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朝七時頃。
隣を見ると、佳奈はもう起きていた。
「おはよ」
佳奈は驚いたらしく一瞬肩が跳ね上がった。
「お…おはよ」
いつもの佳奈らしくない。
何か、あったかと考えてすぐに答えにたどりついた。
「忘れてないんだな、昨日のこと」
佳奈の方を向いてはいなかったが、小さく頷いたのが分かった。
「俺さ、中学くらいの頃からずっと好きだったんだよ。…知ってた?」
佳奈が驚いたようにこちらを見た。
「中学から?」
「そう、中学から」
しばらく沈黙が流れた。
朝ごはんを作るために起きようとすると後ろから手がまわってきた。
「大好き」
それだけで充分だった。
俺も後ろを振り向いて、改めてみるとこんなにも細かった佳奈を潰してしまわないように大切に抱きしめた。