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エタニティオンライン  作者: 足立韋護
日常
22/157

 アキがやって来たのは天馬騎士団の本部である、城のような造りの建物だ。そびえ立つ建物の正面には、堅牢な鉄門が備え付けられ、その横には高い石壁が建物の四方を囲っていた。門の前には番兵として、騎士団加入者と、初心者の指導の受付を担当する短髪の男性プレイヤーと、それらの説明係である三つ編みの女性プレイヤーが木の椅子に座っていた。

 戦闘区域ではない場所に門番のようにプレイヤーを配置し、自警団を買って出る天馬騎士団の根幹には、ロールプレイという観念が備わっていた。騎士団は、そのロールプレイを個人的に楽しんでいるプレイヤーが大半を占める。


「騎士団加入者か?」


 門の前にまで歩いてきたアキは首を横に振った。期待の眼差しを向けてきた二人は、途端に素っ気ない態度で、話を続ける。


「なんだ。じゃあなんか用か?」


「ユウっているか? ボロの刀を持ってる」


「あの落ちこぼれの客かよ。まあいいや、少し待ってな。クランの伝言板に書き込んでおいてやる」


 男はメニュー画面を開き、クラン専用の掲示板に移ってから何かを打ち込み始めた。事前に待ち合わせの約束をしていたが、恐らく準備が間に合っていないのだろうと勝手に予想した。男が打ち込んでいる間、もう一人の女が興味津々に話しかけてきた。


「ねぇねぇ君、そんなオンボロの服着てさ、なんかになりきってんの?」


「え、ああ、違うよ。いつも街で商人をやってるから、無駄な装備は重いだけなんだ」


「なーんだ。ユウ君もさ、あれってなりきってると思う?」


「あれのどこにロールプレイ要素があるんだよ」


 女は楽しげに足をバタバタさせながら、声色を高くした。


「えぇー! 全然あるよ! 今は実力を隠してるけど、本気を出せば最強クラス、そしてあのボロ刀は伝説の武器でした……ってな具合よ」


「はは、ユウには悪いけど、ないない」


「何が僕に悪いの?」


 声のする背後に振り返ると、門番の二人と同じような紺色の鎧を着込んだユウが、首を傾げながらアキと女を交互に見つめている。その背中には、相変わらず長い大太刀が備えてある。門番の男が苛立った様子で、ユウを睨みつけた。


「おい落ちこぼれぇ! 俺に手間取らせんなよ!」


「あ、ああ、ごめんなさいミスガルドさん。さ、アキ行こう行こう」


 ユウは頭を何度も下げながら、天馬騎士団の本拠地を後にした。アキはそれを気にしつつも、街中に設置してあるベンチに座り、ユウとイベントに関しての話をし始める。


「なあ、イベントについてなんか知らないか?」


「んー、確かに異色のイベントではあるよね。でも『竜狩りの秘宝』みたいな突拍子もないイベントも、エタニティオンラインの醍醐味なんじゃないかな」


「それは俺も考えた。でも、今回はなんだか方針自体が違う気がするんだよ」


「でも、イベントは開催されてるし、実際多くのプレイヤーが積極的に参加してるんだ。確かに、闘技場はあまり意味をなさなくなるけれど、たまには良いんじゃないかな」


「気にしすぎ、か……。天馬騎士団の中での噂とかは?」


 ユウはメガネを上げつつ、メニュー画面を開いた。クランの掲示板を大雑把にスクロールしながら、口ごもった。


「あんまり信用してないんだけど……ちょっと気になる話があるんだ」


「どんな話だ?」


「普通はさ、プレイヤーが死んだ場合、復活薬とか使えるペナルティタイムを経てから、自分が設定した拠点に復活するよね。クエストのメンバーの場合は、クエストメンバーからは除外されずにさ」


「ああ。ログインした時に出てくる場所と同じだよな」


 ユウは周囲にこちらの話を聞いているプレイヤーがいないことを確認してから、そっとアキの近くにその怪訝な顔を寄せた。


「このイベントが始まってから、どうやら復活してないみたいなんだ。クエストメンバーからも除外されてるって話だよ。今日の掲示板に、たまーに書き込まれてるんだけど、どうなんだろうね」

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