「これから忙しくなりますから、たくさん英気を養いませんとね? ツジム様♪」
………………………愛娘よ。ツジムというのは有りもしない君との婚約破棄を公然の目の前でやらかしたおバカ王太子に一方的に恋人として付きまとわれていた男爵家の庶子令嬢ではなかったかねΣ(・ω・)
「─────マーガレット!!」
●○●○●○●○
「──────マーガレット!!」
ツジムと楽しくお茶会を開けていたマーガレットに近寄ってくる妖艶の美丈夫の姿があった。
近寄る美丈夫の姿を見たツジムはその美貌に頬張っている菓子を咀嚼すること無く硬直し。マーガレットは見慣れたその顔に臆することなく微笑を浮かべて椅子から立ち上がって優雅に会釈する。
「ご機嫌よう、お父様。マーガレット。つい今し方ご帰還しました。………本当はすぐにご挨拶に伺いたかったのですけれど………ご会談とのことでこちらで少々お客様とお茶会を開いていましたわ♪」
少しも悪いと思っていないマーガレットの微笑にフリティラリアがはぁ……とため息を吐きながら白魚の手で額を抑える。
「マーガレット……帰還の挨拶については良い。しかし何故我が城に件の国の男爵令嬢がいるのかね?」
フリティラリアがふとツジムに視線を送れば、ツジムは唖然とした顔から熟れたトマトのように真っ赤になった顔で口に入っていたお菓子を飲み込んで勢い良く立ち上がって礼をとった。
「お、おおおおお初にお目文字しましたすみません男爵家のツジムです! この度はマーガレット殿下に連れられまして父母と一緒にフラワー国でお茶をご馳走になりましたごめんなさいお菓子美味しですありがとうございます?!」
「ツジム様、ツジム様………おっしゃっていることが支離滅裂ですわよ? 大丈夫です。お父様はあのようなご尊顔を為さっていますが中身は普通の方なのでそこまで緊張しなくても宜しいのですよ?」
ツジムの支離滅裂加減も酷いが、マーガレットのフリティラリアに対する評価も酷い。
「…………マーガレット」
苦々しい表情でマーガレットを見詰める父親の姿に、されどマーガレットは華やかに微笑み返しながらわざとらしく明るい声を出した。
「何かしら? お父様。………あら、そうそう! わたくし、お父様に是非ともお話しなくてはならないことがございましたわ!」
チラッと横目でツジムを見るマーガレット………それだけでフリティラリアにはマーガレットの意図することが伝わった。
「………そうですね。マーガレット………私も貴女から是非とも聞きたいことがあります」
スゥゥと内心を引き締めたフリティラリアの様子が分かったマーガレットは不安そうなツジムに振り返るとにこやかに告げる。
「大丈夫ですわ、ツジム様………このわたくしに、すべてお任せくださいまし。このマーガレット。全霊を賭して最高の結果を貴女 方に示させて頂くわ♪」
何か言いたげなツジムを、側に控えていたメイド達の手で男爵家夫婦の滞在している貴賓室に案内させた。
「………」
その様子を見送ったマーガレットは改めて王であるフリティラリアに向き直った。そこに浮かぶのは先程までツジムに見せていた優雅な微笑では無く、一国を背負った一人の王族としてのマーガレット。
「さて………それでは話を聞こうか? マーガレット………何故、件の令嬢と後見人である男爵家夫婦を我が国に連れてきた?」
テーブルに腰を下ろし、マーガレットに問い掛けるフリティラリア………。
場合によってはマーガレットが彼の者達を無辜の罪で貶められた報復に攫ってきたと判断されかねない。
なにしろツジムは王太子が公の場で自らの婚約者と好評した少女。その当人と家族を攫ったのだ。そう断じられても無理は無い。いくら従国とはいえ自国での統治を許している以上はツジムは他国の人間………これは、フラワー国が他の同盟国や従国からどのような評価を受けるかによって今後のフラワー国の進退が決まってしまう。そのようなことになればそれはマーガレットの失態である。
「わたくしの身勝手な判断………誠に申し訳ありません。しかしツジム様とその養夫妻をあの国に置いておくことは後々………我がフラワー国をも巻き込んだ騒動になる………と、わたくしは判断致しました」
「───ほう?」
マーガレットの言葉に、フリティラリアは眼をすがめた…………彼の男爵家が残っていた方が後々の禍根に繋がる………?
