20
本部司令室のパソコンから出力したマップを片手に、JR中野駅からまっすぐに商店街を貫く中野通りを抜けて、早稲田通りを左折。てくてくと歩く内に、明るい赤茶色の警察病院の建物が見えてきた。
「………………」
立ち留まって、途中の商店街で買ってきた見舞いの花束を握りしめる。空を見上げれば、厚く垂れこめた雲が天井低く空を覆っている。肌に触れる気温は昨日より更に一段と冷え込みを深め、吐く息にも白さが混じっていた。
あるいは天候次第で、このまま雪になるのかもしれない。
そのまま圧し潰されそうな気分に陥り、逃げ出したくなるのを奮い立たせ、由加里は歩き出した。
「……派手なドンパチの翌日で、片付けなきゃならん書類仕事も山ほどあるんだ。そんなところで油売ってる場合じゃねぇぞ」
「いいじゃない、別に。あんな精神状態で仕事させたって、ミスを誘発するだけでしょ」
「それはこっちで決める話だ。部外者は首を突っ込むな」
「あら、ご愛想ね。スポンサー代表として、それなりに現場にコミットするのも仕事の内よ」
「だからって、個別の捜査員の仕事振りにまで口を出すんじゃねぇよ。すっこんでろ」
「あらあら。聞き分けのないこと言ってると、予算締め上げるわよ♪」
「……あの、何でもいいですから、人の背後に立ってそういうぎすぎすした会話をしないでください。こっちがきついんで」
互いに正面の大型モニターを睨みながら、目も合わさずに交わされる武藤と梶浦の会話に、結城がうんざりとした声で割って入る。
「ふん、いいだろう。サボりの新米の動向なんざどうでもいい。そんなことより、城島の居所もこいつで判るんだな?」
「いやぁ、それほど単純な話でもないんですけどね……」
ばつが悪そうに呟きながら、結城がキィを叩く。
「城島健二について、ここまでで判っている限りの個人情報をシステムに登録しました。それを元に検索を実行します」
エンター・キィを叩く。しばしの検索実行時間を経て、マップ上に結果が反映された。
「何だ、これは?」
「城島健二の現在位置──の候補です」
「これ全部が、か?」
「これ全部が、です」
西部の都下区域も含めた横長の東京全土を示すマップ上に、無数の赤い点がばら撒かれていた。数にしてざっと数千はありそうだ。
「どういうことだ?」
「城島個人と結び付けられた個人を特定できるアイテム──携帯電話とか、クレジットカードとかが現時点でありませんので、年齢や性別、容姿などの外見的な要素で東京にいるすべての人間を検索した結果が、これです。
一度でも城島本人と特定できれば、一気に絞り込みが効くんですが……」
「これだけはっきりとした顔写真があってもか?」
「東京中のカメラ情報を拾ってるとは言え、警察に追われてる人間が街頭カメラにいちいちカメラ目線向けると思います? 結局、偶然カメラに写りこんだアングルもピントもばらばらの顔画像に強引に粗い特徴検索掛けるのが精いっぱい。それも都内の1300万市民を対象に精密な顔画像解析掛けられる演算資産なんて、日本中から掻き集めてやっとって話ですよ。今日のこのデモだって、社会安定化機能研究所(梶原さんとこ)のスパコン1台専有してる状態ですしね。関係当局から協力取り付けるだけで、年単位の時間かかりますって──」
「つまり、ガラクタか」
結城の説明を受け、武藤は一言の下に切って捨てた。
「そうでもないわ」腕を組んだままモニターを見つめつつ、梶浦は反論した。
「要は使い方よ。東京中の情報がこのシステムに集積されていることは事実なのだから、そこからどう情報を引き出すか──捜査を通じて収集した情報の断片を基に、さまざまな検索条件を組み合わせて、このシステムに問うの。
