表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

しゃべる湯沸かし器

作者: 檸檬koY

「ピロりん!オユヲ ワカシマス。」


新しくお風呂に設置した湯沸かし器。これが大変便利である。


「ピロん!オフロノオンドガ ヨンジュウドニ セッテイサレマシタ。」


パネルで設定しておけば、勝手にお湯を沸かしてくれる。あらかじめタイマーで設定しておけば、家に帰ってすぐに湯船に浸かれる。大変ありがたい。


――ハァあああああ、きもちいいいいい


間違いなく、今まで以上に快適な生活になっている。


「ありがとうな、湯沸かし器。」


「・・・・・・。」




しかし、生活の潤いが増した反面、同時に不思議な事案も発生していた。




いつもお風呂の残り湯は、次の日に洗濯器に入れて再利用している。だが、この湯沸かし器を設置してからというもの、その残り湯が僕が入っていた時より半分以上減っているのだ。



――べつに栓が抜けているわけではないしな・・・蒸発したとか・・・いや、まさかね。



いろいろ考えてはみたものの結局は分からない。


「なあ、湯沸かし器。いつもここにいるんだから、お前さん、何か知らないかい?」




当たり前だが、応えるはずはなかった。


まあ、でもお湯が減ってしまうこと以外に不自然なことはないし、洗濯に使う量も毎回ギリギリ残っているから、問題という問題はない。不思議だけど、そのまま放っておくことにした。




そんなある日。


――ジュルルルル


夜遅くに、水が流れる音がする。


――ジュル、ジュル、ジュル


それは、お風呂場の方から聞こえていた。



――誰かいるのか?



恐怖心を抱きながらも、現場に向かおうとする。


その時である。聞き馴染みのある声が聞こえた。



「ダンナサマノ ノコリジル オイシイ。 デモ コレクライデガマン。 アトハ センタクサマノブン。」




聞いて聞かぬふりをして、僕は布団へとそっと戻った。









読んでいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