肝試し
「肝試しをやろう!」
始まりは、簡単なことだった。
耳が可笑しくなりそうなぐらい蝉の鳴き声が煩く、体を焼きつくような、夏の暑い日差し。
うちわで、扇ぎながらかき氷を食べるナツにウミは、言った言葉“き肝試しをやろう!だった。ナツは、あきれた顔で
「却下」
「えー行こうよ!夜も蒸し暑いしさースーっと涼しくなるって言ったら肝試しでしょ?
ここの近くに古い病院あって、幽霊が、出るって噂なんだよ」
噂が好きなウミは、ニコニコした顔で言った。幽霊なんて、オカルトなんて、興味がないなナツにとっては、どうでも良い話し。今は、どうやってこの贅肉を取ることに頭が一杯だ。
「いーやーだー」
「へーナツが好きなリョウ君も行くのに?」
ピタっと止まり、ウミを見る。好きな人が行く?これは、可愛い所を見せるチャンスでは?
「ごめん!やっぱり行く!」
この選択が、間違っていることだなんて、まだ知らないナツとウミは、古びた病院に午後8時に待ち合わせすることにした。
ナツは、待ち合わせの10分前に着き古びた病院を見る。
「幽霊ねぇー…」
ナツは、鼻で笑い皆を待つ。そうしていると、ウミとリョウ、ユウジ、が集まり時間的に少し早いお化け屋敷は、始まった。
きーっと閉ざされた扉を開け懐中電灯を当てる。
「…お邪魔しまーす」
っとウミの声が響く。返事はしないのは当たり前。
「お邪魔しますって違うと思うぞ」
「えへへへ」
中は、使っていたであろう待合室のボロボロのソファーが並んである。
「なんか、ドキドキするね!」
「俺は、ゾクゾクする」
「勝手にしとけ」
っと少し歩く。すると、ッバンと突然扉が閉まる。
「うお!?」
「何!?」
「扉がしまっただけ、さっさと行こ?」
「う、うん」
ナースステーションに、診察室、入院する人の部屋。
一つ一つ四人は、見て回る。
「なぁー、さっきから誰かにつけられいるような、感じがするだけど、気のせいか?」
っとユウジは言った。3人は、お互いの顔をみて、首をかしげる。
「ほら、あの角」
「角?」
っとリョウは、向かった。が、そこにあったのは、車イス。リョウは、鼻で笑い。
「何もいないぜ。ユウジはビビりすぎなんだよ」
「もー、ユウジくん、驚かせないでよ!」
っとウミが、ユウジをみる。しかし、ユウジの顔色はみるみる悪くなっていき、リョウを指を指す。
「あああああああああああ!!!!リョウ後ろ!後ろおおお!!」
「???」
っと後ろを向くが、何もいない。
「消えた…」
「???意味が解らねーし、さっさと行くぞ」
っとリョウは、歩きだす。ナツは、首をかしげてユウジをみる。ユウジは、何かぶつぶつ言っているが、それを無視してユウジの背中を押す。
「な!!何するんだよ!」
「何びびってるの?情けない」
「お前、見えなかったのか!?」
「は?」
見えなかった?リョウの後ろには、何もいなかったはず、いや何もいなかった。ナツは、腕をくみ。
「私を怖がらすならオカルトは、間違いだね」
「あいつは笑っていた。笑っていたんだ」
「はぁーだからもー…まーいいや、置いていくよ」
っとナツは、立ち去ろうとした。ふと、何か後ろに気配を感じて振り向くが、何もいない。誰かに見られている気がする。
「………」
「どうした?」
「なんでもない」
っと再び歩きだし、1つの部屋に入った途端、ひんやりとした冷たい空気を感じた。
「なんかここ、寒くない?」
「そうか?」
「此所で、記念写真!」
っとウミがデジカメを取り出す。セルフタイマーで、四人ならんで、撮りウミは、写真を見る。
「な、何これ!?」
「は?」
っとユウジも写真を見る。
その写真には、まるで血の様に真っ赤の煙のような物が写っていて、その煙は、人の顔になっている。
「これって心霊写真?」
「けけけけ消そうよ!」
「そうだな」
っと消去ボタンを押すが、“エラーになりました”っと表示になる。
何度も、何度も押すが結果は同じ。
「ねぇ、そこに誰かいるの?」
「は?」
ナツは、カーテンの後ろにライトを当てる。確かに人影が見える。
返事はない。ナツは、バサッとカーテンを開けるが、誰もいない。
「あれ?」
「なぁ、此処から出よう」
「う、うん」
っと出ようとすると、カツッカツッカツっとヒールの叩く音が聞こえる。
嫌な予感がしたリョウは、足を止める。
カツッカツッカツ
こっちに近づいてくる。
「隠れよう」
「え?う、うん」
っと四人は、ベットの後ろに隠れた。
カツッカツッカツ
カツッカツッカツ
心臓が張り付けそうなぐらい高鳴る。
カツッカツッカツ
カツッカツッカツ
だんだんと音は、大きくなるのが解る。誰か来る。
ウミは、ガタガタと体を震わせ息も荒くなる。それを気づいたナツは、手を握る。
カツッカツッカツ
カツッカツッカツ
音は、小さくなりホッとした顔をする四人。
ギッーイ
ベットに誰か乗る音。
「ミツケタ」
四人がゆっくりと振り向くと、血だらけの生きているとは、思えないナース服の女性が、ニッコリと笑っていた。
「きゃあああああああああ!!!!」
「うわあああああああああ!!!!」
っと四人は、走っていった。向かった先は、出入り口。ガタガタと開け様とするが開かない。
「開かないっ!」
「何でよ!?」
「知るかよ」
他の出口はない。此処しかない。
もう、逃げられない。
「ニュースです。●●●県△△△市にある、◆◆◆と言う病院に四人の男女の遺体が発見されました。◆◆◆病院は、有名なホラースポットであり、肝試しをする人も多いと言われる所ですが…━━━━」
タスケテ