鏡よ、鏡よ、鏡さん。どうか悪者の居場所を教えてください、てね。
そうすれば、システムが次の断片を吐き出してくれる。その断片と、新しい捜査情報を基に、何度でも検索を繰り返す。
システムから吐き出された断片情報は、やがて犯人に辿り着くための道を示してくれるわ。
これは本来、そのためのツールよ。万物を照覧する魔法の鏡にも、聞き方があるってこと。ただ呼びかけただけでは、何も答えてはくれないわ」
「なるほど」武藤は頷いた。
「新庄とお前さんが、このクソ忙しい状況でチームを招集してわざわざこんなおもちゃを披露したのは、そういうことか」
「……いろいろ引っ掛かりを感じる表現だけど、そういうことよ」
梶浦が頷く。
「ちょっと、いいですか」おずおずと結城が片手を挙げる。
「その『何度でも検索を繰り返す』って誰がやるんですか?」
「……………………」
梶浦が無言で結城を見る。武藤も視線だけを結城に向けていた。残る久住と劉も当然のようにこちらを眺めている。
「ちょ、ちょっと待ってください! 何で俺なんスか?」
「さっきマニュアルに目を通して、利用法を掌握したでしょ」
さも当たり前のように梶浦は言った。
「〈グランドスラム〉のログ解析の仕事抱えてるんですよ、俺は!」
「ひとりでやれとは言ってない。必要ならアシスタントでも何でも使っていい」
「ただし、機密接近資格はあなたと同じ個人情報処理の国家資格S級持ってるのが前提ね」
「どこにいるんですか、そんな人材!? 求人サイトで募集でも掛けるんスか?」
「検索式の仕様はSQL準拠だから、スクリプト組んで自動処理でやらせればいいわ」
梶浦が助言する。
「簡単に言わんでください!」一声吠えると、結城は頭を切り替えて言った。
「……判りました。社会安定化機能研究所(梶原さんとこ)からスタッフ何人か貸してください」
「ごめんなさいね。ウチは今、総掛かりで〈グランドスラム〉のシステム検証をやってるから、そんな余裕はないわ」
にっこり笑って梶原が答える。
「ぐっ……そうか、だから、ウチにこんなβリリース前の作りかけのシステム持ち込んできたんですね。体のいい、バグ取り(バグ・フィックス)も兼ねて──」
「理解が早くて助かるわぁ」
結城は頭を抱え込んだ。
「くそっ、検索条件の拾い出しから自動プログラム(ボット)組んでやらせるか? しかし、どうしたってチューニングに時間かけないと使い物にならんぞ。いや、実データさえ渡さなきゃいいんだから、ある程度、信頼のおける外注スタッフに検索ボットの基本仕様だけばら撒いて、素組だけでも作らせるか。その上で、本庁の電算スタッフの若手を何人か拉致ってきてバグ取りとチューニングをやらせれば──」
「ま、よろしく頼む」
ぶつぶつと具体的な作業プランを組み立て始める結城の肩に、武藤が手を置く。
「一通り説明も終わったことだし、結城クン、後は頼んだわよ」
「……はあ……」
「それじゃあ、武藤クン、車出して」
「はぁ? 何言ってんだお前?」
「迎えに行くのよ」険悪な表情を隠しもしない武藤に、梶原はあっさりと告げた。
「おたくの新人を」
「あなた、警察の潮さんという方が……」
「あ? 潮? ……ああ、新庄のところの新米か。構わん、通してくれ」
室内から聴こえてくる意外に元気そうな声に、由加里はほっとしつつ病室に足を踏み入れた。
「失礼します」
「よう、お前さんも無事だったか」
全身を包帯で捲かれた町田警視が、やはり包帯で捲かれた片手を挙げる。思わず息を呑む由加里ににやりと笑って言った。
「町田警視、あの、怪我の方は……」
「おかげさまで、落ちてくる柱の隙間に挟まれて助かった。ミイラ男みたいでみっともないが、まぁ、命があっただけ儲けものだ。禁煙なんで、タバコが吸えないのだけは辛いが」