「お父様は十数年前にあの国で起こったある侯爵家夫婦の病死の一件をご存じでしょうか? 侯爵家に嫁いで来られたご令嬢は王妃様と同じ祖国の方で……同盟の強化を求めての政略結婚を為さった……」
「───嗚呼……、あの……良く覚えているよ。あの国同士は同盟こそ結んでいるが元々は互い敵対していた国で………確か、六十年ほど前に不可侵条約を結んでやっと争いを終わらせたと………私も先代国王────父より聞いたことがあるな………」
当時は大変な騒ぎだったと、フリティラリアは父にして先代国王から聞いた話はある意味、凄惨を極めていた。
「確か、あの不可侵条約を交わす切欠となった立役者は当時の第二王子………。彼の御仁が奔走した結果、同盟は成り、こんにちまであの二国は争うこと無く平和を保っていると………」
その立役者の第二王子は後に婚約者であった侯爵家の一人娘の下に婿入りして………今は息子に代を譲り渡して隠居している筈だ………。
「ツジム様はその当時の立役者である方の孫にあたられます」
「───────なんだと?!」
これには流石のフリティラリアも驚愕の声を上げた。
「今は八十に差し掛かり御隠居していらっしゃいますが、彼の御仁の影響力は今も強大であります。そのお孫様であるツジム様を、あのようなふざけた王と王太子が治める国に残してしまったら…………ツジム様は、まず、無事ではすみませんでしたわ………」
「待ちなさい!! ツジム嬢が彼の御仁の孫娘だと……? ツジム嬢は男爵家の庶子のはでは!」
マーガレットにもたらされた情報に、フリティラリアは困惑を隠せずにいた。
「ツジム様は男爵家の庶子ではございませんわ。いえ………より正確に申せば彼の男爵家の爵位は本来の爵位に非ず、彼の者達こそ彼の御仁の令嬢が嫁がれた侯爵家の者達です」
「────なんだと?」
ここでマーガレットはツジムが牢屋に助けに来てくれてから聞いた話をフリティラリアに話した。
嫁がれた彼の御仁の令嬢が初めて馬鹿王と王妃の開催した夜会に参加され、そこで馬鹿王に見初められたところでフリティラリアの目が据わり。寝所に召し上げようとしたところで額に青筋が入り………目を付けられ、逃げ出した侯爵家夫婦が処刑されたところで無表情になった。
そして侯爵家が男爵家に格落ちした理由も話したら…………冷笑を浮かべた。
「────潰すか、あの国は」
「賛同致したいですが、わたくし達が国を潰すほどの介入するにはそれ相応の理由がなければなりません。確かにわたくしが公の場で不当に貶められ、投獄されは致しましたが、わたくしは既に逃げ帰っております。下手をすれば、わたくしは投獄されたのでは無く、強制帰国させたのだと、言われてしまう可能性が………恐らく高いかと」
あのお馬鹿王太子が多数と他国の子息子女の目前で近衛に投獄の命を出したが………マーガレットが既に帰国している時点で本当に投獄されたの怪しまれるだろう。
何よりも間が悪いのは今、フラワー国には宰相子息でありノモ=カロオ王太子の双子の弟であるエドガーが来日している。投獄はせず、エドガーに連れられてマーガレットは帰国した………疑わしいが、日数的には辻褄が合う状況なのだ。
そしてここで問題が発生する。
マーガレットが無事に帰国している以上、いくら宗主国とはいえ彼の国を滅亡させてしまったらそれは過剰報復と、事情を詳しく知らない他国に取られてしまう可能性が出てきてしまう。
事実が大切なのでは無い。他国の目にどう映るのか? それが問題なのである。
だからといって、マーガレットがあのまま投獄されていれば良かったのかと言うとそうでもない。下手すれば、あのお馬鹿王太子のことだ。身動きが取れない(実際には影がいるが)マーガレットにどのような卑劣なことをするか分かったものでは無い。
そう思ったからこそマーガレットは逃げ出したのだから………。
「なるほど………それで君はツジム嬢を連れて逃げ出したかい?」
「わざわざ王太子の命に逆らうという身の危険を呈してまでわたくしを逃がそうとしてくださったことに感謝したのも事実ですが………あのノモ=カロオ王太子は、以前からツジム様につきまとうどころか、恋人でも無いのに令嬢の唇を奪おうとし、あまつその貞操にまで魔の手を忍ばせる始末………流石に、見逃せませんでした………」
