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エタニティオンライン  作者: 足立韋護
日常
12/157

天才的戦闘センスの持ち主クオン

 アキは多くのプレイヤーが戦闘を繰り広げているフィールドを歩き出す前に、スキルメニューを開き、使役モンスターである『ゴブリンロード』を喚起させた。


 緑色の肌とやけに尖った鼻、黄色く光る眼に小さい背丈はまさにゴブリンそのものだった。しかしその手に持つのはゴブリンの棍棒ではなく、宝石の装飾がなされている杖。それに加え、ローブを身に纏っていることがゴブリンロードである証拠であった。


「今回はサポートに回るよ。存分に戦って良いから」


「お、じゃあ遠慮なく貰っちゃうからねぇ!」


 徒歩でフィールドを進んでいると、時折木の陰から肉食のマッドウルフや、小獣人のコボルトが襲いかかってくる。だがアキとクオンに到達する前に、ゴブリンロードの火炎魔法によって焼き尽くされていた。


 HPのなくなったモンスターは数秒経つと塵となって消えていった。その跡にはゴブリンの肉や、棍棒などのアイテムが時間制限付きで落ちている。

 こうしたドロップアイテムは倒したプレイヤーのみ手に入れることができる。中にはクランイベントのボスモンスターのような誰でもドロップアイテムを拾えるような例外もあるがそれは稀であった。


 よし、ゴブリンの肉は復活薬の材料だ。ちょっとは材料費を節約出来るかな。しっかり回収しておこう。


 エタニティオンラインでは、スキルを使用すると、再使用までに決められた時間を待たなければならない。運営側からは特に名称が明示されていなかったため、プレイヤー間でインターバルタイムと呼ばれるようになった。

 ゴブリンロードが止めどなく攻撃魔法を唱えられるのは、このインターバルタイムが極端に短いことが理由であった。


「さて、躍然たる草原に着いたけど、キマイラはどこにいるんだろ」


「ひとまず歩いてみよー!」


 草原に足を踏み入れると、途端に地面から草の香りが漂って来た。現実世界ではあまり馴染みのない短い草を踏む感触も、エタニティオンラインをプレイし始めた当初のアキにとっては新鮮で仕方なかった。

 そこから大して移動しないうちに、草原に大きな影が映り込んだ。ふと二人が空を見上げると羽根を持つ『何か』が羽ばたきながら、地上の様子を伺っていることがわかった。


「スキルメニュー……。さあて行くよー! 『デストラクションアーム』『オールグロウ』発動!」


 クオンは両手に、指先の出る黒い手袋の激レア武器『トールグローブ』を装着し、拳同士を突き合わせた。ほのかに両腕の辺りが紅く光り、体の周囲が黄金色に輝いて見える。

 クオンのプレイスタイルは、サブ職業の『エンチャンター』で自身を自在に強化し、メイン職業の『モンク』で肉弾戦を挑むスタイルである。エンチャンターとモンクの組み合わせは非常に相性が良いものの、モンクを扱うためにはある程度のセンスが求められるため真価を発揮出来ていないプレイヤーがほとんどである。


 膝を折り曲げ、力を足に集中させると、上方へ一気に五メートルほど跳び上がった。モンスターの眼前にまで跳躍して初めて、頭が獅子、背中に山羊、尾が蛇のキマイラの全貌が確認できた。

 その慣性に合わせて、両手の指と指を一本一本絡ませ合い互いの手を握ると、大きく背骨を外側へと反らして、絡ませた両手を大きく振り上げた。


「よっこいせぇえええ!」


 両手を振りかぶりキマイラの獅子頭へと直撃させる。鈍く大きな殴打音と共に、キマイラは縦に反転しつつ勢い良く地面へと落下した。その上に着地したクオンは、続けざまに背中の山羊に素早く殴打を繰り返していく。


「相変わらず、すごいな……」


 エタニティオンラインじゃ、現実世界の身体能力は影響されないけど、戦闘センスというか、スポーツセンスというか、そういったものは大きく影響される。あんな無茶な動きを一つ一つ正確にできるのはクオンくらいだ。いくら戦闘時の痛覚が十一分の一だとしても、絶対に真似出来ないな。まさに天才的センスの持ち主だと断言できる。


 山羊が動かなくなった頃、ようやく獅子が体を動かし始めようとするが、低空に跳んだクオンが繰り出すかかと落としによって、またもや地面に伏せることになった。クオンが続いて蛇を攻撃しようとした時、またも地面に大きな影が現れた。


「アッキー! 援軍来ちゃったよー!」


 上空には、もう一体のキマイラが悠然と羽ばたいていた。

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