「お花、預かります」
町田の奥さんと思しき女性が、由加里から手元の花束を受け取った。
「お花、活けてきますね」
「あ、お願いします」
病室を出る奥さんを見送ると、由加里は町田に言った。
「綺麗な方ですね」
そうは言ったものの、ほっそりとした顔立ちに疲労の色が残っていることに気付いた。目許も泣き腫らしたように腫れぼったい。きっと徹夜で町田の無事を祈っていたのだろう。
「……ろくに家に寄りつかない刑事の嫁にしちゃあ、ちと出来過ぎかもな」
少し照れたように顔を赤らめながら、町田はむっつりと言った。
「まぁ、さんざん迷惑かけてきたが、何とか帰ってきてやれた。亭主として大したことはしてやれてないが、せめてもの義理は果たせてほっとしてる」
その言葉を最後まで聞き終えて、由加里は躊躇いがちに訊ねた。
「……それで、あの……他の皆さんのことは?」
「ひとり若いのがまだ集中治療室(ICU)にいるとは聞いたが、他はまだだ」
あまり感情を感じさせない声で、町田が告げる。現場はまだ生存者を探して捜索中だ。既に少なからず遺体も回収されているが、今のところ生存者はこの町田とその集中治療室(ICU)の若い刑事だけだった。
「……すみません……」
「お前さんが謝るこっちゃねえよ」ぶっきらぼうに町田が応える。
「そっちの大将は? 三回くらい叩き殺しても死ななそうなタマだったが」
「無事です……多分」
「多分?」
「……まだ、顔を見てませんので」
「………………」
うつむく由加里をしばし無言で眺めていた町田は、ぼそりと呟くように言った。
「てっきり、上司に言われて俺の無事を確認しに来たのかと思ったが。ま、考えてみりゃ、そんな気が廻るタマじゃないわな。
……だが、だったら、何でこんなところにいるんだ? 犯人がのうのうと逃げ廻ってる間は、下っ端の捜査員の居場所は現場以外にないぞ。俺の部下なら、そのでかい尻を蹴飛ばしてるところだ」
冷たく突き放すような町田の言葉に、由加里は膝の上で掌を握りしめる。
やがて、由加里は吐き出すように話し始めた。
「あたしは……なりたくて、捜査官になったわけじゃないです。あたしは交通課の婦警で、街の人も、所轄の同僚や先輩達も大好きで、このままずっと普通の警察官でいられたら、それで良かったんです!
それなのに、武藤さんが無理やり、今の組織に私を引っ張って──」
「どうやら結構、ろくでもない事情があるらしいがな」
町田は呆れつつ、険しい声音で言った。
「ミニパト転がして駐禁キップ切ってる外廻りの婦警だろうが、地べた這いずり廻って犯人を挙げる刑事だろうが、お前さんも警察官なら仲良しごっこで務まる稼業じゃないことぐらい承知の上だろう。よしんばお前さんがそのつもりだったとしても、他の連中まで一緒にするな。
警察官が市民の盾となるのは、給料の内だ。それが『普通の警察官』の仕事だ。今度のことはさすがに酷すぎるが、それでもその怒りは犯人逮捕に向けろ。自分の境遇を恨むのは、犯人に手錠を掛けてからだ──それが、『警察官』だろう」
「警察……官……」由加里は確かめるようにその言葉を繰り返した。
「でも、あの人は……武藤警部は、わたしを『兵隊』にしようとしてます」
消え入りそうなその言葉に、町田は小さく眉を顰めた。どういう教育方針だ。しかし、あの傭兵崩れの出自からすれば、当然想定の範囲内というべきか。そう言えば、警察内部のSATや機動隊関係者よりも、外部の防衛省関係者と付き合いが深いとも聞く。それにしたところで、こんな駆け出しの婦警を捕まえて「兵隊」にしようだなどと、いささか常軌を逸しているのではないか。
