村へ
私たちは今、森の中にいる。私たちの住む大陸の中で、1位2位を争う注目を集める村へと神殿からの依頼をこなしに行くために移動しているのだ。私たちが歩いているのはそんな村へと続く交易路としてその村の村長であり、冒険者でもある【オズマ・A・マクシミリアン】という男が森の木々を刈り倒して作った道なのだという。結構な数の切り株も残っているし道も整備もそこそこな道だから結構、足腰に来るものがある。そうそう、私の名前は【メリル】訳あって家名といったものはない。ちなみに、『私たち』というからにはもちろん相方がいる。そして、私はちらりと自分の横を歩く青年へと目を向ける。身長は大体170位でつけている防具は革鎧にブーツと簡素だ。腰につけた|魔導銃≪キャリバー≫2丁はよっぽど大事にされているのか木々の隙間からこぼれる日差しを受けて時折ピカピカと私の顔に光を当ててくる。そして彼の種族を示す犬耳としっぽは警戒をしているのかたまにピクピクと反応している。彼の名は【ノイズ=ヴァルス】ヴァーナという獣人族の中で|狼族≪アウリル≫と呼ばれる種族の男だ。彼は私が見ていることに気が付いて顔をこちらに向けると。
「メリル、いつになったら着くんだ?その・・・村には」
「後、もう少しだから我慢してよ!普段から机にかじりついてる私の方がきついんだから。ちなみに村の名前はウッドロックだからね!いつも言ってるでしょ依頼の説明はよく聞いといてって!まったく」
何回も繰り返した質問を再びやり取りしそこから2時間程歩いていくと森の終わりが見えてきた。そこには、切り倒した木の丸太を地面に突き刺して作られた防壁と木で作られた|櫓≪やぐら≫と門がある。門は内開きで開かれており門の内側では人々の往来が見える。
「やっとついたか・・・長かったな・・・」
「そうね。長かったわ・・・なんせ9日も歩いてきたのだから・・・」
「まぁ今はその村長のところに行こう。確か当分の宿泊先はむこうで面倒をみてくれるんだよな」
「えぇそうよ。どちらにせよ到着の報告は義務だから村長のもとへ向かいましょう」
そうして彼らは、門へと歩を進めて行く。