「ぶふっ……?!」
喉を潤ませようと口に含んだ紅茶を吹き出すフリティラリアに、すかさずマーガレットがハンカチを差し出した。
「心中………お察ししますわ………お父様。わたくしも、ツジム様からお聞きした時はまさか、と思いましたもの………」
ノモ=カロオ王太子………令嬢の、いや………乙女の純潔をなんだと思っているのかと………。
「ですが………エドガー様が、わたくしがフラワー国に帰国した時期が一緒だったのは考えようによっては好機ですわ。わたくしとツジム様、そして男爵夫妻はエドガー様の手によりフラワー国に逃がされた……つまり、王太子の魔の手から救われた。ツジム様が………」
フリティラリアはハッとした。マーガレットの狙い目に気が付いたのだ。
「わたくしだけでは弱い………しかし、二国の不可侵条約を結ぶ為に奔走し、あの国で今なお平和を齎したと讃えられている彼の御仁のお孫様が、いえ……それ以前に現王のくだらぬ思惑で謀殺されたツジム様のご両親のこともあります。そうなればフラワー国が二国の争いに仲裁という形で干渉出来ますわ……」
跡継き姫を蔑ろにした報復としてではなく、あくまでも争おうとしている二国の仲裁という形であの国に宗主国として処罰を下す。
「そうすれば、彼の国と御仁にも借りが出来………あの愚かな国にも堂々と罰を与えられますわ。そうすれば我がフラワー国の面子も保てます。そして宰相子息にして王族のエドガー様がフラワー国の従国としてわたくしを無事にフラワー国へと帰還させたとすれば………処罰する対象は今まで好き勝手してまともに政をしてこなかった現王と、同じく愚かな振る舞いを繰り返していた王太子の二人の首で事を済ますことが出来るかと」
「………」
実際にマーガレットの言うように事がなるのは極めて難しいだろう。しかし現状として、あの国の王族を残す方法としては、はっきりというと有りだ。むしろそれしか方法はないだろう。
それに現王と王太子の首だけ落とせて、宰相を勤めるユリウスとエドガーに残った国を任せられればフリティラリアが直接治める必要はなくなる。もっとも、マーガレットに危害を加えたペナルティーは勿論負ってもらうことになるので、彼の国は建て直しに相当な苦労をするのは想像に難くない………。
(色々と杜撰な部分はあるけど………でもそれだって私や、私の臣下が手を貸しさえすれば出来ない話では無い………)
─────マーガレット、君って子は……。
「身に憶えのない、謂われ無き罪で罵倒された挙げ句に………投獄までされて………そこまで思考を巡らせることが出来るなんて─────流石は私と我が愛しきスピラエアとの娘だ! マーちゃん! 大好きだよーーー!!」
(´▽`)ふっ、ふふふ………
ヒュウ───バッシィィィン………!!
´∀`)=⊃)`Д°);、;∵グッハァアア!!
マーガレットの鋭く重い拳がフリティラリアの顔面を打ち抜いた………。
「────良い歳をした娘を、然もマーちゃん呼びするなどと………止めてくださいと、何度申し上げたら止めて頂けるのですかねぇ………?」
凍りつくかのような冷たい微笑に、フリティラリアは背筋に走る悪寒を感じた。
(その、笑顔なのに冷たさしか感じさせない視線………どんどんスピラエアに似てきたねぇ、マーちゃん……)
いや、単なる馬鹿だった。
王妃直属であり、王妃亡き今、マーガレットに仕えているメイド達は夫婦時代から見ているフリティラリアの残念ぷりに生暖かくも遠い目をして…………嗚呼、今日も秘めなくてはならない秘密が増えてしまった、と嘆くのであった………。
メイド達は王妃が自ら厳選したメイドの中のメイド達。どんなに仕えている王様が残念極まりない外見詐欺男でも表に出さずに粛々としてお世話致します。彼女達のお蔭でフリティラリアのイメージは守られている。
ただし、メイド達はどれほど外見があてにならないかを直視しすぎてしまった所為で、男性に対してドライになったとさ………。
次回でようやく最終回?
待ってろ、現王とノモ=カロオ王太子!
今までの皆の怒りを知るがいい……!!