だが、所詮は他人の部下だ。他所の組織の教育方針に口ばしを突っ込んで、いいことはひとつもない。
それを承知で口を開こうとする自分はつくづくお人好しだ、と内心呻きつつ町田は言い放った。
「そんなもの、知るか。他人がお前さんをどうしたがってようと、それはそいつの都合だ。お前さん自身はどうしたいんだ? 全部、そこから始まってそこで終わる話だ。それ以上でもそれ以下でもない」
そもそも何で、こんな包帯だらけになってまで他人様の部下の面倒まで見ねばならんのだ、と胸の裡で毒つく。全部、あの武藤とかいうインチキ野郎が悪い。偉そうな大口を叩く癖に、部下のメンタル管理もできないのか──
が、こんな話を所属も異なる自分に持ち込むこの娘の事情に興味が湧いたのも事実だった。武藤個人の資質はともかく、チーム内で班員のメンタルをケアする仕組みもないのか。急拵えの組織なので無理もないが、外からは容易に伺い知ることのできない「謎の組織」である遊撃捜査班の、これは意外な弱点となるかもしれない。…………。
町田の年若い同僚への情と、組織人としてひややかに値踏みする冷徹さの入り混じった視線に気づかぬまま、由加里は俯いたまま語り続ける。
「判らないんです。あの時、先輩が私の前で撃たれた時、私の頭の中は犯人を殺すことだけを考えていました……」
「まぁ、人間だからな。かっとなって犯人を殺してやりたくなることは、俺にだってある。今、この場にあの犯人達がいたら、俺だって何をしでかすか判らんさ」
「違うんです。そうじゃないんです」由加里は首を左右に振った。
「私は冷静でした──いいえ、怒りや衝撃も感じていました。胸が張り裂けそうで、心がばらばらに砕けそうでした。
だけど同時に、私の心はつめたく冷え込んでいました。周囲の状況を完璧に掌握し、犯人達を鏖にするには何をどうすればいいかだけを考えていました。
そして、犯人達の攻撃を掻い潜り、反撃を捩じ伏せ、至近距離から急所に一発づつ銃弾を撃ち込んで仕留める──それを自分に出来ると、何の疑問も抱かず確信していました」
由加里はあの時、拳銃を握っていた自分の右掌を見ながら言った。
「すべて『自動的』に動き出していました。あの時、武藤警部に止められなければ、私は本当に犯人達を鏖にしていたかもしれません」
そんなわけがあるか。相手だって百戦錬磨の凄腕の傭兵部隊だったのだ。お前みたいな小娘ひとり、苦も無く返り討ちにあっていたろう──
喉まで出かかったその言葉を、町田は危うく呑みこんだ。半ば虚ろに己の掌を見詰める由加里に、ふと本当にそうだったのかもしれないという感覚がよぎったのだ。
まさか。昨日の邀撃捜査班との接触前に、警視庁内部でアクセス可能な主要班員の人事情報には目を通してある。小笠原の離島交番勤務などと嘘八百が書き込んであった武藤の件があるのでどこまで信用できるかは不明だが、その人事資料によれば、目の前の小娘は、なまじっか射撃の成績がいいばっかりに、向島署交通課から拉致同然に遊撃捜査班に異動になった新米婦警だったはずだ。
「兵隊」とこの娘は言った。武藤がこの娘にどんな訓練メニューを施したのかは知らない。特に知りたいとも思わないが、わずか半年ばかりでここまでの心理基盤を仕込めるものなのか? まぁ、警察学校の入校期間や軍隊が新兵に施す教練過程を考えれば、半年もあれば何も知らない若者ひとりくらい、どうとでも仕込んで仕上げられなくもないのだろうが。…………。
だが、この娘が言ってるのは、そういう次元の話なのだろうか……?
何か引っ掛かりを覚える。どこか、話が出来過ぎのような気がする。すとんと腑に落ちすぎる──長年修羅場を掻い潜ってきた捜査官としての経験が、微かな警報を鳴らす。
何が気に入らない……?
