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エタニティオンライン  作者: 足立韋護
崩壊
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ディザイア精鋭調査隊

 このテンマという女性は、どこまでが本音でどこまでがロールプレイなのかが、アキにはどうにもわからなくなってきた。


「お礼に何か、脱出に関する有益な情報とかはないかな」


 冗談交じりにアキは質問した。頭を上げ、席に戻ったテンマは、メニューを開いて何かを眺め始めた。先程の神妙な面持ちとは打って変わって、挑戦的な表情でアキを見つめる。


「アビスにある騎士団の支部から、つい先程情報が入った」


 アビスといえば、拠点化できる街の一つだったな。港町だから、海が望める良い街だ。ここからゲーム内時間で半日かかるから、俺はあまり行ったことはない。

 ディザイア、アビス、ヴァルカンが拠点化できる三大都市。それ以外では、死亡確定した後に復活することは出来ない。だからアビスもディザイアほどではなくとも、多くのプレイヤーが集まる場所……。


「情報、聞きたいか?」


「な、なんだいきなり。勿体ぶらないで教えてくれよ」


「気になりますね」


 出来る限り勿体ぶったテンマは、やがて口角を上げた。




「────アビスに、ログアウトホールが開いた」




 その一言を聞いてから、アキとフラメルは数秒固まった。部屋の中は時間が静止したようにしんとする。ようやく開いたアキの口からは、至極単純な言葉しか出なかった。


「嘘だろ……?」


 テンマは瞳を閉じながら首を振った。


「明日の正午、私が選んだ優秀なプレイヤー達と、調査としてアビスへと発つ。ちょうどいい。アキ、お前も来い。報酬はないが、何らかの情報は得られるかもしれん」


「ま、待って。フラメルさんは?」


「少数のほうが身軽で良い。なに、この街のプレイヤーを見捨てるわけではない。ログアウトホールの安全さえ確認出来れば、この街のプレイヤーも呼び込むつもりだ」


「アキさん、私はこの街で待っています。どうか心配なさらないで下さい」


 フラメルは優しくアキの肩へ手を置いた。か細く白い腕が、頼りなく見える。アキは沈黙しながら俯いた。それを見ていたテンマは、思い出したように話を続けた。


「そういえば今日はあの女はいないのだな。あのクオンとかいうのも一緒であればなお良い。あれは、相当に強いからな」


「今はどこか出かけてるよ。たまにあるんだよなあ」


「……なら、明日までに呼び戻しておいてほしい。正午、時計塔の下に集合だ。頼むぞ」


────翌日、正午。

 昨晩ふらっとフラメラーズカフェに来たクオンに俺から今回の調査の件を話すと、喜んで調査に加わると申し出てきた。なんだかんだと言いつつも、クオンも現実世界に帰りたいのかもしれない。


 広場には話を聞きつけた野次馬のプレイヤー達と、その注目の的となっているアキやテンマ達『ディザイア精鋭調査隊』と名付けられたプレイヤー達は、時計塔の下に集まっていた。

 よほどテンマが実力を厳選したのか、隊の人数はアキ、クオン、テンマを除いて三人ほどしかいなかった。その中にソロウィザードでアキと先日物件取引をしたカトレアの姿もあった。

 アキとクオン以外は重装に身を包んでいる。先頭に堂々と仁王立ちしているテンマが、周りに響き渡るほどの大声で話し始めた。


今日(こんにち)集いし六人は、ディザイアでも屈指の実力を誇るプレイヤーである! 我々精鋭調査隊は三都市が一つ、港町アビスまでの遠征、現状調査が目的!

 また、本日初めての顔合わせ。性格、意見の不一致はあるだろうが、目的は一緒だ。私達は仲間、どうか協力、妥協は惜しまないでほしい。

 事前に伝えた通り、報酬はない。我々は最前線に立つという────」


 テンマの話は未だに続いている。


 カトレアさん……せっかく家を買ったのに、ログアウトホールが見つかったなんて聞かされたら、そりゃあ参加するよな。上手くいけば、エタオンから脱出できるかもしれないんだ。当たり前か。


 残りの二人は両方男だった。片方は鈍い金色に輝く鎧に身包んだ大男。大きな鈍い灰色の槌を背負っている。もう片方は、野次馬に笑顔で応えている顔の整った若い男だ。濃い緑色の軽鎧に身を包み、アキと同じような身長だが、アキよりるかに細身で、ついでに足も長かった。腰には、両刃の剣を二本携えている。二刀流使いのようだ。


 『ディザイア精鋭調査隊』……ひとまずアビスまでは、この面々とやっていかなきゃならない。

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