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縁の下、納戸、それから屋根裏

作者: 綸子

祖父母の住む、広くて古い家が好きだ。


今回一緒に来られなかった父と母は、冬は寒いし夏は暑いと言ってあまり気に入っていないようだけど、長期休暇のときくらいしか来られない私にとっては期間限定のお楽しみ。時間は有効に使わなければ。



昨日は縁の下を探索したけど、ハズレだった。



納戸もちょっと覗いてみたけど、あそこは物がいっぱいありすぎる。本来の目的を見失う可能性があるので、後回しにしよう。




今日のターゲットは、屋根裏。

立派な大黒柱のあるこの家の屋根裏だ、今日こそ見つかるはず!





重い脚立を廊下に出して、慎重にセッティングする。確か、ここの天井板を押し上げれば、屋根裏へ上がれるはずだ。



「おじゃましまーす…」



天井を踏み抜かないよう、ゆっくりとした動作で私は屋根裏へ上がった。




薄暗い屋根裏を、じっくり見回す。広さも相まって、端の方が見えづらい。



そろそろと移動していた私は、キシ、という音に振り返る。私が立てた音ではない。



じっとしていると、また、キシ、ピシ、と音がなる。




これは当たりか!?とテンションが上がった私は、気持ちを抑えきれず、




「ずっと探してました!会いたかったです!神様!!」



と、音のする方へ言い放った。わりと大きめの声で。




一瞬、音のした場所あたりがぐにゃりと歪んだように見え、その次の瞬間、何か小さなものが現れた。




なんというか……小さな……おじさん…?これが神様…?




小さなおじさんは眉間にシワをよせ、



「いや、ないわ。勝手に上がってくるし、急に神様とか喚くし。ほんとないわ。」


と、ため息混じりに言った。


「あなた神様ですか?」


私は間髪入れずに聞いた。


「違うよ!!このツノ見りゃわかるだろ!!」


どうやらまたハズレらしい。




残念だ。日本に生まれたからには、八百万も居るという神様を一目見たいと、こんなに一生懸命さがしているというのに…!


私が興味を失ったことに気づいた小さなおじさんは、



「お前さんみたいなバチ当たりは、絶対神様に会えないからな!」



と言い残して消えてしまった。




心外だ。妖怪や物の怪には興味がないだけなのに。



さっきの小さなおじさんといい、昨日縁の下にいたよくわからない毛むくじゃらといい、あともう一歩な感じがするのになぁ。神様発見までの道のりは険しい。




ため息をついて屋根裏から降りる私を、この家の守り神様がぷるぷる震えながら大黒柱に隠れて見ているとはつゆ知らず、私は天井板をもとに戻したのだった。









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