「……ぐっ……!」
微かによぎる違和感の正体を探るべく意識を集中しようとして、不意に眩暈を覚えて額を手で抑える。しまった。自分がたまたま意識があるだけの重症患者であることを思い出す。全身の傷の痛みは鎮静剤の投与で抑えられていたが、なにせ明け方まで向島署の残がいの下に埋まっていた身である。体力が回復するまで、この場でこれ以上の詮索は無理か。
「大丈夫ですか?」
「ああ、心配ない。ちょっと疲れてるだけだ」
「すみません。そんな時に押しかけてしまって……」
まったくだと思ったが、すっかり消沈してしょげ返る由加里の姿を見るとあまり厳しく言う気も失せた。
「……まぁ、何だ。結局のところ、周りがどうしたがってようと、そいつがお前さんの人生を代わりに生きてくれるわけじゃない。自分が何者かなんてのは、自分自身で決めるしかないからな。たまに見失ったりやりすぎたりしても、そこに戻って自分自身を取り戻せる、そういうものが自分の中にあるかどうかだ」
「………………」
僅かに顔を赤らめつつ語る町田の言葉に、由加里はふと、自分にとってそれが何なのかを思い出した。
「お巡り、さん……」
「ん?」
由加里は顔を上げ、言った。
「今度の件で亡くなった先輩の婦警と約束したんです。『立派なお巡りさん』になるって」
それが現実での出来事だったのか、あるいは夢の中のことなのか、自分でも判然としない。
しかし、向島署で勤務していた時、香織と自分のふたりがともに目指していたものは一緒だった。それを言葉にしたことはなかったけれど、自分たちが進むべき道は、警察組織の中での栄達でも華々しい逮捕実績でもなかった。そんなこと、言葉に出さずとも判っていた。
自分は──いや、自分たちは、ただ「お巡りさん」になりたかったのだ。
地域住民と触れあい、彼ら彼女らの日々の生活を守り、小さな感謝を誇りと喜びとする、そんなただの「お巡りさん」に。
ああ、何だ。気づいて見れば、答えは始めからそこにあったのだ。
「お、おい!」
ぎょっとした表情でこちらを見る町田の表情で、自分が両目から涙を溢れさせていたことに気付いた。
「す、すいません」思わず謝ってしまいながら、慌てて涙を拭う。
「大丈夫です! もう、大丈夫です!」
「大丈夫って……」
「もう大丈夫です」
顔を上げ、由加里は肯いた。
そうだ。複雑怪奇な警察組織のどこの所属となろうと、関係ない。自分が目指すべきものに変わりはないはずだ。武藤が自分をどうしたがってようと、知ったことか。自分はどこからでだってそこを目指すのだ──それが、香織との約束なのだから。
「その分じゃ、本当に大丈夫そうだな」その瞳に迷いを振り切った力強い眼光を認め、町田は苦笑して言った。
「じゃあ、とっとと自分の仕事に戻れ。あのインチキ野郎に俺が嫌味を言われるのはごめんだ」
「はい。ご迷惑をお掛けしました!」
椅子から立ち上がった由加里は、背筋を伸ばして町田に敬礼した。
「潮巡査、勤務に戻ります!」
「おう、さっさと行け」
追い払うように包帯だらけの片手を動かす町田に改めて頭を下げ、由加里は病室から飛び出す。花瓶を手にした奥さんと危うくドア横でぶつかりそうになって、何度も頭を下げ、そこから半ば駆けるようにその場から立ち去った。
「あなた、今の方……?」
「要件が済んだんでお帰りだ。……ま、あの娘の上司に貸しひとつってところだが、さて素直に取り立てに応じてくれる相手かねぇ」
「?」
訝しむ妻に、町田は妙に楽しそうに頬を緩ませた。
短期集中連載の3回目、今度は由加里が警察病院に入院した警視庁の町田警視を訪ねる場面です。
向島署襲撃事件で先輩婦警を喪って、完全に気持ちが折れてしまった由加里がどう立ち直るのか……。
この辺も書いててメンタル的にきつかった。orz
でもここでちゃんと立ち直ってないと、お話ここで終わっちゃうんで……。
あと町田警視にここでメンター的な役を振るなら、由加里と以前から知り合いだった的な前振りがあった方がいいんじゃね?という突っ込みを知り合いから受け、しまったとか思ったのもいい思い出(思い出にするな)。
……その内、全体書き上げてオフセット版出す時に手直しします(とほほ)。
次回連載最終回は来週8月4日(日)掲載の予定です。